
ビジネスローンで開業資金を調達するのはアリ?それともキケン?
「創業融資の審査に落ちた」
「希望額よりも少ない金額しか借りられなかった」
「自分には創業融資は無理だと思う」
「面倒な手続きは嫌だ。ネットで簡単にお金を借りたい」
――そんなとき、真っ先に検討されがちなのがビジネスローンです。
検索してこのページにたどり着いたあなたも、「ビジネスローンならすぐに借りられるかも?」と思ったのではないでしょうか。
※ビジネスローンとは、金融機関やノンバンクが事業者向けに提供する、事業資金を対象とした融資商品のことを指します。
本記事では、「ビジネスローンで開業資金は調達できるのか?」という疑問にお答えしつつ、ビジネスローンの活用時の注意点や、ビジネスローン以外での資金調達法もわかりやすく紹介します。
創業融資の審査に落ちてしまった方や、充分に資金調達ができなかった方が、次に何をすべきかがわかる記事です。
目次
1.ビジネスローンで開業資金を調達できるのか?
結論、ビジネスローンで開業資金を調達することは可能です。
開業資金としてビジネスローンを活用する最大のメリットは、審査のハードルが比較的低く、スピーディに資金調達ができる点です。
担保や保証人が不要な商品も多く、書類も少なめで、申し込みやすいのが特徴です。
「創業融資に落ちた」「今すぐ資金が必要」といった場面でも、即日〜数日で資金を確保できる可能性があります。
ただし、ビジネスローンには注意すべき点もいくつかあります。
ここからは、開業時にビジネスローンを使う際のリスクや落とし穴について、詳しく解説していきます。
2.ビジネスローンのリスク
2-1.開業資金で利用できるビジネスローンは一部に限られる
ビジネスローンの多くは、すでに事業をスタートしている方向けに設計されており、申込の際に決算書等の提出が求められるケースが一般的です。
そのため、開業資金として利用できるビジネスローンは、一部に限られています。
ただし、中には
・開業届や法人登記が済んでいれば申込可
・個人信用情報を重視して審査
・営業実績がなくてもOK
という商品もあり、開業資金として利用できる商品もあります。
【開業資金として利用できるビジネスローン】
最大1,000万円/年利1.8~13.8%前後
開業したてでも申込可
担保・保証人・手数料ゼロ
スマホで簡単申込
✅GMOあおぞらネット銀行 融資枠型ビジネスローンあんしんワイド(法人向け)
最大1,000万円/年利0.9~14.0%
決算書、事業計画書不要
担保・保証人不要
審査から借入まで最短2営業日
ネット完結
2-2.金利が高く、返済負担が大きくなる可能性が高い
ビジネスローンは金利が高く、返済負担が大きくなりやすいため、開業直後には特に注意が必要です。
ビジネスローンは「無担保・無保証」で借りられるケースが多い一方、その分金利も高く設定されがちです。
日本政策金融公庫の創業融資の金利が年利2.5%程であるのに対して、ビジネスローンの金利は、年利10~15%程度になることも珍しくありません。
比較してみるとその差は歴然です。
【比較例:300万円を5年で借りた場合】
借入先 | 金利 | 毎月の利息(初月) | 毎月の元本 | 合計返済額(初月) |
日本政策金融公庫 | 年利2.5% | 6,250円 | 50,000円 | 56,250円 |
ビジネスローン | 年利10% | 25,000円 | 50,000円 | 75,000円 |
※返済方式:元金均等返済の場合
※利息=借入残高×金利÷12ヶ月で概算しています。
開業したばかりの時期は、売上が安定せず、予想外の出費も発生しやすいものです。
そんな中での思い返済負担は、資金繰りを圧迫し、経営が不安定になるリスクがあります。
2-3.借入限度額が低いケースが多い
ビジネスローンは、審査のハードルが低い反面、借入限度額が低めに設定されている商品が多いのが実情です。特に開業直後は、信用情報や事業実績がないことから、借入上限が30万〜300万円程度にとどまるケースが多くなります。
なぜ限度額が低くなるのか?
・開業前後は「返済能力」が未知数であり、金融機関側としてもリスクが高いため
・ビジネスローン自体が「短期・少額融資」に特化している商品が多いため
・決算書や売上実績がない=評価対象が個人信用情報のみとなるため
つまり、開業に必要な金額をすべてビジネスローンでまかなうのは難しいという点を、あらかじめ理解しておくことが大切です。
たとえば、カフェを開業しようと考えている方が、内装費や厨房設備などで500万の資金が必要な場合。
創業融資で希望額に届かなかったためにビジネスローンを検討したとしても、借りられるのはせいぜい100〜200万円程度。
しかもその金利が10%以上だと、返済負担は重く、資金としては不十分な状況になってしまいます。
ビジネスローンは、つなぎ資金・補助的資金としての位置づけが現実的と言えます。
「創業融資の代わり」として使うのではなく、
・創業融資が下りるまでの一時的なつなぎ資金
・少額の追加資金が必要なときの補助的な資金
として活用するのが賢明です。
「あともう少し資金が欲しい」というときには、有効な手段でしょう。
2-4.将来的に、金融機関からの融資が受けにくくなる可能性あり
一度、ビジネスローンを借りると、その後の創業融資や制度融資にマイナスの影響を与えることがある点には注意が必要です。
特に、将来的に公的な融資制度を活用したいと考えている場合には、慎重な判断が求められます。
なぜ追加融資に不利になる可能性があるのか?
ビジネスローンの利用が後々の審査にどう影響するのか、まずはその理由と金融機関側の見方を確認しておきましょう。
1. ビジネスローンは“最後の選択肢”と見られがち
ビジネスローンは、金利が高く、審査も比較的緩やかという特性から、金融機関からは「通常の融資が通らなかったから仕方なく借りたのでは?」というネガティブな見方をされがちです。
その結果、「信用力が低いのかもしれない」「経営に何か問題があるのでは」と懸念を持たれてしまう可能性があります。
2. 資金繰りの悪化サインと判断されることがある
短期で高金利のローンを使っているということは、急いでお金を用意しなければならないほど逼迫している状況と捉えられることがあります。
銀行や信用保証協会は「経営の安定性」や「継続性」を重視するため、こうした事情があると審査の足かせになることもあります。
3. 返済負担の増加もマイナス評価に
ビジネスローンは返済期間が短く、毎月の返済額が大きくなる傾向があります。
金融機関は融資審査において「今後も安定して返済していけるかどうか」を非常に重視しており、すでに高額な返済が発生していると、それだけで融資枠が縮小されることもあるのです。
次章では、ビジネスローンになるべく頼らずに開業資金を確保する方法を解説します。
3.ビジネスローンに頼りすぎないための具体的な対策
ここまで読んで、「ビジネスローン、思っていたよりリスクがあるな…」と感じた方もいるかもしれません。
実際、開業資金の調達において、ビジネスローンは最後の手段であり、メインの資金調達として使うのは推奨できません。
では、ビジネスローンに頼らず、必要な資金をどう確保していけばよいのでしょうか。
この章では、リスクを抑えて資金調達するための2つの対策をご紹介します。
対策①:専門家に相談して、創業融資にチャレンジする
少しでも、融資を申し込むことに不安がある人、自分では難しいと考えている人は、専門家に相談がおすすめです。
税理士などの融資の専門家は、金融機関の評価ポイントや審査の考え方を熟知しているため、「どうすれば審査に通るか」を的確にアドバイスしてくれます。
また、創業融資は、“再チャレンジ可能”な制度であり、専門家のアドバイスを受けて対策を講じれば、再申請で通る可能性は十分にあります。
【専門家に相談することで得られるメリット】
・融資を受けるまでにどんな準備が必要かを明確にできる
・融資審査に通るための事業計画書の書き方・直し方がわかる
・自己資金の見せ方や、面談時の受け答えのアドバイスがもらえる
・自分の状況に合った制度やタイミングを客観的に判断してもらえる
・どの金融機関・制度に申し込むべきかのアドバイスがもらえる
例えば、現在の状況からすぐに融資を受けることが難しくても、
「今は、こういう準備をコツコツとすすめて、半年後にここで申し込むのがベストです」
といった、“資金調達の全体設計”を一緒に考えてもらうことが可能です。
一人で悩むよりも、専門家と一緒に「次にやるべきこと」を整理することで、道筋がクリアになります。
対策②:一度融資を断られても、別の金融機関で通る可能性はある
金融機関を変えることで審査に通るケースは実際にあります。
✅ よくあるケース
- 日本政策金融公庫では否決だったが、信用金庫に相談したら融資が通った
- 銀行では門前払いだったのに、B銀行では親身に話を聞いてくれて、審査も通過した
このように、金融機関によって審査基準やスタンスは異なるため、別の機関では前向きに検討される可能性があるのです。
❗ただし、こんなケースは注意
ただし注意が必要なのは、「日本政策金融公庫」と「信用保証協会付きの民間融資」両方で否決された場合です。
この場合、保証協会の審査結果は他の金融機関とも共有されているため、別の銀行に申し込んでも結果は同じになる可能性が高いです。
焦って次々に申し込む前に、専門家へ相談を
「一か所に落ちたからすぐ別の金融機関へ…」と焦って動くのではなく、
まずはなぜ審査に落ちたのか?を専門家と一緒に分析して、改善してから次に進むことを強くおすすめします。
失敗した理由を明確にし、改善策を講じた上で申し込めば、別の金融機関で融資が通る可能性も十分にあります。
一度失敗しても、資金調達の道が完全に閉ざされるわけではありません。
正しい順序と対策で動けば、道は開けます。
どうしてもビジネスローンを使う場合の注意点
とはいえ、「すでにビジネスローンを使ってしまった」「一時的にどうしても借りる必要がある」という方もいると思います。
そうしたケースでは、以下の2点に注意してください。
①なぜビジネスローンを使ったのか、説明できるようにする
金融機関は、「借りた理由」に注目します。
たとえば「補助金の入金までのつなぎ資金として活用した」といった、明確で一時的な理由を伝えられれば、ネガティブな評価を避けることができます。
②融資申請前にビジネスローンをできるだけ返済しておく
次に公的融資や銀行融資を受ける予定がある場合は、あらかじめビジネスローンの借入残高を減らしておくのが理想です。
返済負担が軽ければ、「追加融資も可能」と判断されやすくなります。
4.まとめ
「創業融資に落ちた」「希望額が借りられなかった」「手続きが面倒そう」
――そんなときに頭に浮かぶのが、ネットで簡単に申し込めるビジネスローンかもしれません。
たしかに、ビジネスローンは手軽でスピーディ。
しかし一方で、
・金利が高く返済負担が重くなりやすい
・借入限度額が少額にとどまりがち
・将来の融資審査でマイナス評価につながるリスクがある
など、慎重な判断が必要なデメリットも多く存在します。
あらためてお伝えしたいのは、「ビジネスローンは最終手段」ということ。
本来は、日本政策金融公庫による融資、民間の金融機関による融資など、金利や返済条件が良く、創業者を支援する制度が先に検討されるべき資金調達手段です。
ビジネスローンに頼らないために、今できること
✅ 専門家に相談して、サポートを受ける
✅ 一度落ちてもあきらめず、改善して再チャレンジする
✅ 金融機関を変えて相談してみる
資金調達に失敗すると、先が見えなくなることもあるかもしれません。
でも、それは「終わり」ではなく、「次に進むための準備期間」です。
正しい順序と準備、そして信頼できるサポーター(専門家)の存在があれば、道は必ず開けます。
あなたの起業の想いが、適切な資金調達によって形になりますように。
不安なときこそ、ひとりで抱え込まず、相談することから始めてみてください。
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