
「節税、そろそろ本気で考えなきゃな…」
そんな風に思いながら、気がつけば年末が近づいていませんか?
事業の売上が伸びてくると、それに比例してずっしり重くのしかかるのが“税金”。
何かいい対策はないかと調べているうちに、「小規模企業共済」という言葉を見かけた方も多いはずです。
でも、正直こう思いませんでしたか?
「名前が堅いし、なんか難しそう…」
「退職金?自分にはまだ関係ないかも…」
安心してください。
この制度、実は今すぐ、誰でも、簡単に使える“節税の裏ワザ”なんです。
しかも、掛けた金額がそのまま全額所得控除になるという、他にはない強力な仕組み。
本記事では、特に注目すべき「節税効果」に絞って、小規模企業共済の使い方をわかりやすく解説していきます。
年収別の節税額や、専門家が実際に使っている“年末の駆け込みテクニック”もご紹介。
読み終わった頃には、あなたも「これは今すぐ始めるべきだ」と感じているはずです。
目次
1. 小規模企業共済とは?──「退職金制度」の顔をした、実は“最強の節税策”
小規模企業共済とは、個人事業主や中小企業の経営者が将来のために積み立てる「退職金制度」です。
中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する、公的な制度のひとつであり、安心して利用できるのが特徴です。
◆ 建前は「退職金」、でも現実は“節税目的”が9割
制度の目的としては、「廃業や退任時にまとまった資金(共済金)を受け取れるようにしましょう」というもの。
つまり、経営者自身が自分の退職金を自分で積み立てる制度です。
ただし、実際にこの制度を活用している人のほとんどは「節税目的」で加入しています。
正直に言えば、「退職金の準備として加入している」という人は少数派です。
掛金が全額所得控除になるという圧倒的な節税メリットが、この制度の最大の魅力なのです。
◆ 仕組みをカンタンに言うと…
・毎月、1,000円〜7万円の間で「掛金」を積み立てる(500円単位で変更可能)
・掛けたお金は、退職や廃業時に「共済金(いわば退職金)」として受け取れる
・しかも、その掛金は全額が所得控除の対象となり、税金が大幅に安くなる
節税しながら、将来の備えもできる「一石二鳥」の制度。それが小規模企業共済です。
◆ 誰が加入できるの?
小規模企業共済に加入できるのは、以下のような「小規模な事業者や経営者」です。
・個人事業主(開業届を提出している人)
・中小企業の経営者(株式会社や合同会社の役員など)
・その配偶者や後継者も一定条件下で加入可能です
✅ 原則として、従業員数が常時20人以下(商業・サービス業は5人以下)の事業者が対象です。
法人経営者の場合は?──節税できるのは“会社”ではなく“社長個人”
法人の経営者(社長や役員)も、小規模企業共済に「個人」として加入できます。
ここは特に勘違いが多いポイントなので、しっかり押さえておきましょう。
✅ 加入できるのは「法人」ではなく、「役員個人」
✅ 掛金は「法人の経費」ではなく、「役員報酬から個人で支払う」もの
✔ つまり、小規模企業共済は「法人税の節税」ではなく、「社長の所得税・住民税の節税」に使える制度なのです。
たとえば、社長が毎月7万円(年間84万円)の掛金を支払えば、その全額が控除されるため、所得税・住民税を合わせて年間15〜30万円以上の節税効果が期待できます。
◆ どれくらい節税できる?【年収別シミュレーション】
たとえば、課税所得が200万円〜1,000万円の40歳の人が、毎月7万円(年間84万円)を掛金にした場合、次のような節税効果が期待できます。
課税される所得金額 | 年間節税額(所得税+住民税) |
200万円 | 129,400円 |
400万円 | 241,300円 |
600万円 | 255,600円 |
800万円 | 281,200円 |
1000万円 | 367,000円 |
※一定の条件下での試算結果です。
所得金額が1,000万円の方が、小規模企業共済に毎月7万円ずつ掛けた場合、1年間でおよそ36万7,000円もの税負担を軽減できます。
この条件で3年間積み立てを継続すれば、トータルで約110万円超の節税効果が得られることになります。これだけのインパクトがある制度は、他ではなかなか見つかりません。
一括で受け取る場合は、「退職所得」として扱われ、他の所得よりも税率が大幅に優遇されます。
分割で受け取る場合は、「公的年金等の雑所得」として課税されますが、こちらも控除があり、実質的な税負担は比較的軽く済みます。
また、共済金の受取人が死亡していた場合には「死亡退職金」として相続税の非課税枠が適用され、一定額まで相続税がかからない仕組みになっています。
このように、小規模企業共済は「入るとき」だけでなく、「もらうとき」まで税制上の優遇がある、非常にバランスの取れた制度です。
とはいえ、小規模企業共済は「節税できるからとりあえず入ればいい」という単純な制度ではありません。
実は、途中で解約すると損をしてしまうリスクや、節税効果をより効果的に引き出すための運用方法もあります。
次章では、加入前に押さえておきたい注意点と、制度を賢く使うための実践的なポイントを、専門家の視点から解説していきます。
2. 小規模企業共済の注意点と賢い活用法
加入前に知っておきたい、「解約リスク」と「前納活用法」
節税メリットが大きい小規模企業共済ですが、加入前に知っておくべき注意点や、よりお得に使うテクニックも存在します。
ここでは、特に重要なポイントを2つに絞って解説します。
◆ 加入から20年以内の任意解約は「元本割れ」に注意!
小規模企業共済は、基本的に退職や廃業時に受け取る制度ですが、20年未満で途中解約すると元本割れする可能性があります。
短期間での利用には向かないため、長期運用を前提に加入するのが基本です。
そして逆に、20年以上しっかり掛け続けていれば、受け取る共済金が掛金の総額を上回ることもあります。
長く続けることで、節税だけでなく積立としての“リターン”も得られる制度だということを覚えておきましょう。
◆ 賢い節税活用法:年末の“前納”で節税効果を一気に引き出す
小規模企業共済では、掛金を1年分まとめて支払う「前納制度」が用意されています。
この制度を使えば、12月に翌年分の掛金を支払って、その年の所得控除として計上できるため、いわゆる個人事業主の「年末の駆け込み節税」が可能になります。
たとえば…
12月に前納で84万円を支払えば、その年の所得から一括で84万円控除される
これにより、年内の利益が出て節税したいタイミングで、柔軟に節税調整ができるわけです。
専門家の間でも定番のテクニック。使い勝手の良い方法です。
補足:資金が必要になったら「貸付制度」も使える
共済に積み立てた資金は、実は「事業資金」として借りることも可能です。
低利(年1.0〜1.5%程度)で貸付を受けられるため、資金繰りが一時的に苦しいときの“セーフティネット”として活用できます。ただし、これは「借入」なので返済が必要です。あくまで“最後の手段”として考えておくとよいでしょう。
ここまでで、小規模企業共済には大きな節税メリットがある一方で、長期的に続ける前提で活用するべき制度であることもお分かりいただけたかと思います。
では実際に、加入するにはどうすればいいのか?
次章では、初めての方でも安心して始められる「加入手続きの流れ」をわかりやすく解説していきます。
3. 小規模企業共済の加入方法
ここまで読んで、「節税できるならすぐにでも始めたい」と感じた方も多いのではないでしょうか?
ご安心ください。
小規模企業共済は申し込みがとてもカンタンで、初めての方でもスムーズに始められます。
◆ 加入までの流れ【たったの3ステップ】
1.申込書の入手
・最寄りの金融機関(銀行・信用金庫・信用組合・JAなど)にて配布
・中小機構のホームページから資料請求も可能
2.必要書類の準備
・【個人事業主】確定申告書の控え(事業を始めたばかりの場合、開業届の写し)
・【法人役員】登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
3.金融機関窓口で手続き
金融機関へ書類を提出
登録完了後、数週間で「共済契約者証」が届き、掛金の引き落としが開始。
ほとんどの金融機関で予約不要。空いていれば30分ほどで手続き完了します。
◆ オンライン申請はできる?
マイナンバーカードを持っていれば、オンライン手続きが便利!
マイナンバーカードの読み取りに対応してるパソコン及びICカードライタ、またはマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンをお持ちなら、オンラインで加入手続きが可能です。
詳しくはこちらから
▶共済サポートnavi 中小機構の共済制度
4.まとめ:節税も老後の備えも、小規模企業共済で“いま”始める
小規模企業共済は、個人事業主や中小企業経営者にとって、節税しながら将来の資金も準備できる、非常に優れた制度です。
この記事では、以下のポイントをお伝えしました。
✅ 掛金は全額が所得控除の対象。年収によっては年間30万円以上の節税効果も。
✅ 節税メリットだけでなく、退職時の受け取りも税制上有利。
✅ ただし、20年未満の解約は元本割れのリスクがあるため、長期利用を前提に。
✅ 年末の「前納制度」を活用すれば、さらに柔軟な節税対策も可能。
✅ 加入手続きはとても簡単で、最寄りの金融機関またはオンラインで申し込み可能。
「節税したい」「将来に備えたい」と考えているなら、まずは一歩踏み出すことが重要です。
すぐに始めなくてもかまいません。
ただ、知っているのと知らないのとでは、将来の選択肢も、いま支払う税額も、大きく違ってきます。
まずは資料を取り寄せて、具体的に検討してみてはいかがでしょうか?
小さな一歩が、あなたの事業と将来を大きく支える資産になります。
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