創業融資の難易度がどれくらいなのか、事前に知っておきたいですよね。
創業融資の審査通過率は50%〜60%などと言われていますが、正直このような確率はただの数字にすぎません。
金融機関の担当者に、事業が失敗すると思われたら100%審査に落ちます。
事業が失敗すると思われたけど、運よく審査に通ったなんてことはあり得ません。
逆に「この事業は成功する!」と思わせることができれば、融資の成功は間違いないと言っても過言ではないのです。
とは言え、申し込みをする金融機関や、目指す融資金額、創業者自身の状況によって創業融資の難易度は変わってきます。
融資の難易度を図る際には、次の5つの視点に着目する必要があります。
①金融機関による難易度
②融資額による難易度
③経験による難易度
④信用情報による難易度
⑤創業計画書の内容による難易度
この記事では、5つの視点にフォーカスして解説していきます。
目次
1.創業融資の難易度を5つ視点から解説
創業融資における難易度は、次の5つの視点から見る事が出来ます。
1-1.金融機関による難易度
1-2.融資額による難易度
1-3.経験による難易度
1-4.信用情報による難易度
1-5.創業計画書の内容による難易度
それぞれ詳しく解説していきます。
1-1.金融機関による難易度の違い
融資を申し込む金融機関によって、難易度が異なってきます。
本項では同じ事業計画書を別の金融機関に持ち込んだこと想定して、創業融資を受ける難易度を解説します。
金融機関別の創業融資の難易度は下記の通りです。
金融機関 | 難易度 | 特徴 |
①都市銀行(メガバンク) | 最難関 | 大手企業と取引 |
②地方銀行 | やや難しい | 中小企業と取引 |
③信用金庫 | やや易しい | 一定の地域内の小規模事業者や中小企業と取引 |
④日本政策金融公庫 | 易しい | 創業期の小規模事業者や中小企業と取引 |
それぞれ解説していきます。
①都市銀行(メガバンク)
みずほ銀行や三井住友銀行といった、全国に支店を持つ銀行を指します。
都市銀行の特徴は、主に大企業に対して貸し付けを行なっていることです。
大企業が事業投資を実施する場合、巨額の資金が必要になります。
この時に融資を行うのが都市銀行なのです。
そのため都市銀行では創業融資のような小口融資には消極的で、難易度は非常に高いものとなります。
②地方銀行
千葉銀行や静岡銀行、横浜銀行など、地域に根付いた銀行を指します。
その地域に住む人であれば1つは口座を持っているような銀行と考えるとイメージしやすいでしょう。
地元で活動する中小企業を中心に貸し付けを行なっていることから、都市銀行よりも創業融資は受けやすいと言えるでしょう。
ただし、事業を展開している中小企業がメイン顧客ですので、事業実績がない段階での創業融資には積極的でないという面もあるのです。
従って、地方銀行で創業融資を受ける難易度はやや高いものとなります。
③信用金庫
信用金庫とは、特定の地域の繁栄を図ることを目的とした協同組織の金融機関で、主な取引先は地域の中小企業や個人です。
都市銀行や地方銀行は利益を追求しますが、信用金庫はあくまでも地元の発展を目指しています。
その点で小規模事業者や個人事業主の御用達とも言える存在なのです。
このような理由から、信用金庫で創業融資を受ける難易度はやや易しいと言えます。
④日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、国が株式の100%を常時保有する政策系金融機関です。
「一般の金融機関が行う金融を補完すること」を目的としており、小規模事業者への事業資金融資といった小口融資も積極的に行なっています。
創業者のための「新創業融資」に最も積極的に取り組んでくれる金融機関です。
そのため、難易度は他の金融機関に比べ最も易しいと言えます。
創業融資を受けるなら、日本政策金融公庫または信用金庫がおすすめです。
金融機関の選択を誤ると創業融資成功の難易度が大きく変わります、
特別な事情がなければ、創業支援に積極的な日本政策金融公庫からチャレンジしましょう。
※日本政策金融公庫と信用金庫の難易度はさほど大きくは変わりません。
ですが、信用金庫の場合、信用金庫内の審査の他に信用保証協会と言う別の機関の審査をクリアする必要あがあります。
2つの審査をクリアしないといけないため、信用金庫の難易度をやや易しいと表現しています。
さらに難易度の高い!?プロパー融資とは?
銀行や信用金庫から受ける融資には、「保証協会付き融資」と「プロパー融資」の2種類あります。
保証協会付き融資とは、創業間もない事業者が融資を受けやすくするための制度です。
この制度では、金融機関と事業者の間に信用保証協会という機関が入り、保証を行います。
これにより、信用基盤がまだ確立していない事業者でも、融資を受けることが可能になります。
そのため、保証協会付き融資の難易度は低くなっています。
一方、プロパー融資とは、金融機関から直接事業者に融資を行うもので、金融機関は貸し倒れのリスクをもろに被る形になります。
その分、かなりの信用力が必要になりますので、融資の難易度は高くなります。
創業間もない事業者はまず、プロパー融資を受けることは難しいと考えてください。
1-2.融資額による難易度の違い
融資希望額が大きくなればなるほど、難易度が高くなると考えてください。
そのため、自己資金の割合が大きいほど融資の難易度は低くなります。
開業資金の3分の1以上自己資金が用意できると理想的です。
開業資金全体が1,000万円の場合、自己資金100万円で融資希望額900万円のケースと、自己資金350万円で融資希望額650万のケースでは後者の方が圧倒的に難易度は低いと言えます。
なぜなら、融資希望額が1,000万円を超える場合、金融機関の支店内決済だけでは融資の実行ができないためです。
支店内決済の後に、本店の決済が必要になるため、融資実行までのハードルは格段に高くなります。
可能な限り自己資金を多く準備するか、投資の規模を縮小し融資希望額を1,000万円以下に抑えるようにしましょう。
1-3.経験による難易度の違い
開業予定の業種でどれだけ経験を積んでいるかにより、融資の難易度は異なります。
最低でも3年以上の業種・業界での経験がないと融資の難易度はかなり高くなります。
経験が少ないと、事業の実現性の点で評価を得ることができないためです。
例えば、ラーメン屋で働いたことのない人がラーメン屋を開業するのは、相当難しいように感じますよね。
一方で、ラーメン屋での就業経験があり、仕入れ先やラーメン1杯分の原価、アルバイトの教育マニュアル、店内の動線確保、客単価と回転率まで理解している人なら、ラーメン屋を開業しても問題は起こりにくいと考えられます。
業種によっては、コンテスト等の受賞歴なども立派な経験・実績です。
開業に至るまでに、どのような経験をしてどのような実績を積んできたかを積極的にアピールすることで、融資の難易度は易しくなると言えます。
1-4.信用情報による難易度の違い
信用情報に、傷がついている人は融資の難易度は格段に高くなってしまいます。
5~10年以内に、自己破産などの債務整理を行っている人は、まず融資を受けられないと考えてください。
5~10年以内に、クレジットカードや各種ローンの支払い遅延等がある場合も、かなり融資の難易度は高くなります。
過去に、1回や2回の支払い遅延があってすぐに支払いをしている場合、さほど大きな問題にはならないことが多いですが、常習的に支払い遅延がある場合、融資を受けることはかなり難しいでしょう。
なお、信用情報に登録された事故情報は5~10年で抹消されますので、融資の申し込み自体を事故情報の抹消まで待つという方法も一つの手段です。
1-5.創業計画書の内容による難易度の違い
創業計画書の記載内容によって、融資の難易度は大きく変化します。
内容が薄かったり、楽観的過ぎる場合、融資の難易度は高くなります。
よくある傾向として、売上は多く、経費は少なめに見積もりがちになります。
ただし、わざと悲観的に書く必要はありません。
事業の実現性や売上の根拠をしっかりと説明できれば問題ありません。
不安があるようであれば、現実的な創業計画書と悲観的な計画書の2種類を作成しておくと良いでしょう。
融資審査において、創業計画書は最も重要なポイントです。
この計画書で事業が成功すると金融機関の担当者に思わせることができれば、この融資は成功します。
融資を成功に導く創業計画書の書き方はこちらの記事を参考にしてください。
2.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、創業融資の難易度に着目して解説をしてきました。
創業融資を有利に進める方法は下記の通りです。
融資を申し込む金融機関 | 日本政策金融公庫 |
融資額 | 希望額を1,000万円以下に抑える。 自己資金を開業資金の3分の1以上準備する。 |
信用情報 | 事故情報がない状態にする。 |
創業計画書 | 事業の実現性や売上の根拠を説明できる内容にする。 |
どれも事前準備をしっかりと行えば対応できるものです。
難易度が高い状態でチェレンジするよりも、より着実に融資を受けられる状態にしてから融資の申し込みをする方が得策でしょう。
どうしてもクリアできない問題がある、創業計画書の内容に不安がある場合は融資の専門家に相談することをおすすめします。
様々な視点からアドバイスを受けることができます。
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