専門家が読み解く!日本政策金融公庫は個人信用情報どこまで調べる?

専門家が読み解く!日本政策金融公庫は個人信用情報どこまで調べる?

日本政策金融公庫は、融資の審査を行う際に、事業内容、事業計画だけでなく代表個人についてなど様々な要素を詳細に調査しています。

特に、個人の信用情報については融資の可否を判断する重要なポイントです。
実際に、
●「過去に、ローンの支払いが遅れたことがあった」
●「クレジットカード利用代金の引き落としが出来なかったことがあった」
●「10年近く前に、破産をしたことがあるか融資は受けられるか?」

などと、ご自身の信用情報に不安を抱えた方からのご相談を多く受けることがあります。
そこで今回は、日本政策金融公庫が個人の信用情報についてどこまで調べているのか、詳しく解説していきます。

個人の信用情報以外の調査ポイントについても記事の後半で解説していますので、是非最後まで確認し融資審査に備えるようにしてください。


1. 日本政策金融公庫は個人の信用情報についてどこまで調べる?

日本政策金融公庫は、個人の信用情報を信用情報機関から取得しています。
具体的にどのような情報を取得しているのか、次の3つのポイントから詳しく解説します。

1-1.信用情報の調査の範囲
1-2.信用取引の契約内容に関する情報
1-3.信用取引の返済状況に関する情報

1-1.信用情報の調査の範囲

信用情報機関に登録されている情報は、ローンやクレジットカードなどの信用取引に該当するものです。
税金や社会保険、電気代などの公共料金の支払い状況は、登録されていません。

信用取引に該当信用取引に該当しない
住宅ローン
車のローン
教育ローン
カードローン
クレジットカード
スマホの分割払い
奨学金

税金
社会保険料
公共料金
家賃

 

日本政策金融公庫は、次の3つの個人信用情報機関に加盟しているため、個人の信用情報を網羅的に調査することができます。

機関名登録内容
株式会社シー・アイ・シー(CIC)クレジットカード
各種ローン
全国銀行個人信用情報センター(全銀協)銀行ローン
奨学金
株式会社日本信用情報機構(JICC)消費者金融のローン

※信用取引に該当しない、税金や公共料金の支払い等も、信用情報の調査では対象外ではありますが、融資の審査では別途確認が行われます。

1-2.契約内容に関する情報

日本政策金融公庫は、ローンやクレジットカードなどの信用取引に該当する契約の内容について詳細な情報を取得しています。
現在取引のあるものだけでなく、過去5~10年間の取引記録が残っています。
具体的には、下記の情報が閲覧できるようになっています。

・申込日
・商品の種別
・契約日
・契約の種類
・金額
・貸付日
・保証額

「いつ」、「どのような商品を」、「いくらで契約したのか」までしっかりと確認されています。

1-3.信用取引の返済状況に関する情報

日本政策金融公庫は、契約をしている信用取引に関する返済状況についても情報を取得しています。
現在取引のあるものだけでなく、過去5~10年間の取引記録が残っています。
具体的には、下記の情報が閲覧できるようになっています。

・支払状況(返済日)
・入金予定日(返済予定日)
・残高
・完済日
・延滞状況
・官報情報(自己破産・個人再生・任意整理)

など

日本政策金融公庫が、この返済状況を確認した際に、支払い遅延が常習的であったり、自己破産の記録が残っている場合は、融資の審査をクリアするのは非常に難しくなります。

専門家からのアドバイス

まとめると、日本政策金融公庫は、過去5~10年間に契約したクレジットカードやローン等の契約内容、返済状況について全て把握しているということになります。
もし、支払いの遅延や、破産の履歴がある場合は、情報の保管期間が過ぎるまで融資の申し込みを見送る、融資を受けずに事業を行うなど事業計画の見直しが必要になります。

これらの信用情報は、個人でも開示請求をすることが可能です。
少しでも信用情報に不安がある場合は、融資の申込をする前に、各個人信用情報機関に情報の開示請求を行い問題がないか確認するようにしましょう。

手数料が発生しますが、ネットや郵送で開示請求をすることができます。

機関名登録内容
株式会社シー・アイ・シー(CIC)クレジットカート
各種ローン
全国銀行個人信用情報センター(全銀協)銀行ローン
奨学金
株式会社日本信用情報機構(JICC)消費者金融のローン

※機関名クリックで、各個人信用情報機関のサイトへリンクします。
取得した個人信用情報の内容の見方については、こちらの記事を参照してください。


2. 信用情報以外に調査されるポイント

前章では、日本政策金融公庫が個人の信用情報についてどこまで調べているのか解説してきましたが、融資の審査は、個人の信用情報だけで決まるわけではありません。

日本政策金融公庫は、信用情報以外にも多岐にわたる情報を調査し、総合的な判断を行います。
日本政策金融公庫は、個人の信用情報以外にも提出した書類や面談から得た情報を元に次の7点についても詳しく調査を行っています。

2-1. 自己資金の出所について
2-2. 日々の支払い状況
2-3. 家族の仕事や収入
2-4. 事業の経験
2-5. 取引先の状況
2-6. 役員について
2-7. 開業地(現地調査)

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1. 自己資金の出所について

自己資金の額だけでなく、その自己資金をどのように貯めてきたのか、調達してきたのかについて確認します。
融資面談の当日、通帳の原本の持参を求められ、その通帳の取引明細から、お金の動きを確認しています。

毎月一定の額を、給与受取口座から別口座にコツコツと振替している形跡があると、審査における評価は高くなります。
一方、直近で多額の金額が一度に振り込まれているなどの形跡があると、「見せ金」を疑われてしまいます。

この振込元が、代表者と同一名義であったり、保険会社や証券会社からの入金で別の口座や有価証券で保有していたものであることが証明できれば、問題ありませんが、全く関係のない第三者の名義であったり、現金で直接入金されている場合、「見せ金」と判断され、自己資金の評価は0になってしまいます。

2-2. 日々の支払い状況

通帳の入出金明細から、家賃や公共料金、税金など信用取引以外の支払い状況について確認します。
入金と支出のバランス、無駄な支出がないかなど、生活習慣や金銭管理能力を把握します。
直近で、大きな金額の支払いや入金履歴が載っている場合、内容について詳しい説明を求められることがあります。
学費の支払い、住宅購入の頭金など、納得のいく理由であれば特段、問題はありません。

2-3. 家族の仕事や収入

家族の仕事や収入等も考慮されます。
家族が安定した収入を持っている場合、代表者本人が失敗した際のリスクが低減するため、審査の評価が上がることがあります。

2-4. 事業の経験

これまでの経験や、職務経歴も重要です。
過去の職務経験がどう活かされるかを審査されます。
経営者として必要な、管理部門の経験があると高く評価されます。

2-5. 取引先の状況

既に契約している取引先や、今後予定している取引先の信頼性や安定性も確認されます。
取引先の信用が高いほど、ビジネスの成功可能性が高いと判断されます。

取引先が1社に依存している場合、その取引先の信用力が低いと融資の審査に大きく影響します。
なるべく複数の取引先を確保するようにしましょう。

2-6. 役員について

代表者の他に、役員を定めている場合、その役員の経歴や信用情報も調査されます。
役員が過去に日本政策金融公庫から融資を受けており、返済が出来なくなってしまっていると、マイナスの評価になってしまいます。

2-7. 開業地(現地調査)について

日本政策金融公庫の担当者は、融資面談の実施後、開業予定地を訪れ、立地条件や市場環境を調査します。
周辺の競合状況やターゲット顧客層の存在も審査の一部となります。


3. まとめ

いかがでしたでしょうか?

日本政策金融公庫は、過去5~10年間に契約したクレジットカードやローン等の契約内容、返済状況について全て把握しています。
個人の信用情報は、融資の可否を判断する重要なポイントです。
いくら、しっかりとした事業計画を作成していたとしても、ローンの支払い遅延が常習的であったり、自己破産等の履歴が残ってしまっている場合、一発でアウトとなる可能性が高くなります。
少しでも、信用情報に不安がある場合は、事前に各個人信用情報機関から情報を開示請求し、自身の信用状況を確認するようにしましょう。

また、日本政策金融公庫は、信用情報以外にも多岐にわたる情報を調査し、総合的に融資の可否を判断します。
2章で解説した7つのポイントも踏まえ、しっかりと準備し、審査に臨むことが成功への近道です。

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