会社設立で決めること全8項目!設立準備ガイド【株式会社編】

会社設立で決めること全8項目!設立準備ガイド【株式会社編】

 「会社を設立しよう!」と決意した際、ワクワクする気持ちと同時に、何を決めればいいのか不安を感じる方も多いでしょう。

例えば、どんな会社名が最適なのか、事業目的は将来的な展開を見越してどう設定すべきか―
こうした悩みは、多くの起業家が経験してきたものです。

実際、会社設立時に定めるべき事項は多岐にわたり、それぞれが会社の将来に大きな影響を及ぼす重要なポイントとなります。

これらを適当に決めてしまうと、以下のような不利な状況につながる恐れがあります。

・資金調達における不利な条件発生
・想定外の税負担増加
・会社の信用力低下

このような事態を避けるためにも、会社設立時には各要素を慎重に検討し、戦略的な判断を下すことが求められます。

この記事では、株式会社の会社設立において必ず決めておくべき、以下の8の項目について解説します。

項目一言解説
1.会社名(商号)法的ルールを守り、事業に適した名前を慎重に選定。
2.本店所在地ビジネスや信頼性に適した立地を選び、登記可能か確認。
3.役員構成会社設立時に代表者や役員を事前に決定。
4.設立日登記申請日が設立日となり、日付にこだわるなら早めの調整が必要。
5.事業年度決算期を免税期間や繁忙期に配慮して設定。
6.事業目的将来予定も含め、許認可要件を確認し具体的に記載。
7.資本金信頼性を考慮し適切な金額で資本金を設定。
8.株式に関する事項株の価格や発行株数を資本金に基づいて決定。

詳しくは本文で詳しく解説していきます。
これを読めば、あなたが迷いやすいポイントがクリアになり、設立後に後悔しない判断基準を得られるでしょう。
さあ、一歩ずつ着実に進んでいきましょう。


1.会社名(商号)

まずは、会社の顔となる会社名(商号)から検討していきましょう。
同時に、「株式会社」を前につけるのか、後ろにつけるのかも含め検討してください。
会社名を決める上では、いくつかのルールがあります。

ルール1.使える文字・符号

会社名には使える文字・符号が定められています。
会社名に使用できる文字・符号は以下の通りです。

・漢字
・ひらがな
・カタカナ
・ローマ字(AからZまでの大文字・小文字)
・アラビア文字(0123456789)
・一部符号
「&(アンパサンド)」「’(アポストロフィ)」「,(コンマ)」
「‐(ハイフン)」「.(ピリオド)」「・(中点)」

ルール2.誤解を生むような単語を使わない

誤解を生むような単語を使ってはいけません。
例えば、銀行業を行わないのに「銀行」とつける、「部門」「支店」など会社の一部と思われるようなものも使用してはいけません。
もちろん公序良俗に反するような単語も使ってはいけません。
基本的に常識の範囲で検討すれば問題ありません。

ルール3.同一住所で、同じ会社名は使えない

同一住所で、同じ会社名を使用することができません。登記をすることができません。
複数の企業が入るビルや、バーチャルオフィス、シェアオフィスを利用する場合は、事前に確認する必要があります。
法務局のオンライン登記情報提供サービスや管轄の法務局で調べることができます。
同一住所でなければ、同じ会社名で設立することができますが、大手企業や有名企業と同じ会社名は誤解を生みトラブルに発展する可能性もありますので、避けた方が良いでしょう。

これらのルールに従い、他の企業と紛らわしい名前を避けつつ、事業に適した会社名を決めます。
会社名は一度決めると変更が手間になるため、慎重に選びましょう。

専門家からのアドバイス

前述の3つのルールの他にも以下の点について注意しましょう。

・商標登録されているものは会社名にしない。
商標権に基づき、使用差し止めや損害賠償請求を受ける可能性があります。
商標登録については、特許情報プラットフォームより無料で検索できます。

・ドメインが取得できるか確認しましょう。
使用可能なドメインの検索は、お名前.comの空きドメイン検索など、インターネットで調べることができます。

・事業がわかりやすい社名がおすすめ。
事業内容がわかりやすい名前は、顧客に対して提供するサービスや製品のイメージを伝えやすくします。

・読みやすい社名がおすすめ。
シンプルで読みやすい社名は覚えやすく、発音しやすいため、顧客に強く印象を与えやすくなります。
これにより、名前がすぐに思い出せる存在になり、認知度の向上に繋がります。


2.本店所在地

会社の公式な所在地を決定します。次の4つのポイントに注意して検討しましょう。

ポイント1.ビジネスに合った立地を選ぶ

ビジネスの内容やターゲットに応じた地域選びが重要です。
例えば、顧客の来店が必要な業種であればアクセスの良い場所や人通りの多いエリアが適しています。
ネットビジネスなどオフィスの立地がさほど重要でない場合は、賃料の安い郊外や自宅でも問題ないでしょう。

ポイント2.オフィス形態を検討

オフィスの形態も大切です。
初期費用を抑えたいなら、シェアオフィスやレンタルオフィス、バーチャルオフィスも検討に入れましょう。
ただし、シェアオフィスなどを選択した場合、信頼性が低く評価され、銀行口座の開設が難しくなるケースもあります。

一概にシェアオフィスで登記をしているから法人口座の開設ができないわけではありませんが、事前に、利用を検討しているシェアオフィス等に銀行口座開設の実績の有無や、銀行にシェアオフィス等での法人口座開設の対応について問い合わせるようにしましょう。
これらを考慮して、本店所在地(登記場所)は自宅とし、実際に業務を行う場所をシェアオフィスとすることも可能です。

オフィス選びについて詳しくはこちら
▶シェアオフィスとは?オフィス選びで失敗したくない起業家が知るべきポイントとオフィスの選び方

ポイント3.信頼性とイメージを考慮

顧客や取引先に「信頼されやすい所在地」を選ぶのも大切です。
例えば、都市部のオフィス街は取引先に対する信頼度が高まりやすい一方、閑散とした場所や居住地として知られるエリアでは、信頼性の点で不利になることもあります。

ポイント4.法人登記が認められているかを確認

登記をしようとしている場所が、事務所として使用したり、法人登記が認められているかを確認しましょう。
特に自宅を賃貸の方は契約書や、貸し手への確認を行いましょう。

専門家からのアドバイス
自宅を本店所在地とする場合、自宅住所が名刺や会社HPなどに公開されてしまいます。
自宅の住所を公開したくないものの、オフィスとして賃貸する必要もないといった場合は、賃料の安い、バーチャルオフィスやレンタルオフィス、シェアオフィスがおすすめです。

3.役員構成

代表取締役、取締役を決めていきましょう。
一人で会社設立をする場合は、その一人が代表取締役になります。
複数名で、会社設立をする場合は誰が代表取締になるのか、従業員ではなく役員とするのかどうかを事前に決めておく必要があります。
後から役員変更の登記も可能ですが、手間や費用がかかります。


4.設立日

会社の設立日を決めます。
会社設立日は、法務局に登記の申請をした日となります。
郵送で登記申請をした場合は、書類が法務局へ到着した日が会社設立日となります。
法務局が休みの日の土日と祝日は登記ができないため、日付にこだわる場合は早めに調整しましょう。


5.事業年度

事業年度とは、経営の成績やお金の動きをまとめるための区切りのことです。
いわゆる「決算期」「決算月」を決めます。
1年以内の期間であれば、自由に決めることができますが、いくつかのポイントがあります。

ポイント1.消費税の免税期間

資本金1,000万円未満かつインボイス未登録の会社は、原則として設立2期目まで消費税の納税が免除されます。
そのため、特にこだわりがなければ、免税の期間をなるべく長くするように決算期を定めることをおすすめします。

ポイント2.繁忙期を避ける

繁忙期を決算期とするのは避けましょう。
決算期には、普段は行わない在庫の確認や書類の整理などの事務作業が発生します。
本業の活動に支障が出る可能性があるため避けるようにしましょう。


6.事業目的

事業目的を決めていきましょう。
事業目的は、定款、登記簿謄本に記載されます。
ここに、記載されていない事業を行うことはできませんので、将来行う予定の事業についても記載するようにします。

事業目的を決める際には、次の3つのポイントに注意しましょう。

ポイント1.具体的でわかりやすく記載する

曖昧な表現や業界用語の多用は避け、一般的に使われている語句を用い、誰が見てもわかりやすい表現にします。
法務局で、事前チェックを受ける事ができます。

ポイント2.法的な許認可が必要な業種は慎重に

許認可が必要な業種は、特定の文言を事業目的に記載しておかなければならないケースがあります。
許認可が必要な業種と記載すべき文言の一例を紹介します。

業種事業目的
飲食店飲食店の経営
建設業土木建築工事
電気工事業
塗装工事業
運送業一般貨物自動車運送事業
貨物軽自動車運送事業
一般乗用旅客自動車運送事業
介護事業介護保険法に基づく居宅サービス事業
介護保険法に基づく介護予防サービス事業
介護保険法に基づく居宅介護支援事業 
介護保険法に基づく施設サービス事業
理容業理容室の経営
美容室美容室の経営

※あくまで一例です。必ず、許認可を管轄している行政機関等に確認をしてください。

ポイント3.事業目的が多すぎると不信感につながる

事業目的が多すぎると何をしている会社なのかわからなくなり、不信感にも繋がります。
5つくらいを目安にまとめましょう。


7.資本金

資本金の金額を設定します。
資本金とは、会社を設立し、事業を運営するための基本となる元手の資金です。
会社設立後、初期の運営費や必要な設備の購入に充てられる、会社の基盤を支えるための資金です。

専門家からのアドバイス
資本金の金額は、1円以上であれば設立は可能ですが、第三者から見たときにあまりにも低い資本金金額だと、会社の信用面にも関わってくるため、最低でも50万円以上にすると良いです。一方、高すぎても税制面で損になりますので、会社の設立時は、1,000万円未満で設定するのがおすすめです。

8.株式に関する事項

株価、設立時の発行済株式総数を決めていきます。
1株あたりの株価は自由に設定可能です。わかりやすく1株あたり1万円や5万円とする場合が多いです。
設立時の発行済み株式総数は、資本金を1株あたりの株価で割ることで決定します。
例えば、資本金300万円、1株あたりの株価が5万円の場合、設立時の発行済み株式総数は60株となります。


まとめ

会社設立は、将来の会社運営に大きな影響を与える重要な決断の連続です。
この記事では、株式会社設立において特に重要な8項目について詳細に解説しました。
会社名から事業目的、本店所在地や役員構成、資本金まで、各ポイントを正しく決めることは、信頼性や事業の安定に直結します。
これらを適切に設定することで、スムーズなスタートが切れ、長期的なビジネス展開を見据えた基盤が築けます。
会社設立を控えている方は、このガイドを参考に、未来への一歩を踏み出してください。

専門家からのアドバイス

会社設立時に決めておくべき8項目のほか、事業運営に欠かせない「資金調達」についても早めに検討しておくことが、安定したビジネススタートを支えるために不可欠です。

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