
「審査が甘い法人融資なら、すぐに資金調達できるかも…。」
そんな甘い期待を抱いていませんか?
たしかに、ノンバンクやビジネスローンなど、手軽に借りられる融資は存在します。
しかし、安易に飛びつくと、高金利負担や将来の融資審査に悪影響を及ぼすリスクが潜んでいます。
この記事では、なぜ「審査が甘い法人融資」が危険なのか、そして、後悔しないために本当に取るべき資金調達のステップについて、専門家視点でわかりやすく解説します。
資金繰りを守り、事業を健全に成長させるために、今こそ正しい判断をしましょう!
目次
1. 審査が甘い法人融資とは?
一般的に、審査が甘い法人向け融資とは、ノンバンク融資やビジネスローンを指します。
これらは、次のような理由から、「簡単に借りられる」と認識されています。
・事業計画書が不要
→ 銀行融資で求められるような詳しい事業計画を提出しなくても申込できる。
・提出書類が少ない
→ 本人確認書類と、決算書(または簡単な収支資料)だけで申請できるケースが多い。
・赤字決算でも借りられる
→ 一般の銀行では断られやすい赤字企業でも、審査対象にしてもらえることがある。
・担保や保証人が不要
→ 不動産担保や第三者保証人なしで申し込みできるため、ハードルが低い。
・審査スピードが速い
→ 申し込みから審査結果が出るまで即日~数営業日と、非常に短期間で完了する。
・資金使途が自由なケースが多い
→運転資金・設備資金・広告費など、幅広い事業用途に使える。
このように、一般的な銀行融資に比べると、手続きが簡単で結果も早く出るため、急ぎで資金が必要な場合に「手軽」「便利」と感じやすいのが特徴です。
しかし一方で、大きなデメリットもあります。
・金利が高い(年~18%)
手軽に借りられる反面、金利はかなり高めに設定されています。
たとえば、公的融資(日本政策金融公庫など)の金利は年2.5%前後が相場ですが、ノンバンク融資やビジネスローンではその約5倍以上もの金利負担が発生する可能性があります。
このため、借りた後の返済負担が非常に重くなりやすいのです。
金利の比較をしてみましょう。
金利比較表
融資種類 | 金利目安 (保証料含む) | 特徴 |
---|---|---|
日本政策金融公庫 (新規開業資金など) | 2.5% | 低金利・無担保、無保証人 |
銀行融資(保証協会付き) | 2.5% | 低金利・審査に時間がかかる |
ノンバンク融資・ビジネスローン | ~18% | 高金利・即日融資可能 |
特に、5%超の金利は、資金繰りに大きな負担をもたらすため、慎重な判断が必要です。
さらに、ノンバンク融資やビジネスローンには、金利の高さ以外にも事業者にとって深刻な悪影響が潜んでいます。
この点については、次の章で詳しく解説していきます。
ノンバンク融資とは?
ノンバンク融資とは、銀行以外の金融機関(消費者金融やリース会社など)の行う融資のことを指します。
ビジネスローンとは?
事業資金を対象とした融資商品のことを指します。
貸し手は、ノンバンクに限らず銀行の商品としてのビジネスローンも存在します。
どちらも、比較的手軽に事業資金を借りられる、資金使途が自由、その分金利が高めという点で共通しています。
2. 審査の甘い融資は危険。安易に手を出してはいけない3つの理由
審査が甘く、すぐに資金が借りられる――そんな融資に魅力を感じる方も多いかもしれません。
しかし、安易に手を出すことで、資金繰りが悪化し、将来の融資にも悪影響を及ぼす可能性があります。
この章では、審査が甘い融資に潜む3つの重大リスクについて、具体例を交えて解説します。
目先の資金確保が、長期的な経営を危うくする危険性を、今一度見直してみましょう。
2-1. 高い金利負担が事業を圧迫
高金利融資は、資金繰りを直撃し、事業継続を脅かします。
特に5%超の金利を超えると、月々の返済負担が急増。
短期融資でも、毎月の返済原資(返済のための売上・利益)の目途が立っていなければ、すぐに資金ショートします。
【具体例】
・借入金額:300万円
・金利(年率):12%(ノンバンク系ビジネスローンの平均相場)
・返済方法:元利均等返済、月払い
・返済期間:3年(36回)
毎月の返済額:約99,650円
年間返済額:約119万円
総返済額:約358万円(利息約58万円)
2-2. 借入履歴が今後の融資審査の足枷に
ノンバンクの利用歴は、銀行や信用金庫での本命融資の審査においてマイナス材料として扱われることがあります。
銀行や信用金庫が融資審査を行う際には、個人・法人の信用情報(いわゆる「借入履歴」)を信用情報機関を通じてチェックします。
この情報には、過去にどこから借りたか、現在の借入残高、返済状況、延滞履歴などが詳細に記録されており、ノンバンクでの借入もすべて明記されます。
◆ なぜノンバンク利用がマイナスに見られるのか?
ノンバンクでの借入は、次のような印象を金融機関に与える可能性があります。
「銀行などから借りられなかった=信用力に不安があったのでは?」
「短期・高金利の資金に頼る=資金繰りが逼迫していた可能性」
「返済計画の甘さ=財務管理能力に疑問」
このような評価により、本命の融資(例:長期運転資金、設備資金など)で希望額を満額借りられなかったり、利率が上がったりするケースが現実にあります。
2-3. 事業の成長を妨げる原因
ノンバンク融資やビジネスローンによる高金利の借入は、将来的な事業成長のチャンスまで奪ってしまう恐れがあります。
◆ 成長投資に資金を回せなくなる
経営資源には「ヒト・モノ・カネ」がありますが、そのすべてにおいて成長には先行投資が欠かせません。
しかし、毎月の大きな返済額を抱えていると、たとえ黒字経営であっても現金を返済に充てなければならないため、次のような重要投資が後回しになります。
設備投資:製造効率の向上や新商品開発のための機械・システム導入
人材採用・育成:将来の戦力となる人材の確保と教育
広告宣伝:売上を伸ばすためのマーケティング投資
結果として、「売上が伸びない→資金に余裕ができない→さらに借入に頼る」という悪循環に陥りやすくなります。
資金調達の本来の目的は、「事業を一時的に延命する」ことではなく、未来に向けた売上や利益の拡大=事業の加速です。
高金利かつ短期の借入は、資金繰りの一時しのぎにはなっても、中長期での成長資金を奪う機会損失に繋がるというリスクを、見落としてはいけません。
3. ノンバンク融資・ビジネスローンに頼る前に専門家に相談を!
ノンバンク融資やビジネスローンは、あくまで“最後の選択肢”として検討すべきです。
「日本政策金融公庫や銀行の公的融資は自分には無理だ」と最初から諦めたり、審査に一度落ちたからといって、焦って高金利のノンバンク融資に飛びつくのは危険です。
そうしたときこそ、専門家に相談し、事業の状況や資金計画を踏まえて戦略的に判断することが重要です。
◆ 専門家に相談すべき理由
✅自社に本当に必要な融資なのかを客観的に判断できる
単に「借りられるかどうか」ではなく、「借りたあとにどう返すか」まで一緒に考えてもらえます。
✅ 銀行・信金・日本政策金融公庫といった選択肢を優先できる
専門家なら、低金利で長期返済が可能な制度融資や補助金との併用など、より良い資金調達ルートを提案できます。
✅ 融資に通る事業計画の作成をサポートしてもらえる
融資が通らない場合の改善策(事業計画の修正・開業時期の見直しなど)を一緒に検討できます。
◆ 専門家と相談したうえでの選択肢
ノンバンク融資やビジネスローンを検討する前に、まずは専門家と相談し、他の選択肢を最大限活用できないかを見直しましょう。状況に応じた具体的な対応策は以下の通りです。
【創業時の場合】
・開業時期を見直す(自己資金が増えるまで待つ)
自己資金が少ない場合は、焦って開業せず、一定額の自己資金を貯めてから開業する方が、融資の審査で有利になります。
・事業計画をブラッシュアップする
事業計画を専門家と一緒に練り直し、融資の審査に通る内容にブラッシュアップ
【事業開始後の場合】
・資金が不足する前に相談する
資金ショートの前に、早めに金融機関に相談し、制度融資などを活用する。
早めの判断をするためにも、日々の売上管理、経理処理が重要です。
税理士などの専門家に依頼し、試算表を毎月チェックできる体制を整えておきましょう。
・資金繰り表を作成して可視化する
専門家とともに資金繰り表を作成し、どの時点で資金が不足するか可視化しておく
【どうしてもノンバンクを検討する場合】
・短期間・確実な返済計画が立てられる場合に限定する
売上の見込みが立っており、3か月以内に確実に返済できる場合に限定して検討しましょう。
あくまでも緊急的な短期資金として位置づけるべきです。
4. まとめ|“審査が甘い”融資に頼る前に、正しい判断を
「審査が甘い法人融資=手軽で便利」と思い込んでいませんか?
確かに、書類も少なくスピーディーに借りられるノンバンク融資やビジネスローンは魅力的に映ります。
しかしその裏には、高金利による資金繰り悪化、将来の融資審査への悪影響、成長機会の喪失といった重大なリスクが潜んでいます。
資金調達は、あくまでも「事業を成長させるための手段」です。
その目的を見失い、安易な借入で首を絞めてしまっては本末転倒です。
だからこそ、融資に迷ったときは、まず専門家に相談しましょう。
自社の状況に合った最適な資金調達方法を選ぶことで、資金繰りの安定と事業の成長、両方を実現できます。
✅ 最後に伝えたい3つのポイント
- まずは正攻法(公庫・銀行・信金)からあたること
- ノンバンク融資・ビジネスローンは「最後の手段」—使うなら短期・返済原資ありきで
- 「自分に合った資金調達」を見極めるには、専門家の力を借りること
未来の融資チャンスと、健全な事業成長のために。
今こそ、焦らず、正しい選択をしましょう。
コメント