
起業を検討する上で重要なポイントの1つが、必須資格の取りやすさではないでしょうか。
開業に必須の資格取得までに数年以上かかるなら、入念な準備が必要です。
しかし業種に拘らないのであれば、比較的ハードルの低い資格を取得し早めに開業への舵を切ることもできるでしょう。
今回は業種毎に必要な資格や役立つ資格をまとめました。
資格取得の難易度を☆1~☆5で表しています。☆の数が多くなるほど難易度が高いです。
起業する業種の選定に、ぜひお役立てください。
1.不動産業
1-1.不動産賃貸業
必須資格 | なし |
役に立つ資格 | ファイナンシャルプランナー3級(取得までの期間:3ヶ月・難易度☆) |
許認可等 | なし |
年収の目安 | アパート経営の平均収入540万円 |
【業務内容】
不動産賃貸業とは、マンションやアパートを購入し、他人に貸し出して家賃収入を得る仕事です。
サラリーマンとして働きながら、家賃収入を得ることも可能です。
【必須資格】なし
不動産賃貸業として起業するための必須資格はありません。
不動産業界未経験者でも起業することができます。
【許認可等】なし
許認可等を取得する必要はありません。
【役立つ資格】ファイナンシャルプランナー(FP)3級 (取得までの期間:3ヶ月・難易度☆)
ファイナンシャルプランナーは人生設計や金融資産運用等、ライフプランに基づいたお金に関する専門家です。
不動産の取得や売却に関する知識も学ぶため、持っていて損はありません。
また不動産賃貸業を始める際には、マンション等購入費として大きなお金を動かすことになります。
しっかりとした収支計画を立案し破綻しないよう経営していくにも非常に役立つ資格です。
【年収の目安】
取得する物件や入居状況によって年収は激しく変動しますが、都内のアパート1棟で年間約500万円の収入が見込めます。
1-2.不動産仲介業
必須資格 | 宅地建物取引士(宅建士)(取得までの期間:6ヶ月・難易度☆☆☆☆☆) |
役に立つ資格 | マンション管理士(取得までの期間:6ヶ月・難易度☆☆☆☆☆) |
許認可等 | 営業保証金の供託 宅地建物取引業免許の取得が必要 |
年収の目安 | 実績を積むことで1,000万円以上を目指せる |
【業務内容】
不動産仲介業とは、土地や建物を売りたい人と買いたい人を繋ぐ仕事です。
また貸したい人と借りたい人を繋ぐことも仕事になります。
契約書等を作成し締結させることで双方から仲介手数料を受け取ります。
【必須資格】宅地建物取引士(宅建士)(取得までの期間:6ヶ月・難易度☆☆☆☆☆)
宅地建物取引士は、不動産取引に関する国家資格で、資格取得者だけが行える「法定職務」が定められています。
合格までに半年程度の学習期間が必要ですが、それだけに取得後の利益はあなどれません。
不動産仲介業で起業する場合は宅建士が必須ですので、宅建士を雇用しない限り必ず取得する必要があります。
【役立つ資格】マンション管理士(取得までの期間:6ヶ月・難易度☆☆☆☆☆)
マンション管理士とは、アパートやマンション運営のサポートを行えるようになる資格です。
不動産の仲介だけでなく管理まで一手に引き受けたい場合におすすめです。
宅建士と同程度の難易度ですので、宅建士取得後に継続して学習すれば効率よく取得できます。
【許認可】営業保証金供託/宅地建物取引業免許の取得が必要
不動産仲介業として起業するためには、本来、営業保証金として1,000万円を法務局に供託しなければなりませんが、保証協会へ加入し、弁済委業務保証金分担金60万円を納付することで、営業保証金1,000万円の代わりとすることができます。
そのためほとんどの不動産業者は保証協会に加入して起業をしています。
次に宅地建物取引業免許の取得が必要となります。取得には一定の要件を満たす必要があります。
また、有効期限は5年です。5年ごとに更新手の手続きが必要になります。
【年収の目安】実績を積むことで年収1,000万円以上を目指せる
起業してはじめのうちは、知名度も低いため会社員時代より年収が低くなることもあります。
しかし、実績を積むことによって年収1,000万円超を目指すことも可能です。
1-3.不動産管理業
必須資格 | 賃貸不動産経営管理士(取得までの期間:3ヶ月・難易度☆) |
役に立つ資格 | 管理業務主任者(取得までの期間:3ヶ月・難易度☆) |
許認可等 | なし※管理戸数が一定以上で賃貸住宅管理業者登録が必要 |
年収の目安 | 管理戸数による |
【業務内容】
不動産管理業とは、大家さんから手数料を受け取って物件の管理を行う仕事です。
集金管理や、建物の維持管理、更新業務、トラブルや苦情への対応を行っています。
【必須資格】賃貸不動産経営管理士(取得までの期間:3ヶ月・難易度☆)
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理に関する知識・技術・倫理観を持ち、適正な管理業務を行う事ができる専門家としての国家資格です。
賃貸物件の管理業務を行う事務所などに必ず設置することが義務付けられている「業務管理者」に必要な資格です。
業務管理者は宅建士資格取得者でも要件を満たしますが、資格試験の難易度から賃貸不動産経営管理士の取得がおすすめです。
【役立つ資格】管理業務主任者(取得までの期間:3ヶ月・難易度☆)
管理業務主任者は、分譲マンションの管理組合等に対して管理事務の報告などマンション全体の運営・管理をサポートする業務を行う国家資格です。
必ずしも持っていなければならない資格ではありません。
しかし「30の管理組合につき1人以上」の割合で管理業務主任者を設置しなければならないと定められているため、起業後に多くのマンションと契約することを想定するなら今のうちに取得しておきましょう。
難易度もそれほど高くはありませんので、仕事をしながら資格取得が目指せます。
【許認可等】特になし
ただし、管理戸数200戸以上で賃貸住宅管理業者の登録が必要になります。
【年収の目安】管理戸数による
管理する戸数によって大きく変化します。
売上は「家賃×数%の手数料」で計算します。
手数料はおおよそ5%程度であり、家賃8万円の物件×5%の手数料×50戸=20万円と決して収入は大きいものではないため、不動産仲介業と並行して行っているケースも多いです。
2.建設業 ※中小企業レベル
2-1.土木工事業
必須資格 | なし |
役に立つ資格 | 土木施工管理技士(取得までの期間:2ヶ月・難易度☆☆) |
許認可等 | 税込み500万円以上の案件を受注するためには建設業許可が必要 |
年収目安 | 一人親方(作業員)の場合 平均380万円 土木施工管理技士の場合 400~700万円以上 |
【業務内容】
橋や道路などを、木材や土石を使って造る仕事です。インフラ整備に伴う工事が中心となります。
建物の建設は行いません。建物の基礎部分を造ったり、下水道の工事や、施工の設計や測量なども土木工事に含まれ仕事は多岐にわたります。
【必須資格】なし
土木工事業で起業するための必須資格はありませんが、資格を持っていると業務範囲も広くなり有利になります。
【役立つ資格】土木施工管理技士(取得までの期間:2ヶ月・難易度☆☆)
土木施工管理技士は、道路やトンネル等の土木工事の施工管理を行うための国家資格です。
資格がなくても土木工事に従事できますが、資格があれば主任技術者や管理技術者として業務に携われます。
土木施工管理技士は一般作業員よりも年収が高い傾向にあるため、自分が取得していれば人件費を抑えることができます。
また個人事業主として活躍する場合は年収アップに直結するため、大変おすすめの資格です。
【許認可】税込み500万円以上の案件を受注するためには建設業許可が必要
税込み500万円以上の大規模な工事の案件を受注するためには、あらかじめ建設業許可が必要になります。
建設業許可を取るためには、別途要件があります。
【年収の目安】
一人親方(作業員)の場合 平均376万円
土木施工管理技士の場合 400~700万円以上
資格を取得することで、高い年収を目指すことも可能です。
2-2.内装工事業
必須資格 | なし |
役に立つ資格 | 内装仕上げ施工技能士3級(取得までの期間:1週間・難易度☆) |
許認可等 | 税込み500万円以上の案件を受注するためには建設業許可が必要 |
年収の目安 | 一人親方の場合 平均600万円 |
【業務内容】
内装工事業とは、建築内の内装仕上げを行う仕事です。
電気や空調等の設備工事、天井仕上げや防音工事等も内装に関わる様々な作業をこなします。
【必須資格】なし
内装工事業で起業するために必須の資格はありません。
【役立つ資格】内装仕上げ施工技能士3級(取得までの期間:1週間・難易度☆)
内装仕上げ施工技能士は、内装工事の知識と技術を兼ね備えたエキスパートとしての国家資格です。
3級なら受験資格なし、かつ学科試験のみで取得可能ですので、仕事をしながらでも合格を目指せます。
【許認可】税込み500万円以上の案件を受注するためには建設業許可が必要
税込み500万円以上の大規模な工事の案件を受注するためには、あらかじめ建設業許可が必要になります。
建設業許可を取るためには、別途要件があります。
【年収の目安】一人親方の場合 平均600万円
2-3.電気工事業
必須資格 | 第二種電気工事士+3年の実務経験 |
役に立つ資格 | 認定工事従事者(取得までの期間:0カ月・難易度☆) |
許認可等 | 登録電気工事業者とし都道府県知事の登録が必要 |
年収の目安 | 一人親方の場合 平均500~600万円 |
【業務内容】
電気工事業とは、一般住宅や小規模施設の電気に関わる様々な業務を行う仕事です。
具体的には、コンセントやスイッチの設置、照明の工事、エアコンの設置工事などを行います。
【必須資格】第二種電気工事士+3年の実務経験
電気工事士として起業するためには、少なくとも、第二種電気工事士の資格の取得と3年以上の実務経験が必要です。
その後、登録電気工事業者として各都道府県知事の登録が必要となります。
ただし、これだけでは施工可能な電気工事に制限があるため、仕事が限られてしまいます。
【役立つ資格】認定工事従事者(取得までの期間:0カ月・難易度☆)
認定工事従事者を取得することで第二種電気工事士の資格では行うことのできない電気工事を行うことができるようになります。
起業のための必須資格である、第二種電気工事士の資格と、3年の実務経験がある人は申請をするだけで取得ができます。
仕事の幅を広げるためにも、ぜひ申請しておきたい資格です。
【許認可】登録電気工事業者として都道府県知事の登録が必要
登録電気工事業者として、都道府県知事の登録が必要です。登録の有効期限は5年です。
5年ごとの更新手続きが必要になります。また登録手続きは複雑なため行政書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
【年収の目安】一人親方の場合の年収 500~600万円
2-4.大工工事業
必須資格 | なし |
役に立つ資格 | 2級建築施工管理技士(取得までの期間:3ヶ月・難易度☆☆) |
許認可等 | 税込み500万円以上の案件を受注するためには建設業許可が必要 |
年収の目安 | 一人親方の場合 平均800万円 |
【業務内容】
木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける仕事です。
具体的には大工工事、型枠工事、造作工事、木製手摺据付工事、木造建築物の補修工事等が該当します。
【必須資格】なし
大工工事業として起業するための必須資格は特にありません。
【役立つ資格】2級建築施工管理技士(取得までの期間:3ヶ月・難易度☆☆)
建設現場において、現場の工程管理や品質管理等に従事できる資格です。
その他にも安全管理や職人の指導等も行えます。
2級建築施工管理技士は実務経験なしで受験できるので、まずは2級からチャレンジしましょう。
【許認可等】税込み500万円以上の案件を受注するためには建設業許可が必要
税込み500万円以上の大規模な工事の案件を受注するためには、あらかじめ建設業許可が必要になります。
建設業許可を取るためには、別途要件があります。
【年収の目安】一人親方の場合 平均800万円
3.飲食業
3-1.カフェ・レストラン・テイクアウト・居酒屋等
必須資格 | 食品衛生責任者 |
役に立つ資格 | 調理師免許(取得までの期間:最低1年・難易度☆) |
許認可等 | 保健所による飲食店営業許可 |
年収の目安 | 平均600万円 |
【業務内容】
店舗等で飲食を提供する仕事です。
店舗内の座席に案内して接客および飲食物を提供する業態と、店頭で飲食物を提供する業態の2パターンが中心です。
【必須資格】食品衛生責任者(取得までの期間:6時間・難易度☆)
食品衛生管理者は、飲食店の衛生管理を行う責任者のことです。
飲食店開業の際には各施設に必ず1人以上設置することが義務付けられています。
各都道府県の食品衛生協会が開催している講習を6時間程度受講し、選択式の試験に合格すれば取得可能です。
調理師免許や栄養士免許を持っていれば、食品衛生責任者を改めて取得する必要はありません。
【役立つ資格】調理師免許(取得までの期間:最低1年・難易度☆)
調理師免許は調理技術や職務経歴書に関する専門知識を持つことを証明できるものです。
調理師免許がなくても飲食店で調理に携わることはできますが、調理師免許があればお客様の信頼感を得るきっかけになります。
免許取得には、専門学校等で学ぶか、2年以上の実務経験を積んだうえで調理師試験に合格するかの2パターンあります。
専門学校は最低1年で卒業できるため、最短で調理師免許を取得するなら専門学校がおすすめです。
【許認可等】飲食店営業許可
飲食店を開業するためには、飲食店営業許可が必要です。
保健所の検査をクリアすることで取得ができます。
店舗の施設が、検査基準をクリアしているか、保健所の担当者による立入検査があります。
【年収の目安】平均600万円
飲食店経営者の平均年収は600万円ですが、レストラン、カフェ、居酒屋、ラーメン屋などの種類や規模によって大きく異なります。
飲食店には赤字の店舗も非常に多く、赤字の店舗経営者の平均年収は300万円という現実もあります。
また、一般的な飲食店の営業利益率は10%あれば優良とされており、年収600万円を得るためには単純計算で、年間で6,000万円の売上を上げなければなりません。
4.IT
4-1.システムエンジニア
必須資格 | 特にありません。 |
役に立つ資格 | 基本情報技術者試験(取得までの期間:3ヶ月・難易度☆☆☆) |
許認可等 | なし |
年収の目安 | 平均500万円〜1,000万円 |
【業務内容】
顧客の要求をヒアリングし、要望に応えられるシステムを設計、プログラマーが作成した内容をチェックした上で納品、保守等まで一手に引き受ける仕事です。
【必須資格】なし
システムエンジニアとして起業するための必須資格は特にありません。
技術を磨いて顧客満足度を高めましょう。
【役立つ資格】基本情報技術者試験(取得までの期間:3ヶ月・難易度☆☆☆)
ITエンジニアの登竜門として名高い試験です。
毎年10万人以上が受験しますが合格者は4人に1人程度という難関資格。
システムエンジニアに限らず、IT系で起業するならぜひ取得しておきたい資格です。
【許認可等】なし
【年収の目安】平均500万円〜1,000万円
4-2.プログラマー
必須資格 | なし |
役に立つ資格 | ITパスポート試験(取得までの期間:3ヶ月・難易度☆☆) |
許認可等 | なし |
年収の目安 | 平均400万円〜600万円 |
【業務内容】
システムエンジニアが設計した仕様書に従ってプログラミングを行う仕事です。
【必須資格】なし
プログラマーとして起業するために必須の資格は特にありません。
年収増加を目指すなら使用言語を増やしましょう。
【役立つ資格】ITパスポート試験(取得までの期間:3ヶ月・難易度☆☆)
IT系資格試験の最も基礎的な国家資格です。
ITにまつわる幅広い知識が身に付くため、大企業でも取得を推奨しています。
すでにプログラマーとして活躍中であれば物足りないかもしれませんが、これからプログラマーを目指すなら最初に取得しておきましょう。
【許認可等】なし
【年収の目安】平均400万円〜600万円
使用できる言語やクライアント企業の規模等で年収は大きく変わります。
4-3.WEBデザイナー
必須資格 | なし |
役に立つ資格 | ウェブデザイン技能検定3級(取得までの期間:3ヶ月・難易度☆) |
許認可等 | なし |
年収の目安 | 平均300万円〜400万円 |
【業務内容】
WEBサイトのデザイン全般に携わる仕事です。
顧客の要望に沿ったサイト構築のため、ヒアリングからサイトの設計、デザイン、コーディング等までの一連の仕事を担います。
【必須資格】なし
WEBデザイナーで起業するための必須資格は特にありません。
デザインのトレンドを把握し、流行に遅れないよう努めましょう。
【役立つ資格】ウェブデザイン技能検定3級(取得までの期間:3ヶ月・難易度☆)
WEBデザインにまつわる唯一の国家資格で、WEBデザイナーに必要となる知識や技術が問われます。
筆記試験だけでなくパソコンを使用した実技試験もあるのが特徴です。
これからWEBデザイナーを目指すなら早めに取得しておきましょう。
【許認可等】なし
【年収の目安】平均300万円〜400万円
5.美容業
5-1.美容室
必須資格 | 美容師免許(取得までの期間:2年以上・難易度☆☆) |
役に立つ資格 | 管理美容師(取得までの期間:18時間・難易度☆) |
許認可等 | 保健所による美容室営業許可 |
年収の目安 | 保健所による美容室営業許可 |
【業務内容】
ヘアカットやパーマ、洗髪等を行う仕事です。ヘアサロンや美容院とも呼ばれます。
最近では、髪だけでなくネイルサロンやまつ毛パーマ、着付け、メイクアップなどのメニューを取り揃えた店舗も増えています。
【必須資格】美容師免許(取得までの期間:2年以上・難易度☆☆)
美容専門学校で昼間課程2年以上もしくは通信課程3年以上を修了し、美容師試験に合格すれば取得できます。
【役立つ資格】管理美容師(取得までの期間:18時間・難易度☆)
管理美容師とは、美容師を2名以上働かせる場合に必要となる資格です。
自分1人で開業するなら不要ですが、他にも美容師を雇用するなら必須となります。
美容師として3年間の実務経験を積んだ上で、県が指定した18時間の講習を修了することで取得できます。
【許認可等】保健所による美容室営業許可
美容室を開業するためには、美容室営業許可が必要です。保健所の検査をクリアすることで取得ができます。
店舗の施設が、検査基準をクリアしているか、保健所の担当者による立入検査があります。
【年収の目安】平均400~500万円
5-2.理容室
必須資格 | 理容師免許(取得までの期間:2年以上・難易度☆☆) |
役に立つ資格 | 管理理容師(取得までの期間:18時間・難易度☆) |
許認可等 | 保健所による理容室営業許可 |
年収の目安 | 平均400~500万円 |
【業務内容】
ヘアカットやパーマに加え、剃り込みや顔剃り等を行う仕事です。
顔そりを行うことは理容師にしか認められていません。
【必須資格】理容師免許(取得までの期間:2年以上・難易度☆☆)
美容師免許と同じように、専門学校で2年以上学び、理容師試験に合格すれば取得できます。
なお理容師は顔剃りの試験があるため、美容師試験よりも若干難易度が高いという特徴があります。
【役立つ資格】管理理容師(取得までの期間:18時間・難易度☆)
管理理容師とは、理容師を2名以上働かせる場合に必要となる資格です。
3年以上の実務経験を積んだうえで県が指定した18時間の講習を受講すれば取得できます。
【許認可等】保健所による理容室営業許可
美容室を開業するためには、理容室営業許可が必要です。
保健所の検査をクリアすることで取得ができます。
店舗の施設が、検査基準をクリアしているか、保健所の担当者による立入検査があります。
【年収の目安】平均400~500万円
5-3.エステサロン
必須資格 | なし |
役に立つ資格 | あん摩マッサージ指圧師(取得までの期間:3年以上・難易度☆☆) |
許認可等 | なし ※メニューによっては保健所への届け出が必要 |
年収の目安 | 平均300~500万円 |
【業務内容】
エステサロンでは、手や化粧品、機器等を用いて、フェイスケアや痩身マッサージやリラクゼーション、ボディケア、エステ脱毛などの施術を行います。
自宅でも開業できるため人気も高く、女性を中心に起業をする方が増えています。
【必須資格】なし
エステサロンで起業するための必須資格は特にありません。
顧客満足度を高める技術を身につけましょう。
【役立つ資格】あん摩マッサージ指圧師(取得までの期間:3年以上・難易度☆☆)
あん摩マッサージ指圧師は、体の不調を訴える患者さんに対して、あん摩・マッサージ・指圧の3種の施術を行える国家資格です。
高校卒業後に専門学校等で3年以上学び、国家試験に合格すれば取得できます。
【許認可等】
提供するメニューによっては保健所への届出が必要になります。
リラクゼーションや痩身エステの場合は届け出は不要です。
一方で、フェイシャルエステや顔に刃物を充てる施術を行う場合は、保健所への届け出が必要になります。
【年収の目安】平均300~500万円
5-4.ネイルサロン
必須資格 | なし |
役に立つ資格 | ネイルサロン衛生管理士(取得までの期間:1日・難易度☆) |
許認可等 | なし |
年収の目安 | 平均300~500万円 |
【業務内容】
爪を整えたり色を塗ったりして美しく仕上げる仕事です。
自宅で開業する人も多く、特に女性に人気の業種です。
【必須資格】なし
ネイルサロンで起業するための必須資格は特にありません。
最新技術を取得してリピーターを囲い込みましょう。
【役立つ資格】ネイルサロン衛生管理士(取得までの期間:1日・難易度☆)
ネイルサロン衛生管理士は「ネイルサロンにおける衛生管理自主基準」に基づき、正しい衛生管理の知識を身に付け実行できるネイリストを育てることを目的とした民間資格です。
180分の理論講習を受講し、20分間の確認テストに合格すれば取得できます。
オンラインでも受講可能となったため非常に取得しやすくなりました。
【許認可等】なし
【年収の目安】平均300~500万円
技術や知名度によって、大きく幅があります。
5-5.まつ毛サロン(アイリスト)
必須資格 | 美容師免許(取得までの期間:2年以上・難易度☆☆) |
役に立つ資格 | 管理美容師(取得までの期間:18時間・難易度☆) |
許認可等 | 保健所への届け出が必要 |
年収の目安 | 平均200万円~500万円 |
【業務内容】
まつ毛に、人口のまつ毛を専用の接着剤でつけるまつ毛エクステやまつ毛にパーマをかけるまつ毛パーマの施術を行います。
【必須資格】美容師免許(取得までの期間:2年以上・難易度☆☆)
美容室と同じく、まつエクサロン開業には美容師免許が必須です。
美容専門学校で昼間課程2年以上もしくは通信課程3年以上を修了し、美容師試験に合格すれば取得できます。
【役立つ資格】管理美容師(取得までの期間:18時間・難易度☆)
2人以上の従業員を置く場合に必須の資格です。
美容師として3年以上の経験を積んだうえで、県が指定した18時間の講習を受講すれば取得できます。
【許認可等】
保健所への届出が必要まつ毛サロンを開業するためには、保健所への届出が必要です。
保健所の検査をクリアすることで取得ができます。
店舗の施設が、検査基準をクリアしているか、保健所の担当者による立入検査があります。
【年収の目安】平均200万円~500万円
6.リユース業
6-1.中古車販売・リサイクルショップ・古着店・買取店等
必須資格 | なし |
役に立つ資格 | リユース検定 遺品整理士 AACD協会基準判定士 |
許認可等 | 古物商許可 |
年収の目安 | 取扱商品による |
【業務内容】
中古の商品を買い取って再販する仕事です。
中古車販売を始め、古着、雑貨、ブランド品など多岐にわたります。
開業時にかかるコストが安いと言われるものの、商品を買い取る原資は必須。
販売するものによっては、数百から数千万円の資金が必要になります。
【必須資格】
リユース業で起業するための必須資格は特にありません。
【役立つ資格】
取り扱う商品によりますが、以下の資格があると役立ちます。
・リユース検定(取得までの期間:1カ月程度・難易度☆)
リユースショップの営業に必要な古物営業法などの基本的な知識を得ることができます。
・遺品整理士(取得までの期間:2か月・難易度☆)
故人の遺品を、法規制に沿った適切な方法で整理、処分を行います。
通信講座等で「遺品整理士養成講座」を受講することで取得ができます。
・AACD協会基準判定士(取得までの期間:半年~1年・難易度☆☆)
日本流通自主管理協会が認定するブランド品鑑定士の資格です
半年にわたる講習の受講後、試験に合格することで取得ができます。
一定水準以上の技術を持っているとして、ショップの信頼が高まります。
【許認可等】古物商許可
古物営業を行う営業所を管轄する地域の警察署への申請が必要になります。
【年収の目安】数百万~数憶万円
取り扱う商品により大きく変化します。
7.運送業
7-1.一般貨物自動車運送事業 緑ナンバー
必須資格 | 運行管理者資格(取得までの期間:1ヶ月・難易度☆☆) 整備管理者資格(取得までの期間:1ヶ月・難易度☆☆) |
許認可等 | 一般貨物自動車運送事業の許可 |
年収の目安 | 規模による |
【業務内容】
他社から運賃をもらい定められた場所まで荷物を運ぶ仕事です。
事業用の緑ナンバーのナンバープレートの取得が必要になります。
【必須資格】運行管理者資格(取得までの期間:1ヶ月・難易度☆☆)
運行管理者とは、運送会社などで配置が義務付けられている国家資格です。
3日間の講習と、運行管理者試験に合格すれば取得できます。
【必須資格2】整備管理者資格(取得までの期間:1ヶ月・難易度☆☆)
整備管理者になるためには、自動車整備士3級以上の取得、または2年以上の実務経験の後、整備管理者専任前研修を受けることで取得することができます。
【許認可等】一般貨物自動車運送事業の許可
一般貨物自動車運送事業で起業するためには、国土交通大臣の許可を得る必要があります。
許可要件は、5台以上のトラック、車庫の確保、運転者の雇い入れ、資格者の確保、6カ月の運転資金を証明するための残高証明書の提出などが必要となります。
手続きも煩雑なため、詳しくは行政書士に相談することをおすすめします。
併せて、役員の一人が法令試験に合格する必要があります。
この試験に合格しなければ運送業許可が下りないため、確実に取得しなければなりません。
合格率は60%前後と低くはないものの、きちんと学習しなければ取得は難しいでしょう。
許可の申請まで3~4か月程度かかります。
【年収の目安】規模による
7-2.軽貨物運送事業(貨物軽自動車運送事業)黒ナンバー
必須資格 | なし |
許認可等 | 貨物軽自動車運送事業の届出 |
年収の目安 | 平均380万円 |
【業務内容】
他社から運賃をもらい定められた場所まで軽貨物車両(軽トラックや軽バン)で荷物を運ぶ仕事です。
ネット通販で購入した商品を一般の家庭などに配送しているのが、軽貨物運送事業です。
事業用の黒ナンバーのナンバープレートの取得が必要になります。
一般貨物自動車運送事業 緑ナンバーの取得に比べ、申請の条件が軽いため個人事業主として1人で起業ができます。
【必須資格】なし
軽貨物運送事業で起業するための必須資格は特にありません。
当たり前ですが、普通自動車運転免許の取得は必要です。
【許認可等】貨物軽自動車運送事業の届出
軽貨物運送事業で起業するためには、最寄りの運輸支局に「軽貨物自動車運送事業経営届出書」の提出が必要になります。
【年収の目安】 平均380万円
8.小売・卸売業
8-1.せどり
必須資格 | なし |
役立つ資格 | 自動車免許(取得までの期間:2週間以上・難易度☆) |
許認可等 | なし ※取り扱い商品による |
年収の目安 | 個人差あり |
【業務内容】
市場に流通する商品を購入し、仕入れ値よりも高く販売する仕事です。
主に、大型の小売店やECサイトから仕入れ、アマゾンなどのECサイトやオークションサイト、フリマサイト、海外サイトで販売します。
会社員が副業として行っているケースも多いです。
【必須資格】
せどりで起業するための必須資格は特にありません。
【役立つ資格】自動車免許(取得までの期間:2週間以上・難易度☆)
多くの商品を仕入れるためには自動車免許があると便利です。
より遠くの店舗まで遠征できますし、仕入商品が増えても持ち運べます。
【許認可等】なし
取り扱う商品が中古品の場合は古物商許可が必要になります。
【年収の目安】個人差あり
販売する商品や、規模にもよりますが、年収1,000万円以上を目指すこともできます。
8-2.小売業
必須資格 | なし |
許認可等 | 販売する商品によって営業許可や免許が必要 |
年収の目安 | 300万円~500万円 |
【業務内容】
卸売り業者から仕入れた商品を、一般消費者に販売する事業です。
スーパーやコンビニ、衣料品店など多岐にわたります。フランチャイズで開業するケースも多いです。
【必須資格】
小売業で起業するための必須資格は特にありません。
【許認可等】
販売する商品によって営業許可や免許が必要になります。
例)弁当や総菜類、食肉製品など調理加工せずに食べられる食品を販売する場合⇒食品等販売業の営業許可
酒類を販売する場合⇒一般種類小売免許
【年収の目安】300万円~500万円
9.介護
9-1.デイサービス
必須資格 | 管理者・生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員の職種の配置が必要※それぞれの職種になるための資格が必要 |
許認可等 | 通所介護事業者指定申請が必要 |
年収の目安 | 施設規模による |
【業務内容】
要介護者に対して、日帰りでの介護サービスを提供する仕事です。
入浴や排せつ、食事等の介護を行います。
【必須資格】
デイサービスを開業するためには、管理者・生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員の職種の配置が必要になります。
それぞれの職種になるためには、それぞれ看護師や准看護師、社会福祉士などの資格が必要になります。
【許認可等】通所介護事業者指定申請
通所介護事業者指定申請には、人員基準、設備基準などの基準があり申請のために必要な書類も多く煩雑です。行政書士に相談することをおすすめします。
また、デイサービスを開業するためには、法人格を持つ必要があります。
【年収の目安】施設規模による
9-2.訪問介護
必須資格 | 介護福祉士/介護職員初任者研修 修了者/介護福祉士実務者研修 修了者/生活援助従事者研修 修了者のいずれかの資格 |
許認可等 | 訪問介護事業者指定申請が必要 |
年収の目安 | 400万円~1,000万円 |
【業務内容】
要介護者である高齢者の自宅に出向き、掃除や洗濯等を行う仕事です。
高齢化は進む一方ですので、需要はますます高まることが予想されます。
【必須資格】
訪問介護事業で開業するためには、介護福祉士/介護職員初任者研修 修了者/介護福祉士実務者研修 修了者/生活援助従事者研修 修了者のいずれかの資格が必要です。
訪問介護事業を開業するためには、管理者・サービス責任者・訪問介護員が必要になります。
この中のサービス提供責任者・訪問介護員になるために、上記の資格が必要になります。
管理者は資格保有の必要はありません。
【許認可等】訪問介護事業者指定申請
訪問介護事業者指定申請には、人員基準、設備基準などの細かい基準があります。
申請のために必要な書類も多く煩雑なため、行政書士に相談することをおすすめします。
また、訪問介護事業を開業するためには、法人格を持つ必要があります。
【年収の目安】400万円~1,000万円
10.専門サービス業
10-1.法律事務所
必須資格 | 弁護士(取得までの期間:3年以上・難易度☆☆☆☆☆) |
許認可等 | なし |
年収の目安 | 1,000万円〜3,000万円 |
【業務内容】
あらゆる法的トラブルを解決する仕事です。
【必須資格】弁護士(取得までの期間:3年以上・難易度☆☆☆☆☆)
国家資格の中でも最難関のうちの1つです。
受験ルートにもよりますが、最短でも3年以上はかかります。
【許認可等】なし
【年収の目安】1,000万円〜3,000万円
認知度の低いうちは、それほど売上が上がらないこともあります。
10-2.司法書士事務所
必須資格 | 司法書士(取得までの期間:1年以上・難易度☆☆☆☆) |
許認可等 | なし |
年収の目安 | 平均500万円 |
【業務内容】
法律に関連する書類の作成、手続き代行をする仕事です。
不動産登記や商業登記業務がメインです。
【必須資格】司法書士(取得までの期間:1年以上・難易度☆☆☆☆)
取得まで数年の学習時間が必要です。専門学校等も全国に存在するほど人気がある反面、合格率は約4%と狭き門です。筆記試験と口述試験があります。
【許認可等】なし
【年収の目安】平均500万円
10-3.行政書士事務所
必須資格 | 行政書士(取得までの期間:1年以上・難易度☆☆☆☆) |
許認可等 | なし |
年収の目安 | 数百万~数千万円 |
【業務内容】
県や市区町村、警察などに提出する公的な書類の作成や手続きの代行を行います。
事業をする際に必要な許認可等に関する手続きが多くを占めています。
【必須資格】行政書士(取得までの期間:1年以上・難易度☆☆☆☆)
取得まで数年の学習時間が必要です。長期的な学習スケジュールを立ててコツコツ勉強しましょう。
独学でも取得可能ですが、専門学校等で学ぶ方がスピーディに合格できます。
【許認可等】なし
【年収の目安】数百万~数千万円
営業力により大きく差が生まれる傾向が強いです。
10-4.税理士事務所
必須資格 | 税理士(取得までの期間:2年以上・難易度☆☆☆☆) |
許認可等 | なし |
年収の目安 | 平均1,000万円 |
【業務内容】
税務相談、税務書類の作成等、税金に関する仕事です。
会計業務のサポートや経営コンサルティングなどの業務も行います。
【必須資格】税理士(取得までの期間:2年以上・難易度☆☆☆☆)
2年以上の学習期間が必要な難関資格であり、合格後も2年以上の実務経験が必要です。
働きながら税理士試験合格を目指すなら、税理士事務所や税理士法人で税理士補助として働きましょう。
税理士補助は2年制の専門学校を修了後、税理士試験5科目に合格すれば最短2年で取得可能です。
【許認可等】なし
【年収の目安】平均1,000万円
10-5.社会保険労務士事務所
必須資格 | 社会保険労務士(取得までの期間:1年以上・難易度☆☆☆☆) |
許認可等 | なし |
年収の目安 | 平均500万円 |
【業務内容】
労働保険や社会保険の手続き代行や、労務に関するコンサルティング業務を行っています。
【必須資格】社会保険労務士(取得までの期間:1年以上・難易度☆☆☆☆)
社会保険労務士には受験資格が定められています。
4年制大学で一般教養課程や62単位以上を習得した人、法人の役員または従業員として通算3年以上事務に従事した人、司法試験予備試験に合格した人、行政書士資格を有している人等です。
たとえば4年制大学を卒業した人ならいつでも受験可能ですが、高卒以下の人は3年以上の事務経験や各種試験に合格しなければ受験できません。
【許認可】なし
【年収の目安】平均500万円
11.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、業種毎に必要な資格や許認可について紹介してきました。
資格の取得に、数年を要する業種や、許認可の取得に煩雑な手続きが必要な業種もあります。
起業に向けて、はやめはやめに準備を進めていきましょう。
資格取得への第一歩が、起業への第一歩です!
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