【銀行融資攻略法】融資審査を突破する稟議書を書いてもらう秘訣

【銀行融資攻略法】融資審査を突破する稟議書を書いてもらう秘訣

経営者必見!融資審査の鍵を握る稟議書の攻略方法を解説します。

銀行が融資審査をする際に、融資担当者は「稟議書」を作成しています。
稟議書とは、金融機関が融資の可否を判断する際に作成する内部文書で、顧客に対する融資の条件やリスク、返済能力などが詳細に記載されているものです。
具体的には、以下の内容で構成されています。

【稟議書の構成要素】
・融資額・資金使途・担保・融資形態・返済方法・返済期間・返済日のルール・信用保証協会の有無等・ベース金利・金利の利幅・担当者の見解(会社の経営状況や融資の必要性についての評価)等

融資の成否は、この稟議書の内容に大きく依存します。
なぜなら、支店長や上層部は事業者と直接やり取りを行わないため、担当者が作成した稟議書が唯一の判断材料となるからです。
つまり、いかに担当者に稟議書に良く書いてもらうかが、融資の可否を決定づける重要な要因となります。

そこで今回は、融資審査を確実に通過するために、担当者により効果的な稟議書を書いてもらうコツを詳しくご紹介します。


1.融資審査を突破する稟議書を書いてもらうためには、事業計画書が不可欠!

融資審査を突破する、効果的な稟議書を書いてもらうためには、事業計画書をしっかりと作り込み提出することが不可欠です。
事業計画書には、事業の目的、目標、市場分析、競合状況、財務計画など、事業の成功可能性を示す重要な情報を記載します。

銀行はこれらの情報をもとに、稟議書を作成し融資が適切であるか、返済能力があるかを判断するのです。
事業計画書がしっかりしていると、銀行にとって信頼性が高まり、融資の承認が得やすくなります。

「事業計画書の作成は面倒」「口頭で伝えれば良い」と考える方もいますが、必ず紙ベースで提出しましょう。
銀行の担当者は、複数の会社を受け持っているため、全て覚えておいてくれません。
担当者が、稟議書を作成するときに落ち着いて見返せるように、紙で提出するのがベストです。

1-1.事業計画書の作成方法

早速、事業計画書を作成してみましょう。
事業計画書には決まったテンプレ―ドはありません。
目的や事業内容等に合わせて自由に作成しますが、基本的には以下の10項目について記載をしておけば問題ありません。

①会社の概要
②経営者の経歴
③経営理念
④事業内容
⑤主要顧客と取扱い商品・サービスの強みと特徴
⑥市場環境と競合状況
⑦取引先
⑧販売戦略(売上計画)
⑨財務計画
⑩行動計画

各項目の記載方法など、詳しい事業計画書の作成方法はこちらの記事で解説しています。
▶はじめてでも、事業計画書がつくれる!実践型の事業計画書の書き方と手順を専門家が解説します!

専門家からのアドバイス

・金融機関ごとに事業計画書のテンプレートがある場合がほとんどですが、記載内容が少なく、アピール不足になりがちですので、自分で作成した事業計画書も一緒に提出することをおすすめします。

・創業融資を受ける場合は、日本政策金融公庫の創業計画書のテンプレ―トが使いやすいです。
参考にしてみてください。下記よりダウンロードできます。
日本政策金融公庫 創業計画書(PDF) (Excel)


2.融資審査を突破する!効果的な稟議書を書いてもらうための3つのポイント

稟議書は銀行内部の書類であるものの、担当者任せにしてしまっていてはもったいありません。
いかに、稟議書に自社のことを良く書いてもらうかが重要であるため、経営者による情報提供などの協力が必要なのです。

事業計画書に加えて次の3つのポイントも意識し、積極的に協力・アピールしましょう。

2-1.事業に関する情報を漏れなく提供する
2-2.希望はしっかり伝える
2-3.経営者として必要最低限のマナーを守る

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1.事業に関する情報を漏れなく提供する

前述した事業計画書はもちろんですが、それに付随する参考資料や業績に関する情報は漏れなく提供するようにしましょう。提供する情報が多ければ多いほど、事業の信頼性や将来性が高く評価されます。

融資審査の際に、提供すべき情報は以下の通りです。

【提供すべき情報】
①決算書(直近3期分)
②最新の試算表
③売上に係る契約書や請求書、売上台帳等
④見積書(設備投資を借りる場合
⑤自社のHP
⑥メニュー表、サービス一覧等(何をいくらで提供しているかわかるもの)
⑦ビジネスモデルを図解にしたもの

それぞれ詳しく解説します。

①決算書(直近3期分)または確定申告書(直近3年分)

融資の申込をすると、決算書や確定申告書は必ず提出が求められます。
法人の場合は、直近3期分の決算書を提出しましょう。
個人事業主の場合は、直近3年分の確定申告書を提出します。
日ごろから銀行と付き合いがあり、毎年提出している場合は必要ありませんが、初めて取引をする銀行は直近3期分(3年分)の提出を求めることが多いです。

税理士から、決算書や確定申告書を受け取ったらそのままにせず、内容を確認し大事に保管するようにしてください。融資の審査で、決算書の内容について質問される可能性があります。
社長自身がスムーズに答えられないと経営管理の面でマイナスの評価となってしまいます。

社長が知っておくべき決算書の読み方のポイントや、銀行が決算書で何を見ているのかについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
▶【決算書入門】社長が知っておくべき読み方のポイント!
▶【融資の審査】銀行は決算書の何を見ているのか?専門家が解説する9つのポイント

②最新の試算表

決算書と同様、最新の試算表も必ず提出が求められます。
試算表とは、現時点での会社の収入や支出、資産や負債の状態をまとめたものです。
決算書は過去の財務状況を反映するものですが、試算表は最新の収益や支出、資産や負債の状況が把握できるため、銀行は業績をより正確に評価するために提出を要求します。

試算表は、毎月の仕訳入力を行っていれば、会計ソフトからすぐに出力することができます。
税理士に依頼している場合は、出力してもらいましょう。
ただし、税理士に毎月きちんと必要書類(売上請求書・経費のレシートや領収書)を提出していないと、試算表は作成できませんので、注意が必要です。
日ごろから、経理処理を行うようにしましょう。
そうすることで、資料の提出をスムーズに行えるだけでなく、綿密な経営判断にも役立ちます。

試算表には、貸借対照表と損益計算書があり、下記のような書類です。

試算表の見本(貸借対照表と損益計算書)

③売上に係る契約書や請求書、売上台帳等

売上に係る契約書や、請求書、売上台帳などの提出が求められることがあります。
提出を求められた場合は、速やかに提出をしましょう。

特段、銀行から提出が求められなくても、事業計画書に記載した売上計画の根拠資料として提出をすると、信憑性が増すため効果的です。

④見積書(設備資金を借りる場合)

設備資金を借りる場合は、見積書の提出が求められます。
予め、業者に相談し見積書の発行を依頼しておきましょう。

設備資金の融資は、資金の使い道をより厳格に管理されます。
見積書通りに契約を進めなければなりません。
見積より安く購入できたからと余った資金を運転資金等に流用してしまうと、資金使途違反になり今後の融資を断られたり、一括返済を求められる可能性があります。
見積の内容と変更があった場合は、速やかに担当者に相談するようにしてください。

⑤自社のHP

初めて銀行との融資取引を行う際には、自社のウェブサイトのURLや、ウェブサイトを印刷した資料を提出しましょう。これにより、会社や事業の概要を効果的に説明できます。

⑥メニュー表、サービス一覧等(何をいくらで提供しているかわかるもの)

メニュー表や、サービスの一覧表など、なにをいくらで提供しているのかわかるものを提出しましょう。
写真等で視覚的にわかるものがおすすめです。

⑦ビジネスモデルを図解にしたもの

銀行は、前例のないものや、複雑なビジネスモデルは敬遠しがちです。
お金の流れなどを図解などで表した資料を提出するようにしましょう。

専門家からのアドバイス

・銀行から提出を求められたものを提出するのは当たり前です。
銀行から提出が求められていなくとも、必要な情報は漏れなく提供しましょう。

・事業内容が第三者にも伝わるような資料を用意しましょう。

銀行は融資の専門家ですが、業界や事業内容のことは詳しくありません。
経営者自ら歩み寄り、事業計画や自社の強み等をアピールしましょう。

2-2.希望はしっかり伝える

融資額や返済期間、据置期間などの希望はしっかりと伝えましょう。
最終的な決定は銀行が行いますが、希望を明確にすることで、担当者はそれを考慮に入れて稟議書を作成することができます。

ただし、希望を伝える時には同時に理由を説明してください。
例えば、
「季節的な売上変動が大きい業界特性があるため初期の半年は据置期間を設けて欲しい。」
「長期間にわたるプロジェクトであるため、返済期間を長期にし、収益と返済を一致させ、資金繰りのリスクを軽減したい。」
などが挙げられます。

逆に、希望を伝えないと事業計画や返済計画が立てられているのか不安視されてしまいます。

2-3.経営者として必要最低限のマナーを守る

経営者として必要最低限のマナーは守りましょう。
銀行の担当者も、ひとりの人間です。
約束や期日を守らない、高圧的、嘘をつくなど、誠実さに欠けている人のために、どうにかして融資を通してあげようとは思いません。
もちろん、個人の好き嫌いで融資判断をしているわけではありませんが、融資の返済においても約束を守らない可能性があると思われてしまっても仕方がないでしょう。

実際に、私たちが融資申請サポートをしている中で、金融機関の担当者から「社長は、どのような印象の方ですか?」といった質問をされることがあります。
意外にも、銀行は経営者の人となりを見ているのです。

銀行融資を成功させるためには、銀行担当者との良好な関係を築き、応援したいというスタンスで話を聞いてもらえるようにすると、担当者は稟議書に前向きな内容を記載しやすくなり、融資審査でも有利に働きます。


3.まとめ

いかがでしたか?
融資審査を突破する、効果的な稟議書を書いてもらうためには、事業計画書をしっかりと作り込み提出することが重要です。
加えて次の3つのポイントも意識し、積極的に協力・アピールしましょう。

1.事業に関する情報を漏れなく提供する
2.希望はしっかり伝える
3.経営者として必要最低限のマナーを守る

担当者が稟議書をより良く書けるようになり、融資審査の通過率が高まります。
担当者は審査だけでなく、あなたのビジネスの理解者となり、支援者として動いてくれる存在です。
互いに歩み寄り信頼関係を構築することで、企業は必要な資金を確保し、事業の成長を加速させることができるでしょう。

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