【キッチンカー】日本政策金融公庫の創業計画書の記入例~融資を成功させる書き方のポイント解説~

キッチンカーの店員二人

キッチンカー事業で創業融資を受ける際の創業計画書の記入例を紹介していきます!

日本政策金融公庫の創業融資の申込に必要な創業計画書。
書き方がわからず、お困りの方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、実際に専門家が審査を通してきた、実例を基に、創業計画書の書き方について解説していきます。
キッチンカー事業において、一番重要なポイントは出店先です。
キッチンカー事業特有の、書き方をマスターし、融資の成功確率をアップさせましょう。


1.【キッチンカー】日本政策金融公庫の創業計画書の記入例

キッチンカー事業特有の創業計画書の書き方と記入例を紹介していきます。
日本政策金融公庫の創業計画書の全体像は下記の通りです。

【キッチンカーの創業計画書の記入例】

キッチンカー創業計画書

このように創業計画書は、大きく8項目に分かれています。
各項目ごとに詳しく解説していきます。

日本政策金融公庫の創業計画書のダウンロードはこちら↓
創業計画書 (Excel)
創業計画書 (PDF)

1-1.【キッチンカー】創業の動機の記入

1.創業の動機

キッチンカーで創業を決意した理由を記入していきます。
自分自身の言葉で、創業に至った経緯や思いを第三者が見ても「実現可能だ」と思ってもらえるように記入していきます。

【創業の動機の記入例】

①幼い頃から飲食店を経営する夢を持ち、高校卒業後は調理の専門学校へ進学、料亭やレストランで15年、経験を積んできました。コロナ禍をきっかけに、キッチンカーなら、様々な場所で多くの人々に美味しい料理を提供し、食の喜びを広めることができると感じました②独立を目指し、準備を進めていたところ③出店先の目途が立ったため、開業を決意しました④料理を通じて人々の心を繋げ、地域のコミュニティの活性化に貢献していきたいです

審査に通る!創業の動機のポイント
・創業するためのスキルが身についていることをアピールしましょう。⇒記入例下線部①
・創業が一時の思いつきでなく、準備をしてきた結果であることをアピールしましょう。⇒記入例下線部②
・なぜ今のタイミングでの創業するのかを伝えましょう。⇒記入例下線部③
・創業することで実現したいことをアピールしましょう。⇒記入例下線部④
・記入欄に記入しきれない場合は、創業の動機の欄に「別紙参照」と記入し、別紙を添付しましょう。

1-2.【キッチンカー】経営者の略歴の記入【重要】

2.経営者の略歴等

この欄には、キッチンカー事業や飲食、販売などに関連する経歴や資格等を記入していきます。
経営者の略歴は創業計画書の中で特に重要な項目です。
これまでの経歴や経験をこの欄でしっかりとアピールしていきましょう。

この項目はさらに(1)~(3)の3つに分かれていますので、それぞれ解説していきます。

(1)経営者の略歴等

2.経営者の略歴等

これまでの職歴や身につけた技術等を記入します。
大学、専門学校などの卒業年度や勤務経験等を羅列してください。

【経営者の略歴等の記入例】

2.経営者略歴例

審査に通る!経営者の略歴のポイント
・経営者の略歴は、「創業の動機」の内容と矛盾がないようにしましょう。
・飲食やキッチンカー業界に関係するようなアルバイトをしていたり、専門学校に通っていた場合は、学歴、アルバイトの経験についても書きましょう。
・経理、労務、マネジメント、管理業務などの知識や経験は経営者として必要なものですので、これらの経験があるとアピールになります。
・記入しきれない場合は、「経営者の略歴」の欄には「別紙参照」と記入し、別紙を添付しましょう。

(2)過去の事業経験

過去の事業経験

過去に経営の経験がある場合は、事業の内容を含め正直に記入しておきます。

審査に通る!過去の事業経験のポイント
・過去に事業を経営しており、仮に失敗してしまっていた場合も正直に記入しましょう。
失敗してしまっていたとしても経営の経験は、あなたの経験であり、財産です。
・やめた理由については、面談で必ず聞かれますので正直に答えられるようにしてください。

(3)取得資格・知的財産権

取得資産、知的財産権等

資格は漏れなく記入します。
簿記など、経理・会計に関わる資格は、経営をする上で必要な知識ですので記入をしておくと評価に繋がります。

審査に通る!取得資格・知的財産権のポイント
・事業に関わる資格は漏れなく書くようにしましょう。
・一般的に知られていない資格でも記入して問題ありません。
・記入しきれない場合は、「別紙参照」と記入し、別紙を作成し添付してください。

1-3.【キッチンカー】取扱商品・サービスの記入

3.取扱商品・サービス

この欄には、実際に提供する商品サービスや、セールスポイントを記入します。
この項目は(1)~(4)の4つに分かれています。
それぞれ解説してきます。

(1)取扱商品・サービスの内容3.取扱商品・サービス内容

取扱商品・サービスを売上シェアの高いものから順に具体的に記入していきます。
売上シェアの割合も忘れず記入するようにします。

【(1)取扱商品・サービスの内容の記入例】3.取扱商品・サービス内容例

審査に通る!取扱商品・サービスの内容のポイント
・専門用語は使わず、誰が見てもどのような商品・サービスなのか、わかるように記入しましょう。
・記入しきれない場合は、「別紙参照」と記入し、別紙を作成し添付してください。
・試作品などの写真、メニュー表などを用意すると、よりどのような商品を提供するのか、審査官がイメージしやすくなります。

(2)セールスポイント

セールスポイント

取扱商品・サービスのセールスポイントを記入していきます。
取扱商品・サービスの特徴や他社との差別化、なぜその商品・サービスに魅力があるのかを記入しましょう。

【(2)セールスポイントの記入例】

日本料理・イタリアンレストランでの経験を活かし、和風・洋風問わず、バライティ豊富なパスタを提供します。地元で取れた野菜や魚介をふんだんに使い、地元○○の魅力を発信していきます。食物繊維が豊富な全粒粉生パスタを使い、健康に気をつかう方も安心して召し上がっていただけます。

審査に通る!取扱商品・サービスの内容のポイント
・商品やサービスの魅力だけでなく、ご自身の強みを絡めて、この商品を選んでもらえる理由を記入しましょう。

(3)販売ターゲット・販売戦略販売ターゲット・販売戦略

誰に、どのように販売するのか、どのように集客をするのかについて具体的に記入していきます。

【(3)販売ターゲット・販売戦略の記入例】

平日は○○地域のオフィス街に出店。サラリーマンやOLをターゲットにしています。土日は、関東地域のイベントやショッピングモールに出店。ファミリー層をターゲットとします。SNSで出店スケジュールを発信し、集客を実施していきます。

審査に通る!販売ターゲット・販売戦略の内容のポイント

・次の4つ項目を整理して記入しましょう。

①「誰に」=年齢、性別、販売エリア、年収、業種、業界など
②「何を」=商品・サービスの概要
③「どのように販売するのか」=店頭販売、ネットショップ、訪問販売など
④「どのように集客するのか」=ネット広告、チラシ、SNS、DM、口コミなど

(4)競合・市場など企業を取り巻く状況

競合・市場など企業を取り巻く状況

市場のニーズや事業に関連する政策の動向、競合他社の存在など、事業を取り巻く環境を説明します。
この事業が成功するための、十分な市場規模があることと、成長性があることを明らかにします。

【(4)競合・市場など企業を取り巻く状況の記入例】

平日の出店を予定している○○地域のオフィス街には、多国籍企業や外資系企業が多く、就業人口は〇万人とされていますが、飲食店は駅周辺のみで数が少なく、ランチの時間帯は、コンビニに長蛇の列ができている状態です。

審査に通る!競合・市場など企業を取り巻く状況のポイント
・キッチンカーの場合、出店先やイベント、競合他社について詳しく調査しておくようにしましょう。

1-4.【キッチンカー】取引先・取引関係等

取引先・取引関係等

販売先や仕入れ先等を記載していく欄です。
(1)~(4)の項目に分かれていますので、それぞれ解説していきます。

(1)販売先
販売先

販売先と、売上の回収条件を記入します。

キッチンカーの場合、個人のお客様が対象になりますので、「一般個人」と記入します。
具体的なターゲット顧客の属性をカッコ内に記入しましょう。
平日に、オフィス街などで出店する場合は「○○地域のサラリーマン・OL」と記入したり、休日のイベントなどに出店する場合は、「イベント来場のファミリー層」などと記入するとターゲット顧客がイメージしやすくなります。

シェアとは、全体の売上に対する割合のことです。

回収の条件は、売上代金が入金になるタイミングについて記入します。
キッチンカーの場合、現金支払いがメインになりますので、「即日〆 即日回収」と記入すれば問題ありません。
キャッシュレス決済を多く使用している場合は、各キャッシュレス決済の入金のタイミングを確認し記入するようにしてください。

【(1)販売先の記入例】

販売先記入例

審査に通る!販売先のポイント
・一般個人と書く他に、ターゲット顧客の特徴を書きましょう。
どのような顧客をターゲットにしているのか融資の審査官がイメージしやすくなります。
・キッチンカー事業において、販売先ないし、出店先が最も重要です。
 イベントに出店する場合は、そのイベントへの来場顧客が販売先になります。
 出店予定先リストを作成するなど、販売戦略を面談時に説明できるようにしてください。

(2)仕入先仕入先

食材等の仕入れ先が決まっていれば、記入します。

【(2)仕入先の記入例】仕入先記入例

審査に通る!仕入先のポイント
・事業の実現性を見られる箇所です。仕入先の目途はつけておきましょう。
・契約の締結までしている必要はありません。これから取引を検討している先も記入しましょう。
・支払いの条件については必ず確認しておきましょう。

(3)外注先

外注先

外注する業務がある場合は記入します。
特に外注を使う予定がない場合は「なし」と記入しておきましょう。

【(3)外注先の記入例】

外注先記入例

審査に通る!外注先のポイント
・既に外注スタッフが決まっている場合は、個人名を記入するとより具体的で実現性が増します。
・複数名いる場合は、別紙を用意して一覧で提出するようにしましょう。

(4)人件費の支払い

人件費

 

役員報酬、従業員の給与や賞与の支払い予定日を記入します。

1-5.【キッチンカー】従業員の記入

従業員

3カ月以上継続雇用を予定している従業員数を記入します。

【従業員の記入例】

個人事業主の場合

従業員-個人事業主

法人の場合

従業員-法人

審査に通る!従業員のポイント
・業務量に応じて、本当に必要な人数を記入しましょう。
・ここでは人数を記入するだけですが、融資面談の際に、なぜその人数にしたのか、どのようなスキルを持った人材なのか、従業員の採用の目途は立っているのか、どのように募集をするのかを聞かれることがありますので、説明できるようにしてください。

1-6.【キッチンカー】お借入の状況の記入

借入状況

代表者個人の借入について正直に記入します。
事前に借入の返済予定表を提出しますので、返済予定表を手元に用意して、借入の残高や年間の返済額を記入していきましょう。
手元にない場合は、ローン会社や金融機関に問い合わせると発行してもらうことができます。

【お借入の状況の記入例】

借入状況の記入例

審査に通る!お借入の状況のポイント
・隠したりせず、全て正直に記入しましょう。
 仮に嘘をついたとしても、日本政策金融公庫は個人の借入の状況を調べますので、必ずバレます。
 嘘をついていると、印象が悪くなり融資の審査に響きます。
・住宅、車、教育ローンは、延滞なく支払いをしていれば、審査において不利に働くことはほとんどありません。
・消費者金融からの借入や、カードローンは審査に影響しますので、なるべく完済してから創業融資の申込をするようにしましょう。

 

キッチンカーで仕事する女性と男性

1-7.【キッチンカー】必要な資金と調達方法の記入【最重要】

「7.必要な資金と調達方法」の項目は、日本政策金融公庫が創業計画書の中で最も重視する項目です。
また、創業計画書を作成する上で、多くの方が書き方に悩む箇所でもあります。

まず、表全体の説明をします。
表の左側は、創業のために必要となる設備資金や運転資金について記入をする欄です。
表の右側は、創業のために必要な資金をどのように調達するのか、資金調達の方法について記入する欄になります。
最終的に、左側の創業のために必要な資金の合計と右側の調達方法の合計を一致させなければなりません。

必要な資金と調達方法

まずは、「7.必要な資金と調達方法」の左側の欄の「必要な資金」(1)~(3)の記入方法から解説します。

必要な資金と調達方法の必要な資金について

(1)設備資金

手順1.必要な設備(モノ)の洗い出し
一旦、創業計画書を離れて、ノートやExcelのシートを用意しましょう。
そこに、創業に必要な設備(モノ)を思いついた順に、物品名と金額を書き出します。
モレがないか確認しましょう。

キッチンカーの初期費用の相場は300万円~1,200万円と言われています。
キッチンカーとして使用する車両の大きさによって大きく変わってきます。
今回は、軽自動車を使用したケースで解説していきます。

費目金額
キッチンカー400万円
保険料・税金・車検費用計50万円
諸経費(ユニフォーム、看板など)計50万円
合計500万円

手順2.金額が10万円以上のものをピックアップし創業計画書の設備資金の欄へ記入
一覧に出した必要な設備(モノ)のうち、単価10万円以上のものが、創業計画書の中で言う、「設備資金」になります。
創業計画書の設備資金の欄へ記入しましょう。

【設備資金の記入例】

設備資金の記入例

審査に通る!設備資金のポイント
・設備資金として創業計画書に記載したものは、見積書を添付資料として提出しましょう。
 見積書を提出することで、必要な資金の根拠が一目瞭然になりますので、融資の可否の判断材料になります。
 特に大きな金額のものほどシビアに見られます。
・見積書の発行が難しいものは、ネット通販の画面やカタログを印刷したものでも構いません。
・既に購入済みのものについても記載して構いません。
 購入済みの場合は、自己資金から支出していることになりますので、領収書のコピーを添付資料として提出します。

(2)運転資金

運転資金とは、事業を続けていく上で常に必要となる資金のことです。
人件費や、家賃、水道光熱費など、毎月支払いが必要な経費と考えてください。

次の手順に従って、記入していきます。

手順1.運転資金の洗い出し
設備資金を洗い出した時と同様に、一旦、創業計画書を離れてノートやExcelのシートを用意します。
下記の運転資金の一例を参考に、1カ月の間に係る経費を思いついたものから、項目名と予想される金額を書き出していきます。

運転資金が全て洗い出せたら、1か月分の合計金額を算出します。
今回は、個人事業主、年間売上約1,000万円の規模で試算していきます。
個人事業主のため、事業主本人の給与は含めません。

運転資金の例(1か月当たり)金額
人件費(パート)1,000円×8H×8日6.4万円
仕入(売上の30%)26万円
出店料(売上の15%)13万円
消耗品費2.5万円
水道光熱費1.5万円
通信費(電話・ネット代)1万円
広告宣伝費1万円
旅費交通費2万円
地代家賃(駐車場)1万円
保険料2万円
合計56.4万円

手順2.創業計画書の運転資金の欄への記入
運転資金の目安は、月の経費の3ヵ月分程度です。
事業が軌道に乗るまで、資金が不足しないように備えます。
創業計画書の運転資金の欄には、次のように記入します。

【運転資金の記入例】

運転資金の記入例

審査に通る!運転資金のポイント
・運転資金の内訳は、細かく見積もっておきましょう。
 実際に事業がスタートしてみると想定以上の支出があって困ったという声が多いです。
 また、融資面談の際に説明を求められる可能性がありますので、細かく見積もっておきましょう。

(3)必要な資金(設備資金と運転資金)の合計

設備資金の合計と運転資金の合計を足した金額を、創業のために必要な資金の合計を記入します。
以上で、創業計画書の「7.必要な資金と調達方法」の左側の欄「必要な資金」の欄の記入が完了です。

必要な資金の合計

次に、創業計画書の「7.必要な資金と調達方法」の右側の欄「調達方法」(4)~(8)の記入方法について解説していきます。

必要な資金と調達方法の調達方法について

(4)自己資金

自己資金

創業のために用意してきた自己資金の金額を記載します。
※2024
年度より、自己資金要件(創業資金総額の10分の1以上の自己資金があること)は撤廃されました。

審査に通る!自己資金のポイント
・2024年度より、自己資金要件は撤廃されましたが、創業資金総額の3分の1以上、自己資金が用意できていると審査では有利になります。
(創業資金総額が1,000万円の場合は自己資金300万円以上)
・自己資金が創業資金総額の3分の1に満たない場合には、店舗や設備を縮小し創業資金を抑えたり、創業の時期を見直すなどの検討が必要になります。
・通帳の履歴で、毎月の給与からコツコツと計画的に貯めてきたことを示せると経営者としての資質を高く評価してもらえます。
・見せ金は絶対にバレますのでやめてください。
 親族や友人から借りたお金は、次の項目の「親、兄弟、知人、友人等からの借入」の欄に記載してください。

(5)親、兄弟、知人、友人からの借入親、兄弟、知人、友人等からの借入の記入例

親族や知人からの借入がある場合は、誰からいくら借りたのか、返済額、返済回数、利率を記入します。

審査に通る!親、兄弟、知人、友人からの借入のポイント

・親や兄弟など親族からの借入でもきちんと「金銭消費賃貸借契約書」を作成して、返済期日などを取り決めておきましょう。
 融資審査の際に、「金銭消費賃貸借契約書」の提出を求められる場合があります。

(6)他の金融機関等からの借入

他の金融機関からの借入

既に、他の銀行等から事業用の借入がある場合は、金融機関名、借入金額合計、月の返済額、返済回数、利率を記入します。

審査に通る!他の金融機関等からの借入のポイント
・返済予定表を用意して、添付しましょう。
・ビジネスローンなどを借りている場合も忘れずに記入しましょう。

(7)日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入

日本政策金融公庫からの借入金額を記入していきます。

表の左側の必要な資金で算出した、(3)必要な資金の合計から、(4)自己資金、(5)親・兄弟・知人・友人からの借入、(6)他の金融機関からの借入の金額を引いて不足する金額を記入します。

これが、日本政策金融公庫へ借入を申し込む金額になります。

日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入

【日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入の記入例】

日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入の記入例

審査に通る!日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入のポイント

・借入金額に対して自己資金の割合が高いほど、融資の審査において有利になります。
・借入金額は、自己資金の3倍を一つの目安としてください。
・借入金額が自己資金の8倍、9倍となってしまう場合は、創業にかける費用が大きすぎるか、自己資金が少ないということになります。
 店舗や設備を縮小し、創業資金を抑えるか、開業の時期を見送り、自己資金を増やしてから申し込みをするなど、計画全体の見直しが必要です。

(8)調達方法の合計

順を追って記入していくと必然的に、「調達の方法」の合計は、左側の「必要な資金」合計金額と一致します。
以上で、創業計画書の「7.必要な資金と調達方法」は完成です。

【調達方法の合計の記入例】
調達の合計の記入例

1-8.【キッチンカー】事業の見通しの記入

次に創業計画書の「8.事業の見通し(創業当初)」について記入していきます。
売上の見込みや収支計画を示す欄です。1か月の平均で見通しを立てていきます。
右側の「売上高、売上原価(仕入高)、経費を算出された根拠」の欄には、実際に売上等を算出した計算式などを記入します。

事業の見通し

複数の記入項目がありますので、一つずつ解説していきます。

(1)事業の見通し(創業当初)の記入手順

まずは、「事業の見通し(創業当初)」から、次の手順に沿って記入していきましょう。事業の見通し創業当初

手順1.売上高①(創業当初)の記入
月の平均売上の見通しを記入します。
キッチンカーの場合は、1日の平均売上高を算出し、1か月の営業日数をかけて月の平均売上を算出します。
「1日の平均売上高×営業日数=1か月の売上」
計算式は売上高計算の根拠として、右側の根拠の欄に記入しておきます。
創業当初の売上見通しなので、厳しめに見積もっておきましょう。

【売上高①(創業当初)の記入例】売上高(創業当初)の記入例

手順2.売上原価②(創業当初)の記入
過去の経験などから、おおよその原価率がわかれば当てはめて計算します。
キッチンカーの売上原価の相場は30%です。
売上に原価率をかけて、売上原価を算出します。
計算式は、右側の根拠の欄に記入しておきます。

【売上原価②(創業当初)の記入例】事業の見通し売上原価の記入例

手順3.経費(創業当初)の記入
「7.必要な資金と調達方法」で、運転資金を算出した際の金額を記入していきます。
人件費、家賃の欄には、実際の金額をそのまま記入します。
根拠の欄には、次のように内訳を記入してください。

人件費:○○万円
(役員報酬○万円/従業員○名×月収○万円/アルバイト時給○○円×○時間×○日×〇名=○万円)
家賃:○万円

※法人の場合、役員報酬は人件費に含めますが、個人事業主の場合、代表者本人の給与は人件費に含めません。

支払利息については、日本政策金融公庫の借入金額に、創業融資の利率の目安である2.5%をかけて算出します。
借入金額に2.5%を掛けると、1年間に支払う利息の金額が出ますので、12カ月で割ることで月の支払い利息の金額が算出されます。
根拠の欄に、次のように計算の根拠を記入してください。

支払利息:〇万円(借入金額)×年2.5%÷12カ月=○万円
※創業計画書のExcelを利用している場合、小数点以下の数字は、四捨五入されて表記されてしまいますが、そのままで問題ありません。
例)0.5万円=1万円、1.4万円=1万円、1.6万円=2万円

その他の欄は、人件費、家賃以外にかかる経費の合計を記入します。
根拠の欄には次のように、内訳を記入してください。

その他:出店料〇万(売上の〇%)、水道光熱費等〇万
※キッチンカーの場合、出店料は重要な情報になりますので分けて記入をしてください。

【経費(創業当初)の記入例】
事業の見通し(創業当初)経費の記入例
合計③(創業当初)の欄は、Excelを利用している場合、自動計算で経費の合計が入力されるようになっています。

手順4.利益(創業当初)の記入
売上から、売上原価、経費を引いた金額が利益になります。
Excelを利用している場合、利益は自動計算で入力されます。
「売上高①―売上原価②―経費合計③=利益」

この利益の中から、融資の返済を行っていくこととなります。
さらに個人事業主の場合は、ご自身の生活費もこの利益の中に含まれています。

【事業の見通し(創業当初)の記入例】
事業の見通し創業当初の記入例

審査に通る!事業の見通し(創業当初)ポイント
・融資の返済は、この利益の中から行っていきます。
・個人事業主の場合は、事業主の生活費は利益に含まれます。
・創業当初は、利益が若干マイナスでも問題ありません。
 この時点で利益が多すぎると、「融資を受ける必要がないのでは?」と審査官に思われてしまいかねません。
 創業当初の売上・利益は低く見積もっておいた方がベターです。

(2)事業の見通し(軌道に乗った後)の記入手順

次に、事業の見通し(軌道に乗った後)を、次の手順に沿って記入していきましょう。

事業の見通し軌道に乗った後

手順1.売上高①(軌道に乗った後)の記入
半年後から1年後の売上の予想を記入します。
事業が軌道に乗るまで最低でも6ヵ月はかかると言われています。
また、日本政策金融公庫の融資担当者も6ヵ月で事業を軌道に乗せて欲しいと考えているため、ここでは6ヵ月後の売上予想を記入するようにしましょう。

1日の平均売上高に、1か月の営業日数をかけて月の平均売上を算出します。
「1日の平均売上高×営業日数=1か月の売上」
計算式は売上高計算の根拠として、右側の根拠の欄に記入しておきます。
下記の記入例では、1日の平均売上高を3.5万円から、5万円に増加させています。

【売上高①(軌道に乗った後)の記入例】売上高(軌道に乗った後)の記入例

手順2.売上原価②(軌道に乗った後)の記入
キッチンカーの売上原価の相場は30%です。
軌道に乗った後の売上高に原価率をかけて、売上原価を算出します。
計算式は、右側の根拠の欄に記入してください。

【売上原価②(軌道に乗った後)の記入例】売上原価(軌道に乗った後)の記入例

手順3.経費(軌道に乗った後)の記入
経費については、大幅な変動は基本的にないと考えて問題ありません。
特に変更がない場合は、創業時の欄に記入した数字をそのまま映します。

売上上昇に伴って増加する経費があれば、増加分を足して記入します。
キッチンカーの場合、出店料を売上の〇%としているケースが多いので、売上の増加に伴い出店料が増加する場合は、増加分を忘れずに記入しましょう。

【経費(軌道に乗った後)の記入例】経費(軌道に乗った後)の記入例

合計③(軌道に乗った後)の欄は、Excelを利用している場合、自動計算で経費の合計が入力されるようになっています。

手順4.利益(軌道に乗った後)の記入
売上から、売上原価、経費を引いた金額が利益になります。
Excelを利用している場合、利益は自動計算で入力されます。
「売上高①―売上原価②―経費合計③=利益」

この利益の中から、融資の返済を行っていくこととなります。
さらに個人事業主の場合は、ご自身の生活費もこの利益の中に含まれています。

以上で、「8.事業の見通し(月平均)」の記入が完了です。

【事業の見通し(軌道に乗った後)の記入例】

利益(軌道に乗った後)の記入例

審査に通る!事業の見通し(軌道に乗った後)ポイント
・この利益の中から融資の返済を行います。
 軌道に乗った後は、必ず利益がでるように計画を立て、融資の返済が滞りなく行えることをアピールましょう。
・個人事業主の場合は、利益からご自身の生活費を捻出します。
 利益から融資の返済をしても、事業主自身の生活が成り立つような計画を立てる必要があります。

以上で、キッチンカー事業の創業計画書は完成です。


2.まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事ではキッチンカーにおける創業計画書の書き方と記入例を紹介しました。
取り上げたポイントに注意しながら書き進めていただければ、融資に成功する創業計画書がおのずと完成しています。
創業計画書は、融資審査の要です。

何度も見直し、ブラッシュアップしていきましょう。

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