2020年3月にスタートしたコロナ融資。
長引くコロナ禍で事業を継続するために多くの方が利用しました。
そして2023年、コロナ禍が落ち着いたと同時にコロナ融資の返済が続々とスタート。
しかし、コロナ禍が落ち着いたとは言え、まだまだ業績がコロナ前ほど回復しておらず返済が厳しいといった方も少なくありません。
救いの手であったコロナ融資ですが、もちろん返済の義務があります。
もし、約束通りに返済ができなければ、預金口座の差し押さえや、担保の売却などが進んでしまいます。
そこで今回は、コロナ融資の返済が厳しいと感じた時に、今すぐ取るべき3つの対処方法を解説していきます。
最悪の事態を避けるためにも、最後までしっかりとご確認ください。
目次
1.コロナ融資の返済ができないときの3つの対処法
コロナ融資の返済が厳しいと感じた時は、早急に次の3つの対処法を試してみてください。
一度でも返済が遅れてしまってからでは、手遅れになってしまいます。
1-1.追加融資
1-2.借換
1-3.リスケジュール(条件変更)
それぞれ詳しく解説していきます。
日本政策金融公庫のコロナ融資の申込期限が令和6年12月末まで延長されています!【最後のチャンス!】
既に、コロナ融資を受けている方でも、条件をクリアしていれば、追加融資や借換で2回目のコロナ融資の制度を利用できる可能性があります。
1-1.追加融資
追加融資を受け、手元の資金を増やし、当面の資金不足をカバーすることができます。
ただし追加融資の場合、既存の借入の返済状況や、業績などが重視されるためハードルは高いものになります。
当然、コロナ融資の返済が厳しい状況であれば、決算書や試算表から見える業績は良いとは言えないでしょう。
ですが、あきらめる必要はありません。
「事業計画書」及び「資金繰り表」を作成し、将来の業績回復の可能性と返済できる根拠を伝えることで、追加融資の可能性を格段にアップさせることが出来ます。
事業計画書と資金繰り表の作成方法については、2章で詳しくお伝えします。
1-2.借換
借換を実施することで、返済金額の軽減と、同時に追加融資を受けることで新たな資金調達が可能です。
借換とは、現在借りている借入を新たな融資で返済し、新たな借入に組み替えることです。
借換をすることで次の3つの効果が得られる可能性があります。
●融資の返済期間を長期化することによる毎月の返済額を軽減
●追加資金の調達
●据置期間の延長
ポイントは、借換と同時に据置期間を設けることです。
リスケジュ―ル(条件変更)をせずに、元金の返済を先送りにすることができる最も有効的な方法です。
この返済額が軽減されている間に、業績の回復のための戦略を実行し、元金の返済が開始する頃には問題なく融資の返済を行える状態に会社を立て直すことが出来ます。
ただし、借換でも審査が行われます。
先述した、追加融資と同様に「事業計画書」及び「資金繰り表」を作成し将来の業績回復の可能性と返済できる根拠を伝えるようにしましょう。
借換の例
現在、コロナ融資500万円(①)を返済中(据置期間1年、返済期間5年/毎月8万4千円の返済)
新たに、コロナ融資800万円(②)の融資を受ける
新たに受けた融資800万円(②)で、500万円(①)の融資を返済
通帳には、コロナ融資800万円(②)-コロナ融資500万円(①)=300万円が振り込まれる
以降、コロナ融資800万円の返済をする(据置期間1年、返済期間9年/毎月7万5千円の返済)
上記事例の場合、次の3つを同時に行うことができます。
●追加で300万円の資金調達
●据置期間の延長
●融資の返済期間を長期化することで毎月の返済額を軽減
1-3.リスケジュール(条件変更)
融資の返済が困難になった場合の最終手段としてリスケジュール(条件変更)の交渉があります。
リスケジュール(条件変更)とは、返済の条件(返済金額や返済期間)を変更してもらうことです。
具体的には、一時的に返済を止めてもらう、一定の機関返済額を減額をしてもらい、毎月の返済負担を軽くするなどの措置を受けることが出来ます。
ただし、リスケジュール中は新たな融資を受けられません。
また、一度リスケジュールを行うとその後も新たな融資を受けることが非常に難しくなります。
そのため、追加融資や借換の交渉を断れてしまった場合の最終の手段として検討すべきと言えます。
ですが、融資の返済ができず事業の継続が出来なくなってしまうくらいならリスケジュールは検討すべきです。
リスケジュールを頑なに反対をする専門家もいますが、私としてはリスケジュールも一つの資金繰り改善のための手段と考えています。
リスケジュール(条件変更)をする場合も、リスケジュールをすることで資金繰りがどのように改善し、将来的に融資の返済が可能になることを事業計画書や資金繰り表で示す必要があります。
もし本当に返済不能になるとどのようなことが起こるのか?
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
以上、①追加融資、②借換、③リスケジュールの3つがコロナ融資の返済ができないときの対処法です。
次の章では、これらの交渉を成功させるための事業計画書及び資金繰り表の作成方法について解説していきます。
2.事業計画書・資金繰り表の作成方法
前述した通り、コロナ融資の返済が困難な状態で追加融資や借換、リスケジュールを成功させるためには、「事業計画書」と「資金繰り表」を作成し、将来の業績回復の可能性と返済できる根拠を伝えなければなりません。
「事業計画書」と「資金繰り表」を基に、金融機関に交渉し、納得してもらう必要があります。
この2つの書類が、交渉の成功を左右する要と言っても過言ではありません。
2-1.事業計画書の作成方法
事業計画書とは、会社の概要から市場の分析、売上の計画や行動計画などを記載し、ご自身の事業を客観的に分析し課題の発見や改善を行ったり、事業の方向性を金融機関などの社外に共有し、資金調達の際の事業の将来性を説明する根拠資料として活用するのもです。
金融機関ごとに事業計画書のテンプレートがある場合がほとんどですが、記載項目が少なくアピール不足になることもありますので、下記の記載項目を参考に、自身で作成した独自の事業計画書を提出するとより効果的です。
事業計画書の主な記載項目は下記の通りです。
【事業計画書に記載する主な10項目】
①会社の概要
②経営者の経歴
③経営理念
④事業内容
⑤主要顧客と取扱い商品・サービスの強みと特徴
⑥市場環境と競合状況
⑦取引先
⑧販売戦略(売上計画)
⑨財務計画
⑩行動計画
詳しい事業計画書の書き方については、こちらの記事で事例付で解説していますので、参考に事業計画書の作成を進めてください。
もし、ご自身での作成が難しいと感じた場合には、資金調達の専門家などに相談することをおすすめします。
2-2.資金繰り表の作成方法
資金繰り表とは、実際に入ってくるお金(売上)と出ていくお金(経費・返済)を表にまとめたものです。
現金の流れがわかるようになるため、資金繰り表を作成することで、融資の必要性や返済の見込みを説明しやすくなります。
資金繰りの実績だけではなく、将来の予定(計画)について記載することで、将来の資金の計画を見せることができるため説得力を高めることが出来ます。
資金繰り表は下記のような表です。
【簡易版 資金繰り表】
詳しい資金繰り表の見方や、作成方法についてはこちらの記事で解説しています。(準備中)
資金繰り表の作成が難しいと感じたら、資金調達の専門家に相談がおすすめです。
3.まとめ
もし、コロナ融資の返済が困難だと感じたら、早急に次の3つの対処法を実行しましょう。
1.追加融資
2.借換
3.リスケジュール(条件変更)
実際に、返済が遅れてしまってからでは手遅れです。
事業を継続させるためにも、早急に金融機関に交渉を進めてください。
日本政策金融公庫のコロナ融資の申込期限が令和6年12月末まで延長されています!
今回が最後のチャンスとなりますので、有効活用していきましょう。
金融機関に交渉をするために重要となるのが「事業計画書」と「資金繰り表」です。
これらの資料によって、「将来の業績回復の可能性と返済できる根拠」を示し、事業を今一度立て直すチャンスを掴み取りましょう。
コメント