
🔍「どこの銀行なら融資が通りやすいのか…?」
起業や事業拡大を考えるとき、最初にぶつかる壁が“資金調達”です。
創業期や小規模事業者にとっては、金融機関選びが融資成功の明暗を分けます。
この記事では、数多くの融資支援を行ってきた税理士・資金調達コンサルタントの視点から、
「融資が通りやすい金融機関ランキング」と「成功のための3つの準備ポイント」を解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、あなたにとって最適な融資戦略を見つけてください。
目次
1. 融資が受けやすい銀行ランキング【プロが本音で解説】
まずは、創業期や小規模事業者が「融資を受けやすい」金融機関を、専門家の視点でランキング形式にまとめました。
順位 | 金融機関 | 特徴 |
1位 | 日本政策金融公庫 | 創業融資に積極的。無担保・無保証で借りやすく低金利。 |
2位 | 信用金庫・信用組合 | 地域密着型で親身な対応。 |
3位 | 地方銀行 | 創業期の相談にも応じつつ、事業拡大フェーズでは心強い資金パートナーに。 |
では、なぜこのような順位になるのか?
ここからは、各金融機関の特徴と注意点を詳しく解説していきます。
第1位:日本政策金融公庫
融資を検討したら、まず日本政策金融公庫から。
創業融資はもちろん、開業から数年経った小規模事業者や中小企業にとっても、非常に利用しやすい資金調達先です。
国が100%出資する政府系金融機関として、「民間の金融機関では借りにくい事業者」を広くサポートする役割を担っており、売上がまだ安定しない時期や、事業拡大の資金が必要なタイミングでも、前向きに相談に乗ってくれます。
✔ 主な特徴
・無担保・無保証人でも借りられる制度がある
創業者だけでなく、小規模事業者向けの融資制度でも、担保や保証人なしで借りられるケースがあります。
・低金利で長期返済が可能
公庫の融資は年利2%前後と低金利なうえ、運転資金でも最長10年までの返済期間が設定できるのが大きな魅力です。
月々の返済負担を抑えながら、余裕を持った資金計画が立てられるため、売上が安定しきっていない事業者でも無理なく活用できます。
・自己資金や実績が乏しくても可能性あり
必ずしも潤沢な自己資金や大きな売上がなくても、事業内容や将来性をしっかり説明すれば審査対象になります。
公庫では、あらかじめ無担保・無保証人で借りられる制度が用意されており、他の金融機関と比べて審査のハードルが低く設定されているのが特徴です。多くの銀行では、担保や保証人、経営者自身の個人保証が必要となり、それがネックになるケースが少なくありません。
しかし、公庫の融資は、資産や保証人の有無ではなく、“人と事業の中身”で審査されます。
つまり、自己資金が少ない方や、過去の実績がない初めての起業であっても、しっかりとした事業計画があれば前向きな評価を受けやすいのです。
さらに、無担保・無保証人で借りられることで、個人財産(自宅や貯金など)にリスクが及ぶこともありません。
「失敗しても、人生が終わるわけじゃない」―この心理的な安心感があるからこそ、多くの起業家が一歩を踏み出せているのです。
借りやすさ、安心感の両面を兼ね備えた公庫の制度は、まさに“はじめての融資に最適”と言えるでしょう。
第2位:信用金庫・信用組合
信用金庫・信用組合(以下、信用金庫等)は、地域の中小企業や小規模事業者を応援することを使命とした金融機関です。
この「地域貢献を前提としたスタンス」こそが、融資を受けやすい最大の理由と言えます。
都市銀行のように実績や数字を重視するのではなく、“地域で頑張っている事業者を応援したい”という思いをもって向き合ってくれる。
だからこそ、創業期や売上がまだ安定していない段階でも、しっかりと対話を重ねることで、融資を受けられる可能性が高まります。
✔ 主な特徴
・地域密着・対面での信頼関係を重視
担当者が実際に足を運び、事業の様子や経営者の想いを丁寧にヒアリングしてくれます。
「人となり」や「地域への貢献」も融資判断に反映されるため、資料だけでは伝えきれない部分も評価の対象になります。
・柔軟な審査体制
信用金庫等は、地域の実情や事業者の状況をよく理解しているため、定型的な審査基準にとらわれず、個別の事情に応じた対応が可能です。創業間もない事業者でも、準備がしっかりしていれば前向きに対応してくれる可能性があります。
・融資以外の支援も充実
融資だけでなく、経営に関する相談も受けられます。
地域の士業や支援機関とのネットワークも強く、経営全般をサポートしてくれる存在として活用できます。
信用金庫等は、数字では測れない“信頼関係”を大切にしてくれる金融機関です。
融資を受けるために「事業実績がまだ足りない」「担保にできる資産がない」と不安に感じる方でも、担当者とのやり取りの中で「この人なら応援したい」と評価される可能性があります。
また、一度関係性が築ければ、追加融資や経営の相談にも柔軟に対応してくれることが多く、長期的なパートナーとしても優れています。
保証人や担保が求められるケースもありますが、しっかりと話し合う中で必要条件が調整されることもあるため、まずは相談してみる価値は十分にあります。
「書類だけでは伝えられないことを、ちゃんと見てくれる」―それが信用金庫です。
第3位:地方銀行
事業拡大にも対応できる“成長フェーズに寄り添う金融機関”
地方銀行は、制度融資や自治体との連携に強く、創業期でも融資に対応してくれる金融機関の一つです。
ただし、信用金庫と比べると、審査では事業計画の完成度や実現性、経営者のビジネス的な能力がより厳しくチェックされる傾向があり、結果として「やや借りにくい」と感じるケースもあります。
そのため、融資の“通りやすさ”という観点でランキングにすると、信用金庫が第2位、地方銀行が第3位という位置づけになります。
一方で、地方銀行は成長戦略を見据えた融資や支援に強く、中長期的に頼れる存在です。創業後の事業拡大を見据えて取引をスタートしておくと、将来的な資金調達がスムーズになります。
✔ 主な特徴
・事業拡大を見据えた大口融資にも対応
十分な資金力と融資体制が整っており、将来的な事業拡大を見据えた大口融資にも対応できます。
創業期から段階的に借入額を増やしていきたい事業者にとって、心強いパートナーとなるでしょう。
・行政や大手企業との取引で信頼性アップ
地方銀行との取引実績は、行政や大企業と取引を進める際にも「経営基盤のしっかりした企業」として評価されやすいという側面があります。
地方銀行は地域の信用インフラとして、企業の財務内容や経営状況を厳しくチェックしたうえで融資や取引を行っています。
そのため、「地銀と継続的な取引がある=一定の信頼を得ている会社」とみなされやすく、行政や大手企業にとっても安心して取引できる相手として評価されるのです。
創業期・成長初期の中小企業は、信用金庫でも地方銀行でも、基本的に信用保証協会付き融資を利用するため、制度上の違いはほとんどありません。
そのため「どちらで申し込んでも同じ」と思われがちですが、金融機関ごとの“向き合い方”には大きな違いがあります。
信用金庫は、地域の中小企業を支えることを目的としており、創業者の人柄や熱意をくみ取った、柔軟で親身な対応が特徴です。
実績が乏しい段階でも、丁寧な対話を通じて融資の道を一緒に探ってくれるため、初めての融資には特に向いています。
一方、地方銀行は、一定の事業規模や実績を前提とした対応が多く、創業間もない時期にはややハードルが高く感じられるケースもあります。
だからこそ、創業初期の資金調達は、まず信用金庫に相談するのが安心で確実な選択です。
地域密着の信頼関係が、将来の資金調達にもつながっていきます。
ポイント:金利よりも借りやすさを優先すべき
創業まもない起業家にとって、金利の違いよりも「まず借りられるかどうか」が何より重要です。
実際、公庫や信用金庫、地方銀行などが提供する制度融資では、金利はどこも年2.5%程度となるケースが多く、金融機関ごとの差はほとんどありません。
つまり、「どこが一番金利が安いか」を細かく比較するより、自分の状況でも前向きに相談に乗ってくれる金融機関を選ぶことが、スムーズな資金調達につながります。
金利が少し安くても、審査が通らなければ意味がありません。
まずは、実行可能性の高い“借りやすい金融機関”から資金を確保することが、事業を進める第一歩です。
番外編:ノンバンク
“借りやすさ”の裏に大きなリスクあり──緊急時以外は非推奨
ノンバンクは、ビジネスローン専門の金融機関で、銀行や信用金庫よりも審査が早く、融資実行までのスピードが非常に早いのが特徴です。
また、保証人や担保が不要なケースも多く、創業直後でも借りられる可能性があります。
しかしその一方で、金利は年10〜18%と非常に高く、返済負担が重くなるため注意が必要です。
さらに、ノンバンクでの借入実績は、銀行や公庫からの融資審査に悪影響を及ぼす可能性もあります。
ノンバンクの借入情報は、信用情報機関に登録されるため、「ノンバンクで借りている=資金繰りに余裕がない」と判断され、のちに公庫や銀行で融資を断られるリスクがあります。
また、高金利のため返済に行き詰まり、資金繰りがさらに悪化するという悪循環に陥るケースも少なくありません。
ノンバンクは、どうしても今すぐ資金が必要な場合の“緊急手段”として検討すべきものであり、
「創業時のメインの資金調達先」として使うべきではありません。
資金調達は“借りやすさ”だけでなく、“将来の選択肢を広げる”視点で判断することが大切です。
まずは、公庫や信用金庫など、長期的な関係を築ける金融機関からの融資を優先するようにしましょう。
これまでご紹介してきたように、日本政策金融公庫、信用金庫、地方銀行といった金融機関は、創業期や小規模事業者に対して前向きに融資の相談に乗ってくれる“借りやすい金融機関”です。
特に、事業計画や想いを丁寧に伝えることで、実績が乏しくてもチャンスを得られる点は大きな強みです。しかし、すべての金融機関がそうとは限りません。
実は、創業初期には「最初の相談先としては選ばない方がいい」金融機関も存在します。
その代表例が、三菱UFJ銀行や三井住友銀行、みずほ銀行といった“メガバンク”です。
ここからは、「なぜメガバンクは創業融資に向いていないのか?」について、専門家の視点から詳しく解説します。
融資が受けにくい銀行:メガバンク
規模・信用・実績がないと相手にされない、創業期には不向きな選択肢
三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行などに代表される「メガバンク」は、全国規模でサービスを展開する大手の都市銀行です。
確かに、企業としての信頼性や社会的ステータスは高く、「メガバンクと取引がある」と言うと見栄えは良いかもしれません。
しかし、創業期や小規模事業者にとっては、もっとも融資を受けにくい金融機関でもあります。
メガバンクは、基本的に大企業や中堅企業を対象とした数千万円〜数億円規模の融資を中心に取り扱っており、創業期によくある数百万〜1,000万円程度の小口融資には対応していないケースが多くあります。
「まずは決算が2期終わってから」「預金や取引実績を積んでから」といった対応をされることも多く、創業期にはそもそも相談すら受け付けてもらえないケースも少なくありません。
メガバンクはあくまである程度の事業規模・実績がある企業向け”の金融機関です。
創業直後の事業者がいきなりメガバンクに相談しても、ほぼ相手にされない、もしくは無駄足になる可能性が高いです。
借りやすい金融機関を知ることで、資金調達の方向性が見えてきたのではないでしょうか。
ですが、「どこから借りるか」だけでは融資は通りません。
実際に融資を成功させるためには、しっかりとした準備と、伝え方の工夫が不可欠です。
金融機関が何を見て、どこを評価するのかを理解しておくことで、審査通過の可能性は大きく高まります。
続く第2章では、創業融資を成功に導くための「3つの重要ポイント」について、専門家の視点からわかりやすく解説します。
2.融資を成功させる3つのポイント
「どこで借りるか」も大事ですが、「どう準備するか」はもっと大事です。
どんなに借りやすい金融機関を選んでも、準備が不十分では審査を通過することはできません。
ここでは、創業期の融資を成功させるために押さえておくべき「3つの重要な準備ポイント」をご紹介します。
✅ 1. 事前準備:自己資金と資金使途の明確化
金融機関がまず見るのは、「どのくらいの自己資金があるか」「何のために資金が必要なのか」という点です。創業融資では、自己資金=本気度として評価されます。
・自己資金の目安:借入希望額の1/3程度あると安心(例:300万円借りたい→自己資金100万円)
・資金使途は具体的に:「内装工事に150万円」「仕入資金に50万円」など、明細で説明できるように
✨ 専門家のアドバイス
自己資金は「預金通帳に積み上がってきた履歴」も見られます。一括で振り込まれた資金は“見せ金”と疑われることがあるので注意しましょう。
自己資金について詳しくはこちらで解説しています。
▶【業種別】創業融資を成功させるために必要な自己資金一覧!融資審査における自己資金の考え方を解説!
✅ 2. 事業計画書:ストーリーと実現性が鍵
融資審査では、事業計画書が最重要書類です。
ただし、単なる数字の羅列ではなく、「なぜこの事業をやるのか」「どう売上を伸ばしていくのか」といったストーリーと実現可能性の両方が求められます。
・収支計画:売上の根拠、経費の内訳をわかりやすく
・強み・差別化:競合との違い、ターゲット層
・想い:起業に至った背景や目指す姿も簡潔に伝える
✨ 専門家のアドバイス
金融機関は「夢を応援したい」と思っています。現実的でありながら、熱意が伝わる事業計画書を意識しましょう。
創業計画書の書き方について詳しくはこちらで解説しています。
▶日本政策金融公庫の創業計画書の書き方11ステップ!審査を通すためのテクニックを完全公開!
✅ 3. 面談対策:人柄と誠実さが最後の決め手
融資の可否を左右するのが、金融機関の担当者との面談です。
面談では、計画書だけではわからない「経営者としての人柄」「リスクにどう向き合うか」といった姿勢が見られます。
・言葉で説明できるよう準備を:数字の根拠・開業の動機・将来の見通しなど
・質問に対して正直・簡潔に答えること
・不安な部分を隠さず、リスクにどう備えるかを伝えると好印象
✨ 専門家のアドバイス
面談は「説得の場」ではなく、あなたの想いや強みを“プレゼン”する場です。
金融機関は、事業の将来性やリスクへの向き合い方だけでなく、「この人なら応援したい」と思えるかを見ています。
過去の経験、商品の独自性、地域とのつながりなど、あなたにしかない魅力をしっかりと言葉で伝えましょう。
融資の面談対策について詳しくはこちらで解説しています。
▶日本政策金融公庫の面談|全質問と模範解答例で完全攻略
🔚 最後に:不安なときこそ、専門家の力を借りよう
ここまでご紹介した3つのポイントを押さえておけば、創業期の融資でも十分にチャンスはあります。
とはいえ、「自己資金はこれで足りる?」「この事業計画で通るのか?」と不安になる場面もあるでしょう。
そんなときは、創業融資に詳しい専門家に相談するのがおすすめです。
あなたの計画を客観的にチェックし、融資審査で評価されやすい形にブラッシュアップしてくれます。
✅ 書類作成のサポート
✅ 面談対策のアドバイス
✅ 金融機関ごとの特徴に応じた戦略立案
など、一人で悩むより早く、確実に前に進める方法が見つかります。
創業は、ひとりで戦う必要はありません。
プロのサポートを受けながら、あなたの事業に最適な資金調達の形を一緒に作っていきましょう。
3.まとめ
まずは“借りやすさ”を優先しましょう。
創業や事業拡大を目指すとき、最初のハードルとなるのが「資金調達」です。
そして、融資をスムーズに受けるためには、「どの金融機関を選ぶか」「どんな準備をするか」が非常に重要なカギとなります。
この記事では、融資の通りやすさという視点から、以下の金融機関ランキングをご紹介しました。
順位 | 金融機関 | 特徴 |
1位 | 日本政策金融公庫 | 創業融資に積極的。無担保・無保証で借りやすく低金利。 |
2位 | 信用金庫・信用組合 | 地域密着型で親身な対応。 |
3位 | 地方銀行 | 創業期の相談にも応じつつ、事業拡大フェーズでは心強い資金パートナーに。 |
一方で、ノンバンクやメガバンクは創業期の融資には不向きであり、特にノンバンクは将来的な融資に悪影響を及ぼすリスクもあるため、慎重に検討する必要があります。
また、どの金融機関を選んでも、「事前準備」「事業計画」「面談対策」の3つの準備ポイントを押さえておくことが、融資成功への近道です。
もし今、「融資を受けたいけれど不安がある」「どこに相談すればいいかわからない」と感じているなら、専門家に相談することが最も確実なスタートになります。
あなたの想いや事業の強みを、金融機関にしっかり伝えられるようサポートしてくれるパートナーがいれば、融資の成功率はぐっと高まります。
資金調達の第一歩は、「借りられるところから、確実に借りる」こと。
この考え方をもとに、あなたの理想の事業スタートを応援しています!
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