美容室を開業する時の、「創業融資」のポイントについて解説します!
美容室の施設数は年々増加傾向にあります。
一方で、若者の人口は減少している上に、美容室の基本的なサービスにかける金額は減少傾向にもあります。
今後、競争は激化していくことが予想されます。
このような中、勝ち残っていく美容室を開業するためには、創業融資の活用は欠かすことはできません。
そこで今回は、美容室で創業融資を成功させるコツとして、
・活用すべき融資制度
・美容室ならではの8つの審査ポイント
について解説していきます。
目次
1. 美容室向けの融資制度
まず、創業時に是非活用したい融資制度は次の2つです。
1-1.日本政策金融公庫の創業融資
1-2.信用保証協会付き融資(銀行・信用金庫)
それぞれ解説していきます。
1-1.日本政策金融公庫の創業融資
日本政策金融公庫の創業融資とは、創業時に受けることができる代表的な融資制度の一つです。
初めて融資を検討する場合は、日本政策金融公庫の創業融資がおすすめです。
日本政策金融公庫の創業融資をおすすめする主な理由は次の3つです。
①創業融資に積極的
日本政策金融公庫は貸し倒れリスクの高い起業間もない小さな企業や個人事業主に対しても、なんとか創業融資をしたいという姿勢で対応してくれます。
②無担保・無保証人
無担保・無保証人で融資をしてくれます。法人の場合、個人の資産を守りながら起業にチャレンジすることができます。
③融資実行までのスピードが早い
融資申し込みから1カ月で融資が実行されています。
不足資料もなく審査も順調に進むと、早い場合は2週間で実行されています。
女性、若者/シニア起業家支援資金
日本政策金融公庫の融資制度の一つに、「女性、若者/シニア起業家支援資金」という制度があります。
条件をクリアしていれば、創業融資よりも低利率が適用されるため、有利に事業を進めることができます。
下記2点の条件を両方クリアしていることが条件です。
① 新たに事業を始めるまたは事業開始後おおむね7年以内
② 女性または35歳未満か55歳以上
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
1-2.銀行からの融資(信用金庫・地方銀行)
日本政策金融公庫の創業融資の次におすすめなのが、信用金庫や地方銀行からの融資です。
事業をする上で、銀行との付き合いは絶対に必要になります。
日本政策金融公庫の創業融資を受けた後に、銀行の融資にもチャレンジしましょう。
おすすめは、信用金庫または地方銀行です。親身になって相談に乗ってくれます。
- まずは日本政策金融公庫から申し込みをしましょう。
日本政策金融公庫は融資の申込から最短で1か月程度で融資の実行まで進めることが出来ます。
一方、銀行は最短でも1か月半程度かかります。
いち早く事業をスタートさせていくためにも、まずは日本政策金融公庫から申し込みを進めていきましょう。
- 日本政策金融公庫の創業融資を受けたら融資金の入金先を、これから融資の相談をしたい金融機関の口座に指定しましょう。
日本政策金融公庫には、預金の機能がありませんので融資金の入金先を外部の金融機関に指定する必要があるのです。
そこで、これから融資の相談をしたい金融機関の口座に融資金を入金すると、金融機関側から、「メインバンクとして利用してもらえる」「日本政策金融公庫の審査を通過した一定の信用力のある企業である」と言った目で見てもらうことができます。
融資の相談もスムーズに進む可能性が高くなります。
2.美容室が創業融資を受ける場合の8つの審査ポイント
美容業における融資のポイントは次の8つです。
2-1.自己資金
2-2.市場調査
2-3.設備資金
2-4.運転資金
2-5.売上について
2-6.経費について
2-7.経営者について
2-8.創業計画書を作り込む
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1.自己資金
自己資金は、開業に必要な費用の3分の1以上用意しておくと融資審査を有利に進めることができます。
自己資金は、多ければ多いほど融資の審査が有利になります。
自己資金は、第三者が確認できる「創業への熱意」だからです。
コツコツと創業の為に計画的に積立をしてきた形跡を、通帳の履歴で見せられるようにしましょう。
2-2.市場調査
美容室の場合、立地や競合他社などの市場調査が大変重要です。
ターゲットとする顧客と、店舗の立地が矛盾していないか、ターゲット顧客の人口や人通り、近隣の競合他社の特徴や料金設定など事前に調べるようにしましょう。
美容室の場合、次の3つの営業形態に分けられます。
①繁華街型
商店街やショッピングモールに店舗を構える営業形態。
顧客の流動性が高く、美容師を指定しないフリーの客が中心。立地は良いが、競合も多い。
②住宅地型
住宅地や郊外に店舗を構える営業形態。
主婦や学生が主なターゲット。リピータ―の割合が高くなる。
③ビジネス街型
ビジネス街、商業ビルに店舗を構える営業形態。
OLが主なターゲット。高級店と低料金型に分けられる。
自社がどの、営業形態に分類されるのか、立地とターゲット顧客が矛盾していないか確認しましょう。
2-3.設備資金
美容室開業における、主な資金需要は設備資金です。
理想の店舗を作るための内装工事や、シャンプー台など莫大な資金が必要になります。
ですが、理想的な店舗を作ろうとして、初めから多額の投資をするは、融資の成功確率を下げるだけでなく、毎月の融資返済の負担も大きくなるため、おすすめしません。
融資が受けられず、開業できなければ元も子ありません。
小さくスタートし、徐々に理想の状態に近づけるようにしましょう。
次の点に気を付けて、開業費の見直しをしてみましょう。
開業資金の見直しポイント
①中古品で代用できるものはないか
②内装や家具、インテリアにこだわりすぎていないか
③必要以上にグレードの高い設備を導入しようとしていないか
④レンタルサロンなどを利用することはできないか
⑤店舗の規模、席数は多すぎないか
2-4.運転資金
美容室の場合、売上のほとんどが現金収入であり、クレジットカードを利用した場合も、回収は1か月以内と短期です。
そのため、売上さえしっかりと確保できていれば、運転資金はさほど必要なく、資金繰りの面では問題点は少ない業種です。
その反面、融資では運転資金として多くの資金を調達することは難しくなります。
創業融資の場合は、開業から事業が軌道に乗るまでにかかる経費の3カ月分程度が目安となります。
2-5.売上について
美容室の場合、既存店と新規参入店とで基本的なサービスは同じであることから、競争が激しい業界であるため、立地条件や設備、美容師の技術水準が売上に直結します。
男性向けや子ども向けなど、ターゲットを絞り込んだり、エステやネイルなど部門を拡充し付加価値をつけることで、他店との差別化を図り、客単価を上げることが重要です。
2-6.経費について
美容室の経費は人件費が中心になります。
役員報酬も含めると、売上の約50%を占めるのが一般的です。
経費の目安は以下の通りです。
人件費(役員報酬含む)50%
販売管理費 30%
材料費(原価)10~15%
経費についてはあらかじめ、詳細にシミュレーションをしておくようにしましょう。
実際に事業が開始すると、想定していたより多くかかってしまったというケースが多いです。
理想としては、利益が売上の10%程度残るように、経費を調整しましょう。
融資の返済は、売上から経費を引いた、利益の中からしていくことになります。
月の売上が300万円の場合、経費を引いて30万円は手元に残るイメージです。
売上目標と、経費支出のバランスを取ることが重要です。
売上と返済の計画の立て方については、こちらの記事を参考にしてください。
2-7.経営者について
融資の審査において、経営者の能力が重要視されます。
経営者のセンスや接客技術はもちろんのこと、店舗の雰囲気も重要です。
近年ではITを利用した広告活動も重要でインスタグラムなどのSNSを利用した流行等のサービス提供、情報発信能力も問われるようになっています。
審査では、顧客のニーズに対応する経営姿勢がうかがえるかや、従業員教育へ力を入れているかなどがチェックされています。
美容業界は離職率が高いとされていますので、従業員の定着のための取組みなども参考にしています。
2-8.創業計画書を作り込む
これまで解説してきた、1~7のポイントを効率よく金融機関の担当者に伝える手段が、この創業計画書です。
創業計画書をしっかりと作り込んでおくことで、融資成功確率が格段にアップします。
美容室の創業計画書の書き方について詳しくはこちらの記事を参照してください。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、美容室で融資を受ける場合の審査のポイントについてまとめました。
創業融資を受けるためには、自己資金や市場調査などの事前準備はもちろん、設備資金・運転資金の見積もり、売上や返済計画の作成が重要です。
創業計画書の作成は、これらの要素を効果的に伝えるための重要なツールですのでしっかりと作り込み、効果的に活用しましょう。
これから美容室の開業を計画している方は、上記のポイントを抑え、準備と計画を進めてください。
創業融資を成功させ、競争の激しい市場での差別化と持続可能な経営を目指しましょう。
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