日本政策金融公庫による現地調査とは、融資担当者が実際に店舗や事務所に出向いて事業の実態を調査するものです。日本政策金融公庫の融資審査の過程で、「現地調査が行われる」という話を聞き、不安に思われているのではないでしょうか?そこで今回は、現地調査でチェックをされているポイントや現地調査についてよくある質問について解説していきます。
初めて日本政策金融公庫から融資を受ける方が、不安に思われているポイントについて解説しておりますので、是非最後までチェックし、現地調査に備えてください。
1.日本政策金融公庫の現地調査でチェックされている3つのポイント
日本政策金融公庫による現地調査では、主に次の3点をチェックされています。
1-1.実態の調査(店舗や事務所が存在しているか)
1-2.業種はあっているか
1-3.周辺環境
基本的には、事業の実態があるか、事前に提出した書類の内容に嘘や矛盾がないかをチェックしています。
現地調査によって嘘や矛盾が発覚した場合、融資審査においてマイナスの評価になってしまいますので注意しましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
1-1.実態の調査(店舗や事務所が存在しているか)
事前に提出した書類に記載されている住所に、店舗や事務所が存在しているか、事業が行える状態になっているのかをチェックします。
店舗や事務所があることがわかるように、可能な限り看板等を出しておくようにしましょう。
準備が間に合わない場合は、ラベルプリンターなどで会社名・店舗名のシールを作成し、簡易的に表札などに掲示しておくようにしましょう。
書類に記載した場所に、店舗や事務所が存在しないような場合は融資の審査に落ちる確率がかなり高くなります。その他にも、開業の準備が進んでいない、事業を行える状態ではないような場合も注意が必要です。
自宅兼事務所の場合、実際にそこで生活しているかどうか等も見られています。
1-2.業種が合っているか
事前に提出した書類に記載している業種と、店舗や事務所の外装等が矛盾していないかをチェックします。
例えば、事前に提出した事業計画書上では、大衆的な定食屋としているにも関わらず、実際訪れるとマンションの一室であるというようなケースでは、ビジネスのターゲット市場や宣伝戦略について疑問が生まれ、マイナスの評価になる恐れがあります。
また、飲食店として融資の申し込みをしているにも関わらず、スナックやキャバクラのような外装工事がされているといったケースがよくあります。
そもそも、スナックやキャバクラ等の風俗店は融資を受けるハードルが高いので、そのことを理解した上で、虚偽の申請をしていると一発で疑われ、確実に融資の審査に落ちると言っても過言ではないでしょう。
当然、事前に提出した書類に記載している業種と実際の店舗に矛盾がある場合、設備資金や運転資金の金額、内容も変わってきます。
融資の審査をする上で、重要な要素になりますのでしっかりと実態に合わせた事業計画書を作成する、もしくは業種やコンセプトに合わせた物件を見つけるようにしてください。
1-3.周辺環境
日本政策金融公庫の担当は、現地調査をする際に周辺の環境も併せてチェックしています。
特に、飲食店など店舗型のビジネスの場合、人通りやその属性、周辺施設なども確認しています。
ファミリー層をターゲットとしているにも関わらず、実際の立地がビジネス街であったり、高齢化の進む過疎地域であるような場合、周辺の環境と事業計画に矛盾が生じていると言えます。
このような場合、事業の実現性や、信憑性が低いとマイナスの評価を受けることになります。
融資の申込をする前に、ご自身で周辺の環境や、人通りなどの市場調査をするようにしましょう。
2.日本政策金融公庫の現地調査のよくある質問
日本政策金融公庫による現地調査のよくある質問について回答していきます。
Q1.現地調査は、事前に連絡がありますか?
担当者によります。
事前の連絡なく行われることもありますので、いつ行われても問題ないように準備しておきましょう。
ただ、融資の実行前に準備を進めることが難しい場合が多いかと思います。
前章で解説した通り、店舗や事務所があることがわかるように、可能な限り看板を出す、またはラベルプリンターで簡易的に、会社名・店舗名のシール等を作成し表札などに掲示しておくようにしましょう。
基本的に、開業に向けて準備を進めていれば問題はないと言えます。
Q2.現地調査の際に対応は必要ですか?
基本的に対応は必要ありません。
店舗や事務所の中に入らずに、外観だけ確認するといったケースが多いです。
事業内容や、外観からでは実態が確認できないような場合は、中の様子を見に来ることもあります。
Q3.現地調査は全ての事業者に行われるのですか?
基本的に全ての事業者に行われます。
Q4.自宅兼事務所ですが、現地調査は行われるのですか?
自宅兼事務所の場合も、現地調査は行われます。
WEBデザイナーや、WEB制作業など、自宅でパソコン一つで開業できるような事業内容の場合、事業の実態が把握しにくいことから、自宅の中まで訪問し事業を実施する環境が整っているかどうかの確認が行われるケースがあります。
Q5.事前に何か準備は必要ですか?
店舗や事務所があることがわかるように、会社名・店舗名等を掲示しておくようにしてください。
看板や、ラベルプリンターで作成したシールなど簡易的なもので問題ありません。
自宅兼事務所の場合は、表札の下などに会社名等を掲示しておきましょう。
開業に向けて準備を進めていれば基本的には問題ありません。
Q6.まだ、賃貸契約を結んでいませんが現地調査は行われるのですか?
現地調査は行われます。
賃貸契約を結んでいない場合は、建物内部に入ることができませんので、外から事業の可能性や周辺環境が事業計画と合致しているかを確認します。
Q7.改装工事中で、店舗の中に入ることが出来ません。問題ありますか?
問題ありません。
改装工事中ということであれば、開業に向けて準備が着々と進んでいると判断できます。
Q8.融資後にも現地調査は行われますか?
稀に、融資の実行後に現地調査が行われるケースがあります。
設備資金で一定金額以上の大型の融資を受けた場合に、現地調査により購入した設備の有無が確認されます。
日本政策金融公庫の場合、基本的に融資の実行後に融資金が予定通りに使われたかどうかを確認することはありませんが、設備資金として借りた融資金を、別の用途に使ってしまうと、資金使途違反となります。
資金使途違反が発覚すると、融資の一括返済を求められる場合があります。
信用を失い、今後の融資取引にも影響が出てしまいますので、金額にかかわらず事前に申請した通りに、融資金を使うようにしましょう。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、日本政策金融公庫の現地調査にフォーカスを当てて解説をしてきました。
ただ、実態を確認するだけでなく、事前に提出をしている事業計画書と照らし合わせて、周辺の環境などから事業計画の実現性や信憑性をチェックしています。
現地調査も重要な融資審査の一環です。
今回紹介した現地調査でチェックされる3つのポイントを参考に、ご自身でも店舗や事務所周辺をよく観察し、融資担当者がどのようなことを感じるのかを確認し、疑問や問題が発覚した場合には、事前に事業計画書に対応策や、戦略を記載しておく、融資面談の際に伝えておくようにしましょう。
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