創業融資で失敗しないために「融資申込前」から「面談」までにチェックすべき全15のポイントを押さえておきましょう。
このポイントは必ず見られるポイントなりますので、事前に抑えておく必要があります。
創業融資は、一度失敗すると再申込が難しいため、入念な準備が重要となるのです。
この記事では、【創業融資申込前】【創業計画書】【創業融資面談】の3つの段階に分け、合計15の重要なポイントを専門家視点で解説します。
各ポイントは以下のチェックリストで確認できますので、全てクリアして万全の体制で融資審査に挑みましょう。
詳しくは、本文でわかりやすく解説していきます。
目次
1.創業融資の申込前の5つのポイント
創業融資に申込む前の行動が、融資審査を大きく揺るがします。
融資申込前から準備万端にしておきましょう。
創業融資申込前の5つのポイントは下記の通りです。
【創業融資申込前の5つのポイント】
①自己資金
②毎月の支払
③税金の滞納
④車・住宅ローン等の借入
⑤消費者金融・カードローン・クレジットカードのキャッシングの利用
それぞれ解説していきます。
①自己資金
自己資金は、開業に必要な費用の3分の1以上用意しておくと融資審査を有利に進めることができます。
自己資金は、多ければ多いほど融資の審査が有利になります。
自己資金は、第三者が確認できる「創業への熱意」と言えるためです。
コツコツと事業用資金を積み立ててきた実績は、起業に対する熱意や計画性があると好意的に捉えられます。
②毎月の支払
自宅家賃や水道光熱費等の支払いの滞納がある場合は、必ず解消してから融資の申し込みをしましょう。
融資の審査時には、直近6カ月の支払い状況を通帳等の中身をみて確認されます。
家賃や水道光熱費等の滞納や遅延があると、お金にルーズな印象をもたらし、融資の返済も、同様に滞る可能性が高いと融資の審査でマイナスの評価となってしまいます。
毎月滞りなく支払いを済ませていることが基本ですが、特に融資申込の直前6カ月間は注意をしましょう。
③税金の滞納
税金の滞納をしていると、融資を受けることができません。
税金の滞納がある場合は、必ず解消してから融資の申し込みをしましょう。
特に、日本政策金融公庫は、国が出資している政府系の金融機関であるため、税金の滞納については厳しくチェックされます。
その他の民間の金融機関も同様です。
納税証明書の提出が求められるケースもありますので、隠し通せるものではありません。
融資を検討したら、特に税金の支払いは注意しましょう。
融資申し込みの前に、滞納分の支払いを済ませてしまっていれば、特に問題になることはありません。
④車・住宅ローン等の借り入れ
車や住宅ローンの借り入れがあるからと言って、特段、融資審査で不利になることはありません。
しかし、支払いの遅延・滞納がある、借入の負担が大きく生活が回っていないと融資審査では大きくマイナスの評価になります。
また、高級車や高級時計など明らかにローンを組んでまで購入することが不適切だと判断されるようなローンの組み方をしている場合も、お金の使い方がだらしないとマイナス評価になってしまいます。
一般的な住宅ローンや車のローン以外は解消してからの申込がおすすめです。
⑤消費者金融・カードローン・クレジットカードのキャッシングの利用
消費者金融からの借入や、カードローン、クレジットカードのキャッシングを利用していると融資の審査で不利になります。
よほどのことがないと、消費者金融やカードローンの利用はしないと思います。
そのため、これらを利用していると「計画性がない」と判断されてしまうのです。
消費者金融や、カードローン、クレジットカードのキャッシングの利用があるだけで審査に落ちるわけではありませんが、利用した理由が「生活費の補填のため」など説明がつきにくいものは審査にマイナスの影響を与えますので、全て完済してからの融資の申し込みをおすすめします。
なお、返済に遅延や滞納があると信用情報に傷がついて残ってしまいます。
融資の審査の際には、必ず信用情報のチェックが行われておりますので、隠すことはできません。
信用情報に傷がついていると融資を受けることは非常に難しくなります。
少しでも信用情報に不安がある場合は、融資の申し込みの前に確認しておきましょう。
信用情報の確認方法は下記の記事を参考にしてください。
2.創業計画書の5つのポイント
創業融資の融資審査で必ず見られるポイントが「創業計画書」です。
ここでは、日本政策金融公庫の創業計画書を元に創業計画書のポイントについて解説していきます。
どのような創業融資であったとしても、創業計画書の中身が薄いと融資は実現しません。
創業計画書の中でも、審査において重要視される5つの項目の各ポイントについて解説します。
【創業計画書の5つのポイント】
①経営者の略歴
②取り扱い商品・サービス
③取引先・取引先関係等
④必要な資金と調達方法
⑤事業の見通し
それぞれ詳しく解説していきます。
①経営者の略歴のポイント
創業予定の事業について、どれだけの知見や経験があるかを示す項目です。
下記のポイントを参考にしてみてください。
ポイント1.創業する事業に関係する経験年数
最低でも3年以上、理想は6年以上の経験があると、融資審査において有利になります。
ポイント2.事業に必要な免許や資格の有無
事業を開始するために必要な免許や資格は必ず記載してください。
ポイント3.経営や管理に関わる経験
これまでの勤務先等で経営や管理部門に関わったことがある場合は、経験した業務内容等を記載しましょう。
経営や管理部門の経験があると、融資審査において有利になります。
ポイント4.販売や営業実績・コンテストなどでの賞の受賞歴
これまでの経験で、事業を行っていく上で強みとなる実績がある場合は記載しましょう。
例)ケーキ屋創業の場合 「○○コンテスト 金賞受賞」
代理店創業の場合 「販売実績ランキング 全国1位」 など
②取り扱い商品・サービス
実際に、提供する商品・サービスについて記載する項目です。
第三者が見てもわかりやすく記載するようにしましょう。
記載すべき内容とポイントは下記の通りです。
ポイント1.商品・サービスの内容、価格帯を記載
具体的な商品・サービスについて、商品の名称や内容がわかるように記載、平均的な価格も記載するようにしましょう。
ポイント2.他社との差別化や強みを記載
提供する商品・サービスの他社との違いや強みを記載するようにしましょう。
ポイント3.販売ターゲットは具体的に記載
商品・サービスを提供するターゲットについて具体的に記載しましょう。
ポイント4.販売戦略について具体的に記載
ポイント3で記載している販売ターゲットに合わせた販売戦略を検討し、具体的に記載しましょう。
ポイント5.市場や競合他社の動向について記載
市場の環境や競合他社について調査をし、調査の結果を数字で表したり、対象顧客のアンケート結果や顧客の声などを記載しましょう。
③取引先・取引先関係等
販売先や仕入れ先、外注先について記載する項目です。
ポイントは下記の通りです。
ポイント1.取引先は多ければ多い方が良い
販売先が多い、大規模な取引先との契約が確定していると融資審査で有利になります。
一方で、販売先や取引先が1社など少ないの場合、その取引先が倒産してしまったり、取引が停止となった場合に倒産のリスクが高くなります。
これから契約をする先、契約をしたい先も記載しておきましょう。
ポイント2.取引先との関係性を記載
取引先との関係性が構築されていると審査において有利になります。
前職からの付き合い等、関係性を記載してきましょう。
ポイント3.支払い・回収条件の確認
支払い・回収条件は、資金繰りの面で非常に重要になります。
運転資金の借入金額の目安にもなりますので、必ず契約の条件については確認しておきましょう。
④必要な資金と調達方法
創業の際に必要となる資金の総額とその調達方法について記載する項目です。
この項目のポイントは下記の通りです。
ポイント1.自己資金は創業に必要な資金の総額の3分の1以上が理想
創業の際に必要となる資金の3分の1以上の自己資金が用意できていると融資審査で有利になります。
3分の1以上の用意が難しい場合でも、最低でも10分の1は用意をするようにしましょう。
ポイント2.設備資金はより具体的に記載
より具体的に、何にいくら必要なのか記載するようにしましょう。
もしあなたが、人からお金を貸してほしいと言われた時には、何に使うのかは絶対に聞きますよね。
金融機関にとっても同じことです。
ポイント3.設備にお金をかけすぎていないか
融資の返済は、利益の中から行っていきます。設備資金が借入金の多くを占めていて、毎月の返済金額が膨大になり、利益の中から毎月の返済が行えなくなってしまうようであれば、設備のグレードを見直したり、リースで対応するなど検討する必要があります。
⑤事業の見通し
事業の数値計画を記載する項目です。売上や経費の見通しを記載していきます。
この項目のポイントは下記の通りです。
ポイント1.売上の数値の根拠を説明できるか
売上の数値について、「既に営業先が○件あるため」や「得意先○件と契約済みであるから」など根拠を説明できるようにしましょう。
ポイント2.経費は安く見積もられていないか
毎月かかってくる経費(家賃・水道光熱費・人件費等)は、一度しっかりと試算をしておきましょう。
最低でも、経費を賄えるほどの売上をあげていかなければなりません。
ポイント3.軌道に乗った後の数値計画は必ず利益がでていること
融資の返済は、売上から経費を引いた「利益」から行っていきます。
数値計画の段階で利益が出ていなければ当然、融資を受けることはできません。
事業計画自体を見直す必要があります。
以上が、創業計画書の中でも、審査において重要視される5つの項目です。
詳しい創業計画書の書き方や審査基準については下記の記事を参考にしてください。
3.創業融資の面談時の5つのポイント
創業融資を受ける最終の難関が融資面談です。
融資面談については以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
【創業融資の面談時の5つのポイント】
①創業計画書の内容を元に質疑応答が実施
②結論と根拠を組み合わせて回答する
③専門用語はNG
④曖昧な表現はNG
⑤厳しい質問にも冷静に対応
それぞれ解説していきます。
①創業計画書の内容を元に質疑応答が実施
基本的に融資面談では、事前に提出した創業計画書を基に質問され、返答していく流れになります。
そのため融資面談が決まったら、事前に創業計画書を再度読み込み、何を聞かれても返答できるように準備しておきましょう。
②結論と根拠を組み合わせて回答する
どのような質問に対しても、「結論」+「根拠(理由)」を組み合わせて回答しましょう。
結論から先に述べ、続いてその結論に至った根拠を伝えましょう。
このような法則で回答することで、聞き手(担当者)にストレスを与えず、明確でわかりやすい回答になります。
③専門用語はNG
専門用語は使わないようにしましょう。
日本政策金融公庫の担当者は融資をするプロであって、業界のプロではないため、誰にでもわかる言い回しで伝えるようにしてください。
④曖昧な表現はNG
「おそらく」「多分」「だと思います。」など曖昧な表現は言わないようにしましょう。
経営者として、信頼しても大丈夫だろうか?と日本政策金融公庫の担当者に不信感を与えてしまう事になります。
もちろん、根拠のない自信はNGですが、質問に対して言い切るような回答の準備をしておきましょう。
⑤厳しい質問にも冷静に対応
事業に関する厳しい質問や指摘をされることもありますが、冷静に対応しましょう。
感情的になるのは絶対にしないようにしてください。
事業計画におけるリスクや、問題点について予測できているのかを確認したいのです。
日本政策金融公庫の担当者は、融資をしないために荒探しをしているのではなく、事業に対する本気度や経営者としての素質を見ています。
真摯な対応と回答が、融資審査でのプラス評価へと繋がります。
以上が、創業融資の面談時の5つのポイントです。
日本政策金融公庫の面談時のよくある質問については下記の記事を参考にしてみてください。
4.まとめ
創業融資を受けるためのポイントを「創業融資申込前」「創業計画書」「創業融資面談」の3つの段階に分けて解説しました。それぞれのポイントは下記の通りです。
【創業融資申込前の5つのポイント】
①自己資金
②毎月の支払
③税金の滞納
④車・住宅ローン等の借入
⑤消費者金融・カードローン・クレジットカードのキャッシングの利用
【創業計画書の5つのポイント】
①経営者の略歴
②取り扱い商品・サービス
③取引先・取引先関係等
④必要な資金と調達方法
⑤事業の見通し
【創業融資の面談時の5つのポイント】
①創業計画書の内容を元に質疑応答が実施
②結論と根拠を組み合わせて回答する
③専門用語はNG
④曖昧な表現はNG
⑤厳しい質問にも冷静に対応
本記事で紹介した内容は特に重要度の高いポイントばかりですので、融資申込時に再度読み返していただくことをおすすめします。
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