「自己資金のみで事業を開始することは可能ですが、それでも融資を受けるべきでしょうか?」
という疑問を多くの方から頂戴しています。
融資に対して「借金は良くない」「家族に迷惑がかかる」とマイナスのイメージを持たれている方も少なくありません。
しかし、私たち融資の専門家は、融資を活用することを積極的にお勧めしています。
融資は事業を成長させるための重要な一歩となりえます。
本記事では、融資を受けるべき6つの理由をご紹介します。
2章ではこれらの理由を裏付ける具体的なエピソードについても触れていきます。
1.融資を受けるべき6つの理由
事業を継続していくためには、積極的に融資を受けることをおすすめします。
融資を受けるべき理由は次の6つです。
1-1.実際に融資が必要になってからでは遅いため
1-2.想定しないトラブルに備えるため
1-3.売上代金の入金まで耐えるため
1-4.事業を加速させるため
1-5.融資の実績を作り、次回以降の融資審査を有利に進めるため
1-6.日本政策金融公庫の創業融資制度なら、無担保・無保証人で融資が受けられるため
それぞれ詳しく解説していきます。
1-1. 実際に融資が必要になってからでは遅いため
融資が必要な状況に陥ってしまってからでは、残念ながら「時すでに遅し」です。
経営が悪化している事業者に、金融機関はなかなか融資をしてくれません。
そうなる前に、融資を受けて資金に余裕を持たせておくことが重要です。
このタイミングで融資を受け、資金に余裕を持たせておくことをおすすめします。
具体的なエピソードはこちら
【創業時に融資を受けていたことで、事業を軌道に乗せることができた事例】
1-2. 想定しないトラブルに備えるため
想定しないトラブルに備えておくという意味でも、融資を受けておくべきです。
特に起業直後は、予想外のトラブルや出費が頻繁に起こりがちです。
事前に余裕を持った資金調達をしておくことで、予期せぬ支出にも柔軟に対応できます。
取引先との関係が築けていない、業界内での知名度が低いなどの理由からトラブルが発生すると立て直すのに時間がかかってしまうケースがあります。
外部のリスクも考慮に入れ、予備資金を確保しておくことが重要です。
具体的なエピソードはこちら
【想定外のトラブルに柔軟に対応することができた事例】
1-3. 売上代金の入金まで耐えるため
売上が上がっても、売上代金が入金されるまでタイムラグが生じるケースがあります。
対企業(BtoB)のビジネスモデルや、医療・福祉事業の場合に多く見られ、事業開始から2・3カ月は売上代金の入金がないというケースもよくあります。
また、建設業やWEB制作など工期や制作に係る期間が長く、完成後、納品後に売上を請求するようなケースも資金不足に陥りやすいパターンです。
売上の入金がなくても、家賃や人件費などの固定費は支払わなくてはいけません。
また、仕入が発生するような事業の場合、売上の入金より先に仕入れ代金の支払いをしなければならない場合もあります。
具体的なエピソードはこちら
【資金不足からビジネスの成長機会を逃してしまった事例】
1-4. 事業を加速させるため
迅速な事業展開や成長を目指す場合、十分な資金が必要です。
融資を受けることで、必要な機材の購入や人材の採用などを積極的に行い、ビジネスのスピードを加速させることができます。
融資を受け、十分な資金を確保しておくことで、市場の要求に迅速に対応し、競争力を高めることができます。
具体的なエピソードはこちら
【適切に融資を活用することにより事業の拡大に成功した事例】
1-5. 融資の実績を作り、次回以降の融資審査を有利に進めるため
一度融資を受けると、その返済実績が次回以降の融資審査に有利に働きます。
返済実績を作り、金融機関との良好な信頼関係を築くことは、将来的な資金調達において大きな強みとなります。
また、2回目以降は、融資申し込みから実行までのスピードもアップします。
具体的なエピソードはこちら
【返済実績からスムーズに2回目の融資が受けられた事例】
1-6. 日本政策金融公庫の創業融資制度なら、無担保・無保証人で融資が受けられるため
日本政策金融公庫の創業融資なら、無担保・無保証人で融資を受けることができるため、この最初で最後の機会を有効活用すべきです。
法人で申込をした場合、担保が必要ないのはもちろん、経営者本人が連帯保証人になる必要もありませんので、万が一、事業に失敗してしまった場合、個人の財産を守ることができます。
(※個人事業主の場合は、個人で借入するため、本人が責任を負うことになります。)
創業融資は税務申告の2期を終える前までしか利用することが出来ません。
またとないチャンスですので、効果的に活用することをおすすめします。
2.創業融資にまつわるエピソード集
本章では、創業融資にまつわる具体的なエピソードを紹介していきます。
創業融資を受けたことで危機を乗り越えた成功事例や、創業融資を受けていれば掴むことができたかもしれないビジネスチャンスを逃した失敗事例など、さまざまなケースを取り上げます。
2-1.創業時に融資を受けていたことで、事業を軌道に乗せることができた事例
Aさんは、地元産の有機野菜を使用した料理を提供する小規模レストランの開業を決意しました。
自己資金のみで開業できるように準備をしてきたので、融資を受ける予定はありませんでしたが、知人の勧めもあり、創業融資を受けることにしました。
お店は無事オープンを迎えましたが、悪天候が続いたことや、知名度不足から思うように売上が上がらず、家賃や人件費が湯水のように出ていき、自己資金はあっという間に底をつくことに。
オープン時から続けていた、ポスティングチラシや、インスタグラム広告の効果が表れたのは約半年後のことでした。
その間、自己資金は底をついてしまいましたが、創業融資を受けていたことによって、事業が軌道に乗るまでの間を耐える事が出来きました。
創業時が融資を受ける最初で最後の大チャンスです。
事業がスタートし、実績が出てしまってからでは、融資を受けることが難しくなってしまいます。
2-2.想定外のトラブルに柔軟に対応することができた事例
起業間もないB社は、カスタムプリントTシャツのオンライン販売を行っています。
業務は順調に拡大し、特に一つの地方の製造業者との取引が中心となっていました。
この製造業者はB社のニーズに合わせた高品質のTシャツを安定供給していましたが、突然の水害で製造工場が大きく損傷し、生産活動が長期間停止する事態に陥りました。
このトラブルにより、B社は主要な製品の供給が途絶えるという直接的な打撃を受けることになってしまいました。
事業を継続するためには、別の製造業者を見つけなければなりませんが、新しい製造業者との契約は初期費用がかかり、また急な注文に対応してもらうためには追加料金が発生してしまうというものでした。
通常、発注時に100%売上代金を受け取るビジネスモデルであり、運転資金もさほど必要ないことから融資は必要ないと考えていましたが、起業時に税理士からの勧めで融資を受けていたため資金に余裕がありました。
資金に余裕があったことから、新しい製造業者との取引もスムーズに行うことができ、追加料金が発生してしまいましたが、顧客からの信頼を損なうこともなく、事業を継続することができました。
外部のリスクも考慮に入れ、予備資金を確保しておくことが重要です。
そうすることで、取引先のトラブルにも迅速に対応し、事業を継続することが可能になります。
2-3.資金不足からビジネスの成長機会を逃してしまった事例
C社は起業2年目のWEB制作業者です。
事業は好調で、今回、大型のプロジェクトの引き合いがありました。
この大型プロジェクトは利益率も高いことから、二つ返事で請け負うことにしましたが、契約内容を確認すると、今回の大型プロジェクトは制作期間3カ月、支払い条件は納品後30日となっていることが判明しました。
今回の大型プロジェクトでは、自社の社員だけで請け負うことは困難であり、外注を多く利用しなければなりません。
また、この大型プロジェクトの他にも、同時にいくつかのWEB制作を手掛けているため、C社の資金繰りを大きく圧迫する状況になりました。
これにより、C社は新たなプロジェクトの受注機会があっても、必要な人材の雇用や外注費用の支払いに資金を確保できず、ビジネスの成長機会を逃すこととなってしまいました。
もしC社が事前に融資を受け、運転資金に余裕に確保しておけば、売掛金による資金のタイムラグを効果的にカバーでき、スムーズな事業運営が継続可能でした。
融資資金を活用することで、新たなプロジェクトの受注に必要な人材の確保や、必要なサービスの購入に迅速に対応でき、C社の成長を加速させることができたでしょう。
2-4.適切に融資を活用することにより事業の拡大に成功した事例
D社は、起業して3年目の建設業。
小規模な工事を中心に請け負ってきたが、ある日、同業の知り合いから規模の大きな仕事をやらないかと引き合いがあった。
売上、利益率ともに大きく、施工実績として残すことで、今後の事業拡大に大きく繋がる案件でした。
しかし、この仕事を請け負うには、新たな機材や、材料費、人件費など多額の資金が必要でした。
自己資金に限りがあったため、金融機関からの融資を受けることを決意。
事業拡大のための具体的な計画を持って金融機関にアプローチし、融資を受けることに成功しました。
融資を受けた資金を用いて、工事は滞りなく成功。
今回の施工実績から、新たな受注も増え、事業を拡大させることが出来ました。
資金調達により必要な設備投資や人材確保が可能となり、市場の要求に迅速に対応し、競争力を高めることができるのです。
2-5.返済実績からスムーズに2回目の融資が受けられた事例
E社は、起業7年目の飲食店。創業時に創業融資を受けて開業し、無事完済しました。
その間、毎年金融機関へ決算書を提出し、事業の状況の報告など積極的にコミュニケーションをとり、信頼関係を築いてきました。
その結果、2店舗目のオープンに向け、融資の相談をしたところ、スムーズに審査が進み2回目の融資を成功させることができました。
返済実績を積み重ねることによって、会社の信用力が上がり、金利の低い有利な融資を受けることも可能となってきます。
計画的に融資を受けて返済していくことは、成長戦略を考える上で非常に重要な戦略の一つです。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は事業を継続していく上で、いかに融資を活用していくことが重要かを事例を用いて解説いていきました。
融資を活用すべき理由は次の6つです。
1-1.実際に融資が必要になってからでは遅いため
1-2.想定しないトラブルに備えるため
1-3.売上代金の入金まで耐えるため
1-4.事業を加速させるため
1-5.融資の実績を作り、次回以降の融資審査を有利に進めるため
1-6.日本政策金融公庫の創業融資制度なら、無担保・無保証人で融資が受けられるため
融資を受ける前に、しっかりと返済計画を立てることで融資に対する不安を軽減することができます。
融資を受けるのは初めてという方、不安があるという方は、融資の専門家に相談することをおすすめします。
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