創業融資における日本政策金融公庫と銀行の違いとは!?創業時に日本政策金融公庫がおすすめされる3つの理由

どちらのお金を使うか選択を迷う人

創業融資には日本政策金融公庫の創業融資がおすすめと耳にする方が多いのではないでしょうか?

一方で、創業を決意するまでは「日本政策金融公庫」という名称を聞いたことがないという方がほとんどです。
そこで今回は「日本政策金融公庫とはどのような機関なのか」「日本政策金融公庫と銀行との違いは何なのか」

そして、「なぜ創業時に日本政策金融公庫がおすすめされるのか」について、融資の専門家が詳しく解説していきます。
日本政策金融公庫について理解を深め、今後の資金調達にぜひお役立てください。


1.【比較表】創業融資における日本政策金融公庫と銀行の主な違い

日本政策金融公庫とは、日本政府が100%出資している政府系金融機関で民間の金融機関を補完する目的をもっています。そのため、銀行とはその目的や業務内容等が異なります。

日本政策金融公庫銀行
目的民間の金融機関の取組の補完
事業に取り組む方々の支援
銀行の利益獲得
業務内容融資や経営指南等
預金業務なし
預金・融資・為替業務
創業者へのスタンス積極的消極的ではないもののハードルは高くなる。
調達金額上限の目安1,000万円程度が現実的1,000万円程度が現実的
金利(保証料)金利 約2.5%

金利 約1.5%

保証料 約2%

金利+保証料=約4%
※制度融資の利子補給や保証料補助により、合計 約2.5%になる

申込から実行までの期間1ヶ月程度1ヶ半~2ヶ月程度
自己資金要件

創業資金総額の10分の1以上
なし ※2024年度より自己資金要件撤廃

なし
担保・保証人無担保・無保証人の融資制度あり原則代表者保証

1-1.目的

日本政策金融公庫銀行
民間の金融機関の取組の補完・事業に取り組む方々の支援銀行の利益獲得

日本政策金融公庫の目的は「民間の金融機関の補完」「事業に取り組む方々への支援」です。
簡単に言うと、「銀行からの融資を受けにくいケース」を支えるのが日本政策金融公庫です。
そして事業に取り組む方々を支援し、日本経済、地域経済の活性化が目的と言えます。

一方で銀行をはじめとする民間の金融機関は、一般の企業同様に「利益を追求すること」を目的としています。
創業間もない企業や個人事業主は、信用がないため銀行としては貸し倒れのリスクが大きいと考えるため、融資を断念せざる負えないこともあります。
このような「銀行からの融資を受けにくいケース」を支えるのが日本政策金融公庫の目的であり、役割と言えます。

1-2.業務内容

日本政策金融公庫銀行
融資や経営指南等(預金業務なし)預金・融資・為替業務

日本政策金融公庫は法人や個人への融資業務が中心となり、普通預金などの預金業務は行っていません。

創業融資や教育ローン等の幅広い融資制度を取り扱っています。
他にも経営支援やビジネスマッチングといった、経営者に嬉しいサービスも充実しています。
一方、銀行をはじめとする民間の金融機関は預金業務・融資業務・為替業務を中心に行っています。

 

1-3.創業者へのスタンス

日本政策金融公庫銀行
積極的消極的ではないもののハードルは高くなる

日本政策金融公庫は創業融資に積極的に取り組んでいます。
日本経済の発展を国が支援をしてくれていると考えるとわかりやすいでしょう。

一方で、銀行をはじめとした民間の金融機関は、創業融資に対して消極的ではないものの、
創業間もなく信用のない貸し倒れリスクの高い企業や個人事業主は銀行から直接融資を受けることはまず難しく、「信用保証協会」という第3の機関を介して融資を行います。
この「信用保証協会」が企業や個人事業主と銀行の間に入り公的な保証人となることで融資が受けやすくなります。
このような制度のことを一般的に「信用保証制度」と言い、この制度を適用した融資のことを「保証協会付き融資」と言います。

この場合、銀行内の審査と、信用保証協会の審査の2つの審査をクリアしなければならない為、おのずとハードルが高くなります。

基本的に、創業時や初めて銀行から融資を受ける場合、保証協会付き融資を受けると考えてください。

詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください!
保証協会付き融資について詳しくはこちらの記事を参照してください。
創業融資を銀行から受けるための3つのコツを融資の専門家が伝授!これで融資の確率UP間違いなし!

1-4.調達金額上限の目安

日本政策金融公庫銀行
1,000万円程度が現実的1,000万円程度が現実的

創業融資の資金調達額の目安は、日本政策金融公庫、銀行どちらも1,000万円が現実的です。

日本政策金融公庫では公式サイト上に「新規開業融資(創業融資)」の融資上限額は7,200万円、信用保証協会の公式サイト上に融資上限額は3,500万円などと記載がありますが、実際のところ1,000万円以上の融資が受けられるケースは非常に稀です。
だいたい500万円~800万円が一番多い金額です。

専門家に依頼することで、1,000万円以上の融資を獲得できる確率が上がります。
1,000万円以上の融資が必要な場合は、専門家に相談することをおすすめします。

1-5.金利(保証料)

日本政策金融公庫銀行
金利 約2.5%

金利 約1.5%

保証料 約2% 

金利+保証料=約4%
※制度融資の利子補給や保証料補助により、合計 約2.5%になる

金利だけを比較すると、日本政策金融公庫 約2.5%、銀行 約1.5%と銀行の方が低くなりますが、
銀行の場合、信用保証協会に支払う「保証料」が発生します。
この保証料は約2%になりますので、銀行の場合、金利と保証料を合計すると約4%となってしまいます。

ですが、銀行の「制度融資」という仕組みを利用すると、利子補給や保証料の補助を受けることができるため、金利と保証料を合計しても約2.5%に落ち着くケースがほとんどです。
そのため、大きな差はないと考えて良いでしょう。
詳しくは金融機関の担当者に確認をしてみてください。

融資額が多ければ多いほど金利の負担は多くなります、創業時は金利だけをみて融資を申し込む金融機関を判断するべきではないと言えます。

1-6.申し込みから実行までの期間

日本政策金融公庫銀行
1カ月程度1カ月半~2ヶ月

融資の申込から実行までは、日本政策金融公庫の方が早いです。
銀行の保証協会付き融資の場合は、銀行と信用保証協会の2か所での審査があるため、約2カ月ほど時間がかかってしまいます。

1-7.自己資金要件

日本政策金融公庫銀行
創業資金総額の10分の1以上
なし ※2024年度より自己資金要件撤廃
自己資金要件なし

2024年度より、日本政策金融公庫でも、自己資金なしで創業融資を申し込むことができるようになりました。
これまでは、自己資金要件(創業資金総額の10分の1以上の自己資金を有していること)が定められており、自己資金要件を満たさない場合には融資の申込みができませんでしたが、2024年度より、スタートアップ向けの支援を強化する目的で、自己資金要件が撤廃され、自己資金なしでも創業融資の申し込みが可能になりました。

しかし、実際に融資が受けられるかは別の問題です。
自己資金要件がないからと、自己資金が全くない状態では融資の審査をクリアすることはかなり難しくなります。
融資を成功させるためには、日本政策金融公庫・銀行どちらの場合も、自己資金はしっかりと用意しなければなりません。
創業資金総額の3分の1以上自己資金を用意しておくと、融資の成功確率が上がります。

1-8.担保・保証人

日本政策金融公庫銀行
無担保・無保証人原則代表者保証

日本政策金融公庫では、融資制度ごとに担保や保証人の要件を設定しています。
そのうち、新たに事業を始める方または税務申告を2期終えていない方は、無担保・無保証人で融資を受けることができます。
他の金融機関にはない制度なので、是非活用するようにしましょう。

一方、銀行は原則、代表者が保証人となる必要があります。

銀行と日本政策金融公庫での融資を天秤にかける


2.創業時に日本政策金融公庫がおすすめされる理由は次の3つ!

創業時には、創業者が借りやすい制度が整っている、日本政策金融公庫への申し込みがおすすめです。
その理由は次の3点です。

2-1.創業融資に積極的である

日本政策金融公庫は創業融資に積極的な金融機関です。
事業が軌道に乗るか不透明なこともあり、返済リスクが大きい創業融資は、銀行等が取扱しにくい分野である一方、日本政策金融公庫は、起業直前・直後の事業者にもどうにかして融資してあげたいというスタンスで取り組んでくれます。
創業者支援も充実しているため、まずは日本政策金融公庫に相談するようにしましょう。

2-2.融資の申し込みから実行までがスピーディー

融資申し込みから実行まで、日本政策金融公庫なら約1ヶ月で完了します。
銀行の場合は、銀行内と信用保証協会の2つの審査をクリアする必要があり、初めて信用保証協会を利用する場合、銀行の担当者の面談の他、信用保証協会との面談も実施されるため、その分時間がかかります。
創業時は、とにかくスピードが重要です。
融資の実行までのスピードが早い日本政策金融公庫を利用して、事業のスタートダッシュを切りましょう。

2-3.原則、無担保・無保証人

日本政策金融公庫の創業融資は、原則無担保・無保証人で利用できるのが大きな特徴です。
法人で申込をした場合、担保が必要ないのはもちろん、経営者本人が連帯保証人になる必要もありませんので、万が一、事業に失敗してしまった場合、個人の財産を守ることができます。
(※個人事業主の場合は、個人で借入するため、本人が責任を負うことになります。)

専門家からのアドバイス
日本政策金融公庫と銀行の両方から融資を受けることができます。
日本政策金融公庫から融資が受けられた場合、銀行等からの融資を受けやすくなるという効果も期待できます。
日本政策金融公庫での融資実績が「信用」と捉えられるためです。

創業時は、金利ではなく「借りることができるか」を優先し、検討するべきです。
金利等の負担については、事業が軌道に乗ってから、じっくり考えるべき項目です。
優先順位を間違えないようにしましょう。


まとめ

日本政策金融公庫と銀行の違いについて理解することができましたでしょうか?

日本政策金融公庫は、起業時に最も融資が受けやすい金融機関です。
預金業務がないため馴染みが薄いかもしれませんが、融資という業務で日本経済を支えています。
無担保・無保証人で融資が受けられるなど、創業時でも利用しやすいのが最大の特徴です。
起業をする際に、融資が必要になったらまずは、日本政策金融公庫の利用を検討してみましょう。

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