信用保証協会付き融資だと、最大いくらまで、融資を受けることができるかご存じですか?
結論:担保を提供しない場合8,000万円、担保を提供する場合は2億8,000万円が上限とされています。
ただし、この金額は各企業が受けられる融資の金額ではなく、融資の制度上の上限金額です。
各企業が受けられる実際の限度額は、各企業の信用力や事業内容によって異なります。
そのため、自社の具体的な融資限度額の目安を理解しておくことが重要です。
そこで本記事では、自社の融資限度額の目安の算出方法について解説します。
さらに、融資限度額を引き上げる方法についても紹介していきますので、ぜひ、最後までご覧ください。
目次
0.信用保証協会の枠とは?
信用保証協会の枠とは、簡単に言うと信用保証協会で融資が可能な限度額のことです。
これを、「融資限度額」と言ったり、「保証枠」と言います。
通常、担保を提供しない場合8,000万円、担保を提供する場合は、2億の枠が追加され、2億8,000万円が融資限度額(保証枠)になります。
担保提供の有無 | 一般枠 |
担保提供なし | 8,000万円 |
担保提供あり | 2億円 |
※別途、「特別枠」も用意されているため、通常の場合の融資限度額(保証枠)を「一般枠」と言います。
ただし、誰でも8,000万円~2億8,000万円まで融資が受けられるわけではありません。
1.自社の融資限度額(保証枠)の目安の確認方法
前章で、信用保証協会の枠とその限度額について解説しましたが、あくまでこれは信用保証協会における上限額であり、各企業の融資限度額(保証枠)は、実際の事業の実績などによって個別に判断されます。
会社を設立したからと、いきなり8,000万円までの融資が受けられるわけではないので注意してください。
各企業の融資限度額(保証枠)の目安については、絶対的な基準は公表されていませんがおおよそ、「平均月商×3カ月」と言われています。
ただし、既に他の借入がある場合は、既存の借入残高を引いた金額が、融資限度額(保証枠)の目安と考えてください。
(例1)月商1,000万円、担保提供なしの会社の場合
月商1,000万円×3カ月=3,000万円
融資限度額(保証枠) 3,000万円
(例2)月商1,000万円、担保提供なし、既存の借入1,000万円の会社の場合
月商1,000万円×3カ月=3,000万円
3,000万円-既存借入残高1,000万円=2,000万円
融資限度額(保証枠) 2,000万円
(例3)月商3,000万円、担保提供なしの会社の場合
月商3,000万円×3カ月=9,000万円
融資限度額(保証枠) 8,000万円
※担保提供なしの融資限度額(保証枠)の上限は8,000万円のため
例3のように、いくら月商が高くても、信用保証協会による融資限度額(保証枠)は、通常枠の範囲内では、担保提供なしの場合8,000万円、担保提供ありの場合2億8,000万円で頭打ちとなります。
※各企業の融資限度額(保証枠)の目安は、「平均月商×3カ月」と言われていますが、あくまで一般的な目安としてください。業界によって違いがあります。
では、融資限度額(保証枠)以上の借り入れが必要な場合どうすればいいのでしょうか?
次の章で詳しく解説していきます。
2.信用保証協会の融資限度額(保証枠)を引き上げる3つの方法
信用保証協会の融資限度額(保証枠)を引き上げる方法には、特別枠を確保するという手段があります。
特別枠とは、信用保証協会が提供する通常の保証枠に加えて、特定の条件や要件を満たすことで利用できる追加の保証枠のことを指します。
これにより、中小企業は一般枠以上の資金調達が可能となります。
特別枠を確保する方法は、以下の3つがあります。
1-1.経営力向上計画
1-2.経営革新計画
1-3.セーフティネット保証
それぞれ、詳しく解説していきます。
1-1.経営力向上計画
経営力向上計画は、中小企業の生産性向上や経営改善を目指す計画を策定し、国の認定受けることで、保証限度額(保証枠)を広げる方法です。
一般枠とは別枠で、担保を提供しない場合8,000万円、担保を提供する場合2億の枠を確保することができます。
つまり、担保を提供しない場合の融資限度額(保証枠)は8,000万円から1億6,000万円に拡大、担保を提供する場合は2億8,000万円から5億6,000万円に拡大されます。
担保提供の 有無 | 一般枠 | 特別枠 |
担保提供なし | 8,000万円 | 8,000万円 |
担保提供あり | 2億円 | 2億円 |
経営力向上計画は、融資限度額(保証枠)の拡大の他にも税制の優遇が受けられたり、補助金の審査が有利になったりと多くのメリットを享受することができるため、事業を拡大していきたい経営者にとっては非常におすすめの制度です。
ただし、認定には一定の審査があります。
煩雑な事務手続きが伴いますので、申請を検討したら一度専門家への問合せるようにしましょう。
経営力向上計画について詳しくはこちらの記事を参照して下さい。
▶経営力向上計画とは?3つのメリットを享受してビジネスチャンスを掴む!
1-2.経営革新計画
経営革新計画は、新しい事業活動に取り組むための計画を策定し、国の認定受けることで、融資限度額(保証枠)を広げる方法です。
新商品・新サービスの開発や新市場の開拓など、具体的な革新活動が対象となります。
経営力向上計画と同様、一般枠とは別枠で、担保を提供しない場合8,000万円、担保を提供する場合2億の枠を確保することができます。
つまり、担保を提供しない場合の融資限度額(保証枠)は8,000万円から1億6,000万円に拡大、担保を提供する場合は2億8,000万円から5億6,000万円に拡大されます。
担保提供の 有無 | 一般枠 | 特別枠 |
担保提供なし | 8,000万円 ※融資限度額(保証枠)8,000万円 | 8,000万円 ※融資限度額(保証枠)1億6,000万円 |
担保提供あり | 2億円 ※融資限度額(保証枠)2億8,000万円 | 2億円 ※融資限度額(保証枠)5億6,000万円 |
経営革新計画についても、認定には一定の審査があります。
煩雑な事務手続きが伴いますので、申請を検討したら一度専門家への問合せるようにしましょう。
1-3.セーフティネット保証
セーフティネット保証は、経済的なリスクに直面している中小企業が利用できる特別枠です。
一般枠とは別枠で、担保を提供しない場合8,000万円、担保を提供する場合2億の枠を確保することができます。
つまり、担保を提供しない場合の融資限度額(保証枠)は8,000万円から1億6,000万円に拡大、担保を提供する場合は2億8,000万円から5億6,000万円に拡大されます。
担保提供の 有無 | 一般枠 | 特別枠 |
担保提供なし | 8,000万円 ※融資限度額(保証枠)8,000万円 | 8,000万円 ※融資限度額(保証枠)1億6,000万円 |
担保提供あり | 2億円 ※融資限度額(保証枠)2億8,000万円 | 2億円 ※融資限度額(保証枠)5億6,000万円 |
自然災害や取引先の倒産などにより、経営に支障をきたしている場合に、この特別を利用することで資金繰りを円滑にします。
セーフティネット保証は、なんらかの理由で経営状況が悪化している事業者を救済するための融資制度であり、経済産業省が発動をすることで利用できるようになります。
申請要件をクリアしている場合、有利に融資を受けることができるため銀行等の金融機関の担当者から制度の利用を勧められることがあります。
セーフティネット保証は、ピンチの時に利用できる融資制度です。
もしもの時のためにこのような制度があるということを頭の片隅に入れておきましょう。
セーフティネット保証について詳しくはこちらの記事を参照してください。
▶【ピンチの時の融資制度】セーフティネット保証4号・5号とは?違いや申請方法を解説
3.まとめ
信用保証協会の融資限度額(保証枠)を広げる方法には、特別枠を確保するという手段があります。
一般枠いっぱいに借りてしまっているという場合でも、あきらめずに特別枠が利用できないか検討しましょう。
特別枠を確保する方法は、以下の3つです。
1.経営力向上計画
2.経営革新計画
3.セーフティネット保証
ただし、どの制度も事前の認定が必要です。
認定を受けるためには、一定の時間がかかります。
また厳しい審査をクリアしなければならないもの、煩雑な事務手続きが発生するものもあります。
今後事業を拡大していきたいと考えている場合は、はやめはやめに専門家へ相談をしておくと安心です。
これらの制度を活用することで、融資限度額(保証枠)を広げ、より柔軟な資金調達が可能になります。
事業の成長や経営の安定を図るためにも、積極的に活用していきましょう。
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