個人事業主でも通る!銀行融資成功の完全マニュアル

個人事業主でも通る!銀行融資成功の完全マニュアル

「個人事業主やフリーランスは銀行融資が通りにくい」と聞いたことはありませんか?

これからフリーランスとして独立しようとしている方、あるいは開業して間もない方の多くが「本当に自分に融資が下りるのか」と不安を抱えています。

実際、銀行や日本政策金融公庫は、法人だけでなく個人事業主にも多くの融資を実行しています。
問題は「通るための準備と戦略を知っているかどうか」です。

この記事では、開業1年目の個人事業主でも銀行融資の審査を通す方法を、専門家のアドバイスを交えて解説します。


1.個人事業主でも銀行融資は受けられるのか?

結論:個人事業主でも銀行から融資を受けることは可能です。
銀行は、開業の形態(法人かどうか)で、融資の可否を判断しません。
事業の実現性と返済能力によって審査が行われるため、準備次第で誰にでも融資を受けるチャンスはあります。

1-1.創業時の銀行融資の流れ

創業期の個人事業主が銀行から融資を受ける場合、多くのケースで「信用保証協会付き融資」が活用されます。

この制度は、銀行の審査に加えて、信用保証協会の保証を受けることで、創業者のように実績が少ない方でも融資が受けやすくなる仕組みです。

融資の流れは、以下のように進みます。

(1)銀行窓口での相談
 まずは地域の金融機関(信用金庫や地銀など)に相談し、融資の概要や必要書類の案内を受けます。

(2)融資申込書・創業計画書の提出
 事業の内容、資金の使い道、売上予測などを記載した資料を提出します。

(3)銀行による一次審査
 提出資料をもとに、銀行内で一次審査が行われます。

(4)信用保証協会による審査
 銀行が申請を行い、次に信用保証協会が保証の可否を審査します。
 
(4)-1信用保証協会との面談(初回のみ)
 初めて利用する場合、多くの地域で協会との面談が実施されます。

(5)保証承諾後、融資実行へ
 保証が承諾されれば、銀行から正式に融資が実行されます。

このように、銀行と信用保証協会の2段階で審査を受ける必要があるため、しっかりとした準備が求められます。
では、具体的に銀行はどのような視点で審査を行っているのでしょうか?

次章では、銀行が審査で重視する4つの観点について詳しく解説していきます。


2.銀行が見る4つの審査観点

銀行は、「この人にお金を貸しても、きちんと返ってくるかどうか」を大きく以下の4つの視点から総合的に判断します。
ここでは、その評価軸について詳しく解説します。

2-1. 信用力:人物評価と信頼性
2-2.資金の使い道や金額:具体性と事業成長への関連性
2-3. 事業の実現性:成功可能性と根拠のある見込み
2-4. 返済能力:売上予測・生活費を踏まえた返済の現実性

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1. 信用力:人物評価と信頼性

銀行が最初にチェックするのは、事業主個人として信頼できる人物かどうか、つまり「信用情報に問題がないか」という点です。
これは、「事業の実現性」以前の前提条件であり、どれだけ立派な計画書を作っていても、個人の信用に大きな問題がある場合は融資が難しくなります。
銀行や日本政策金融公庫は、融資申込者の以下のような履歴を確認します。

・信用情報機関でのブラックリスト登録の有無(例:過去の債務整理、延滞、強制解約など)
・カードローンや住宅ローンの返済状況
・クレジットカードの支払い遅延の有無
・公共料金(電気・ガス・水道・携帯代など)の延滞履歴
・税金や年金の未納

特に見落としがちなのが、携帯電話料金の延滞や、少額のクレジット支払い遅れなどです。
「たった1回の遅延でも信用情報に履歴が残る」ことがあるため、注意が必要です。

📌信用情報は本人でも確認できる
CICやJICCなどの信用情報機関に情報開示を請求すれば、自分自身の信用情報を事前に確認することができます。

少しでも、心当たりや不安がある場合は、融資申請前に「過去に延滞などがなかったか?」を一度確認しておくのが安心です。
信用情報の確認方法について詳しくはこちらの記事で解説しています。
▶【日本政策金融公庫】信用情報取得後はここを見ろ! たった3つのポイントをチェックするだけで安心して融資申請できるかどうか分かる!

2-2.資金の使い道や金額:具体性と事業成長への関連性

次に、見られるのが「借りたお金を何に使うのか?」という資金の使途です。
誰もが、お金を貸して欲しいと頼まれたら、「何に使うの?」「いくら借りたいの?」とまず聞くと思います。これは、銀行側も同じ。
資金の使い道が曖昧だと、銀行は「この資金は本来の目的に使われず、売上や利益に結びつかないのではないか」「最悪の場合、生活費などに流用され、事業に使われずに終わってしまうのではないか」と懸念します。

チェックされる点は以下の通りです。

・使い道が明確か(例:機材購入、広告費、外注費など)
・売上にどうつながるかが説明できるか
・支出に優先順位がついているか
・「生活費」などの抽象的・個人的な用途になっていないか

例えば、Web制作事業であれば「新規受注増加のためのLP制作費用として20万円」「デザイン業務を外注するための外注費30万円」などが挙げられます。
飲食店であれば「厨房機器の購入費用として50万円」「開店前の広告チラシ印刷・配布費用として10万円」、美容室であれば「シャンプー台の導入費30万円」「店舗内装工事費20万円」など、事業内容に応じた明確な使途が示されていることが重要です。

2-3. 事業の実現性:成功可能性と根拠のある見込み

その次に見られるのが、「この計画は本当にうまくいくのか?」という事業の実現性です。
たとえ本人に経験があっても、計画そのものが曖昧だったり、顧客や売上見込みの根拠がなかったりすると、審査は厳しくなります。

評価されるポイントは以下の通りです。

・何を、誰に、どのように提供し、いくらで売るかが明確か
・競合分析や市場調査を行っているか
・顧客の獲得方法や契約予定の案件があるか
・売上の見込みに数字的根拠があるか

たとえば、「すでに見積書・契約書があり、月15万円の収入見込みが立っている」など、実際の受注予定を示すことは非常に効果的です。
なお、これまで経験のない業種にチャレンジする場合は、より慎重に実現可能性を説明する必要があります。なぜその業種を選んだのか、どうやって成功させるのか、説得力のある根拠が問われます。
たとえば、フランチャイズ本部のサポート体制がある、実地研修を受けた、同業の支援者がいるといった裏付けがあると評価されやすくなります。

2-4. 返済能力:売上予測・生活費を踏まえた返済の現実性

銀行が融資判断で最も重視するのは、「貸したお金を本当に返済できるかどうか」です。
返済能力の有無は、事業からどれだけの利益が残るのか、そしてその中からどの程度返済に充てられるのかという視点で評価されます。
さらに、個人事業主の場合は「事業収支」だけでなく「生活費」も含めて考える必要があるため、資金全体のバランス感覚が重要になります。

ポイントは次のとおりです。

・損益計画が現実的で整合性があるか
・生活費を含めた月々の支出が整理されているか
・返済に充てられる“余力”があるか 

創業期にありがちなのが、「生活費はなんとかします」と曖昧に済ませてしまうケースです。
しかし実際には、生活費こそが資金繰りを圧迫する要因になりやすく、銀行側もその点を非常に重視しています。
生活費を過小評価せず、正直に見積もったうえで、それでも返済できる資金計画になっていること――それが信頼獲得のポイントです。

ここまで、銀行が融資審査で重視する4つの観点──「信用力」「資金使途」「事業の実現性」「返済能力」について解説してきました。
では、実際にこれらの観点で高く評価されるには、どのような準備をし、どんな書類を整え、面談で何を伝えるべきなのでしょうか?

次章では、個人事業主の銀行融資を通すために必要な「実務的な準備」について、事業計画書の作成・必要書類・面談対策といった具体的なステップを解説していきます。


3.審査を突破するためのアピール戦略:4つの観点別・伝え方のコツ

銀行が重視する「信用力」「資金の使い道」「事業の実現性」「返済能力」。
これら4つの観点を満たすかどうかが融資可否の分かれ道になります。
そして重要なのは、「どう伝えるか」
計画書・書類・面談といった場面で、どれだけ具体的かつ誠実に伝えられるかが鍵です。
この章では、それぞれの観点をどうアピールするか、わかりやすく解説していきます。

3-1. 「信用力」は通帳・書類・自己資金で伝える

銀行がまず注目するのは、「この人に本当にお金を預けて大丈夫か?」という人物への信頼感です。
信用力は、以下のような“目に見える形”で判断されます。

🧭 信用力を伝えるポイント

・信用情報に問題がないか
→ 銀行は信用情報機関であなたの過去の支払い状況をチェックしています。たとえ小さな延滞でも記録に残っている可能性があります。
ここで大切なのは、「正直に伝える」こと。過去にトラブルがあった場合でも、正直に話す方が心象は良くなります。逆に、ウソをつくと信用を大きく損なうので要注意です。

・税金・社会保険などの納付状況
→ 期日通りに納税していることが前提。滞納がある場合は、必ず融資申請前に解消しておきましょう。

・通帳の中身と管理状況
→ 面談時には通帳の提出を求められます。
家賃や水道光熱費などの支払いが滞っていないか、日常の出金・入金が計画的に行われているかを見られます。
特に重要なのは、「お金にルーズな印象を与えないこと」。
融資申請を検討し始めた段階から、最低でも半年前には通帳の中身を整えておくことが理想的です。
支払いの遅れがないように管理し、経営者としての計画性をアピールしましょう。

・自己資金の有無と貯金履歴
自己資金は「準備力」を評価する指標です。
毎月コツコツと貯めてきた履歴があれば、「この人は創業に向けて計画的に準備してきた」と見てもらえます。開業に必要な資金の3分の1程度を自己資金で準備できていると理想的です。

アドバイス
日々の支出や貯金からも、あなたの「経営者としての姿勢」は伝わります。
無駄遣いがないか、計画的か――すべてが信用力の証明になります。

3-2. 「資金の使い道」は創業計画書で明確にする

次に見られるのは、「そのお金、本当に事業のために使うのか?」という点です。
資金の使途が明確であればあるほど、信頼されやすく、融資も受けやすくなります。

🧭 資金の使い道を伝えるポイント

・何に使うのかを明確に
→「設備投資」や「広告費」、「人件費」など、使途を具体的に創業計画書に記載します。
設備資金は、見積書を取得しましょう。その他、備品などの細かなものは、Excelなどで一覧表にしたり、カタログやネットの商品ページなどを出力し融資金で何を購入したいのかを明確に伝えられるようにしましょう。

・売上との関係を説明する
→「この支出によって、どのように売上が上がるのか?」をセットで伝えると説得力が高まります。

・生活費との線引きは明確に
→借入金を生活費充てるような計画は絶対にNGです。生活費は利益から確保することが鉄則です。

アドバイス

使い道の説明は、事業計画全体の説得力に直結します。
融資担当者にとっては、「このお金がどう使われ、どのように利益に結びつくか」が最も重要な判断材料です。
たとえば飲食店であれば、「開店時の集客を狙って、地域密着型のフリーペーパーに5万円の広告掲載を3カ月継続」など、費用と戦略、効果の見通しをセットで伝えましょう。

また美容室であれば、「初回限定クーポン施策をSNS広告で実施し、1人あたり単価4,000円で30人集客を目指す」など、成果の見込みを数字で示すことが信頼感に直結します。
他の支出と比較しての優先順位や、費用対効果の見込みもあわせて伝えることで、計画の妥当性が一層伝わりやすくなります。

3-3. 「事業の実現性」は創業計画書と面談で伝える

銀行が確認したいのは、「この事業は、実際にうまくいくのか?」という点。
「事業内容に一貫性があり、売上の見込みが妥当で、申込者自身がしっかり準備している。」
そうした根拠を伝える必要があります。

🧭 実現性を伝えるポイント

・創業計画書を作り込む
→経験やスキルがしっかりしていても、それを銀行の担当者にうまく伝えられなければ、融資を受けるのは難しくなります。
文章化や数値計画が苦手な場合は、専門家に相談するのも有効です。
あなたの強みを引き出し、審査に有利なポイントを整理してもらえることがあります。

創業計画書の書き方について詳しくはこちらの記事で解説しています。
▶日本政策金融公庫の創業計画書の書き方11ステップ!審査を通すためのテクニックを完全公開!
※本記事では日本政策金融公庫の創業計画書をベースに解説していますが、銀行が求める創業計画書も、基本的な構成や記載内容はほぼ同じです。

・面談で信頼感を補強する
→面談は、書類では伝えきれない「人柄」や「熱意」に加え、創業計画書の根拠や事業の信頼性を直接説明できる貴重な機会です。
「なぜこの事業なのか」「どんな準備をしてきたのか」「どのように実現可能なのか」などを、自分の言葉でわかりやすく説明できるようにしておきましょう。
想定質問への回答を準備し、自信をもって話せるよう練習することが重要です。

想定される質問や模範回答はこちらの記事で解説しています。
▶日本政策金融公庫の面談|全質問と模範解答例で完全攻略

・ビジネスモデルに一貫性があるか
→誰に、何を、どうやって提供するのか。その構造が明確に説明されていることが大切です。

・経験・スキルが事業と一致しているか
→同業での職歴や副業経験、資格の保有があるとプラス材料になります。

・顧客獲得の目処や売上の見込みがあるか
→見積書や契約書、営業リストなど、収益が見込める証拠を添えると信頼性が高まります。

・未経験業種でのチャレンジ時の工夫
→フランチャイズ本部の支援がある、実地研修を受けた、同業者のサポートがある――といった準備があれば、実現性があると評価されやすくなります。

アドバイス

創業計画書は、融資審査のかなめ。
審査担当者にあなたの構想を伝える“プレゼン資料”とも言えます。経験やスキルをどう活かすのか、数字の裏付けをどう示すのか、計画の構成と伝え方を意識して、誠実に作り込みましょう。
面談では、「なぜこの事業なのか」「どうやって成長させていくのか」といったビジョンだけでなく、「創業計画書に書かれた数字や内容に整合性があるか」「それらの根拠をどう説明するか」といった点も問われます。
書類と発言が一致していることが、信頼感につながります。
計画書に書いたことを自信をもって説明できるよう、事前にシミュレーションしておきましょう。

3-4. 「返済能力」は生活費込みのキャッシュフロー提示がカギ

最後に見られるのは、「貸したお金、本当に返してもらえるのか?」という現実的な視点です。
利益が残る計画になっているか、生活費を含めた支出の中から無理なく返済できるか。
このバランスが重要になります。

🧭 返済能力を伝えるポイント

・利益が残る計画になっているか?
 →売上と経費のバランスが取れた損益計画かどうか。必要以上に楽観的な売上見込みになっていないかが見られます。

・生活費を含めた現実的な支出計画があるか?
→家賃・食費・通信費・保険・個人のローンの返済などの生活費も含めて、収入と支出のバランスが成立していることが重要です。

・月々の返済額と比較して“余力”があるか?
→「収入-経費-生活費」で残る金額が、返済額を安定的に上回っていることを、数字で明示しましょう。

アドバイス

融資審査において「返済能力」は最も重要な審査ポイントのひとつです。
特に個人事業主の場合、生活費と事業費の境目が曖昧になりがちです。
これを機に、家計全体の収支を整理しましょう。
もし自分だけでは数字の整理が難しいと感じる場合は、税理士や創業支援に強い専門家に相談することで、より説得力のある損益計画書を作成することができます。
準備の精度が、審査結果を大きく左右します。

個人事業主の生活費を考慮した利益計画の作り方について詳しくはこちらで解説しています。
▶個人事業主の創業融資を成功させるコツ:生活費を考慮した利益計画の作り方


4.まとめ|融資は「準備」で勝負が決まる

結論:個人事業主でも、戦略的に準備すれば銀行融資は十分に通ります。

法人かどうかは関係なく、銀行が見ているのは「人・計画・資金の使い方・返済の見込み」です。
この記事では、銀行融資を通すために重要な4つの審査観点──信用力・資金使途・事業の実現性・返済能力について、それぞれの評価ポイントとアピールの方法を詳しく解説しました。

💡要点をチェックリストで振り返ると、次の通りです。
✅ 信用力の確認
・信用情報に不安がないか?(CIC・JICCで事前確認)
・税金や保険料、家賃などの支払に滞納がないか?
・自己資金は通帳で確認できるか

✅ 資金の使い道の明確化
・設備・広告費・外注費など、使途を具体的に提示できるか?
・その支出が売上や利益につながる説明ができるか?
・生活費との線引きができているか?

✅ 事業の実現性の説明
・創業計画書に説得力があるか?(誰に・何を・どう売るか)
・実績・スキル・顧客見込みなど、成功の根拠があるか?
・面談で熱意と準備状況を具体的に語れるか?

✅ 返済能力の可視化
・損益計画に無理がないか?(売上・経費・生活費のバランス)
・月々の返済に対して十分な“余力”があるか?

これらをしっかり準備することで、開業1年目の個人事業主でも、銀行融資の審査を突破する可能性は十分にあります。

🔻次に取るべき行動は?
・信用情報を確認し、通帳の整備や税金の納付状況を見直す
・創業計画書を作成し、数字と根拠に裏付けられた事業プランを練る
・専門家(税理士・創業支援機関)に相談して、計画や書類の精度を高める

「準備8割、本番2割」──融資の成否は、書類と計画の完成度で決まります。
不安な点は早めに専門家に相談し、着実に一歩を踏み出していきましょう。
あなたの事業のスタートに、最適な資金調達が実現することを応援しています。

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