日本政策金融公庫の創業計画書の書き方11ステップ!審査を通すためのテクニックを完全公開!

創業計画書作成のために話し合いする人

日本政策金融公庫の創業計画書の詳しい書き方が知りたい方必見!

念願の独立、起業。
他社にはないサービスを提供したい!店舗の内装は妥協したくない!
とこだわるほど、想像していた以上に開業資金は膨らんでしまうものです。
創業時の資金調達の選択肢として、日本政策金融公庫の創業融資制度があります。

日本政策金融公庫の創業融資を受けるためには、創業計画書の作成や融資面談を受け、審査をクリアしなくてはなりません。
特に、創業計画書の作成は審査を通過する上で、大変重要と言われています。

しかし・・・
「何をどう書いたらいいのかわからない!」
「売上の見通し?経費の算出?どうやって計算したらいいのかわからない!」
と頭を悩ませている方がほとんどです。

日本政策金融公庫のホームページには、創業計画書の記載例がいくつかアップされていますが、記載例を真似したところで、そう簡単に融資は受けられるものではありません。

そこで今回は、日本政策金融公庫では教えてくれない、日本政策金融公庫の融資審査に通る創業計画書の書き方について、資金調達の専門家が徹底解説していきます。


1.日本政策金融公庫の創業計画書の書き方11ステップ!

日本政策金融公庫の創業計画書は次の11のステップを順にクリアしていくと完成させることができます。
資金調達の専門家が一つ一つ丁寧に解説していきます、手元に創業計画書を用意して一緒に書き上げてしまいましょう!

創業計画書の書き方手順

創業計画書の作成前に・・・

創業計画書は、創業間もない事業者が日本政策金融公庫から融資を受ける上で大変重要な書類です。
創業間もない事業者は、事業の実績もなければ、会社としての信用もない状態です。
ですが、それは一つのチャンスとして捉えることができます。

創業時は、計画さえしっかりしていれば融資を受けられるという、おいしいタイミングでもあります。
事業を開始して半年でも経つと、その半年間の実績を見て融資可否を判断されることになってしまうからです。
そのため、この創業計画書は、創業間もない事業者にとって融資の可否を判断してもらうための重要な書類であると言えます。

しかし、計画が絵にかいた餅になってしまっては、全く意味がありません。
きちんと事業が続けられるよう、現実に基づいた創業計画書を作成することが大前提であることを忘れないようにしてください。
早速、創業計画書の書き方について、解説していきます。

ステップ1.創業計画書のダウンロード

日本政策金融公庫の創業計画書をダウンロードします。
日本政策金融公庫のホームページからダウンロードできるようになっています。
下記URLからダウンロードしてください。
Excel形式とPDF形式があります。
おすすめは、何度も書き直しのできるExcel形式です。

創業計画書(Excel)
創業計画書(PDF)
創業計画書の見本

ステップ2.創業の動機を記入

手元に創業計画書が用意できたら、早速、創業計画書の「1.創業の動機」から記入していきます。

創業の動機の記入欄見本

創業の動機は、創業に対する熱い想いを伝える項目です。
自分自身の言葉で、創業に至った経緯や思いを第三者が見ても実現可能だと思わせるように記入していきます。
次の手順に従って、創業に対する思いを整理して、文章を完成させていきましょう。

手順1.創業の思いを整理する

次の質問に答える形で創業への想いを整理してみましょう。

Q1.いつから創業したいと考えていましたか?
Q2.創業するために、いつから、どのような活動をしてきましたか?
Q3.活動の結果、得られた実績や経験は何ですか?
Q4.なぜ今のタイミングで創業しようと思ったのですか?
Q5.ご自身が創業することで、何を実現することができますか?社会にどう貢献することができますか?

手順2.質問に対する回答を文章に落とし込む。

以下のテンプレートを参考に、手順1で整理した創業への思いを文章に落とし込んで、実際に創業計画書の「創業の動機」の欄に記入していきましょう。
ご自身なりにアレンジしていただいて構いません。

 

【創業の動機テンプレート】

○○○○頃から、創業したいと考えるようになり、○○年から○年間○○○で○○○を続けてきました。
努力の結果、○年には、○○○○という実績を残すことができ、たくさんのお客様に喜んでいただくことができました。
そこで、今回、○○○をきっかけに、家族や友人の応援もあり、今回創業を決意いたしました。
創業することで、以前からの夢である○○○を提供することや、○○○をすることで地域の発展に貢献することができると考えています。

審査に通る!「創業の動機」のポイント

・創業が一時の思いつきでなく、準備をしてきた結果であることをアピールしましょう。
・創業するためのスキルが身についていることをアピールしましょう。
・なぜ今のタイミングでの創業するのかを伝えましょう。
・創業することで実現したいことをアピールしましょう。
・書ききれない場合は、創業の動機の欄には「別紙参照」と記入し、別紙を添付しても問題ありません。

【創業の動機の記入例】 洋菓子店創業の例

創業の動機の記入例

1.いつから創業したいと考えていましたか?

 中学生の頃に食べたチョコレートケーキに衝撃を受け、パティシエになって自分のお店を持ちたいと思った。
  ⇒下線部①

2.創業するために、いつから、どのような活動をしてきましたか?

 高校卒業後、パティシエの専門学校に通い、卒業後は東京の○○ホテルで5年働いた。その後フランスにわたり、ミシュラン2つ星レストランで5年間修業した。
  ⇒下線部②
 3.活動の結果、得られた実績や経験は何ですか?
 パティシエのコンクールで入賞できた。
  ⇒下線部③
 4.なぜ今のタイミングで創業しようと思ったのですか?

コンクールの入賞をきっかけに、恩師や家族からの応援があった。
⇒下線部④

5.ご自身が創業することで、何を実現することができますか?社会にどう貢献することができますか?

 地元の食材をふんだんに使ったスイーツを地元の方々に提供することができる。
  ⇒下線部⑤

ステップ3.経営者の略歴の記入【重要】

次に創業計画書の「2.経営者の略歴等」について記入していきます。
経営者の略歴は創業計画書の中で特に重要な項目です。
なぜなら、創業時は、事業の実績がない分、経営者がこれまで積んできた経験が融資の可否の判断に直結するからです。

経営者の略歴の記入欄の見本

(1)~(3)を各項目ごとに解説していきます。

(1)経歴

基本的には、就職してからの経歴を記載していきます。
勤めていた会社名を記入していきます。また、勤務先での担当業務や役職、身に着けた技術についても記載します。

審査に通る!「経営者の略歴」のポイント

・経営者の略歴は、「創業の動機」の内容と矛盾がないようにしましょう。
・就職する前にこれから開業する事業に関係するようなアルバイトをしていたり、専門学校に通っていた場合は、学歴、アルバイトの経験についても書きましょう。
・経営者として必要な、経理・労務・法律・マネジメント・管理業務などの知識や経験があるとアピールになります。
・記入しきれない場合は、「経営者の略歴」の欄には「別紙参照」と記入し、別紙を添付しても問題ありません。

【経営者の略歴の記入例】 美容室創業の例

経営者の略歴等の記入例

(2)過去の事業経験

過去に経営の経験がある場合は、事業の内容を含め正直に記載しておきます。
事業をやめている場合は、やめた時期を記載します。

審査に通る!「過去の事業経験」のポイント

・過去に事業を経営しており、仮に失敗してしまっていた場合も正直に記載しましょう。
 失敗してしまっていたとしても経営の経験は、あなたの財産です。
・やめた理由について面談で必ず聞かれますので正直に答えられるようにしてください。

【過去の事業経験の記入例】

過去の事業経験の記入例

(3)取得資格・知的財産権

資格は漏れなく記載しておきましょう。
記入しきれない場合は、「別紙参照」と記入し、別紙を作成し添付してください。
特許なども保有していれば記入をします。

審査に通る!「取得資格・知的財産権」のポイント

・開業のために、免許や資格が必須の業種は、必須資格から優先して記入しましょう。

【取得資格・知的財産権の記入例】

取得資格・知的財産権の記例

ステップ4.取扱商品・サービスの記入

次に創業計画書の「3.取扱商品・サービス」について記入していきます。

取扱商品・サービス記入欄見本

(1)~(4)を各項目ごとに解説していきます。

(1)取扱商品・サービスの内容

取扱商品・サービスを売上シェアの高いものから順に具体的に記載していきます。
売上シェアの割合も忘れず記入するようにします。

審査に通る!「取扱商品・サービスの内容」のポイント

・専門用語は使わず、誰が見てもどのような商品・サービスなのかわかるように記入しましょう。
・商品やサービスの内容がわかるように、カタログや写真、メニュー表などを持参し、視覚的に伝えようにしましょう。
・記入しきれない場合は、「別紙参照」と記入し、別紙を作成し添付してください。

【取扱商品・サービスの記入例】飲食店創業の例

取扱商品・サービス記入例

(2)セールスポイント

取扱商品・サービスのセールスポイントを記載していきます。
取扱商品・サービスの特徴や他社との差別化、なぜその商品・サービスに魅力があるのかを記載しましょう。

審査に通る!「セールスポイント」のポイント

・商品やサービスの魅力だけでなく、それを販売・提供するご自身の強みを絡めて、この商品・サービスを選んでもらえる理由を記載しましょう。

【セールスポイントの記入例】飲食店創業の例

セールスポイントの記入例

(3)販売ターゲット・販売戦略

誰に、どのように販売するのか、どのように集客をするのかについて具体的に記入していきます。

審査に通る!「販売ターゲット・販売戦略」のポイント

・次の3つ項目を整理して記入しましょう。
 ①「誰に」=年齢、性別、販売エリア、年収、業種、業界など
 ②「何を」=商品・サービスの概要
 ③「どのように販売するのか」=店頭販売、ネットショップ、訪問販売など
 ④「どのように集客するのか」=ネット広告、チラシ、SNS、DM、口コミなど

【販売ターゲット・販売戦略の記入例】 女性向けヘッドスパ創業の例

①「誰に」=20代~50代の○○エリア周辺に勤めるの女性会社員
②「何を」=癒しのヘッドスパの施術
③「どのように販売するのか」=来店での施術
 仕事帰りにもよっていただけるよう、最終の施術受付時間を20時にする。
④「どのように集客するのか」=口コミ、SNSでの発信
販売ターゲット・販売戦略の記入例

(4)競合・市場など企業を取り巻く状況

市場のニーズや事業に関連する政策の動向、競合他社の存在など、事業を取り巻く環境を説明します。
この事業が成功するための、十分な市場規模があることと、成長性があることを明らかにします。

審査に通る!「競合・市場など企業を取り巻く状況」のポイント

・店舗を持つような業種の場合は、店舗の立地や周辺の競合他社、人通りや客層について詳しく調査しておきましょう。
・業界の動向を事前に調査しておきましょう。
・市場環境がどのようになっているかを次の4つ視点から検討してみましょう。
 ①政治的視点 法律の変更はどう影響するか
 ②経済的視点 金利や為替で景気はどう影響するか
 ③社会的視点 社会情勢で大衆心理や流行はどんな影響があるか
 ④技術的視点 新技術や技術の陳腐化がどう影響を与えるか

市場環境・規模の情報収集方法
市場規模の情報を収集する先としておすすめの機関は下記のとおりです。
・経済産業省
・総務省
・業界団体
・政府系のシンクタンク(調査・研究・分析)
 日本銀行金融研究所/日本国際問題研究所/防衛研究所/経済産業研究所
・民間のシンクタンク(調査・研究・分析)
 日本総合研究所/みずほ総合研究所/三菱UFJリサーチ&コンサルティング/野村総合研究所/大和総研
 ニッセイ基礎研究所/第一生命経済研究所/農林中金総合研究所/信金中央金庫 地域・中小企業研究所
 三菱総合研究所/NTTデータ経営研究所/PHP総研/電通総研/富士通総研

【競合・市場など企業を取り巻く状況の記入例】 女性向けマッサージ店創業の例

競合・市場など企業を取り巻く状況

ステップ5.取引先・取引先関係等の記入

次に創業計画書の「4.取引先・取引先関係等」について記入していきます。
項目別に詳しく解説していきます。

取引先・取引先関係等の記入欄の見本

(1)~(4)を各項目ごとに解説していきます。

(1)販売先

次の手順に従って、販売先の情報を漏れなく記入していきます。

手順1.取引先名の記入

販売先が個人の場合は「一般個人」と記入します。
販売先が企業の場合は具体的な企業名と企業の住所、その企業との関係性(元勤務先、知人の会社)を書きます。

手順2.シェア・掛け取引の割合の記入

それぞれの販売シェアを記入します。
掛け取引がある場合は、掛け取引の割合を記入していきます。

手順3.回収条件の記入

回収条件については、販売先が個人の場合は、基本的に「即金」がほとんどです。
販売先が企業の場合は、締日と回収日を確認し記入しましょう。

審査に通る!「販売先」のポイント

・販売先が個人の場合、具体的な客層(年齢・性別・販売エリア、年収など)について明確に(所在地等)の欄に記入しておきましょう。
・販売先は多ければ多い方がいいです。
欄に書きれない場合は、他○社として、別紙で一覧にしておくとアピールポイントになります。
・既に契約が済んでいる場合は、契約書のコピーなどを証拠書類として用意しておくと信憑性が増し、創業の為に入念に準備してきたというアピールができます。
・必ず契約まで済んでいる必要はありません。これから営業をかける先のリストや見込顧客リストを別紙で用意しましょう。
・回収条件については、事業の資金繰りにおいて重要な点となりますので、必ず契約書等を確認してください。融資の申込金額にも影響します。

【販売先の記入例】 販売先の記入例 販売先が個人の場合

販売先の記入例 販売先が法人の場合

(2)仕入先

次の手順に従って、仕入先の情報を漏れなく記入していきます。

手順1.仕入先名の記入

仕入を行う企業名と企業の住所、関係性(元勤務先、元勤務先の取引先、知人の会社)を書きます。

手順2.シェア・掛け取引の割合の記入

それぞれの仕入れシェア、掛け取引がある場合は掛け取引の割合を記入します。

手順3.支払い条件の記入

支払の条件について、契約書を確認し、締日と支払い日を記入しましょう。

審査に通る!「仕入先」のポイント

・仕入先が確保できていない状態では、事業をスタートすることができませんので必ず仕入先の目途はつけてから融資の申込を行いましょう。
 事業の実現性があるのかを融資審査ではみられることになります。
・既に契約が済んでいる場合は、契約書のコピーなどを証拠書類として別途用意しておきましょう。
・仕入先との関係構築は経営者にとって必要な能力です。仕入先との関係性を可能な限り記入しておきましょう。
・仕入先が複数あり、書ききれない場合は、別紙で一覧にして添付してください。

【仕入先の記入例】

仕入先の記入例

(3)外注先

次の手順に従って、外注先の情報を漏れなく記入していきます。

手順1.外注先名の記入

外注先の企業名または個人名と企業の住所、関係性(元勤務先、元勤務先の取引先、知人の会社)を書きます。

手順2.シェア・掛け取引の割合の記入

それぞれの外注シェア、掛け取引がある場合は掛け取引の割合を記入します。

手順3.支払い条件の記入

支払の条件について、契約書を確認し、締日と支払い日を記入しましょう。

審査に通る!「外注先」のポイント

・外注を利用することの多い情報通信業や製造業、建設業は外注を確保しないと事業がスタートできないケースも多いため、融資を申し込む前に外注先の確保をしておきましょう。
・既に契約が済んでいる場合は、契約書のコピーなどを証拠書類として用意しておきましょう。
・外注先が複数あり、書ききれない場合は、別紙で一覧にして添付してくだい。

【外注先の記入例】

外注先の記入例

(4)人件費の支払い

役員報酬、給与や賞与の支払い予定日を記入します。

審査に通る!「人件費の支払い」のポイント

・売上の回収日や仕入先への支払日などのタイミングを考慮して、一番現金が手元に残っているタイミングでの支給がおすすめです。

よくある人件費の支払い日のパターン
月末締め翌月25日払い
当月10日締め翌月10日払い
月末締め翌月10日払い

【人件費の記入例】

人件費の記入例

ステップ6.従業員の人数を記入

次に創業計画書の「5.従業員」について記入していきます。

従業員の記入欄の見本

法人の場合は役員の人数を記載します。
3カ月以上継続して雇用する従業員の人数を記入してください。
従業員の中に、家族やパートが含まれている場合は、内訳を右の欄に記載します。

審査に通る!「従業員」のポイント

・業務量に応じて、必要な人数を記載しましょう。
・ここでは人数を記入するだけですが、融資面談の際に、なぜその人数にしたのか、従業員の採用の目途は立っているのか、どのように募集をするのかを聞かれることがありますので、説明できるようにしてください。

【従業員の記入例】

従業員の記入例

ステップ7.お借入の状況の記入

次に創業計画書の「6.お借入の状況」について記入していきます。

お借入の状況の記入欄の見本

代表者個人の借入について正直に記入します。
事前に借入の返済予定表を提出しますので、返済予定表を手元に用意して、借入の残高や年間の返済額を記入していきましょう。
手元にない場合は、ローン会社や金融機関に問い合わせると発行してもらうことができます。

審査に通る!「お借入の状況」のポイント

・正直にすべて記入しましょう。日本政策金融公庫は個人の借入の状況を調べています。嘘をつくと、印象が悪くなってしまいます。
・住宅ローン、車のローン、教育ローンはきちんと延滞なく支払いをしていれば審査において不利に働くことはほとんどありません。
・消費者金融や、カードローンは審査に影響しますので、なるべく完済してから、創業融資の申込をすることをおすすめします。

【お借入の状況の記入例】

お借入の状況の記入例

ステップ8.必要な資金と調達方法の記入【最重要】

次に創業計画書の「7.必要な資金と調達方法」について記入していきます。

必要な資金と調達方法の見本

「7.必要な資金と調達方法」の項目は日本政策金融公庫が、創業計画書の中で最も重視する項目です。
また、創業計画書を作成する上で多くの方が書き方に悩む箇所でもあります。
まず、表全体の説明をします。
表の左側は、開業のために必要となる設備資金や運転資金を記入する欄です。
表の右側は、開業のために必要な資金をどのように調達するのかを記入する欄になります。
最終的に、左側の開業のために必要な資金の合計と右側の調達方法の合計を一致させる必要があります。

まずは、「7.必要な資金と調達方法」の左側の欄の「必要な資金」(1)~(3)の記入方法から解説します。

必要な資金と調達方法の見本

(1)設備資金

次の手順に従って、記入していきます。

手順1.必要な設備(モノ)の洗い出し

一旦創業計画書を離れて、ノートやExcelのシートを用意しましょう。
そこに、開業のためにお金がかかる設備(モノ)を思いついた順に、物品名と金額をどんどん書き出します。
モレがないか確認しましょう。

設備資金の例金額
物件取得費用(保証金・仲介手数料)120万円
内外装工事費500万円
事業用の車両150万円
看板代30万円
パソコン20万円
プリンター10万円
テーブルや椅子30万円
会社設立登記費用28万円
HP制作費用100万円

手順2.必要な設備(モノ)を金額の大きい順に並び変え

一覧にした必要な設備(モノ)を金額の大きい順に並び変えます。

手順3.金額が10万円以上のものをピックアップ

一覧に出した必要な設備(モノ)のうち、10万円以上のものが、創業計画書で言う、「設備資金」になります。
ただし、1個当たりの値段は10万円未満であるものの、調理器具や工具など、複数種類があり合計すると10万円以上になるようなものは、調理器具一式、工具一式として、設備資金とすることができます。

手順4.金額が10万円以上のものを創業計画書の設備資金の欄に記入

10万円以上の設備の合計金額を創業計画書の設備資金の上部に記載します。
内訳の欄には、物品名と見積先、個々の金額を記入していきます。
以上で創業計画書の設備資金の欄は完成です。

設備資金

審査に通る!「設備資金」のポイント

・設備資金として創業計画書に記載したものは、見積書を添付資料として提出しましょう。
 見積書を提出することで、必要な資金の根拠が一目瞭然になりますので、融資の判断材料になります。
 特に大きな金額のものほどシビアに見られます。
 見積書の発行が難しいものは、ネット通販の画面やカタログを印刷したものでも構いません。
・事務所等を賃貸する場合は、最低でも仮契約の状態が望ましいです。
・調理器具や工具などのこまごましたものは、エクセルなどで、「物品名、個数、金額」を記載した一覧を作成し、添付するようにしましょう。
・既に購入済みのものについても記載して構いません。
 購入済みの場合は、自己資金から支出していることになりますので、領収のコピーを添付資料として提出します。
 みなし自己資金として認められます。

【設備資金の記入例】

設備資金の記入例

(2)運転資金

運転資金とは、事業を続けていくうえで必要な資金のことです。
毎月、固定してかかる経費と考えてください。
次の手順に従って、記入していきます。

手順1.運転資金の洗い出し

設備資金を洗い出した時と同様に、一旦創業計画書を離れてノートやExcelのシートを用意します。
下記運転資金の一例を参考に1カ月の間に係る経費を思いついたものから、項目名と予想される金額をどんどん書き出していきます。
運転資金が全て洗い出せたら、1か月分の合計金額を算出します。

運転資金の例(1ヶ月当たり)金額
人件費(役員報酬1名)20万円
人件費(従業員1名の給料)20万円
人件費(アルバイト)
時給1,000円×4時間×25日=10万円
10万円
家賃15万円
水道光熱費5万円
通信費(電話・ネット代)2万円
広告宣伝費8万円
旅費交通費3万円
接待交際費2万円
消耗品費1万円
支払手数料4万円
経費合計90万円

手順2.創業計画書の運転資金の欄への記入

運転資金の目安は、月の経費の3ヵ月分です。
事業が軌道に乗るまで、赤字の期間に資金が不足しないように備えます。
1カ月分の経費×3カ月分の合計を運転資金の欄の上部に記入し、内訳の欄には次のように記入します。

経費(1カ月○万円×3か月分) ○○万円 

運転資金の記入方法

審査に通る!「運転資金」のポイント

・運転資金の内訳は、事業がスタートした時を想定して、細かく見積もっておきましょう。
 実際に事業がスタートしてみると想定以上の支出があって困ったという声が多いです。
 また、融資面談の際に内訳について説明を求められる可能性があります。

【運転資金の記入例】

運転資金の記入例

(3)必要な資金(設備資金と運転資金)の合計

設備資金の合計と運転資金の合計を足して、金額が開業のために必要な資金の合計を記入します。
以上で、創業計画書の「7.必要な資金と調達方法」の左側の欄「必要な資金」の欄の記入が完了です。

【必要な資金(設備資金と運転資金)の合計の記入例】

必要な資金の合計の記入例

次からは、創業計画書の「7.必要な資金と調達方法」の右側の欄「調達方法」(4)~(8)の記入方法について解説していきます。

必要な資金と調達方法の見本

 

(4)自己資金

創業のために用意してきた自己資金の金額を記載します。
※2024
年度より、自己資金要件(創業資金総額の10分の1以上の自己資金があること)は撤廃されました。

審査に通る!「自己資金」のポイント

・2024年度より、自己資金要件は撤廃されましたが、創業資金総額の3分の1以上、自己資金が用意できていると審査では有利になります。
(創業資金総額が1,000万円の場合は自己資金300万円以上)
・自己資金が創業資金総額の3分の1に満たない場合には、店舗や設備を縮小し創業資金を抑えたり、創業の時期を見直す必要にがあります。
・通帳の履歴で、毎月の給与からコツコツと計画的に貯めてきたことを示せると経営者としての資質を高く評価してもらえます。
・見せ金は絶対にバレますのでやめてください。
 親族や友人から借りたお金は、次の項目の「親、兄弟、知人、友人等からの借入」の欄に記載してください。

詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください!
自己資金について詳しくはこちらの記事を参照してください。
必要な起業資金はいくら?資金調達の専門家が厳選した5つの方法を解説【保存版】

【自己資金の記入例】

自己資金の記入例

(5)親、兄弟、知人、友人からの借入

親族や知人からの借入がある場合は、誰からいくら借りたのか、返済額、返済回数、利率を記載します。

審査に通る!「親、兄弟、知人、友人からの借入」のポイント

・親や兄弟など親族からの借入でもきちんと「金銭消費賃貸借契約書」を作成して、返済期日などを取り決めておきましょう。
 融資審査の際に、「金銭消費賃貸借契約書」の提出を求められる場合があります。
「金銭消費賃貸借契約書」はネット上にテンプレートがありますので、活用してみてください。

【親、兄弟、知人、友人からの借入の記入例】

親、兄弟、知人、友人からの借入の記入例

(6)他の金融機関等からの借入

既に、事業の為の借入がある場合は、どこの金融機関から、借入金額合計、月の返済額、返済回数、利率を記入します。

審査に通る!「他の金融機関等からの借入」のポイント

・返済予定表を用意して、添付しましょう。
・ビジネスローンなどを借りている場合も忘れずに記入しましょう。

【他の金融機関等からの借入の記入例】

他の金融機関等からの借入

(7)日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入

日本政策金融公庫からの借入金額を記載していきます。
表の左側の必要な資金で算出した、(3)設備資金と運転資金の合計から、(4)自己資金、(5)親・兄弟・知人・友人からの借入、(6)他の金融機関からの借入の金額を引いて不足する金額を記入します。

借入金額の算出方法

審査に通る!「日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入」のポイント

・借入金額に対して自己資金の割合が高いほど、融資の審査において有利になります。
・借入金額は、自己資金の3倍を目安にしましょう。
・借入金額が自己資金の8倍、9倍となってしまう場合は、設備資金を縮小するなど、計画の見直しを検討しましょう。

【日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入の記入例】

日本政策金融公庫 国民生活事業部からの借入の記入例

(8)調達方法の合計

手順通りに記入を進めていくと必然的に、「調達の方法」の合計は、「必要な資金」合計金額と一致します。
以上で、創業計画書の「7.必要な資金と調達方法」の右側の欄「調達方法」について記入が完了です。

【調達方法の合計の記入例】

調達方法の合計の記入例

ステップ9.事業の見通し(創業当初)の記入

次に創業計画書の「8.事業の見通し(創業当初)」について記入していきます。
ここでは、売上の見込みや収支計画を記載していきます。
記載した数字の根拠となる、右側の「売上高、売上原価(仕入高)、経費を算出された根拠」の欄が重要になります。

事業の見通し(創業当初)の記入欄見本

次の手順に沿って記入していきます。

手順1.売上高の記入

商品・サービスの単価に対しての客数と営業日数でどれくらいの月の売上が確保できるかを計算します。
業種にもよりますが、次の計算方法を参考に、計算し算出した金額を「売上高①」欄に記載してください。
計算式は売上高計算の根拠として、右側の根拠の欄に記載しておきます。

業種別 売上高算出方法の例
(飲食業・美容業など)
客単価×席数×回転数×営業日数=1カ月の売上

(接客業・建設業・介護業・自動車販売業など売上高に対して、人件費の比率の高い事業)
従業員1人当たりの売上(月間)×従業員数=1カ月の売上

(店舗がメインの販売業)
1㎡(または1坪)当たりの売上高(月間)×売場面積=1カ月の売上

【創業当初の売上高の記入例】美容室創業の例

創業当初の売上高の記入例

手順2. 売上原価(仕入高)の記入

過去の経験などから、おおよその原価率がわかれば当てはめて計算します。
分からない場合は、業種によっておおよその原価率が決まっているのでネット等で調べて参考にしてください。
業種、業界の相場はきちんと把握していきましょう。
業種別の原価率の相場は次の通りです。参考にしてみて下さい。

業種原価率相場(参考)
飲食業30%~35%程度
小売業50%~75%程度
建設業80%程度
製造業80%程度
情報通信業10%程度
美容業15%程度

売上に原価率をかけて、売上原価を算出します。
計算式は、右側の根拠の欄に記載しておきます。

【創業当初の売上原価の記入例】美容室創業の例

創業当初の売上原価の記入例

手順3.経費の記入

運転資金を算出した際の金額を当てはめていきます。
人件費、家賃の欄には、実際の金額をそのまま記載します。
根拠の欄には、次のように内訳を記載しておきます。

人件費 役員報酬○万円
従業員○名×月収20万円 
    アルバイト○名 時給1000円×4時間×25日=○万円
家賃 月○万円

支払利息については、日本政策金融公庫の借入金額に対して、創業融資の利率の目安、年率2.5%をかけます。

融資金額に2.5%を掛けると1年間に支払う利息の金額が出ますので、12カ月で割った金額を支払い利息の欄に記載します。
根拠の欄には次のように計算の根拠を記載しておきます。

支払利息 ○○万円×年2.5%÷12カ月=○万円

その他の欄は、人件費、家賃以外にかかる経費の合計を記載します。

根拠の欄には次のように、内訳を記載しておきます。

その他、水道光熱費等○万円

合計③の欄には経費の合計を記載します。

【創業当初の経費の記入例】美容室の場合

創業当初の経費の記入例

手順4.利益の記入

売上から、売上原価、経費を引いた金額が利益になります。

売上高①―売上原価②―経費合計③=利益

【創業当初の利益の記入例】美容室の場合

創業当初の利益の記入例

審査に通る!「創業当初の事業の見通し」のポイント

・個人事業主の場合は、事業主の生活費は利益に含まれます。
・ここでの利益は若干マイナスでも問題ありません。
・この時点で利益が多すぎると、融資を受ける必要がないのではと日本政策金融公庫の担当者に思われてしまいかねません。
 創業当初の売上は固く見ておくのがベターです。

ステップ10. 事業の見通し(1年後又は軌道に乗った後)の記入

次に創業計画書の「8.事業の見通し(1年後、又は軌道に乗った後)」について記入していきます。
ここでは、事業が軌道に乗った後の売上の見込みや収支計画を記載していきます。
こちらも、事業の見通し(創業当初)と同様、記載した数字の根拠となる、右側の「売上高、売上原価(仕入高)、経費を算出された根拠」の欄が重要になります。

事業の見通し(軌道に乗った後)の見本

次の手順に沿って記入していきます。

手順①売上の記入

半年後から1年後の売上の予想を記載します。
事業が軌道に乗るまで6ヵ月はかかると言われています。
また、日本政策金融公庫の担当も6ヵ月で事業を軌道に乗せて欲しいと考えているため、ここでは6ヵ月後の売上予想を記入することをおすすめします。
創業当初の売上を算出した際に使った計算式を使い、売上高①と右側の根拠の欄に計算式を記入してください。

業種別 売上高算出方法の例
(飲食業・美容業など)
客単価×席数×回転数×営業日数=1カ月の売上

(接客業・建設業・介護業・自動車販売業など売上高に対して、人件費の比率の高い事業)
従業員1人当たりの売上(月間)×従業員数=1カ月の売上

(店舗がメインの販売業)
1㎡(または1坪)当たりの売上高(月間)×売場面積=1カ月の売上

【軌道に乗った後の売上の記入例】美容室の場合

軌道に乗った後の売上高の記入例

手順②売上原価の記入

軌道に乗った後の売上に原価率をかけて、売上原価を算出します。
計算式は、右側の根拠の欄に記載しておきます。

【軌道に乗った後の売上原価の記入例】美容室の場合

軌道に乗った後の売上原価の記入例

手順③経費の記入

経費については、固定費になるため、大幅な変動は基本的にないと考えて良いです。
特に変更がない場合は、創業時の欄に記載した数字をそのまま映します。
売上上昇に伴い、従業員を増やす場合は、増加分を足して記入します。
根拠の欄には、従業員○人増 ○万円増と記載します。
その他経費についても増えることがあれば、○○費○万円増と記載します。

【軌道に乗った後の経費の記入例】美容室の場合

軌道に乗った後の経費の記入例

手順④利益の記入

売上から、売上原価、経費を引いた金額が利益になります。
以上で、「8.事業の見通し(月平均)」の記入が完了です。

売上高①―売上原価②―経費合計③=利益

【軌道に乗った後の利益の記入例】美容室の場合

軌道にのった後の利益の記入例

審査に通る!「軌道に乗った後の事業の見通し」のポイント

・軌道に乗った後は、必ず利益がでるように計画を立てましょう。
・6ヵ月で軌道に乗せられるような創業計画を立てるようにしましょう。
 6ヵ月で軌道に乗せられないようような事業は、事業として成り立たないと考えられてしまいます。
・個人事業主の場合は、利益からご自身の生活費を捻出します。
 利益から融資の返済が行えるかつ事業主の生活が成り立つような計画を立てる必要があります。

ステップ11.創業計画書の見直し・印刷

創業計画書が完成したら、もう一度初めから見直ししましょう。
誤字や脱字はもちろん、内容については何度も確認しましょう。
何度も書き直すことで、完成に向かっていきます。

創業計画書の内容に満足できたら、A3サイズでカラーで印刷をします。
日本政策金融公庫に提出する分と、ご自身の手元の控えとして2枚印刷しておきましょう。
以上で、創業計画書の完成です。


2.まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、日本政策金融公庫、創業計画書の書き方について解説していきました。
創業計画書の作成に必要なステップは全部で次の11ステップです。

ステップ1.創業計画書のダウンロード
ステップ2.創業の動機の記入
ステップ3.経営者の略歴の記入【重要】
ステップ4.取扱商品・サービスの記入
ステップ5.取引先・取引先関係等の記入
ステップ6.従業員の人数を記入
ステップ7.お借り入れ状況の記入
ステップ8.必要な資金と調達方法の記入 【最重要】
ステップ9.事業の見通し(創業当初)の記入
ステップ10. 事業の見通し(1年後又は軌道に乗った後)の記入
ステップ11.創業計画書の見直し・印刷

融資の審査を通過するためには、創業計画書の作り込みが非常に重要なものになります。
この創業計画書の内容によって、融資の成功確率は大きく変わります。
創業融資は、一度失敗してしまうと、約半年間は再申し込みが難しく、次回以降の審査はさらに厳しくなると言われています。
そうなってしまうと、創業に影響が出るだけでなく、売上の機会損失や資金の不足など様々な問題が発生します。
少しでも、創業計画書の内容に不安があるという方や、書こうと思ってもなかなか手が進まないという方は、専門家に相談することも視野に入れることをおすすめします。

確実に資金調達をして、事業の成功に向けてスタートダッシュをきっていきましょう。

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