信用金庫と銀行の違いとは?新規融資と口座開設の金融機関選び5つのアドバイス

融資の契約を交わす人々

起業時の新規口座開設や、融資申込は信用金庫と銀行どちらが良いの?
よくある疑問を解決します。

事業を行っていくためには、事業用の口座の開設が必要です。
また、融資を受けるためにも金融機関に相談しなくてはなりません。
金融機関は事業を継続していくにあたって重要なパートナーになります。

起業時には、まず身近な金融機関として信用金庫や地方銀行との取引がおすすめされますが、

「信用金庫と地方銀行の違いって何?」
「結局のところ、信用金庫と地方銀行どっちがおすすめなの?」

と疑問に思われているのではないでしょうか?

そこで今回は、信用金庫と銀行の違いや、金融機関の選び方について起業の専門家が詳しく解説しています。
この記事を最後までお読みいただければ、事業の力強いパートナーとなる金融機関を選ぶことができるようになります。


1.信用金庫と銀行(地方銀行)の違い

信用金庫と銀行は、預金や融資を取り扱う、同じ金融機関であるものの運営の元となる法律が異なる為、実は全く別の組織なのです。

とは言え、私たち利用者にはあまり関係のないことですので、今回は利用者にとって知っておくべき違いについて解説します。

銀行については、メガバンクではなく、起業時によく利用することの多い地方銀行について述べていきます。
まずは簡単に、信用金庫と銀行(地方銀行)の違いを表で比較してみます。

(メガバンクとは、日本全国の主要都市に支店をもつ資金規模の大きい銀行のことで、主に「三井住友銀行」「三菱UFJ銀行」「みずほ銀行」などのことを指します。)

信用金庫銀行(地方銀行)
1-1.目的・特定の地域の繁栄
・相互扶助
・地域経済の発展
・利益が優先
1-2.会員制の有無有(出資金が必要)
1-3.利用できる人
(会員資格)
・預金は制限なし
・融資は原則会員のみ

【会員資格】
・特定の地域内に事業を行う従業員数300人以下、又は本金9億円以下の事業者

制限なし
※地方銀行の場合、地域が限定される場合もある。
1-4.普通預金利息0.001%0.001%
1-5.融資金利の目安
(保証料込)
2.5%2.5%
1-6.融資上限額制度による制度による
1-7.事業者への支援

それぞれ詳しく解説してきます。

1-1.目的

信用金庫は、特定の地域の繁栄や相互扶助を目的とした公共性の高い非営利法人です。
一方銀行は、地域経済の発展を担うことはもちろんですが、株式会社であり、利益を優先します。

どちらも地域経済の繁栄を目的とした金融機関であることには変わりませんが、信用金庫においては相互扶助を目的としていることもあり、地域の皆が互いに「助け合う」性質が高いものであると言えます。

1-2.会員制の有無

信用金庫は会員制です。
単に口座を作り預金をするだけであれば、会員になる必要はありませんが、融資やローンを利用するためには会員になる必要があります。会員になるためには信用金庫への出資が必要です。

出資金額はおおよそ5,000円~10,000円程度です。
これは株式会社の株式に相当するもので、株式会社が株式を発行して資金調達するように、信用金庫は会員から出資金を集め運営されているのです。
そのため、信用金庫の運営状況によっては配当金がもらえる場合もあります。

一方、銀行には会員になる必要や出資の必要はありません。

1-3.利用できる人(会員資格)

先述したとおり、信用金庫は原則会員制です。
融資を受けたい場合は、会員になる必要がありますが、その会員になるためには以下の資格を得る必要があります。

【信用金庫の会員資格】

・特定の地域内で事業を行う従業員数300人以下、又は資本金9億円以下の事業者

このように、会員になるためには制限が課されています。
地域や事業の規模を制限することで、地域密着型、中小企業の支援に特化した金融機関であることが言えます。

一方、銀行は、原則利用できる人に制限を設けていません。
ただし、地方銀行の場合は、地域が制限される場合があります。

1-4.普通預金利息

普通預金の利息は信用金庫、銀行どちらも基本的には0.001%。
違いはありません。

1-5. 融資金利

融資を受ける際の金利についても、信用金庫と銀行で大きな差はありません。
起業間もない時に融資を受ける場合、信用金庫、銀行(地方銀行)どちらも保証協会付き融資を利用することになります。そのため、どちらも保証料の負担が発生します。

また、多くの場合、各自治体の実施している制度融資を利用することになり、利子補給や保証料補助が受けられます。そのため、信用金庫でも銀行でも金利は2.5%程度に落ち着くケースが多いです。

同じ地域内の信用金庫、銀行であれば、受付の窓口が異なっているというだけで、金利については差がないと考えて良いでしょう。

保証協会付き融資とは・・・

創業間もなく信用のない貸し倒れリスクの高い企業や個人事業主は銀行から直接融資を受けることはまず難しく、「信用保証協会」という第3の機関を介して融資を行います。

この「信用保証協会」が企業や個人事業主と銀行の間に入り公的な保証人となることで融資が受けやすくなります。

このような制度のことを一般的に「信用保証制度」と言い、この制度を適用した融資のことを「保証協会付き融資」と言います。

1-6.融資上限額

融資上限額についても、信用金庫と銀行で大きな差はありません。
また、利用する融資制度によって上限は異なります。

起業時においては、どちらも1,000万円が融資の受けられる現実的な金額と考えておきましょう。
融資制度のパンフレットなどを見ると、「融資限度額3,000万円」などと表記がありますが、起業時に1,000万円を超えて融資が受けられるケースは非常に稀です。

なぜかというと、1,000万円を超えるの融資案件は、支店内での決済ができないため、その分審査のハードルが高くなるのです。これは信用金庫、銀行ともに共通して言えることなのです。

1-7.事業者への支援

事業者への支援が手厚いのは信用金庫であると言えます。
起業間もない中小企業や個人事業主の心強い味方になってくれます。

融資だけではなく、事業を続けていく上での様々なサポートをしてくれます。
地域性が強く、地域の企業同士の繋がりも作りやすくなります。

これは、信用金庫が利益を目的とした組織ではなく地域の繁栄、相互扶助が目的の組織であるからです。
事業をしていくと良い時もあれば、当然悪い時もあります。
そんな悪い時にでも親身になって対応してくれるのが信用金庫なのです。

一方、銀行(地方銀行)も信用金庫同様、親身に相談に乗ってくれます。
ですが、銀行は「晴れの日に傘を貸して雨の日に取り上げる」といった言葉もあるように、悪い時には相手にしてもらえなくなるといった話も少なくはありません。
これは銀行も、株式会社であり利益を目的としているため避けられないことなのです。

ブタの貯金箱


2.【信用金庫VS銀行】結局どちらがおすすめ?金融機関選びの5つのアドバイス

1章では、信用金庫と銀行(地方銀行)の違いについて解説してきました。
では、結局のところ信用金庫と銀行(地方銀行)どちらがおすすめなのでしょうか?

2-1.結論、信用金庫か銀行(地方銀行)かで迷ったらまずは信用金庫がおすすめ!

もし、事業を営む地域に、信用金庫と銀行(地方銀行)の両方が存在しているなら、まずは信用金庫を選択しましょう。
信用金庫は、地域に根差した金融機関であるため融資だけでなく様々なサポートをしてくれます。

起業して初めての口座開設や金融機関との取引は信用金庫がおすすめです。

2-2.融資については信用金庫も銀行(地方銀行)も大きな差はなし

融資の制度という観点で見れば、信用金庫も銀行(地方銀行)も大きな差はありません。
起業間もなくして融資を受ける場合、信用金庫、銀行(地方銀行)どちらも保証協会付き融資を利用することになります。

信用金庫、銀行どちらの場合も、各自治体の実施している制度融資を利用することになるため制度上の金利等の差もありません。
同じ地域内の信用金庫、銀行であれば、受付の窓口が異なっているだけにすぎません。

そのため、融資以外にも様々なサポートをしてくれるというメリットを享受できる信用金庫を選んでおけば間違いないと言えます。

2-3.創業融資ならまずは日本政策金融公庫へ

もし、創業融資を受けようとしているであれば信用金庫・銀行でもなく、まずは「日本政策金融公庫」を検討しましょう。
「日本政策金融公庫」は信用金庫や銀行とは異なり、日本経済の成長・発展へを目的とした、国が出資をしている金融機関です。

創業融資を積極的に実施しており、無担保・無保証人で融資を受けることができます。
無担保・無保証人で融資が受けられるのは日本政策金融公庫の創業融資に限られますので、ぜひ日本政策金融公庫の利用をおすすめします。

ただし、日本政策金融公庫は預金の取り扱いがなく法人の口座の開設は、信用金庫や銀行で行わなければなりません。
そのため、起業時のおすすめは信用金庫で口座開設を行い、日本政策金融公庫に創業融資を申し込むということです。
日本政策金融公庫で受けた融資金を信用金庫の口座に振り込み指定をすることで、信用金庫もメインバンクとして利用してくれると捉える為、今後のお付き合いもしやすくなります。
信用金庫での追加融資の相談もできるでしょう。

日本政策金融公庫の創業融資について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

2-4.事業のステップに合わせで取引金融機関を選択

信用金庫は特定の地域の繁栄を目的としている為、狭い地域に密着した支援を実施しています。
また、会員資格に従業員数や資本金の制限があるように会社の規模も制限されています。

あなたの事業が成長し、より広い地域への拡大、従業員数が増えていくとなれば当然、取引する金融機関の支援できる範囲も広くならなければなりません。

その時には、信用金庫から地方銀行、全国展開するのであればメガバンクへとステップアップしていく必要があるでしょう。

2-5.利用のしやすさや担当との相性も重要

事業をするにあたって、利用のしやすさや担当者との相性ももちろん重要です。
ATMや支店数など信用金庫より地方銀行の方が多く利用しやすいといった面もあります。

また、会社と金融機関の付き合いと言えど、人と人です。担当者との相性も重要になってきます。
起業してすぐだから銀行(地方銀行)には相手にしてもらえないかといったら、全くそういったことはありません。

銀行で創業融資を受ける方も多くいます。

あまりガチガチに考えず、柔軟に取引金融機関を選ぶようにしましょう。
もし、金融機関選びに迷ったら税理士などに相談すると、金融機関を紹介してくれます。


3.まとめ

いかがでしたでしょか?

信用金庫と銀行(地方銀行)には、融資の条件などで大きな差はないものの、利用者の制限や起業家へのサポート面などで違いがあります。
もし、取引金融機関を信用金庫か銀行(地方銀行)で迷ったのであればまずは、信用金庫をおすすめします。
また、起業時に融資を受けようとしているのであれば、信用金庫で口座を開設し、融資の申し込みは日本政策金融公庫がおすすめです。

起業時に最も利用しやすい、日本政策金融公庫の融資を受け、事業開始後に手厚いサポートが受けられる信用金庫の口座に融資金を入金することで、信用金庫とのお付き合いも良好になります。

起業時は、多くの不安があるかと思います。
味方を一人でも多くつけ、事業の成長スピードを加速させていきましょう。

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