マル経融資とは?個人事業主が利用する際のメリットや注意点を解説

マル経融資とは?個人事業主が利用する際のメリットや注意点を解説

個人事業主もマル経融資の申込が可能です!

個人事業主にとって、経営資金の確保は大きな課題です。
特に、事業拡大や経営改善のためには、安定した資金源が欠かせません。

そこで目されるのが「マル経融資」です。
この融資制度は、日本政策金融公庫が提供する低金利で最大2,000万円融資を受けることが出来ます。
ただし、申込までに時間がかかるなど事前に注意しておくべきポイントがいくつかあります。

そこで今回は、マル経融資の特徴から、申込の条件、メリットや注意点、申込方法まで詳しく解説します。

個人事業主の方々にも分かりやすく、具体的な情報を提供していきますので、ぜひ参考にしてください。
あなたの事業が一歩前進するためのヒントがここにあります。


1. マル経融資の特徴

マル経融資とは、日本政策金融公庫が提供する融資制度です。
正式には「小規模事業者経営改善資金融資」と呼ばれ、小規模事業者や個人事業主を対象に、経営の改善や事業拡大のための資金を提供します。
低金利かつ、商工会議所または商工会のサポートやお墨付きを受けて申し込みをする融資制度であるため、融資審査に通りやすいといった特徴があります。
しかし、通常の融資と異なり、商工会議所や商工会からの経営指導を受けなくてはならないなど、手間がかかるという点があるため注意が必要です。
詳しく解説していきます。

対象者・常時使用する従業員が20人以下の法人及び個人事業主であること
※商業またはサービス業(宿泊業及び娯楽業を除く)の場合は5人以下
・直近1年以上、商工会議所または商工会の地区内で事業を行っていること
・商工会議所または商工会の経営、金融に関する指導を原則6カ月以上受けていること
・税金(所得税、法人税、事業税、都道府県民税等)を完納していること
・日本政策金融公庫の非対象業種でないこと
融資限度額2,000万円
返済期間運転資金7年以内(据置期間1年以内)
設備資金10年以内(据置期間2年以内)
利率1.35%(特別利率F 2024年5月1日現在)

1-1.対象者

マル経融資を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 常時使用する従業員が20人以下の法人及び個人事業主であること
    ※商業またはサービス業(宿泊業及び娯楽業を除く)の場合は5人以下
  • 最近1年以上、商工会議所または商工会地区内で事業を行っていること
  • 商工会議所または商工会の経営、金融に関する指導を原則6カ月以上受けていること

常時使用する従業員が20人以下の法人及び個人事業主であること
※商業またはサービス業(宿泊業及び娯楽業を除く)の場合は5人以下

マル経営融資は、主に小規模事業者を支援するための制度であるため、従業員の人数に制限を設けています。
ここで言う、常時使用する従業員には、事業主本人・家族従業員・パート・アルバイトは含めません。

また、商業またはサービス業(宿泊業及び娯楽業を除く)を営んでいる場合は、常時使用する従業員は5人以下でないとマル経融資を利用することが出来ませんので注意してください。

商業またはサービス業(宿泊業及び娯楽業を除く)の例
・小売業
・卸売業
・飲食業
・美容業
・運送業
・不動産業
・介護事業
・情報通信業

直近1年以上、商工会議所地または商工会区内で事業を行っていること

直近1年以上、商工会議所または商工会地区内で事業を行っている必要があります。
創業1年目の事業者は利用することが出来ません。

商工会議所または商工会の経営、金融に関する指導を原則6カ月以上受けていること

事前に商工会議所または商工会による、経営、金融に関する指導を6カ月以上受ける必要があります。
指導を受け、さらに商工会議所または商工会による推薦を受けなければなりません。
商工会議所または商工会の推薦を受けるためには、数名の審査委員による審査会が実施されます。

※例外として経営指導期間を短縮する濃密指導と言う方法もあります。
詳しくは、各商工会議所または、商工会に問合せてください。

1-2.融資限度額

最大2,000万円の融資を受けることができます。
ただし、実際に受けられる融資額は、経営状態や既存の融資額等に応じて異なります。
誰でも2,000万円の融資が受けられるわけではありませんので注意してください。

1-3.返済期間

運転資金7年以内(据置期間1年以内)
設備資金10年以内(据置期間2年以内)

融資の返済期間は、一般的な融資と差はありません。

1-4.利率

2024年5月1日時点の利率は、年率1.35%(特別利率F)です。
一般的な融資の基準利率(最も高い利率)が、年率2.25~3.45%ですので、マル経融資の制度を利用することで、低金利で融資が受けられる特徴があります。


2.マル経融資のメリットと注意点

次に、マル経融資のメリットや注意点について紹介してきます。

2-1. マル経融資のメリット

マル経融資のメリットは次の2つです。

(1)日本政策金融公庫の融資審査で有利なる

(2)低金利

それぞれ解説します。

(1)日本政策金融公庫の融資審査で有利になる

マル経融資の制度を活用すると、日本政策金融公庫の融資審査で有利になります。
ただし、これは事前に商工会議所または商工会の審査をクリアし、推薦を受けているからであり、単に審査が緩いというわけではありません。

商工会議所または商工会の審査のハードルが高いのでは?と感じると思いますが、事前に商工会議所または商工会の経営指導員による6カ月間の経営、金融に関する指導をみっちり受け、一緒に経営改善計画を立てることが出来ますので安心です。

(2)低金利

他の融資制度に比べ、低い金利で融資を受けられるのもマル経融資の大きなメリットです。
マル経融資の2024年5月1日時点の利率は、年率1.35%(特別利率F)です。
一般的な融資の基準利率(最も高い利率)が、年率2.25~3.45%です。

マル経融資は通常の融資と別枠?

●「マル経融資なら、既に融資枠いっぱいに借りていても、追加で2,000万円の枠が確保できる。」
●「マル経融資は既存の融資とは別枠」
と言った話を聞いたことがあるのではないでしょうか?

日本政策金融公庫に問い合わせたところ、残念ながら、そのような事実はありません。
日本政策金融公庫の一般貸付の融資限度額は4,800万円ですが、マル経融資分も含めた限度額との回答を得ました。
ただし、日本政策金融公庫には、複数の融資制度があり、既存融資の制度の内容によって、融資枠は異なります。
マル経融資を検討した際には、日本政策金融公庫に問い合わせるようにしてください。

2-2. マル経融資の注意点

マル経融資は、メリットの多い制度ですが注意すべき点もあります。
申込をする前に、次の3点について確認しておきましょう。

(1)融資が受けられるまでに時間がかかる
(2)創業資金として利用することはできない
(3)商工会議所または商工会への加入が必要

それぞれ解説していきます。

(1)融資が受けられるまでに時間がかかる

これまで解説してきた通り、マル経融資を申し込むためには、原則6カ月以上の経営、金融に関する指導を受ける必要があります。
さらに、商工会議所または商工会の審査・日本政策金融公庫の審査と複数の審査を受けなければなりません。
最短でも半年以上時間が必要になるため、急を要する資金目的には向いていません。

(2)創業資金として利用することはできない

マル経融資には、「最近1年以上、商工会議所または商工会地区内で事業を行っていること」と言う申込要件があります。
そのため、創業資金として利用することはできません。
2年目以降の資金調達方法として利用を検討してください。

(3)商工会議所または商工会への加入が必要

マル経融資を利用するためには、商工会議所または商工会への加入が必要です。
商工会議所または商工会の会員になると、マル経融資のような制度の利用ができるだけでなく、経営相談や商談会への参加など、会員限定のサービスが受けられたり、地域での人脈構築にも役立ちます。

ただし、商工会議所または商工会への加入には、年会費の支払いが必要です。
地域にもよりますが、年会費は1万円前後と考えてください

商工会議所・商工会の支援について詳しくはこちらの記事を参照してください。

 


3. マル経融資申込の流れ

マル経融資の申込の流れは下記の通りです。

​3-1.管轄の商工会議所・商工会への相談
3-2.経営指導員による経営指導(6カ月)
3-3.融資申込資料の準備
3-4.商工会議所・商工会への申込・審査
3-5.日本政策金融公庫への申込・審査(約1か月)
3-6.融資の決定・実行

それぞれ詳しく解説します。

3-1.管轄の商工会議所・商工会への相談

まずは、事業を営んでいる地域を管轄する商工会議所・商工会を調べて相談に出向きましょう。
商工会議所は、主に特別区及び市を担当、商工会は主に町や村の地域を担当しています。
(合併などにより異なるケースがあります。)

下記URLより事業を営む地域の商工会・商工会議所を検索してみてください。
■日本商工会議所 商工会議所(都道府県連)名簿 
■全国商工会連合会 全国各地の商工会WEBリサーチ

3-2.経営指導員による経営指導(6カ月)

経営指導員による経営、金融に関する指導を6カ月以上受けます。
金融・税務・経営・労務等、経営の様々問題について個別の相談・指導を受けることができます。
経営指導は無料で受けることができます。

3-3.融資申込資料の準備

融資の申込に必要な資料を用意します。
主な必要書類は下記の通りです。

個人事業主の場合

・前年、全前年の決算書(または収支内訳書)及び確定申告書
・所得税、事業性、住民税の領収書または納税証明書
・(設備投資をする場合)見積書、カタログ等

※必要に応じて追加資料の提出を求められる場合があります。
例)東京商工会議所の場合、融資額が1,500万円を超えると事業計画書の提出が求められます。

3-4.商工会議所・商工会への申込・審査

準備した資料を、商工会議所や商工会に提出し、審査を受けます。
審査を通過した場合に限り、日本政策金融公庫への推薦をしてもらうことが出来ます。

3-5.日本政策金融公庫への申込・審査(約1か月)

商工会議所、商工会から推薦を受けることができたら、いざ日本政策金融公庫への融資審査へ進んでいきます。
事前に商工会議所、商工会から推薦を受けているため、審査を有利に進めることが出来ます。
事業者と公庫の融資面談は省略され、商工会議所または、商工会の経営指導員と日本政策金融公庫の担当者がやり取りをする形になります。
基本的に事業者は、商工会議所または、商工会の経営指導員とやり取りをするだけで問題ありません。

ただし、商工会議所、商工会から推薦を受けているからと言って、必ず融資が受けられるわけではありませんので注意してください。

3-6.融資の決定・実行

日本政策金融公庫の審査をクリアすることができたら、晴れて融資の実行です。

専門家のアドバイス
マル経融資を受けることは、小規模事業者や個人事業主にとって非常に有益です。
経営指導を受けることで、経営改善のヒントや助言を得られるため、経営者としてのスキルアップも期待できます。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?

マル経融資は、個人事業主にとって有益な融資制度です。
日本政策金融公庫が提供するこの制度では、最大2,000万円まで低金利で融資を受けることができます。
ただし、申込の主な条件として、次の3つがあります。

●従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)であること
●最近1年以上、商工会議所または商工会地区内で事業を行っていること
●商工会議所や商工会におる経営指導を6カ月以上受けていること

事前に、原則6カ月間の経営指導を受けなければならないため、融資が受けられるようになるまで、最短でも半年以上時間が必要にになりますが、経営指導を受けることで、経営改善のヒントや助言を得られるため、経営者としてのスキルアップが期待できます。

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