【融資専門家が解説!】企業概要書の書き方ガイド(記入例付き)

企業概要書を記入する男性

日本政策金融公庫と初めて取引をする際に、事業をスタートしてから一度でも決算を終えている場合「企業概要書」の提出が求められます。

企業概要書は、会社の概要を記載する物で融資の審査において重要な資料です。
今回は企業概要書の書き方について詳しく解説してきます。

融資の審査で有利になるポイントについてもお伝えしていきますので、最後までしっかりとチェックしてください。

創業融資サポート

1.企業概要書の全体像

企業概要書は、下記のフォーマットです。
企業概要書の見本(全体)

企業概要書のフォーマットはこちらからダウンロードできます。
企業概要書ダウンロード

企業概要書に記載する主な項目は下記の6項目です。

(1)企業の沿革・経営者の略歴等
(2)従業員
(3)関連企業
(4)お借入の状況
(5)取扱商品・サービス
(6)取引先・取引関係等

それぞれ詳しく書き方を解説していきます。


2.企業概要書の書き方

早速、企業概要書の具体的な書き方について事例と共に解説していきます。

2-1.企業の沿革・経営者の略歴等

1.企業の沿革・経営者の略歴等

中身をさらに細かく分けて解説していきます。

2-1-1.企業の沿革

企業の沿革の欄は、企業の歴史を記載する箇所です。

個人事業主としての開業や、法人の設立から時系列順に記載します。
店舗を増やしたり、会社の移転をした場合もこちらに記載します。
新規事業の展開を実施した場合なども、記載するようにしましょう。

記入例

企業の沿革の記入例

融資の専門家からのアドバイス
企業が成長していることをアピールするための項目です。
企業が社会に貢献してきたこと、達成してきたことの実績を記載しましょう。
例えば、「月商○○万円達成」、「○○賞受賞」、「○○認証取得」なども記載して問題ありません。

2-1-2.経営者の略歴

経営者の最終学歴から現在に至るまでの略歴を時系列順に記載します。
学校名、会社名を記載してください。

記入例

経営者の略歴の記入例

融資の専門家からのアドバイス

経営者自身の実績をアピールする項目です。
ただ会社名を羅列するのではなく、当時の担当業務や役職、身につけたスキルについても記載しましょう。
経営者として必要な、経理・労務・法律・マネジメント・管理業務などの知識や経験があるとアピールポイントになります。

記入しきれない場合、経営者の略歴の欄に「別紙参照」と記載し、全ての略歴を記載した別紙を提出しても問題ありません

2-1-3.過去の事業経験

過去の事業経験の有無を記載します。
該当する箇所にチェックを入れてください。

記入例

過去の事業経験の記入例

融資の専門家からのアドバイス
過去に事業を経営していたが、辞めてしまった、失敗してしまっていた場合も正直に記載しましょう。
やめた理由について面談で必ず聞かれますので正直に答えられるようにしてください。
嘘はいけませんが、なるべくネガティブな表現は避けるようにしましょう。
例えば、「○○の影響から、○○部門での長期的な事業継続は困難であると判断し撤退を決意した。」「○○業界に携わる中で、不便に感じていた課題を解決したいという気持ちが強くなり、△△業へシフトチェンジをした。」など、次に繋がるような表現をするよう心掛けましょう。

2-1-4.取得資格

事業に関わる資格がある場合、記載します。

記入例

取得資格の記入例

2-1-5.実際経営者

基本的には、融資の申込者=実際の経営者です。
もし、融資の申込者と実際の経営者が異なる場合は、その他にチェックして実際の経営者の名前を記載します。

記入例

実際経営者の記入例

融資の専門家からのアドバイス
実際の経営者自身が、過去の破産経験により融資の申込ができないからと、配偶者など家族を会社の代表者にして融資を申し込むケースがあります。
書類上ではうまく誤魔化せるかもしれませんが、融資面談は融資の申込者が行いますので結局のところバレてしまうでしょう。

2-1-6.後継(予定)者

後継者がいる場合は、「有」にチェックし、後継者の名前と関係を記載しましょう。

記入例

後継(予定)者の記入例

2-1-7.許認可等

許認可が必要な業種の場合、取得している許認可を漏れなく記載しましょう。
許認可が必要な業種の場合、許認可を取得していないと融資を受けることはできません。

記入例

許認可等の記入例

2-1-8.知的財産権等

特許の取得や商標登録をしている場合、「有」にチェックし具体的な内容を記載してください。

記入例

知的財産権等の記入例

2-2.従業員

2.従業員

法人の場合は役員の人数を記載します。
3カ月以上継続して雇用している、3カ月以上継続して雇用する予定の従業員の人数を記載してください。
従業員の中に、家族やパートが含まれている場合は、内訳を右の欄に記載します。

記入例

従業員の記入例

2-3.関連企業

3.関連企業

融資の申込人及び、その配偶者が別の法人を経営している場合、関連企業として記載します。
関連企業がある場合、関連企業の決算書等の提出が求められる可能性があり、関連企業の経営状態や融資の返済状況が融資の審査に影響を及ぼします。

記入例

関連企業の記入例

話合いをするビジネスマン

2-4.お借入の状況

4.お借入の状況

代表者個人の借入の状況について記載します。
住宅ローンや車のローンなど、漏れなく記載してください。

記入例

お借入の状況記入例

融資の専門家からのアドバイス

住宅ローンや車のローンは、遅延なく返済をしていれば融資の審査への影響はありません。
一方、消費者金融からの借入やカードローン、クレジットカードのキャッシングは融資の審査でマイナス要素になりますので、可能な限り融資の申込前に完済するようにしてください。

融資の審査に不利になるかもしれないと隠しても、必ずバレます。
嘘をつく人間だと心証を悪くしますので、隠さず正直に申告してください。

2-5.取扱商品・サービス

5.取扱商品・サービス

中身をさらに細かく分けて解説していきます。

2-5-1.取扱商品・サービスの内容

取扱商品・サービスを売上シェアの高いものから順に具体的に記載していきます。

記入例

取扱商品・サービスの記入例

融資の専門家からのアドバイス
専門用語は使わず、誰が見てもどのような商品・サービスなのかイメージできるように記載しましょう。
飲食店や小売店などは、カタログやメニュー表などを用意し視覚的に伝えることができるとなお良いです。

2-5-2.客単価

飲食店・小売店の場合は、平均の客単価を記載します。
建設業・製造業などの場合は、一案件、一取引あたりの受注単価について最低価格、最高価格を記載します。

記入例

客単価の記入例

2-5-3.売上の季節変動

売上の季節変動がある場合、「有」にチェックを入れ、売上のピークの時期と、逆に低迷するボトムの時期を記載してください。

記入例

売上の季節変動の記入例

2-5-4.セールスポイント

取扱商品・サービスのセールスポイントを記載していきます。
取扱商品・サービスの特徴や他社との差別化、なぜその商品・サービスに魅力があるのかを記載しましょう。

記入例

セールスポイントの記入例

融資の専門家からのアドバイス
商品やサービスの魅力だけでなく、それを販売・提供するご自身の強みを絡めて、この商品・サービスを選んでもらえる理由を記載しましょう。

2-5-5.販売ターゲット・販売戦略

誰に、どのように販売しているのか、どのように集客をしているのかについて具体的に記載してください。

記入例

販売ターゲット・販売戦略の記入例

融資の専門家からのアドバイス
次の4つ項目を整理すると、記載しやすくなります。
 ①「誰に」=年齢、性別、販売エリア、年収、業種、業界など
 ②「何を」=商品・サービスの概要
 ③「どのように販売するのか」=店頭販売、ネットショップ、訪問販売など
 ④「どのように集客するのか」=ネット広告、チラシ、SNS、DM、口コミなど

2-5-6.競合・市場など企業を取り巻く状況

市場のニーズや事業に関連する政策の動向、競合他社の存在など、事業を取り巻く環境を記載します。

記入例

競合・市場など企業を取り巻く状況の記入例

融資の専門家からのアドバイス
店舗の立地や周辺の競合他社、人通りや客層について詳しく調査し、この事業が成功するための、十分な市場規模があることと、成長性があることを説明できるようにしましょう。

2-5-7.悩みや苦労している点、欲しいアドバイス等

経営をする上での課題や悩みがあれば記載しましょう。

記入例

悩みや苦労している点、欲しいアドバイス等の記入例

融資の専門家からのアドバイス
悩みや課題を今回の融資の目的に繋げられると理想的です。

2-6.取引先・取引関係等

6.取引先・取引関係等

中身をさらに細かく分けて解説していきます。

2-6-1.販売先

取引先名
取引先名には、商品・サービスを提供している先の情報を記載します。
販売先が個人の場合は「一般個人」と記入します。
販売先が企業の場合は具体的な企業名と企業の住所を記載します。

取引年数・シェア・掛取引の割合
実際に取引をしている年数、シェア、掛取引の割合を記載します。

回収・支払条件
売上の回収条件を記載します。
現金決済の場合は、「即日〆 即日回収」と記載します。

記入例

販売先の記入例(販売先が個人の場合)

販売先の記入例(販売先が企業の場合)

融資の専門家からのアドバイス
・販売先が個人の場合、具体的な客層(年齢・性別・販売エリア、年収等)について明確に(所在地等)の欄に記入します。
・販売先は多ければ多い方がいいです。
 書きれない場合は、他○社として、別紙で一覧にしておくとアピールポイントになります。
・既に契約が済んでいる場合は、契約書のコピーなどを証拠書類として用意しておくと信憑性が増します。
・回収条件については、事業の資金繰りにおいて重要な点となりますので、必ず契約書等を確認してください。
 融資の申込金額にも影響します。

2-6-2.仕入先

取引先名
取引先名には、仕入れ先の具体的な企業名と企業の住所を記載します。

取引年数・シェア・掛取引の割合
実際に取引をしている年数、シェア、掛取引の割合を記載します。

回収・支払条件
仕入の支払い条件を記載します。
現金決済の場合は、「即日〆 即日支払」と記載します。

記入例

仕入先の記入例

融資の専門家からのアドバイス
・契約書のコピーなどを証拠書類として別途用意しておきましょう。
・仕入先が複数あり、書ききれない場合は、別紙で一覧にして添付してください
・支払条件については、事業の資金繰りにおいて重要な点となりますので、必ず契約書等を確認してください。
 融資の申込金額にも影響します。

2-6-3.外注先

取引先名
取引先名には、外注先の具体的な企業名と企業の住所を記載します。
外注先が個人である場合は、個人名や屋号、住所を記載します。

取引年数・シェア・掛取引の割合
実際に取引をしている年数、シェア、掛取引の割合を記載します。

回収・支払条件
外注先への支払い条件を記載します。
現金決済の場合は、「即日〆 即日支払」と記載します。

記入例

外注先の記入例

融資の専門家からのアドバイス
契約書のコピーなどを証拠書類として用意しておきましょう。
外注先が複数あり、書ききれない場合は、別紙で一覧にして添付してください。

2-6-4.人件費の支払

役員報酬、給与や賞与の支払日を記入します。

記入例

人件費の支払の記入例

以上で、企業概要書は完成です。

創業融資サポート

3.まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、日本政策金融公庫の企業概要書の書き方について解説してきました。

会社や自分自身に関する情報をできるだけ多く提供することが融資成功への近道です。
融資面談では、この企業概要書を基に質問が行われていきます。
そのため、企業概要書をしっかりと作り込んでおくことが融資面談の成功ないし、融資の成功へと繋がるのです。

少しでも内容に不安があるという方は、専門家への相談もおすすめです。
企業概要書の書き方だけでなく、面談対策などのアドバイスもしてくれます。

融資審査をクリアし、更なるビジネスの成長を実現させましょう!

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