ビジネスモデルキャンバスとは?基本事項から作成手順までを徹底解説

ビジネスモデルを考える人

ビジネスモデルキャンバスとは分からない方必見の、基本から作成手順まで分かる内容をお伝えします!

ビジネスモデルキャンバスという言葉をご存知でしょうか?
経営を学ぶ人でなければ、あまり耳にしない言葉かと思います。

しかしこれは、事業を行う人にとって基本の【型】となります。
基本の【型】なのでこれから事業を行う人から、すでにいくつかの事業は軌道に乗っている
経営者まで、いつでも利用すべきものです。

この記事を読んでビジネスモデルキャンバス作成に挑戦してみてください。
必ず、事業の新しいアイディアの発見や現在の不足事項をあなたに与えてくれるはずです。

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1.ビジネスモデルキャンバスとは

ビジネスモデルキャンバスとは、そのビジネスの【循環】を【9つの項目に区分して】
1枚の絵にまとめたビジネスモデルの設計図です。

ビジネスは、一回売って終わりではなく、その利益を元手にさらなる投資を行い
より良い商品・サービスを提供するという好循環がなければ事業に衰退に向かってしまいます。

ビジネスモデルキャンバスを作成すると自分のビジネスは
①どのような循環の上に成り立っているのかを見える化でき、
②今のビジネス構造にはどのような不足があるのか、
③競合他者とはどのような違いがあるのかを発見できる

大きな武器となるものです。

1枚の紙(キャンバス)と鉛筆を用意して、かけるところだけで構いません。
この記事を読みながら今、頭の中にあるビジネス構想をキャンバスに落とし込んで見てください。


2.ビジネスモデルキャンバスの効果

ビジネスモデルキャンバスの効果は無数にありますが、その中でもわかりやすい効果を3つ紹介します。

ビジネスモデルの全体像が見やすい

1つ目は、ビジネスモデルの全体像が見やすい点にあります。

なぜならば、1枚の紙に書く事によりひと目で大きな流れを把握でき、
後に紹介する9つの項目は「見込み顧客の選定」から「資金の流れ」まで、
そのビジネスの循環がわかるものとなっているからです。

競合他社の分析に使える

2つ目は、競合他社の分析に使えるという点です。

ビジネスモデルキャンバスは、競合他社のものについても作成できる部分があります。
自社のビジネスモデルキャンバスを作成したら同様に競合他社のについても作成してみてください。
並べて分析することにより自社サービス・商品の差別化の方向性が見えてくるかもしれません。

ビジネスの説明に使える

3つ目は、ビジネスの説明に使えるという点です。

ビジネスモデルキャンバスは、社長が一人で見るためだけのものではありません。
上述のように1枚の紙でビジネスの循環が把握できるということは、
【金融機関での資金調達時】【出資者や従業員への事業計画の説明時】に大きく役立ちます。


3.ビジネスモデルキャンバスとの使い方
(いつ・どの段階で使用するか) 

ビジネスモデルキャンバスは、今作成を初め、そしてその後も常に使い続けるものです。
事業がスタートする前でも、軌道に乗ったあとでも構いません。
そのビジネスはどのような循環の上に成り立っているのかを俯瞰する素晴らしいアイテムとなります。

最初は、作成が難しくともアイディアを思いついた時、課題に気がついた時、
いつでもビジネスモデルキャンバスを更新し改善することによって、
ビジネスを成功させるヒントを自分で作り出せるようになっていきます。

また、作成に慣れてきたらビジネスモデルキャンバスを「会社単位」「事業部門単位」「商品単位」など
様々な大きさで作成することも可能です。
これにより様々な視点から事業を再確認しビジネスを続けるヒントになります。

次章から説明する基本9項目をご自身に当てはめて書き出してみてください。


4.ビジネスモデルキャンバスの基本【9つの構成要素】

まずはじめに、ビジネスモデルキャンバスは9つの構成要素を記載した1枚の紙(キャンバス)であることが重要な前提です。
また、それぞれの項目を記載する位置も定まっています。

ビジネスモデルキャンバスの9つの構成要素

 

9つの項目を1番から9番まで決まっていますのでそれぞれの項目に対するプランを記載してください。

4-1.顧客セグメント(CS:Customer Segments)

【商品・サービスを誰に提供するか】を記述する項目です。
自社サービス・商品を求めている顧客を分析します。
その際には、大まかなグループとしてまとめる方法から、細かい顧客情報を定めた特定の人物像を考える方法があります。
特定の人物像を考えたほうが自社サービスの提供したい価値が明確にでき、競合他社との差別化につながります。

例えば、スポーツジム経営の場合、
・対象顧客を大まかなグループとして考える場合は
「30代・男性・仕事帰り」や「50代・主婦・昼間」といった表現になりますが、

・さらに特定の人物像を想定することにより
「30代・男性・ダイエットをしたい・スポーツをした経験はない・子供と運動をする機会がほしい」など
設定を細かくすることにより自社がどのような層へアプローチをしたいのか明確にできます。

この際、複数の人物像が出てくるようであれば、別のキャンバスを用意しましょう。

4-2.価値提案(VP:Value Propositions)

ターゲットとなる顧客セグメントに対して
【どのような価値を提供するか】【どのようなニーズを満たすサービスを行うのか】を記述する項目です。

自社だからこそ出来るサービスは何か?
なぜ、顧客はそのサービスを選んでくれるのか?
という自問に対して答えを見つけていく作業になります。

スポーツジムの例ならば

・「マンツーマンの徹底した管理により、必ず痩せられる」
・「お手軽に運動出来る機会を提供できる」など

その会社が一番に届けたい顧客層に対し、自社だからこそ出来る価値の提供を考えてください。

それは、ビジネスの根幹でありビジネスモデルキャンバスの中心となります!

4-3.チャネル/販路(CH:Channels)

ターゲットとなる顧客に対して【どのように価値を届けるか】を記述する項目です。

どうやって自社商品・サービスを知ってもらうか、どのように購入してもらうかを記載します。

例えば、

・商品は「店舗販売orネット販売」なのか
・広告は「オンライン広告・SNS or新聞広告(チラシ折込)」なのか
・サービスの提供は「店舗型or派遣型」なのか

どのようにすれば顧客が自社商品・サービスを知ってもらう事ができるのか考えてください。

4-4.顧客との関係(CR:Customer Relationships)

【どのように顧客との関係性を構築、維持、発展させていくか】を記述します。

新規顧客の開拓は、事業を継続していく上で重要なのはもちろんですが、
既存顧客、リピーターの獲得についてはより重要となってきます。
1度商品・サービスを購入した顧客とどのように関係性を維持していくかも同時に考えます。

例えば、「店頭での売り切り商品(ケーキなど)」であり

・「2度、3度買ってもらうためのポイントカード施策」
・「ジム会員など月謝制」で「長期会員特典の設定」
・「長期利用する製品」で「アフターサービスの充実」

などを考えます。

4-5.収益の流れ(RS:Revenue Streams)プレビュー

【どのような価値にお金を払うのか、何にお金を払っているのか、どうやってお金を払っているのか】を記述します。

自社商品サービスのどのような価値に顧客はお金を払うのかという点は、
4-2価値提案と似てきますが自社商品サービスのウリを考えます。

・「大量購入することによる安売り」なのか
・「会員を集めることによる月額制ビジネス」なのか

などそれにより、収益が現金化されるタイミング(マネタイズポイント)が異なります。

小売業であれば、先に商品仕入れが発生するため元手となる資金が必要になります。
会員制ビジネスであれば先に会費を回収することで売上からサービスの提供が可能になります。
(会員を集めるための広告費は除く)

自身の事業のマネタイズポイントがいつになるのか、他に追加できる部分はないか意識しましょう。
また、最後にコストと比較するので予想される売上単価と客数により売上高を予測しましょう。 

4-6.主な資源(KR:Key Resources)

価値提供に必要な【人、物、金、情報】を記述します。

4-2価値提案で抽出した「自社であるからこそ出来るサービス」がなぜ出来るのかがこの部分となります。

例えば、

・「自分自身に顧客のニーズを満足させる事ができる知識と経験がある(人)」
・「営業力のある技術者がスタッフにいる(人)」
・「特殊な製品を製造する工場がある(物)」
・「新たな事業に投資できる資金をもっている(金)」
・「美味しい料理のレシピを持っている(情報)」

など、提案した価値を実現できる理由を記載します。

4-7.主な活動(KA:Key Activities)

価値提案を行うための【必ずしなければならない活動】を記述します。

例えば、前述のスポーツジムの例ならば

・「店舗の開設」
・「機材の調達」
・「同エリア内の市場調査」
・「トレーナーの採用」

など実行しなければならないものを記述します。

4-8.主要パートナー(KP:Key Partners)

【外部提携をしていく協力者】を記述します。

事業を行うにあたって、全てを自社のみで完結する必要はありません。
各々の部門のプロと連携して事業を進めることが望ましいです。

・「食材・物品仕入の商社」
・「HPの保守・更新業者」
・「高額備品のリース業者」
・「販売委託先」
・「税理士への経理業務のアウトソーシング」

など自社スタッフが価値提案を一番に取り組めるように適切な提携先を考えましょう。

4-9.コスト構造(CS:Cost Structure)

【必要コスト(変動費と固定費)】を記述します。商品・サービス提供を行うにあたって見込まれるコストを全て記載します。
その際は、変動費と固定費で分けて考えます。

変動費は、売上高に応じて変化する費用で
・「仕入高」
・「製造原価」
・「外注費」
・「アルバイト代」など
固定費は、
・「人件費」
・「広告宣伝費」
・「地代家賃」
・「保険料」などです。

すでに事業を行っている場合は「損益計算書」を参考にしてください。

コスト抜き出したら、4-5収益の流れと比較し差額が利益となります。
ここで利益が見込めない場合はそれぞれの項目を修正する必要があります。

 

ビジネスモデルを構築する人々


5.ビジネスモデルキャンバスの手順

ビジネスモデルキャンバスを構成する9つの要素は、理解できましたでしょうか?
どのようなことを書く項目かだけわかればここまでは大丈夫です。

それでは、ビジネスモデルキャンバスを作成する手順をお伝えしていきますので、ぜひやってみてください。

1.順番は気にしない

ビジネスモデルキャンバスには、1番から9番まですべてのブロックに番号が振られていますが、
1番から順番に記入していかなければならないものではありません。
書きやすいところから初めて大丈夫です。

2.まずはアイディア出し

まずはアイディア出しです。気楽に考えていることをどんどんと書き込みましょう。(付箋を使うと便利です。)
繋がりは考えなくても大丈夫です。

3.思いつかない部分はそのままでも大丈夫

思いつかない、何を書けばいいかわからないということも発生します。
その場合は無理に書かなくても大丈夫。
ビジネスモデルキャンバスは、普段から目にしておきどんどんと更新していくことに意義があります。

4.ストーリーを作る

かきだしたアイディアを基に各項目を繋ぐストーリーを作っていきます。
ビジネスモデルは論理的につながっていることが重要です
ストーリーとすることで意識せずとも因果関係が出来上がっていきます。

5.余ったアイディアはもう一枚のビジネスモデルキャンバスへ

一枚のビジネスモデルキャンバスに多すぎる顧客セグメント(CS)や価値提案(VP)は、
構造が見えにくくなり、ビジネスモデルキャンバスの一枚で俯瞰できるメリットと相反してしまいます。
多数のアイディアを出して余ったものについては、もう一枚のビジネスモデルキャンバスを作成しましょう。

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まとめ

ビジネスモデルキャンバスとは、9つの構成要素を1枚の紙に落とし込むことによるビジネスモデルの可視化です。

これを作成することにより、自社商品・サービスをどのような顧客層に届けたいのか、
それは顧客の心に響くものなのかを考え直すきっかけとなり、新しいアイディアを出すためのきっかけとなります。

初めは、何を書くべきか難しいかと思います。ビジネスモデルキャンバスとは、一度で完成させるものではありません。
新しく思いついたときには、どんどん書き加えることによってブラッシュアップさせていくものです。
さらには、別の視野でビジネスを考えたいときには、別のキャンバスを用意して新しいものを作成していきます。

そうすることにより、より洗練された自分の会社のビジネスモデルを作り上げていくことが可能です。

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