新しくビジネスを始めた経営者にとって、銀行は重要なパートナーです。
銀行と、良い関係を築くことが非常に重要となります。
この記事では、銀行と上手に付き合っていくためにやるべきこと、絶対に避けるべきNG行為について解説していきます。
1.銀行と上手に付き合っていくために、やるべき9つのポイント
銀行はお金を借りるだけの場所ではなく、様々なアドバイスやサポートをしてくれる大事な存在です。
定期的にコミュニケーションを取って経営状況を共有したり、問題があればすぐ相談することで銀行との信頼関係が深まります。
経営者の努力は銀行員にも伝わり、応援されることにつながります。
ビジネスのパートナーとして一緒に成長していくことが大切です。
銀行と上手に付き合っていくためにやるべきポイントは下記の9つです。
1-1. 会社の規模に合わせた銀行を選ぶ
1-2. 複数の銀行と付き合う
1-3. 銀行に会社の試算表などの経営状況が分かるものを定期的に報告する
1-4. 稟議書を作成してもらうことを考え行動する
1-5. 担当者が変わったらどんどん自社のアピールをする
1-6. 銀行からの依頼には迅速に対応する
1-7. 業績が良い時期にこそ借り入れと返済を行い、信頼を築き上げる
1-8. マイナスな情報は早めに報告する
1-9. 出来る限り融資以外の取引をする
では、詳しく解説していきます。
1-1. 会社の規模に合わせた銀行を選ぶ
自社の事業規模に合った銀行を選びましょう。
信用金庫・信用組合、地方銀行、信用金庫それぞれの特徴を理解して、適した銀行を選ぶことが重要です。
銀行の種類 | 特徴 | 会社規模(年商) |
信用金庫 信用組合 | ・地域密着型で相談しやすい ・創業融資や中小企業・個人事業主への融資に積極的 | ~3億円規模 |
地方銀行 | ・地域密着型 ・支店やATMが多く利便性が高い | 3億~10億円規模 |
メガバンク | ・大手上場企業を中心に取引 ・高額融資に対応 | 10億円以上 |
それぞれ詳しく解説していきます。
信用金庫・信用組合
創業間もない企業や中小企業、個人事業主は、まず信用金庫や信用組合とのお付き合いを始めましょう。
地域密着で相談しやすく、経営に関するアドバイスも受ける事ができ、創業融資も積極的に行っています。
地域の企業同士のつながりも構築しやすくなるため、信用金庫の担当者とコミュニケーションを定期的に取り長期的な関係を構築していきましょう。
創業融資は信用金庫がおすすめな理由はこちらの記事で解説しています。
▶創業融資は信用金庫がおすすめ!関係性の構築で審査通過
地方銀行
地方銀行も、地域密着型の金融機関です。
地元の大きな企業との取引が多く、大口の融資にも対応しています。
信用金庫や信用組合に比べると敷居は少し高めですが、親身になって対応してくれます。
創業融資にも力を入れています。
店舗や、ATMも多く利便性が高いのも特徴です。
メガバンク
メガバンクとは、「三井住友銀行」「三菱UFJ銀行」「みずほ銀行」など、全国主要都市に支店を持っている都市銀行のことです。
メガバンクは、大手上場企業を中心に取引しているため、創業間もない企業や中小企業、個人事業主への関心は低く、法人の口座開設の審査も厳しくなっています。
今後、融資などの取引も難しくなりますので、現段階でのお付き合いは難しいと考えましょう。
融資だけなら、日本政策金融公庫もおすすめ
融資を受けたいなら、日本政策金融公庫がおすすめです。
日本政策金融公庫は、創業者や中小企業向けに低金利で融資を提供してくれる政府系金融機関で、地方銀行や信用金庫の業務を補完するのを目的としています。
そのため、創業融資など信用力の低い事業者にも対しても積極的に対応してくれます。
ただし、日本政策金融公庫は、預金業務を行ってないため、口座の開設はできませんので注意してください。
日本政策金融公庫の創業融資について詳しくはこちらの記事で解説しています。
▶【2024年最新版】日本政策金融公庫の創業融資とは?専門家が全てを徹底解説!
1-2.複数の銀行と付き合う
複数の銀行と付き合うようにしましょう。
一つの銀行とだけ付き合っていると、経営不振でその銀行から融資を断られた時、資金調達が困難になり事業の存続も危うくなってしまいます。
そのリスクを回避するためにも複数の銀行と接点を持つことが重要です。
創業後の最初の取引は地域密着型で創業時に相談もしやすい信用金庫、2つ目の取引先には地方銀行を選ぶようことをおすすめします。
また、融資取引であれば日本政策金融公庫も検討してみてください。
1-3.会社の試算表などの経営状況が分かるものを定期的に報告する
会社の試算表などの経営状況が分かるものを定期的に報告しましょう。
年に一度の決算書だけではなく、少なくとも3ヶ月に1回は試算表を提出して報告することが大切です。
また、銀行の担当者が会社を訪問するだけでなく、自発的に銀行を定期訪問することで評価が高まります。
銀行から求められる前に自ら進んで報告することで、経営者として信頼が得られれば、長期的な信頼関を築きやすくなります。
試算表とは?
試算表は、現時点での会社の収入や支出、資産や負債の状態をまとめたものです。
毎月の仕訳を入力していれば、会計ソフトから、すぐに出力することができます。
税理士に経理処理を依頼している場合は、出力してもらいましょう。
ただし、税理士に毎月きちんと必要書類(売上請求書・経費のレシートや領収書)を提出していないとすぐに作成できません。
毎月しっかり管理をしましょう。
こまめに試算表を提出できるということは、社長が経営状態を把握できているというアピールになり、良い印象を与えます。
1-4.稟議書を作成してもらうことを考えて行動する
稟議書を作成してもらうことを考えて行動しましょう。
稟議書とは、金融機関が融資の可否を判断する際に作成する内部文書で、顧客に対する融資の条件やリスク、返済能力などが詳細に記載されているものです。
融資の決裁を下す支店長等の上層部は事業者と直接やり取りを行わないため、この稟議書が唯一の判断材料となります。
したがって、稟議書にプラスの内容を盛り込むことが重要です。
良好な情報が多ければ多いほど、融資審査での評価が高まり、有利に進めることができます。
すぐに融資を受ける予定がなくとも、将来を見据えて普段から意識して行動しましょう。
具体的には、事業計画書を作成して提出するようにしましょう。
事業計画書を提出すると、会社の事業内容や戦略を可視化できるので、担当者も理解しやすくなります
その他にも、経営者として必要最低限のマナーを守ることはもちろん、事業に関する情報を漏れなく提供するようにしましょう。
事業計画書の作成についてはこちらの記事を参照してください。
▶はじめてでも、事業計画書がつくれる!実践型の事業計画書の書き方と手順を専門家が解説します!
稟議書について詳しくはこちら(準備中)
1-5.担当者が変わったら積極的に自社のアピールをする
担当者が変わったら、積極的に自社のアピールをしましょう。
なぜなら、銀行は担当者が3~5年で異動になってしまい、その度に会社のことをまた一から理解してもらわないといけません。
担当者が変わった時には、自社の魅力や強みを再度アピールすることが重要です。
具体的には
・会社の歴史、ビジョン、これまでの会社の成果を説明する。
・事業計画書を作成し、今後の事業計画について説明する。
以上のことを詳しく説明し、信頼関係を築く努力をしましょう。
特に、成功事例や過去の実績を具体的に示すことで、担当者が会社のポテンシャルを理解しやすくなります。
理解してもらえれば、新しい担当者も安心してサポートしてくれるようになります。
事業計画書などは紙ベースで銀行の担当者に渡しておくと、担当者が異動になってもスムーズな引継ぎが可能になります。
1-6.銀行からの依頼には迅速に対応する
銀行からの依頼には迅速に対応しましょう。
一度、融資の取引をすると、継続的に決算書や、試算表の提出が求められます。
融資の返済期限を守ることは当たり前ですが、銀行からの依頼への対応の迅速さも、信頼関係を築いていくためには大変重要なポイントです。
1-7.業績が良い時期にこそ借り入れと返済を行い、信頼を築き上げる
業績が良い時期にこそ借り入れをして返済の実績を積んでおきましょう。
返済実績を積むことで、銀行との信頼関係を築き上げることができ、将来的に有利な条件での融資や、融資額の増額も期待できます。
また、金額は小さくても借入をしておくと、銀行は決算書などチェックしてくれるので将来の融資審査が円滑に進む可能性が高まります。
1-8.マイナスな情報は早めに報告する
収益悪化などのマイナスな情報は、すぐに銀行に伝えましょう。
隠していても経営が回復するわけでもなく、どうしようもなくなってからでは銀行も何もできません。
業績の悪い企業に融資はしてもらえないのです。
ただし、報告の際には今後どのように立て直すかの対策もきちんと伝えるようにしましょう。
前向きな姿勢をみせることで今後の支援を受けやすくなります。
1-9.出来る限り融資以外の取引をする
出来る限り融資以外の取引をしましょう。
銀行の担当者には様々なノルマがあります。
担当者からお願いをされた時には、銀行が主催するセミナーやイベントには積極的に参加したり、銀行が取り扱っている公共料金の自動引落し、新しい定期預金の開設など、業務に影響がでない範囲で協力をしましょう。
お互いが助け合う関係を作り、銀行の信頼を深めることで、将来の取引や融資が有利になります。
2.絶対NG!銀行から嫌がられる3つの行動
銀行との良好な関係は、ビジネスの成功に不可欠です。長期的に良好な関係を気づくためには絶対やってはいけない行動があります。
銀行と付き合っていくうえで、絶対にやってはいけない3つの行動は下記の通りです。
2-1. 困った時にだけ頼る
2-2. 経営者としてふさわしくない行動をとる
2-3. 融資を他行に借り換える
では、詳しく解説していきます。
2-1. 困った時にだけ頼る
困った時にだけ銀行に頼ると銀行に嫌がられます。
銀行としては、経営が危ない会社には融資をしたくないと考えるからです。
本当に経営に困ってから融資を受けるのはむずかしいので、普段からコミュニケーションが大切になるのです。
定期的に試算表や決算書を提出するなどしてコミュニケーションを取っておけば、困る前に融資を受けるなどの相談ができます。
2-2. 経営者としてふさわしくない行動をとる
経営者としてふさわしくない行動をとると銀行から嫌がられます。
銀行に嫌がられるよくある行動は次の3つです。
①提出書類は正確に提出していない
②経営状況を把握せず、他人まかせにしている
③約束を守らない
それぞれ詳しく解説していきます。
①提出書類は正確に提出していない
提出する書類がいい加減だと、銀行からの信頼を失い嫌われます。
書類をしっかり作成しないと『計画性がない』『事務処理能力がない』『いい加減』という印象がついてしまうためです。
もし業績が悪く、会社にとって報告したくない情報でも、隠していてもいいことは何一つありません。
ごまかさずに正しい数字で書類を作成しましょう。
②経営状況を把握せず、他人まかせにしている
担当者にだけ任せて会社の数字を把握していない経営者は、銀行から嫌がられます。
銀行は、経営者が経営全体を把握していない=資金を適切に管理しているか疑問を持つからです。
きちんと試算表や資金繰り表を見て数字を把握し、自分の口で会社のことを説明できるようにしましょう。
③約束を守らない
銀行との約束を守らない経営者は銀行から嫌がられます。
使用使途が約束と違う、返済期限を毎月守らない、など約束を守らない経営者とは信頼関係を築くことができず、対等なビジネスパートナーになることはできません。
返済期限や書類の提出期限など、銀行との約束は必ず守りましょう。
2-3. 融資を他行に借り換える
融資を他行に借り換えるのは、特別な理由がない限り避けるべきです。
同じ銀行内での借り換えは問題ありませんが、他の銀行に移ると、取引先の銀行との関係が悪化します。
銀行は融資返済時の利息を収入としているため、借り換えにより受取利息が減ると、銀行にとって損失です。
業績が良い時に融資返済をしっかり行い、信頼を築くことで、将来的に業績が悪化した際の支援が得られやすくなります。
最も信頼できる取引銀行を一行持ち、長期的な関係を築くことが重要です。
こうした行動を心掛けることで、銀行との良好な関係を維持し、会社の成長を支援してもらえるでしょう。
誠実な対応が成功の鍵です。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、銀行との良好な関係を築くために重要な9つのポイントを紹介しました。
1-1.会社の規模に合わせた銀行を選ぶ
1-2.複数の銀行と付き合う
1-3.会社の試算表などの経営状況が分かるものを定期的に報告する
1-4.稟議書を作成してもらうことを考え行動する
1-5.担当者が変わったら積極的に自社のアピールをする
1-6.銀行からの依頼には迅速に対応する
1-7.業績が良い時期にこそ借り入れと返済を行い、信頼を築き上げる
1-8.マイナスな情報は早めに報告する
1-9.出来る限り融資以外の取引をする
これらのポイントを実践することで、銀行は経営者に対してさまざまなアドバイスやサポートを提供してくれるようになります。
経営者の努力や誠実さが伝われば、銀行も自社の成長を応援してくれるでしょう。
ビジネスの成功には、銀行との良好な関係が不可欠であることを再確認し、積極的なコミュニケーションを心掛けていきましょう。
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