資本金1円起業は危険!起こりうる5つの弊害を専門家が解説

資本金1円起業は危険!起こりうる5つの弊害を専門家が解説

以前は、株式会社を設立するために最低1,000万円の資本金が求められていました。
しかし、2006年の会社法改正により、理論上わずか1円の資本金でも株式会社の設立が可能になりました。

しかし、資本金が1円で実際に会社を設立しようと考える前に、重要な注意点がいくつかあります。
この記事では、資本金が1円での起業にあたり考慮すべきリスクについて、詳しく解説していきます。

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1.資本金1円の起業は危険!起こりうる5つの弊害

資本金が1円での起業はおすすめできません。
理論上は、資本金がわずか1円でも株式会社の設立ができるようにはなりましたが、あくまで理論上の話です。
実際に事業を行っていくにあたって、次の5つの弊害が起こる事が懸念されます。

1-1.資本金が1円では事業を開始することはむずかしい
1-2.融資審査に影響がある
1-3.銀行口座を開設できない
1-4.必要な許認可を取得できない 
1-5.取引に影響を及ぼす可能性がある

それぞれ詳しく解説していきます。

1-1.資本金が1円では事業を開始することはむずかしい

資本金がわずか1円では、事業を開始するのはむずかしいでしょう。
そもそも、資本金とは事業を開始するための準備資金です。
会社を設立するだけでも、株式会社の場合は約25~30万円程度の費用がかかります。
その後も事業を行っていくためには運転資金が必要です。
いきなり、取引先から売上が入ってくるとは考えにくいため、現実問題、資本金が1円では事業が開始できないと言えます。

会社設立費用や、運転資金を考慮した金額を資本金として設定するのが一般的です。
運転資金等は融資を受けることを考えている方もいるかもしれませんが、資本金がたった1円では融資を受けるのも難しくなります。
詳しくは後ほど解説します。

ちなみに、資本金については融資で調達することはできません。
自己資金で用意したり、出資と言う形で調達するしかありません。

1-2.融資審査に影響する可能性がある

資本金がわずか1円では、融資を受けることにも影響する可能性があります。
事業資金はあっという間に不足し、融資の返済が滞るリスクが目に見えてわかるためです。
返済能力なしと判断され、融資を受けることはできません。

資本金が1円というのは、準備不足です。
さらに資本金は、融資で調達することはできません。
融資を受けて起業する場合でも、最低でも開業に必要な資金の3分の1以上の自己資金を準備し、資本金として確保しておくようにしましょう。

1-3.銀行口座を開設できない

資本金が1円の場合、銀行口座を開設するのは困難です。
これは、法人向け銀行口座の開設には詐欺やマネーロンダリングを防ぐための厳しい審査が伴うためです。
また、銀行によっては口座を開設するために必要な最低資本金を設定している場合もあります。
資本金が1円では信頼を得るのがむずかしいため、銀行口座の開設も困難になることが予想されます。

1-4.必要な許認可を取得できない

業種によって、資本金が1円では開業のために必要な許認可を取得することができない可能性があります。
許認可とは、事業を行うために必要な許可のことです。
一定以上の資本金がなければ許認可を取得することができず、事業を開始することが出来ません。
あらかじめ、起業する業種に許認可等の取得が必要ないか、資本金の要件がないかを確認するようにしましょう。

1-5.取引に影響を及ぼす可能性がある

資本金がわずか1円の場合、取引先を見つけるのが困難になる可能性があります。
資本金の額は、会社の信用度と直接関連しています。
資本金が多いほど、会社が安定した経営をしていると見なされ、取引先からの信頼も高まります。
逆に資本金が少ないと、取引が中断されるリスクや代金が回収できない可能性が高まるため、信頼を獲得するのが難しくなり、結果として取引が困難になることがあります。

※資本金は後から増資も可能

資本金は後からでも増資が可能です。
特別な理由があり資本金1円で会社設立をしないといけない方、既に資本金1円で法人を設立してしまったという方も、後から増資をすることで、前述した弊害を回避することが出来ます。
ただし、増資の手続きには、登録免許税等の費用が発生します。


2.資本金はいくらが適正なのか

資本金はいくらで設定するのが適正なのでしょうか?
中小企業の資本金の平均は300~500万円と言われていますが、業種により大きく異なります。
資本金の金額を決める際の基本的な考え方は次の4つです。

2-1.許認可の基準
2-2.融資を有利に進める
2-3.初期費用と運転資金
2-4.税金を考慮

それぞれ詳しく解説します。

2-1.許認可の基準

許認可を要する業種で起業を検討している場合、まずは許認可の取得に必要な資本金の要件を確認し、資本金を決定しましょう。

【資本金要件のある業種の一部(参考)】

業種金額
旅行業300~3,000万円
建設業500~2,000万円
一般労働者派遣業1,000万円
有料職業紹介業500万円

※許認可の取得要件等については、行政書士などの専門家に確認するようにしてください。

2-2.融資を有利に進める

融資を受けて起業を考えている方は、融資の審査を有利に進めるためのことも考えて、資本金の金額を決定しましょう。
開業に必要な資金の3分の1を目安に資本金を確保しておくようにしましょう。
1,500万円で開業を計画しているのであれば、500万円の資本金を用意できると融資の審査で有利になります。
開業に必要な資金に合わせて、資本金の額を決定するのも一つの方法です。

2-3.初期費用と運転資金

融資は受けたくない、融資を受ける予定はないという方は、初期費用と運転資金を元に資本金額を検討すると、より安定的な経営を実現できます。

開業時をするために必要な設備や工事費用と、事業を継続していくために必要な家賃や人件費などの運転資金を算出しましょう。
運転資金は、3カ月間売上が0でも事業が継続できる金額を目安としましょう。

2-4.税金を考慮

資本金1,000万円を境に、負担する税金の金額が変わってきます。
資本金1,000万円以上にすると、税金が高くなります。
特にこだわりがなければ、1,000万円ではなく999万円とした方が税金の面では有利になります。

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3.まとめ

理論上は、資本金が1円でも法人を設立することは可能ですが、実際に起業し事業を行っていくことは困難です。
資本金が1円で起業した際に起こりうる可能性のある弊害は次の5つです。

1-1.資本金が1円では事業を開始することはむずかしい
1-2.融資審査に影響がある
1-3.銀行口座を開設できない
1-4.必要な許認可を取得できない 
1-5.取引に影響を及ぼす可能性がある

2章で解説した、資本金の金額を決める際の考え方を参考に資本金額を決定し、事業計画を立てるようにしましょう。

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