会社を既に経営している方から
「創業融資は2社目も受けられますか?」
このような相談を受けることがあります。
もちろん、2社目以降も受けることができます。
会社を複数持つ理由として、
「事業内容で分けたい」
「節税対策」
など理由は様々ですが、2社目の法人で「融資を受けたい」と考えている方は、注意が必要です。
今回は、2社目以降で融資を受けることを検討している際に注意すべき点について融資の専門家が解説していきます。
1.創業融資を2社目以降で受ける場合の注意点
2社目以降でも、創業融資を申し込むことはもちろん可能です。
何社でも融資を受けることは可能ですが、同一の代表者で、2社目またはそれ以降の法人で融資を受ける場合、既存の法人の業績や借入状況が審査に影響を及ぼすため注意が必要です。
詳しく解説していきます。
1-1. 既存法人の業績が影響する
既に法人を経営している代表者が、新たな法人で創業融資を受けようとする場合、既存の法人の業績が審査に影響します。既存法人の決算書の提出が求められます。
もし、既存の法人の業績が悪化している、既存の法人で融資が断られている場合、新たな法人で創業融資を受けることは難しくなります。
いくら法人が違えど代表者が同一の場合、金融機関は1つのグループ会社として、融資の可否を判断します。
これは、新たな法人を通して、本来融資が受けられない会社にお金を回す「迂回融資」を避けるためです。
これから成長が期待できる法人に融資をしたのに、実際は業績の悪い法人に融資金が流れてしまっていた、仕舞いには、2社とも返済不能に陥ってしまった!なんてことになっては金融機関は困るからなのです。
そのため、金融機関は非常に慎重な審査を行います。
1-2.代表が同一の場合、複数法人があっても融資枠は一つ
複数の会社を経営している場合でも、代表が同一の場合、融資の枠は一つです。
創業間もなくは、融資の枠は、日本政策金融公庫から受ける融資の枠と、銀行などを介した信用保証協会から受ける融資の枠のそれぞれ1つずつに限られます。
この融資枠とは「与信枠」とも言われ、現状その法人が融資を受けられる最大の金額のことを言います。
よくある、融資上限額とは異なり、各法人の信用力などによって決められるものです。
この融資枠についても、代表が同一の場合は複数の法人があっても1つに限られるのです。
例えば、日本政策金融公庫の融資枠(与信枠)が2,000万円あり、そのうち1,500万円を1社で借りている場合、もう一方の法人では500万円までしか借りられないということになります。
●2社目の融資は、事業計画書の内容がカギです。
既存法人の業績や借入状況はすぐに変えることはできませんが、事業計画書を作り込むことによって新たな事業の可能性をアピールでき、融資の成功確率を高めることができます。
●融資の枠を増やす方法があります!
「経営力向上計画」の認定を受けることで、融資の枠を別枠で設けることができます。
「経営力向上計画」とは、人材の育成や、コスト管理等のマネジメントの向上、設備投資など、自社の経営力を向上する計画のことで、所定の計画書を作成し、国の認定を受けた事業者は、税金や金融の支援を受けることができるものです。
詳しくはこちらの記事を参照してください。
2. まとめ
2社目以降でも創業融資を利用することは可能ですが、既存法人の業績や、借入状況が大きく影響します。
代表者が同一の場合、新たに法人を設立しても、全く別の法人としては見てもらえないのです。
既存事業の業績が悪く融資が受けられないから、新たに法人を設立するなんでことを考える人もいますが、会社を設立しただけ無駄になってしまう可能性が高いので止めておきましょう。
今後、事業を大きくしていきたいと考えている方は、「経営力向上計画」の認定を受けることで、融資枠(与信枠)を別枠で増やすことも可能です。
詳しくは、専門家に問い合わせるようにしましょう。
課題に合わせた資金調達の戦略を提案してもらうことができますよ。
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