クラウドファンディングとは、インターネットを介して多くの支援者から少額ずつ資金を調達する方法のことです。
起業家の中には開業資金調達のために、クラウドファンディングを利用しようとしている人もおられるでしょう。
そこで今回は、クラウドファンディングの成功率や成功するポイント等をまとめました。
クラウドファンディングで多くの資金獲得を狙っている人は、ぜひ最後までお読みください。
目次
1.クラウドファンディングの成功率は約40%
1-1.目標達成率は40%前後
クラウドファンディング最大手「CAMPFIRE」の統計データによると、クラウドファンディングの出資者としての支援経験のない新規事業者の場合の目標達成率は35%程度、支援経験のある事業者で50%強でした。
平均すると目標達成率は40%程度と想定されます。
CAMPFIRE.「統計データ」.https://camp-fire.jp/stats,(参照2023/4/21)
1-2.目標未達でも成功できるAll In方式
All In方式を選択した場合は目標未達であっても資金が獲得できます。
そのため「クラウドファンディングで資金獲得=成功」とするなら、クラウドファンディングでの成功率は上記の40%を大幅に上回ります。
クラウドファンディングの実施方式は「All or Nothing」と「All In」の2パターン。
All or Nothingは支援総額が目標金額を超えた場合にのみ成立するプロジェクト方式です。
目標未達の場合は資金が全額返金されプロジェクトは消滅します。
設備投資等で一定額以上の資金が必須の場合におすすめです。
一方、All Inは支援総額と目標金額に関係なくプロジェクトが成立します。
目標金額に未達であっても資金が手に入るのです。
ただし、たとえ集まった資金が1円であったとしてもリターンは実行しなければなりません。
2. クラウドファンディング 主要プラットフォーム一覧
クラウドファンディングと一口に言っても、社会貢献が中心の寄付特化型クラウドファンディングやビジネス中心のクラウドファンディング、支援総額が小口のものから莫大なものまで様々。
あなたのビジネスプランや必要額等によって使うべきクラウドファンディングは異なります。
下記に各サイトの特徴をまとめましたので、比較検討のうえ相性の良いクラウドファンディングを探してください。
【クラウドファンディング 主要プラットフォーム一覧】
プラットフォーム名 | 特徴 | 手数料 |
CAMPFIRE | クラウドファンディング最大手 初心者でも使いやすい | 集まった資金総額の17% |
Makuake | 新商品や新サービスの開発に特化 マーケティングとして活用しやすい | 集まった資金総額の20% |
Kibidango | All or Nothingかつ購入特化型 クラウドファンディング型ECサイト | 集まった資金総額の10% |
READY FOR | NPOや非営利団体による資金調達に特化 | 集まった資金総額の17% |
Good Moning | 「社会問題と向き合う人のクラウドファンディング」がテーマ 継続的な資金・仲間集めが可能 | 集まった資金総額の9% |
Green Funding | ガジェット系プロジェクトやエンタメやクリエイティブな分野に強い | 集まった資金総額の20% |
ENjiNE | LINEユーザーへのアプローチが可能 広告宣伝に強い | 公開されていない |
BOOSTER | 小規模事業者に強い | 資金総額の17~20% |
FUNDINNO | 株式投資型のクラウドファンディング 資金調達金額が大きく、上場も見込んで起業する方にはおすすめ | 審査料10万円+実費 株式及び新株予約権の発行価格の総額の20%(税込:22.0%)相当額 |
・CAMPFIRE
クラウドファンディング最大手。手数料は集まった資金総額の17%。
CAMPFIREから生まれたプロジェクト数は約69,000件、支援総額は約640億円という超巨大サイトです。
プロジェクトの作り方等の情報も満載で、初心者でも使いやすい仕様。
ただしプロジェクト数が膨大なので、公開したプロジェクトが埋もれやすいというデメリットも。
・Makuake
「新しいものや体験の応援」がテーマのクラウドファンディングです。
手数料は集まった資金総額の20%。
新商品や新サービスの開発に特化しているプラットフォームです。
顧客の属性を分析する機能が整っており、資金調達をしながら顧客のニーズの分析などテストマーケティングとして活用することができます。
お金を出す支援者からすれば、これまでに見たことのない商品やサービスを世界で初めて入手できるチャンス。新しいものが好きな人に向けて告知できるのも魅力です。
・Kibidango
プロジェクト成功率約8割という異例のクラウドファンディングサイトです。
ただし自社プロジェクトによる成功数も含まれているようで、一般者のみの成功率は不明。
手数料は集まった資金総額の10%と他社と比べるとかなり低い水準です。
All or Nothingかつ購入特化型なので、新商品の開発や展開に向いているサイトと言えます。
また、「クラウドファンディン型ECサイト」うたっており、クラウドファンディングで生まれた商品を継続してサイト内で販売していくことができる特徴があります。
・READY FOR
NPOや非営利団体による資金調達に特化したクラウドファンディングです。
手数料は集まった資金総額の17%。
いわゆる寄付型に相当し、リターンは対価性のないものに限定されます。
動物愛護団体や環境保護等のソーシャルカテゴリで資金調達するならREADY FORがベスト。
・Good Moning
Good Moning はCAMPFIREから派生したクラウドファンディングです。
手数料は集まった資金総額の9%と他社と比べるとかなり低い水準です。
「社会問題と向き合う人のクラウドファンディング」がテーマだけあり、取り扱うプロジェクトはより良い社会や問題解決を意識したものが多数展開されています。
「マンスリーサポーター」という継続的支援者を募ることができ、継続的な資金や仲間集めをすることができます。
・Green Funding
ガジェット系プロジェクトが中心のスタイリッシュなクラウドファンディングです。
アートや音楽、出版などエンタメやクリエイティブな分野のプロジェクトも掲載しています。
手数料は集まった資金総額の20%。
All or Nothingで成功率88%(2020年実績)という驚異の数値を誇ります。
ただし掲載するプロジェクトは厳選するようなので、掲載前にふるいにかけている可能性も考えられます。
類似プロジェクトがないか検索してから利用を検討しましょう。
・ENjiNE
ビジネスアイデアやプランの立ち上げに適したクラウドファンディングです。
ガジェット系やバッグ、アクセサリー類のプロジェクトが豊富な傾向にあります。
LINEの公式パートナーなので、LINE公式アカウントをフォローするユーザーに告知が可能。
広告宣伝に強いため、知名度の低い起業家でも販売しやすい下地が整っています。
・BOOSTER
CAMPFIREから派生したサイトです。Good Moningとは兄弟サイト。
手数料は集まった資金総額の17~20%。
小規模事業者に強いクラウドファンディングで、平均支援額が低い代わりに、支援しやすいプロジェクトが豊富。一般的な新商品PRだけでなくVtuberや漫画家のプロジェクトも。
非常に幅広く個性的なサービスを受け入れています。
・FUNDINNO
株式投資型のクラウドファンディングです。
かかる費用としては、審査料10万円+実費、株式及び新株予約権の発行価格の総額の20%(税込:22.0%)相当額がかかります。
上記で紹介したクラウドファンディングは資金調達の代わりにリターンの実行が必要でした。
しかし株式投資型クラウドファンディングでは、リターンではなく株主になっていただくことになります。
資金調達に際してリターンに悩まずにすむのは大きなメリットと言えるでしょう。
また一般的な上場株式の株主とは異なり、コアなファン投資家が得られます。
仕組みは少し複雑ですが、上場も見込んで起業するなら利用しない手はありません。
3. クラウドファンディングを成功させるための3つのポイント
クラウドファンディングを成功させるためには、次の3つのポイントを抑えましょう。
3-1.利用するクラウドファンディングのプラットフォームを見極める
どのクラウドファンディングのプラットフォームを利用するかは非常に重要です。
一般的に、複数のクラウドファンディングに同じプロジェクトを同時掲載することは不可とされています。
つまり利用するサイトを1つに絞り込まなくてはなりません。
クラウドファンディングのプラットフォームを選び方は次の通りです。
【クラウドファンディングを成功させるためのプラットフォームの選び方】
(1)ビジネスプランとサイトの特徴を比較
クラウドファンディンを成功させるためには、自身のビジネスプランとクラウドファンディングのプラットフォームとのマッチングが重要です。
いかに成功率が高くとも、ビジネスプランがマッチしていなければ支援者は集まりません。
なぜなら各サイトには特色があり、その特色を理解した支援者が集まっているためです。
クラウドファンディングの取り扱いサイトは様々で、どれも少しずつ特徴が異なっています。
サイトによって強いジャンルと弱いジャンルがありますし、最低支援金額が決まっていたり、支援方法がAll-or-Nothing方式に限定されていたりすることもあります。
少なくとも、あなたが温めているビジネスプランと希望調達額、リターンを具体化しましょう。
具体的であればあるほど選ぶべきプラットフォームが明確になり、必然的に成功率が高まります。
(2)サポート体制を確認
初めてクラウドファンディングでプロジェクトを公開するとなると、何をどうすれば良いのか分かりませんよね。
ですからサポート体制もチェックしておきましょう。
サイト内でも確認できますが、資料請求するとより詳細な内容が分かります。
チャット等でテクニックを伝授してくれるサイトもあれば、情報を動画等で好きな時に必要な情報だけを学べるサイトもあります。
基本的につきっきりで教えてくれるサイトは手数料が高く、自力で学習し作業するタイプは安いようです。
3-2.掲載する情報量はできるだけ多く
クラウドファンディングで公開するプロジェクト内容は、基本的に業者が作成します。
内容はできるだけ詳細に、どんな想いで何を提供するのか、リターンはどんなものか等可能な限り詳しく掲載しましょう。素人の第三者が見てもわかりやすい内容を心がけましょう。
CAMPFIREの統計データでも「本文の文字数が多いほど目標到達率が高い傾向にある」という結果が出ています。少なくとも3000文字は記載することをおすすめします。
3-3.メイン画像にこだわろう
メイン画像とは、プロジェクトのトップ画面に表示される画像のことです。
メイン画像はクラウドファンディングの一覧や告知時に使用されますので、クリック率に大きな影響を及ぼします。どんなに素晴らしいプロジェクトでも、人に見られなければ、ないものと同じになってしまいます。思わず目を引くような素晴らしい画像を準備して、プロジェクトの閲覧者数を増やしましょう。
4.クラウドファンディング以外の資金調達方法
クラウドファンディング以外にも、起業時に資金調達をする方法はあります。
複数の資金調達方法を組み合わせることでより効果的で効率よく資金調達をすることができるでしょう。
4-1. 金融機関からの借入
資金調達の一般的な方法として、銀行や信用金庫などの金融機関からの融資が挙げられます。
中でも、日本政策金融公庫の創業融資は、無担保・無保証人に借入ができるなどのメリットがあるため
起業時におすすめな資金調達先の一つです。
実際に日本政策金融公庫から融資を受けたい、より詳しい内容を確認したい場合はこちらの記事を見てください。
4-2.補助金
資金調達方法として、補助金の活用もおすすめです。
補助金とは、国や自治体が個人事業主や企業の新事業の展開や販路拡大などに係る費用の一部をお金を交付することで支援してくれる制度のことです。
補助金の種類にもよりますが、支払った費用の3分の2や4分の3、金額にして50万円~数千万円単位で返済不要の資金の調達ができます。
補助金を受け取るためには、事業計画書によって事業の実現性や有効性をアピールします。
クラウドファンディングのページの作成と共通する点も多くありますので、クラウドファンディングで資金調調達を検討している方は、是非チャレンジしてみることをおすすめします。
実際に補助金を活用してみたいという方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
4-3. ビジネスコンテストへの参加
ビジネスコンテストとは、民間企業や、公的機関など様々な団体が企画しているコンテストです。
優れた事業アイデアやプランを持つ起業家が賞金や支援を受けることができます。
コンテストへの参加を通じて、資金調達だけでなく、事業の認知度や信用力を高めたり、今後の取引先との交渉に有利に働くことも期待できます。
まとめ
クラウドファンディングの平均成功率は約40%と言われています。
しかし利用するサイトや実施方式等によっては大幅に増減しますので、あくまでも目安としてお考えください。
上記のとおり、クラウドファンディングの成功率はそれほど高くはありません。
起業家が資金調達をクラウドファンディングのみに頼ると、創業時期が遅れてしまう恐れも考えられます。
クラウドファンディングはあくまで資金調達方法の1つです。
クラウドファンディングにこだわりすぎず、融資や補助金などその他の資金調達方法と組み合わせて実行することをおすすめします。
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