【会社設立費用の比較】自分で手続きした場合と専門家に依頼した場合

会社設立を決意した男性

会社設立する際にはできるだけ費用を抑えたいものですよね。
費用を抑えるために、自分で会社設立の手続きを実施しようと考える方は非常に多くいらっしゃいます。 

そこで今回は、会社設立を自分で行なう場合のの費用や流れ、具体的な節約方法等について解説いたします。
専門家に依頼した場合との比較もまとめてありますので、具体的にいくら安くなるのかも分かりますよ。

実際に会社設立する自分を思い描きながら、ぜひ読み進めてください。


1.自分で会社設立する場合と専門家に依頼した場合の設立費用の比較

2023年現在において、会社設立で選択する形態は、一般的に「株式会社」か「合同会社」が多くなっています。そのため、本記事では「株式会社」と「合同会社」の2つ会社設立費用の比較を行っていきます。

1-1.自分で会社設立する場合の費用

株式会社の場合

自分で株式会社を設立した場合の費用の合計金額は約24万円です。
全作業を自分で行えば、24万円程度で株式会社が設立できます。

【株式会社の設立費用(自分で行った場合)】

費用項目金額
登録免許税15万円
又は資本金×0.7%の高い方
定款認証手数料資本金の額等が
100万円未満の場合 3万円
100万円以上300万円未満の場合 4万円
300万円以上の場合 5万円
収入印紙代紙の定款の場合 4万円
定款の謄本2千円程度
その他の費用(会社印鑑作成・謄本取得費用等)1万円程度
専門家手数料0円
合計24.2万円

※合計金額は、定款認証手数料を4万円で計算。

合同会社の場合

合同会社を自分で設立した場合の費用の合計金額11万円です。
全作業を自分で行えば、11万円程度で合同会社が設立できます。

【合同会社の設立費用(自分で行った場合)】

費用項目金額
登録免許税6万円
又は資本金×0.7%の高い方
定款認証手数料0円
収入印紙代紙の定款の場合 4万円
定款の謄本0円
その他の費用(会社印鑑作成・謄本取得費用等)1万円程度
専門家手数料0円
合計11万円

1-2. 専門家に会社設立依頼した場合の費用

専門家に依頼すると、専門家手数料が発生します。
しかし、専門家に依頼をすると収入印紙代4万円が不要になります。
収入印紙代は紙の定款の場合に発生しますが、専門家に依頼した場合、ほとんどのケースで電子定款を採用するため、収入印紙代が不要になるのです。
※電子定款を選択するためには別途ソフトが必要になります。専門家はそのソフトを所有しているため電子定款を採用することができます。

株式会社の場合

専門家に依頼して株式会社を設立した場合の費用の合計金額は約26万円です。
専門家手数料が発生していますが、収入印紙代が0円になるため、自分で株式会社を設立した場合の費用約24万円と比較しても約2万円程度の差になります。

【株式会社の設立費用(専門家に依頼した場合)】

費用項目金額
登録免許税15万円
又は資本金×0.7%の高い方
定款認証手数料資本金の額等が
100万円未満の場合 3万円
100万円以上300万円未満の場合 4万円
300万円以上の場合 5万円
収入印紙代0円
定款の謄本2千円程度
その他の費用(会社印鑑作成・謄本取得費用等)1万円程度
専門家手数料(相場)6万円~
合計26.2万円

※合計金額は、定款認証手数料を4万円で計算。

合同会社の場合

専門家に依頼して合同会社を設立した場合の費用の合計金額は約12万円です。
専門家手数料が発生していますが、収入印紙代が0円になるため、自分で合同会社を設立した場合の費用約11万円と比較しても約1万円程度の差になります。

【合同会社の設立費用(専門家に依頼した場合)】

費用項目金額
登録免許税6万円
又は資本金×0.7%の高い方
定款認証手数料0円
収入印紙代0円
定款の謄本0円
専門家手数料(相場)5万円~
その他の費用(会社印鑑作成・謄本取得費用等)1万円程度
合計12万円

1-3. 会社設立を自分で行った場合と専門家に依頼した場合の比較

会社設立を自分で行った場合と、専門家に依頼した場合の費用を比較すると以下の通りになります。

株式会社合同会社
自分で行った場合の費用24.2万円11万円
専門家に依頼した場合の費用26.2万円12万円
差額2万円1万円

上記の通り、ご自身で会社設立の手続きをした場合も、専門家に依頼した場合も、1~2万円と費用の負担に大きな差はありません。

会社設立には専門的な知識が必要になります。
ご自身で調べたり、手続きするためには多くの時間と労力がかかり、さらに登記に誤りがあると、許認可が受けられない、銀行からの融資が受けられないなどのリスクあります。
少しでもコストを抑えたいという気持ちはわかりますが、専門家に依頼することも検討すべきと言えます。


2.自分で会社設立した場合の手続きの流れと費用が発生するタイミング

ここでは、会社設立を自分で行う場合のフローを4つのステップで解説していきます。

ステップ1.準備期間

会社の概要を具体的に考えます。
どこでどんな顧客に何を販売するのか等、創業計画書を作成してみるのもおすすめです。

開業時に必要なものもリストアップして、準備していきましょう。
事務用品やパソコンなどすぐに必要なものは、会社設立前に購入してしまっても問題ありません。
きちんと領収証等を保管しておけば、会社の設立後に経費として計上することが可能です。

この準備段階で開業費用が不足しているのであれば、融資も検討してみましょう。
会社の設立前でも金融機関に融資の相談に行くことができます。
早め早めの準備が大切です。ただし、融資の実行は会社の設立後になります。

創業計画書の書き方について詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。

 

こちらの記事では日本政策金融公庫で融資を受ける際の創業計画書の書き方を紹介していますが、融資を検討していない場合でも、一度創業計画書を作成してみることをおすすめします。
頭の中のビジネスプランが整理され、今まで気づけなかった問題などが見えてきます。

ステップ2.設立直前

会社設立に必要な情報をまとめます。
会社名や代表者、資本金等を決めましょう。
実際に支払う費用は発生しませんが、資本金等の費用を工面すべき時期です。

会社を立ち上げる際には1円以上の資本金が必要です。
これは合同会社・株式会社共通です。

一般的な資本金の目安は、50万円以上1,000万円未満です。
資本金額は、100万円から300万円程度とする方が多いですが、今は50万円くらいの資本金でスタートする方も増えています。

資本金が50万円未満の資本金の場合、会社の信用面にもかかわってきます。
具体的には、「銀行口座が開設できない」、「取引先から取引を断られてしまう」などが挙げられます。
資本金は開業のための準備資金ですので、資本金1円での設立はあまりおすすめできませんが理論上は可能になっています。

ステップ3.設立時

いよいよ会社設立です。
主に実行することは次の3つです。

①法人用の印鑑の作成
②登記に必要な書類の作成
③登記の手続き

このタイミングで、会社設立の費用、株式会社の場合24.2万円、合同会社の場合11万円の支払いが発生します。これと同時に、資本金の払い込みも必要となります。

ステップ4.会社設立直後

会社設立直後に忘れがちなのが、各種税金や社会保険制度等の届け出の手続きです。
会社設立直後に必要な手続きは次の通りです。

届出先届出の種類期日
税務署法人設立届書設立登記から2ヶ月以内
青色申告承認申請書①最初の事業年度終了の日の前日
②設立から3ヵ月を経過した日の前日
①②のいずれか早い日
給与支払事務所等の開設届出書事務所開設日 から1カ月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書特例を受けようとするとき
都道府県税事務所法人設立届設立登記から2ヶ月以内
(条例による)
市区町村役場法人設立届設立登記から2ヶ月以内
(条例による)
年金事務所健康保険・厚生年金 新規適用届事実発生から5日以内
健康保険・厚生年金 被保険者資格取得届事実発生から5日以内
(入社都度)
労働基準監督署労働保険 保険関係成立届労働者を雇用した日から10日以内
労働保険 概算保険料申告書労働者を雇用した日から50日以内
ハローワーク雇用保険 適用事業所設置届労働者を雇用した日から10日以内
雇用保険 被保険者資格取得届労働者を雇用した日の翌月10日まで(入社都度)

スケジュールがタイトになっていますので、会社設立後すぐに手続きを進めるようにしましょう。

契約書に印鑑を押す様子


3. 自分で会社設立する場合の費用と手間を最小限に抑える方法

自分で会社設立を行うなら、freeeやマネーフォワード(MF)の会社設立のツールを使うのがおすすめです。
提出書類が簡単に作成できるうえ、メールサポート等が全て無料で受けられます。
自分で会社設立をする際にどうしても発生してしまう、紙の定款の収入印紙代4万円もfreeeやMF会社設立ツールを利用すれば、5,000円で電子定款を作成してもらえるため、株式会社の場合20.7万円、合同会社の場合7.5万円で会社設立が可能となります。

【株式会社の設立費用の比較】(株式会社設立の一般的な例)

freee・MF等
会社設立ツールを使用
自分で設立専門家に依頼
登録免許税15万円15万円15万円
定款認証手数料 4万円4万円4万円
収入印紙代電子定款作成 5千円紙の定款 4万円電子定款 0円
定款の謄本2千円程度2千円程度2千円程度
専門家手数料(相場)0円0円6万円~
その他の費用
(会社印鑑作成・謄本取得費用等)
1万円程度1万円程度1万円程度
合計20.7万円24.2万円26.2万円

※資本金100万円の場合

【合同会社の設立費用の比較】(合同会社設立の一般的な例)

freee・MF等
会社設立ツールを使用
自分で設立専門家に依頼
登録免許税6万円6万円6円
定款認証手数料 0円0円0円
収入印紙代電子定款作成 5千円紙の定款 4万円電子定款 0円
定款の謄本0円0円0円
専門家手数料(相場)0円0円5万円~
その他の費用
(会社印鑑作成・謄本取得費用等)
1万円程度1万円程度1万円程度
合計7.5万円11万円12万円

4.自分で設立手続きした場合のよくある失敗事例

便利なシステムのおかげで、費用を抑えて自分で会社設立をするケースも増えていますが、一方で自分で会社設立の手続きをして失敗してしまうケースもあります。
ここでは自分で会社設立をした場合のよくある失敗事例を紹介していきます。
先輩たちの失敗事例を知り、同じ失敗をしないように注意しましょう。

失敗事例1.住所が間違っていた

定款に記載する住所が間違っていても、会社設立できてしまうこともあります。
特に大変なのは融資の際で、金融機関から住所間違いを指摘され、修正と再登録をするために時間をお金が無駄になってしまうことも起こりえます。
この場合は再登録が完了するまで融資は実行されないため、事業計画が後ろ倒しになることは免れません。 

失敗事例2.事業目的の不備

原則として営業内容は謄本や定款で定めた事業目的の範囲で行わなければなりません。
実際に行う事業内容が、事業目的に記載されていないと、事業の開始のために必要な許認可が取得できない、融資が受けられないなどのトラブルが発生します。
特に許認可等を取得する際には、事業目的の欄に記載する内容や書式があらかじめ決まっていることもあります。書式に則っていない場合は許認可が得られず、修正と再登録が必要となり、余計なコストと時間がかかってしまうことになります。

このように、コストを抑えようと自分で手続きをしたのに、かえって時間やコストがかかってしまうこともあります。少しでも心配な方は、専門家に依頼することも検討しましょう。


5.少しでも心配なら会社設立は専門家に依頼するべき!その理由とは

少しでも会社設立の手続きに心配があるなら、少しコストをかけてでも専門家に依頼することをおすすめします。専門家に依頼すると料金以上の恩恵を受けられる可能性があります。
専門家に依頼すべき主な理由は次の通りです。

①時間や労力の節約ができる

会社設立時は開業準備で多忙な時期です。
会社設立の手続きは、専門的な知識も必要となり、慣れない作業になるため時間やストレスばかりかかってしまいます。その分の時間を、売上に直結する営業活動や調査等を行う方が合理的なのは言うまでもありません。
事前準備は開業後のスタートダッシュにも影響を与えます。
会社設立という作業を専門家に任せることで、あなたはもっと大事な本業に集中できるのです。

②確実に手続きができる

会社設立の手続きに誤りがあると、許認可が取得できない、融資が受けられないなどのトラブルが発生します。
専門家に依頼することで、確実に会社設立の手続きを終えることができます。
また、会社設立の専門家のプロの目線でのアドバイスを受けることができます。

③他の専門家とのつながりができる・割引を受けることができる

会社の設立時、設立後に関わることとなる専門家は主に、「税理士」「司法書士」「行政書士」ですが、
これらの専門家は連携していることが多く、必要に応じて紹介をしてもらうことができます。
自分で専門家を探す必要がなく、何かと多忙な会社設立時には助かることが多いです。

また、ほとんどの場合会社設立後に決算・税務申告のために税理士と顧問契約を結ぶことになります。
この税理士との顧問契約を前提に、実質的に会社設立の専門家手数料の割引を受けられるケースがあります。

このように長期的な目線で見ると、自分で会社設立を行うより、専門家の力を借りた方が正確かつスピーディー、そしてお得に会社設立ができる可能性があります。


6.まとめ

いかがでしたでしょうか?
会社設立を自分で行った場合と専門家に依頼した場合の費用は次の通りです。

株式会社合同会社
自分で行った場合の費用24.2万円11万円
会社設立ツールを使って自分で行った場合の費用20.7万円7.5万円
専門家に依頼した場合の費用26.2万円12万円

上記の通り、会社設立ツールを利用することで自分の手で格安で会社設立の手続きを行うことができます。

しかし、自分で会社設立を行ったことによる失敗も後を絶ちません。
かえって、時間やコストがかかってしまうことも。

専門家に依頼することで、正確かつスピーディーに会社設立の手続きを終えることができます。
慣れない作業は専門家に依頼し、売上に直結する本業に集中するというのも一つの選択肢であると言えます。

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