この記事では、創業融資の審査における自己資金の考え方について解説してきます!
自己資金は具体的にいくら用意するべきなのだろう…
自分名義の貯金、妻の貯金、どこまでが自己資金になる?
自己資金ってそもそも何?
などと、はじめて創業融資を受ける方にとって多くの疑問があると思います。
日本政策金融公庫の「2020年度新規開業実態調査 資金調達額の調査」によると、
起業時に用意した自己資金の平均は、266万円という結果になっています。
(2020年度新規開業実態調査 資金調達額の調査P10 資金調達額の割合 参照)
今回は、創業融資を受ける際に必要な自己資金の金額や、自己資金として認められるもの・認められないものなど、創業融資の審査における自己資金の考え方について解説していきます。
目次
1. 【業種別に解説】創業融資を受ける際に必要な自己資金はどのくらい?
創業融資を受けるためには、必ず自己資金が必要になります。
融資の成功確率を上げるために、最低でも開業資金の3分の1以上自己資金を用意するようにしましょう。
自己資金は、起業に対する熱意や計画性を示すことができます。
そのため、自己資金は多ければ多い方が、融資の審査において有利になります。
また、融資の成功率だけでなく、事業の成功率も高めることができます。
※2024年度より、日本政策金融公庫の創業融資の自己資金要件(創業資金総額の10分の1以上の自己資金があること)は撤廃されました。
しかし、要件が撤廃されたことと、実際に融資が受けられるかは別の問題です。
融資を成功させるためには、これまでと同様に自己資金はしっかりと用意する必要があります。
業種別に、開業資金の目安と、用意すべき自己資金の金額をまとめました。
この金額を用意しておけば、まず問題はないでしょう。参考にしてみてください。
【業種別・起業時に必要な開業資金の目安と用意すべき自己資金】
業種 | 起業時に必要な開業資金の目安 | 創業融資を成功させるために用意すべき自己資金 |
飲食業 | 800万円 | 270万円 |
美容業 | 500万円 | 170万円 |
小売業 | 800万円 | 270万円 |
IT業 | 50万円 | 20万円 |
建設業 | 50万円 | 20万円 |
不動産仲介業 | 800万円 | 270万円 |
学習塾 | 300万円 | 100万円 |
接骨院・整骨院 | 500万円 | 170万円 |
介護サービス | 500万円 | 170万円 |
製造業 | 500万円 | 170万円 |
無店舗販売業(フリーランス) | 50万円 | 20万円 |
2.創業融資を受ける際に自己資金として認められるもの・認められないもの
次に、創業融資の審査の観点から自己資金として認められるもの、認められない物について解説していきます。
自身の手元にある自由に使えるお金であれば全てが自己資金となるのでは?と考える方も多いですが、融資審査の観点でみると、手元にあるお金すべてが自己資金として認められるわけではありません。
自己資金として認められるもの・認められないものは以下の通りです。
2-1.融資審査の観点から自己資金として認められるもの
融資審査の観点から自己資金として認められるものは次の通りです。
①預金
基本的に、代表者本人の名義の通帳に入っている預金は自己資金となります。
普通預金だけでなく、定期預金や積立定期預金などに入っているお金も自己資金としても認められます。
毎月コツコツと積み立てられている形跡が通帳の明細から見る事ができると、起業への熱意や計画性を伝えることがでるため、審査において高評価を得ることができます。
また、配偶者名義の預金も自己資金として認められます。その際は、必ず本人の同意を得るようにしてください。
②退職金
退職金も自己資金として認められます。
退職金の出所を証明するために、源泉徴収票を用意するようにしましょう。
③保険の解約返戻金、株式・投資信託などの有価証券等
保険の解約返戻金や、株式や投資信託などの有価証券を現金化したものは自己資金として認められます。
必ず、出所がわかるように取引明細などの資料を別途用意するようにしましょう。
④親族から贈与
親族から贈与を受けた資金も自己資金として認められます。
出所が確認できるよう、必ず親族名義の通帳から代表者本人の通帳に振り込まれた形跡を残すようにしましょう。
併せて、贈与契約書も作成するようにしましょう。インターネット上でテンプレートをダウンロードできます。
親族からの贈与のお金については、自己資金としての評価は高くありません。
自己資金として認められるとは言え、自身の預金よりも、親族からの贈与が多い場合は、融資審査担当者の心象は良くないと言えます。
2-2. 融資審査の観点から自己資金として認められないもの
融資審査の観点から自己資金として認められるないものは次の通りです。
①貯金箱で貯めたお金やタンス預金などの現金
貯金箱で貯めたお金やタンス預金などの現金は自己資金として認められません。
コツコツ貯めてきたことは事実かもしれませんが、その出所を証明することができないからです。
融資申込前に慌てて、通帳に入金しても、出所が証明できない為自己資金として認められません。
必ず、通帳にコツコツと入金するようにしましょう。
②見せ金
当たり前ですが、見せ金は自己資金として認められません。
見せ金とは、あたかも自己資金があるかのように見せるために一時的に用意したお金のことです。
起業直前に、第三者からの多額の振り込みがある、出所が不明な入金があると見せ金を疑われます。
見せ金でない場合は出所を証明できる書類などが用意できるはずです。
金融機関の担当者は、通帳の履歴から見せ金を簡単に見抜くことができます。
見せ金は大変悪質であり、融資審査に大きくマイナスの影響を与えます。
③返済義務のある他者から借りたお金
他者からの借入金は、自分で所有しているお金ではないので、自己資金として認められません。
親族や友人から借りたお金、消費者金融から借りたお金も自己資金として認められません。
自己資金として認められるものは、「自身で貯蓄した経緯を証明できるもの」「お金の出どころや流れが証明できるもの」と考えて下さい。
融資審査ではどのように自己資金を用意したのかを確認するため、通帳原本やその他、振込明細や退職金の源泉徴収票などの証明書類の提出が求められます。
創業融資を検討したら、まずは、日本政策金融公庫の「創業融資」をおすすめします。
日本政策金融公庫は、創業融資に積極的であり、親身に相談に乗ってくれます。
また、無担保・無保証人で融資を受けられる、融資実行までのスピードが速いなどのメリットもたくさんあります。
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資金調達方法は、融資だけではありません。
助成金や補助金を活用して、資金調達をする方法もあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、創業融資を受ける際に必要な自己資金の金額や、自己資金として認められるもの・認められものなど、創業融資の審査における自己資金の考え方について解説しました。
自己資金は、起業に対する熱意や計画性を示すことができるものです。
創業融資の審査において、重要なポイントであると言えます。
自己資金と認められるもの、認められないものをしっかりと区別し、
融資の成功確率及び、事業の成功確率を上げるために、開業資金の3分の1以上は、自己資金を用意するようにしましょう。
初めての起業・初めの融資は不安がつきものです。
知識を蓄え、不安を解消し自信をもって起業を成功に導いていきましょう。
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