起業1年目の補助金・助成金活用術!起業を実現しよう!

補助金を運ぶ車

補助金や助成金を活用して、起業で失敗しないための手法をわかりやすく解説していきます。

「お金の不安で、なかなか起業の一歩が踏み出せない。」
このような悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか?

起業を考える際、多くの人が抱える不安のひとつが資金面にあるかと思います。
「資金が足りないためにビジネスがうまくいかないかもしれない。」
「思い描いた事業が実現できないかもしれない。」
といった漠然とした不安を抱えている方がほとんどでしょう。

実際に、日本政策金融公庫の「2022年度起業と起業意識に関する調査」によると、
起業をしたいと考えている人の中で「まだ起業していない理由」の第一位は「自己資金が不足している」という結果となっています。

 

日本政策金融公庫の2022年度起業と起業意識に関する調査 まだ起業していない理由

(日本政策金融公庫,「2022年度起業と起業意識に関する調査」,kigyouishiki_230112_1.pdf (jfc.go.jp),P21(参照2022.4.12))

また、同調査では「安定した収入を失うこと」や「事業に投下した資金を失うこと」などお金の問題を起業のリスクと考える方が多いという結果も出ています。

このような不安を軽減する方法の一つに「補助金・助成金の活用」があります。
補助金や助成金は、国や地方自治体、民間企業などが起業や事業拡大を支援するもので、起業資金や事業の運営資金を返済不要で助成してもらえる制度です。
補助金や助成金は、融資とは違い借り入れではないため、返済不要なのが特徴です。

補助金・助成金を活用することで、リスクを軽減しながらビジネスを展開することが可能となるでしょう。

今回は、資金面の不安から、なかなか起業への一歩が踏み出せないあなたに、補助金・助成金活用の起業コンサルタントである専門家が、「補助金・助成金を活用した起業の方法」をわかりやすく解説して、失敗しないための起業の手法を伝授していきます。

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目次

1.起業に役立つ主要な補助金や助成金6選

補助金や助成金は、国や地方自治体、民間企業など様々な機関が実施しており、その目的も様々で、申請するための要件や補助金の対象となる経費が定められています。
そのため、起業時1年目から使える補助金・助成金を調査し、自身に適した補助金を選ぶことが重要と言えるでしょう。
また、複数の補助金を組み合わせて活用することで、より効果的に資金調達ができる可能性があります。

起業に役立つ補助金・助成金の代表的なものを紹介していきます。

起業に役立つ補助金・助成金一覧
1-1.新規創業支援補助金(自治体独自の補助金)
1-2.小規模事業者持続化補助金【一般型】
1-3.IT導入補助金
1-4.ものづくり補助金
1-5.事業承継・引継ぎ補助金(経営革新事業)
1-6.キャリアアップ助成金

1-1. 新規創業支援補助金(自治体独自の補助金)

新規創業支援補助金は、起業をする際に必要となる経費を補助する制度です。
自治体により、補助金の名称が「創業助成金」「○○市創業支援補助金」などと異なります。
起業時に必要な設備投資や人件費などの経費を助成してもらえるため、多くの資金が必要となる起業時には是非活用したい補助金です。

令和5年4月時点では、主に都道府県や市区町村が主体となって実施しています。

都道府県だけでなく、市が独自で行っている場合があるので、知らないと損をしてしまいますので、各自調べる必要があります。
補助額や補助率、対象となる経費などは、実施している都道府県や市区町村の地域よって異なり、あなたの事業を行う地域が「新規創業支援補助金」を実施しているかは、各都道府県、市区町村のHPや、J-Net21から検索することができます。

詳しい検索方法については、2章で解説していきます。

新規創業支援補助金の主な特徴は次の通りです。

【新規創業支援補助金の特徴】

公募期間(一般募集期間)自治体による 4月に公募(一般募集)が開始されるものが多い
利用できる人指定の期間に創業または、これから創業する法人、個人事業主
(自治体による)
対象となる経費設備費、人件費、広報費、新商品開発費、改装費、設立登記費など(自治体による)
補助率自治体による(検索方法は2章で解説)
補助上限金額自治体による(検索方法は2章で解説)
採択率自治体によりますが、採択率10%~20%前後が多い
(採択率とは、補助金の審査に通る確率)
専門家からの新規創業支援補助金を活用した起業のアドバイス
補助金を申請するためには、事業計画書の作成が必要となり、事業計画書を元に審査が行われています。
特に、新規創業支援補助金は、審査が厳しいと言われています。

この審査の厳しさを利用し、事業計画書が通用するか腕試しするというのも一つの方法です。
事業計画書は、他の補助金申請や、融資を受けるための事業計画書の基本になります。

また経営には事業計画書がかかせません。
事業のビジョンや目標、戦略を具体的に記述するようにしましょう。
時間の余裕がある起業前に、事業計画書をしっかりと作り込み、今後の経営にも活かしていきましょう。

また、起業時に、一度補助金の申請しておくと、今後も申請がしやすくなります。
申請プロセスや必要書類の準備、審査基準などを一連の流れを理解しておきましょう。
ただし、練習と言っても、やるからには、補助金まで獲得できるように、全力で取り組みましょう。

1-2.小規模事業者持続化補助金【一般型】

小規模事業者持続化補助金とは、新たな販路開拓や顧客獲得のために係る経費の一部を国が補助してくれる制度です。
最大250万円の補助を受けることができ、法人や個人事業主でも利用できます。
小規模事業者持続化補助金の特徴は以下の通りです。

【小規模事業者持続化補助金の特徴】

公募期間(一般募集期間)年に複数回あり
利用できる人小規模事業者であること(業種ごとの従業員数で判断)
対象となる経費機械装置設置費・広報費・ウェブサイト関連費・展示会出展費・旅費・開発費・資料購入費・雑役務費・借料・設備処分費・委託、外注費
補助率補助対象と認められた経費の3分の2
(賃金引上げ枠で赤字事業者の場合4分の3)
補助上限金額50万円・100万円・200万円・250万円
(申請する枠・特例による)
採択率60%以上(採択率とは、補助金の審査に通る確率)
専門家からの小規模事業者持続化補助金を活用した起業のアドバイス
対象となる経費の範囲も広く、採択率も60%以上と起業時に活用しやすい補助金です。
チラシやネット広告、ホームページの作成費用、内装工事費用など、幅広い経費が補助の対象です。
年に複数回公募(一般募集)を行っている為、自身の好きなタイミングで申請できることも活用しやすいポイントです。

実際に小規模事業者持続化補助金の申請をしてみたい、より詳しい内容を確認したい方は、こちらの記事を参考にしてください。

1-3.IT導入補助金

IT導入補助金は、ITツールなどの導入の際に係る経費の一部を国が補助してくれる制度です。
最大450万円の補助を受けることができ、法人や個人事業主の方が利用できます。
IT導入補助金の特徴は以下の通りです。

【IT導入補助金の特徴】

公募期間(一般募集期間)年に複数回あり
利用できる人中小企業・個人事業主(業種ごとの従業員数で判断)
対象となる経費指定のITツール・ソフトウェア費・導入関連費など
補助率補助対象と認められた経費の4分の3または、3分の2または、2分の1(類型による※事業の目的により、いくつか枠があり、それぞれ条件補助率が異なります)
補助上限金額最大450万円
(類型による※事業の目的により、いくつか枠があり、それぞれ条件補助上限金額が異なります)
採択率おおよそ50%(採択率とは、補助金の審査に通る確率)
専門家からのIT導入補助金を活用した起業のアドバイス
近年ITを活用した業務の効率化が推進されており、ITツールを導入したいと考える事業者様も多いでしょう。
採択率も50%と、IT化社会の中で起業をする方にとって非常に魅力的な補助金と言えます。

ただし、パソコンやタブレット、プリンター、スキャナー等のハードウェアの購入のみで補助金を申請することはできません。
(一部ソフトウェアに付随してハードウェアを購入する場合のみ補助の対象となる枠があります。)

また、補助金事務局によって認定されたIT導入事業者が提供するものと限られていますので注意してください。

実際にIT導入補助金の申請をしてみたい、より詳しい内容を確認したい方は、こちらの記事を参考にしてください。

1-4.ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、革新的サービスや新商品の開発、生産プロセスの改善などを行うための設備投資を補助してくれる制度のことです。
最大4,000万円の補助を受けることができ、法人や個人事業主の方でも利用できます。
正式名称は「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」といいます。
ものづくり補助金の特徴は以下の通りです。

【ものづくり補助金の特徴】

公募期間(一般募集期間)年に複数回あり
利用できる人中小企業・個人事業主
対象となる経費機械装置・システム構築費・運搬費・技術導入費・知的財産等関連経費・外注費・専門家経費・クラウドサービス利用費・原材料費・海外旅費・通訳、翻訳費、広告宣伝、販売促進費
補助率補助対象と認められた経費の3分の2
補助上限金額最大4,000万円(枠による)
採択率30~60%(採択率とは、補助金の審査に通る確率)
専門家からのものづくり補助金を活用した起業のアドバイス
ものづくり補助金という名前から、対象は製造業のみと思われがちですが、飲食店やIT、サービス業など業種を問わず活用することができます。
補助額が大きいため、高額な設備投資をする際は活用したい補助金です。
投資額に応じて、「小規模事業者持続化補助金」と比較して利用しやすい方で申請することをおすすめします。

実際にものづくり補助金の申請をしてみたい、より詳しい内容を確認したい方は、こちらの記事を参考にしてください。

1-5. 事業承継・引継ぎ補助金(経営革新事業)

事業承継・引継ぎ補助金は、既存の企業を引き継ぐことで起業する手法を支援する制度です。
会社の買収や事業承継にかかる費用の一部を助成してもらえるため、新規に事業を立ち上げるよりもリスクを抑えた起業ができる効果が期待できます。
事業承継・引継ぎ補助金の特徴は以下の通りです。

【事業承継・引継ぎ補助金(経営革新事業)の特徴】

公募期間(一般募集期間)年に複数回あり
利用できる人中小企業・個人事業主
対象となる経費店舗等借入費、設備費、謝金、外注費、廃業費、産業財産権等関連経費、原材料費、旅費、委託費、マーケティング調査費、会場借料費、広報費
補助率補助対象と認められた経費の3分の2または2文の1(条件による)
補助上限金額最大800万円(条件による)
採択率おおよそ50%(補助金の審査に通る確率)
専門家からの事業継承・引継ぎ補助金を活用した起業のアドバイス
起業は、ゼロから新規事業を作り出すため、難易度が高いと考える方も多いですが、M&Aによって、新規事業をゼロから立ち上げるのではなく、既にある会社や事業を購入し、既存の資産やノウハウ、顧客情報を引き継ぐことで、より迅速に事業を展開するという方法もあります。

M&Aによる起業は、起業当初から飛躍的に事業を成長させることが期待できますが、会社を購入して、事業を承継しなければならないので、経営の経験がない場合は、知識やノウハウが必要となり、決して簡単なものではないでしょう。

以下にM&Aによって起業を成功させるためのポイントをまとめましたので、M&Aで起業を考えている方は、参考にしてみてください。

M&Aによる起業を成功させるポイント
・適切なターゲットの選定
M&Aによる起業を成功させるためには、適切なターゲット企業の選定が重要だと言えるでしょう。
自分のスキルや経験、事業ビジョンと合った企業を見つけることが求められます。
また、企業の財務状況や将来性をしっかりと評価しましょう。

・買収プロセスの理解
M&Aには複雑なプロセスが伴います。
非公開情報の取得や価格交渉、契約書類の作成など、買収に関する一連の手続きを理解し、適切に対応することが重要だと言えるでしょう。

・専門家の活用
M&Aは専門的な知識が必要です。法律、会計、税務、金融など、それぞれの分野の専門家と連携し、適切なアドバイスを受けることが成功への鍵となります。

・統合後のマネジメント
M&Aを成功させるためには、買収後の統合マネジメントも重要だと言えるでしょう。
両社の文化や経営方針の違いを理解し、円滑な統合を図ることが求められます。
具体的には、経営陣や従業員のコミュニケーションを促進し、組織や事業のシナジー効果を追求しましょう。

・財務計画の策定
M&Aによる起業では、買収資金や統合にかかるコストを考慮した財務計画を策定することが重要でしょう。
資金調達の方法やリスク管理、将来の収益予測など、綿密な計画を立てましょう。

・タイミングの見極め
M&Aにおいては、タイミングも重要な要素の1つです。
市場の動向やターゲット企業の状況を見極め、最適なタイミングで買収を実行しましょう。
適切なタイミングでの行動が、M&A成功の鍵となります。

・人材マネジメント
M&Aによる起業では、新たに組織に加わる人材や既存の人材との協力が不可欠となるでしょう。
適切な人材配置や人材育成を通じて、組織の活性化や業績向上を目指しましょう。

・持続的な成長戦略
M&Aによる起業成功のためには、買収後も持続的な成長戦略が必要と言えるでしょう。
中長期的なビジョンを持ち、市場環境の変化に柔軟に対応しながら、事業を発展させましょう。

1-6.キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規労働者(アルバイトやパート、6カ月単位などの有期契約労働者など)を、正社員化する、人材育成を行う、待遇を改善するなどの取り組みを行った事業主に対して助成金が支給される制度です。

これまで説明してきた補助金とは違い、一定の要件を満たしていれば、基本的に助成金を受け取ることができます。キャリアアップ助成金には複数コースがありますが、ここではニーズの高い正社員化コースを詳しく紹介します。
キャリアアップ助成金の特徴は以下の通りです。

【キャリアアップ助成金の特徴】

公募期間(一般募集期間)通年(1年を通して申請可能)
利用できる人中小企業・個人事業主(雇用保険適用事業所であること)
必要な取組有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換
または直接雇用
助成額一人当たり21万円~72万円
専門家からのキャリアアップ助成金を活用した起業のアドバイス
起業時は、アルバイト・パートや6カ月期間契約労働者などで雇用し、事業が軌道に乗ってきてから、アルバイト・パートや6カ月期間契約労働者などの契約してきた方を、正社員としてキャリアアップするケースが多いでしょう。

その際に、このキャリアアップ助成金を事前に申請しておくことで、助成金を21万円~72万円を会社側が受け取ることができます。
条件が厳しくなりつつあり、非正規労働者との労働契約前から準備をしておく必要がありますので、申請のタイミングに注意点があります。
事前に専門家に相談しておくことをおすすめします。

従業員を採用する計画のある方はぜひ活用して欲しい助成金です。
従業員の定着率UPや、従業員のモチベーションUPにも繋がるでしょう。
助成金は補助金と違い、一定の要件を満たしていればもらえるものですので、積極的に活用しましょう。

以上が、起業に役立つ主要な補助金や助成金です。
動画でも解説していますので、こちらも参考にしてみてください。

「起業して1年目から受け取れる助成金・補助金!起業の専門家が5つ厳選」


2.自治体・民間企業の行っている補助金・助成金の調べ方

ご自身の事業を営む自治体の行っている補助金・助成金を活用したい、民間企業の実施している補助金・助成金にチャレンジしてみたいという方は、次の方法で検索することができます。

補助金・助成金の検索方法
2-1.「ミラサポPlus」から探す
2-2.「J-Net21」から探す
2-3.「各自治体のサイト」から探す

2-1.「ミラサポPlus」から探す

ミラサポPlusとは、中小企業庁の運営している情報支援サイトです。

トップページの「支援制度を探す」から条件の絞り込みをクリックすると、事業ステージや困りごとなど、希望に合わせた補助金などの支援制度を検索することができます。

地域のタブからご自身の事業を行っている自治体を選択し 、この条件で検索をクリックすると、対象となる地域で実施している補助金や支援制度が一覧で見ることができます。

ミラサポplus補助金助成金 中小企業支援サイトの見本

(ミラサポplus,補助金・助成金 中小企業支援サイト,https://mirasapo-plus.go.jp/,(参照2023.4.17))

2-2.「J-Net21」から探す

J-Net21とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する中小企業を対象に支援を行うポータルサイトです。
全国の助成金・補助金・融資 の制度を地域や目的を指定して検索することができます。
地域、種類、分野、フリーワードなどで検索をかけることができます。

J-Net21支援情報ヘッドライン補助金助成金融資の見本

(J-Net21,「支援情報ヘッドライン 補助金・助成金・融資」,https://j-net21.smrj.go.jp/snavi/support/,(参照2023.4.17))

2-3.「各自治体のサイト」から探す

事業を行う予定の自治体のサイトを確認してみてください。
どの自治体のサイトにもトップ画面にサイト内検索バーがありますので、「補助金」と入力してみてください。
自治体のサイト内から補助金に関係するページが表示されます。

自治体のホームページの見本


3.補助金・助成金の申請の4つのポイント

補助金・助成金を申請する際には、いくつかのポイントを抑える必要があります。
補助金の審査をクリアできる確率は40~60%と決して簡単ではありません。

ただ、申請をするだけでは、なかなか審査を通過することは難しいでしょう。
これから紹介する補助金・助成金の申請の4つのポイントを押さえて、効率的に補助金・助成金を獲得していきましょう。

3-1. 補助金の事業計画書に記載しておきたい基本の9項目

補助金を申請する際には、効果的な事業計画書の作成が重要です。採択が左右されると言っても過言ではありません。ここでは、事業計画書に記載しておきたい基本の9項目を紹介します。

事業計画書に記載しておきたい基本の9項目
①企業概要
②ターゲットとニーズ、市場調査・競合分析
③補助金活用方法の説明
④マーケティング戦略
⑤組織体制・人材育成
⑥リスク分析・対策
⑦SWOT分析の活用
⑧スケジュール
⑨収益計画・費用対効果

①企業概要

まず、企業の概要として、設立年月や経営理念、代表者の経歴、事業の内容を分かりやすく説明しましょう。
具体的な数字や将来のビジョンも示すことが望ましいです。
さらに、基本情報として、人員体制や従業員数、事務所店舗の立地などについて記載していきます。
商品構成やそれぞれの売上比率についても記載していきます。

②ターゲットとニーズ、市場調査・競合分析

市場規模やターゲット層、競合他社の状況を分析し、自社の強みや市場ニーズを明確にします。
具体的なデータや事例を用いると説得力が増すでしょう。
さらに、顧客から、どのような商品に対してどのように喜ばれているのか、評価されているのかを記載していくと良いです。

③補助金活用方法の説明

補助金がどのように活用されるかを詳細に説明します。
具体的な経費や効果が見込まれる点を明らかにしましょう。
この事業が、どのように創意工夫をして、特徴がある事業なのか、革新的な事業なのかをアピールしていきます。

④マーケティング戦略

事業の成長を支えるマーケティング戦略を明確にします。
ターゲット層へのアプローチ方法やプロモーション活動を具体的に示しましょう。

⑤組織体制・人材育成

組織の体制や役割分担、人材育成計画を説明し、事業運営の基盤を明らかにします。

⑥リスク分析・対策

事業運営に伴うリスク要因や対策を列挙し、事業の持続性を示します。
この事業を運営するにあたり、このような課題がありますが、このように対策をして乗り越えていきます。といったように、課題をあらかじめ認識していることと、対策もしっかり考えていることをアピールしていきます。

⑦SWOT分析の活用

事業の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を整理し、戦略立案の根拠とします。

SWOT分析による戦略の記載方法についてはこちらの記事も参考にしてください。

⑧スケジュール

この新規事業を誰が、どのように、いつまでに実行して進めていくかを記載していきます。
これにより、事業の進捗管理が容易になるでしょう。
そして無理のないスケジュール管理が必要だと言えるでしょう。

⑨収益計画・費用対効果

収益計画や投資回収期間を数字で示し、事業の収益性や費用対効果をアピールします。
堅実で信頼性のある計画を提示しましょう。

3-2.補助金の事業計画書作成のコツ

・シンプルで分かりやすい言葉を使いましょう。

審査員が理解しやすいように、文章構成や図表の活用も検討してください。

・見た目やレイアウトを整理しましょう。

事業計画書には、基本的に定型フォーマットがありません。
適切なフォントやレイアウトで整理し、誰もが見やすい事業計画書の作成を心がけましょう。

・アピールポイントを強調しましょう。

事業計画書の冒頭や要点に、独自性や革新性などのアピールポイントを強調しましょう。審査員の注目を引くことが期待できるでしょう。

・データや参考事例を図や表を用いて示しましょう。

市場調査データや参考事例、専門家の意見などを用いて、計画の客観性や具体性を示すことが重要だと言えるでしょう。
客観性や具体性を持たせるためには、数値を活用し、その数字の根拠を示す必要があります。
具体的には、資料や図解、表などの画像を挿入していきます。

・適宜、事業計画書の見直し・修正を行いましょう。

完成した事業計画書は、第三者の目線で見直し、修正しましょう。
客観的な意見を取り入れることで、より効果的な事業計画書が作成できます。
具体的には、専門家や経験者にアドバイスをもらうことをおすすめします。

1年に何十件、何百件と助成金・補助金の申請をしているプロならではの独自のノウハウを活かし、質の高い事業計画書の作成をサポートしてもらうことができ、採択される確率を上げる効果が期待できます。
コストはかかってしまいますが、ご自身は本業に集中することができ、最終的に採択されて補助金がもらえれば、メリットは大きいと言えます。

補助金は「税理士」や「中小企業診断士」「行政書士」「コンサルティング会社」などの様々な専門家が担っています。
一方、助成金に関する専門家は「社会保険労務士」です。
助成金に関する手続きは社会保険労務士の独占業務になっています。

まずは一番身近な専門家に相談してみることをおすすめします。

以上の手順とコツを活用し、効果的な事業計画書を作成して補助金の獲得に努めましょう。
資金調達成功につながる事業計画書が完成すれば、事業のスタートダッシュを切ることができるでしょう。

3-3. 補助金・助成金の申請の期日や全体の流れを把握する

補助金・助成金を申請する際には、事前に申請の期日や全体の流れを把握するようにしましょう。
補助金・助成金は、申請期限や予算の制約があります。

気が付いたら、期限が過ぎていた、予算が終わってしまって申請ができない、なんてことがないようにしましょう。
一般的な補助金・助成金の申請の流れは次の通りです。

3-3-1.一般的な補助金・助成金の申請の流れ

補助金と助成金の申請の流れ

それぞれ、細かく解説していきます。

(1)補助金・助成金の申請書類の作成・提出

公募期間中に必要書類を作成し提出します。
インターネット上で電子申請が一般的になってきています。
提出書類は、補助金・助成金ごとに異なりますが、所定の書式の書類や経営やキャリアアップに関する計画書などの提出が求められます。

(2)審査

専門家による審査が行われます。おおよそ1カ月から2カ月ほどかかります。
必要な書類が揃っているか、条件をクリアしているのか、事業計画書の内容などが審査にかけられます。

(3)審査結果の通知

書面や公式HP上で審査結果が通知されます。

(4)補助・助成事業の対象期間

申請時に提出した計画書に基づいて、事業を行っていきます。
原則、審査の合否の後の補助・助成対象期間にかかった費用が補助金・助成金の対象になります。

(5)事業の実施報告

補助・助成対象期間が終了したら、事業の報告、実際にかかった経費の報告を行います。
報告書の作成し、実際にかかった経費の証拠書類(契約書や領収書など)を提出します。

(6)補助金・助成金の交付

報告書を提出し、経費が申請時の計画書通りに使われたという事が認められて、初めて補助金・助成金が交付されます。補助金・助成金は原則後払いのため注意が必要です。
補助金・助成金の交付後、その後何年かにわたって、事業の状況の報告を行わないといけないものもあります。

一連の流れは理解できたでしょうか?
補助金・助成金を申請してから、実際にお金を受け取るまで、おおよそ1年かかると考えておきましょう。

3-4.つなぎ融資を利用する

先ほど解説した補助金申請の流れからわかるように、補助金・助成金は原則後払いです。
事前に資金を用意しなければなりませんし、補助金の交付までに時間がかかるため、つなぎ融資を利用して資金繰りの負担を軽減しましょう。

補助金の採択交付決定が出た後に発行される「交付決定通知書」を銀行に持参し融資の相談をすると、補助金・助成金を使って行う事業が、一定の審査をクリアした実現性の高い事業であることを証明できるため、融資の成功確率のUPが期待できます。

つなぎ融資とは?
つなぎ融資とは、一般的に売上が上がってから実際に現金が手元に入ってくるまでの期間、一次的に運転資金などの融資を受けることを言いますが、補助金におけるつなぎ融資は、補助金が採択されてから、補助金が入金されるまでの間に、融資を受け事業を実行することを指します。

補助金の使い方を検討している様子


4.補助金活用の成功事例

4-1. 【成功事例1】新規創業支援補助金で経営コンサルティング会社を開業!150万円の助成と100万円の自己資金で実現

Aさんは、経営コンサルティング会社を開業することを夢見ていました。
創業支援補助金を活用し、開業費用250万円を自己資金100万円と補助金150万円でまかなうことができました。

当時開業に必要な経費は次の通りです。

【開業に必要な経費】

経費名金額
パーテーション30万円
デスク20万円
チェアー10万円
書籍棚30万円
ホームページ制作100万円
広告費60万円
合計250万円

Aさんは創業支援補助金を申請し、自己資金と合わせて開業に必要な経費を捻出しました。
創業補助金の条件に、自治体主催の創業者研修を受講することだったため、合計4回受講して、起業のスキルまで無料で身に着け、補助金を活用してオフィスの設備やホームページ制作、広告費に充て、経営コンサルティング会社を立ち上げることができました。

オフィス環境が整い、ホームページや広告を通じて顧客にアプローチしたことで、Aさんの経営コンサルティング会社は着実にクライアントを獲得し、業績も好調です。

Aさんの成功事例は、創業支援補助金を活用して開業することで、起業のスタートダッシュに成功しました。
資金面の不安を解消し、夢の経営コンサルティング会社を開業することができました。
これから起業を考える方にとって、創業支援補助金を利用することはおすすめだと言えるでしょう。

4-2.【成功事例2】小規模事業者持続化補助金で美容室開業!200万円の補助金と700万円の自己資金で実現

通常1,000万円以上の資金が必要な美容室開業を、自己資金700万円と補助金200万円で実現したAさんの成功事例を紹介します。
小規模事業者持続化補助金を活用し、スタートダッシュに成功しました。
開業に必要な経費は次の通りです。

【開業に必要な経費】

経費名金額
内装工事400万円
シャンプー台60万円
椅子30万円
備品80万円
保証金100万円
ホームページ販促費100万円
その他経費130万円
合計900万円

合計900万円の開業経費を、自己資金700万円と補助金上限200万円でまかないました。
シャンプー台やホームページ制作などに補助金を活用し、美容室を立ち上げました。

補助金の活用により、予算をオーバーせずに美容室を開業できました。
その後、SNSや口コミで評判が広がり、多くの顧客が訪れるようになりました。
また、地域に密着したサービスや独自の技術を提供することで、美容室はリピーター客を増やし、経営が軌道に乗りました。

Aさんの成功事例は、開業費用が1,000万円以上必要であるといわれている美容室業の開業で、小規模事業者持続化補助金を活用して資金面の不安を少しでも解消し、スムーズな開業が実現できたことです。
これから起業を考える方にとって、小規模事業者持続化補助金活用はおすすめだと言えるでしょう。

4-3.【事例3】IT導入を活用した飲食店の開業

IT導入補助金を活用して、セルフオーダーシステムを導入しコロナ禍でも安心な飲食店を開業した事例です。

Bさんは、開業を決意した直後に新型コロナウイルスの流行が始まりました。
準備が整い、やっとオープンできると思った矢先のことでした。
コロナ禍により、非接触への対応が求められたため、IT導入補助金を活用しセルフオーダーシステムの導入を決定しました。

【補助金を活用して購入した設備等】
セルフオーダーシステム

【補助金額】
350万円

【自己負担】
175万円

小規模事業者持続化補助金を活用することで、セルフオーダーシステムの導入費用525万円を、補助金350万円を受け取ることにより、自己負担額175万円で開業できた事例です。

4-4. 事例4:ものづくり補助金を活用して冷凍食品のオンライン販売事業を開始した飲食店

ものづくり補助金を活用して、急速冷凍機を導入し、冷凍食品のオンライン販売を開始した飲食店の事例です。

Cさんは、飲食店開業間もなく新型コロナウイルスの流行し、営業自粛を余儀なくされたことをきっかけに、当店の料理を自宅でも味わっていただける方法として冷凍食品の販売事業の開始を決意しました。

【補助金活用して購入した設備】
急速冷凍機・保管用冷凍庫

【補助金額】
1,000万円

【自己負担】
800万円

ものづくり補助金を活用することで、1,800万円もの大規模な投資を、補助金1,000万円を受け取ることにより、自己負担額800万円で、実店舗での飲食店事業だけでなく、ネット販売事業として、新たなビジネスモデルを作り上げ、商圏も全国展開として実施できた例です。

4-5. 【成功事例5】事業承継補助金で地域の老舗和菓子店を再生「会社を買って起業」

事業承継補助金を活用し、事業承継を通じて、会社の資産やノウハウを引き継ぎ、新たな価値を創出し、
地域の老舗企業を再生させることに成功した事例です。

Aさんは、マーケティングやブランディングが専門であり、マーケティング会社で起業するのではなく、飲食店や製造小売店で起業することを決意しました。
Aさんは、地元で愛される老舗和菓子店「甘楽堂(仮名)」が後継者不在による事業承継を希望していることを知りました。Aさんは、自身が持つマーケティングやブランディングのスキルを活かし、地域の名店を再生して起業することを決意しました。

【ターゲット企業の選定】
Aさんは、甘楽堂の伝統的な技術や地域での評判が高いこと、そして自身のスキルが活かせることを理由に、甘楽堂をM&Aのターゲット企業に選定しました。

【買収プロセス】
Aさんは、専門家に助言を求め、甘楽堂の財務状況や経営陣との交渉を進めました。
老舗和菓子店「甘楽堂(仮名)」は個人事業主で買収価額も、数百万円程度でした。
そして、事業承継補助金を活用し、無事に甘楽堂の経営権を取得することに成功しました。

【統合後のマネジメント】
経営権を取得した後、Aさんは、甘楽堂の伝統を尊重しつつ、新たな商品開発やオンライン販売の導入など、現代のニーズに合った変革を進めました。
また、従業員とのコミュニケーションを重視し、和菓子職人の採用により、新旧の経営陣が協力して事業を発展させる体制を構築しました。

【事業継承の成果】
このような変革により、甘楽堂は地域の観光産業にも貢献し、地域活性化、通信販売による全国展開にもつながりました。

この事例から、事業承継補助金を活用して会社を買収し、起業することで、既存の資産やノウハウを引き継ぎながら、新たな価値を創出することができることがわかります。
また、地域の名店を再生することで、地域活性化や社会貢献にもつながることが期待できます。


5.補助金以外の資金調達方法

補助金以外にも、起業時に資金調達をする方法はあります。
複数の資金調達方法を組み合わせることでより効果的で効率よく資金調達をすることができるでしょう。
補助金を活用したら、次の資金調達方法にもチャレンジしてみましょう。

5-1. 金融機関からの借入

資金調達の一般的な方法として、銀行や信用金庫などの金融機関からの融資が挙げられます。
中でも、日本政策金融公庫の創業融資は、無担保・無保証人に借入ができるなどのメリットがあるため
起業時におすすめだと言えるでしょう。
日本政策金融公庫とは、個人事業主や小規模・中小企業の融資支援をしている、政府系金融機関です。

実際に日本政策金融公庫から融資を受けたい、より詳しい内容を確認したい場合はこちらの記事を見てください。

5-2. クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネットを通じて資金を集める手法です。
プロジェクトや商品に対する支援者からの資金提供を受け、事業資金として活用できます。

また、商品やサービスに需要があるのかを本格的な販売の前にテストマーケティングができるというメリットもあります。
ただし、クラウドファンディングで確実に資金が集まるとは限りません。
成功率は約30%という見解もあります。

5-3. ビジネスコンテストへの参加

ビジネスコンテストとは、民間企業や、公的機関など様々な団体が企画しているコンテストです。
優れた事業アイデアやプランを持つ起業家が賞金や支援を受けることができます。
コンテストへの参加を通じて、資金調達だけでなく、事業の認知度や信用力を高めたり、今後の取引先との交渉に有利に働くことも期待できます。

1.補助金の事業計画書に記載しておきたい基本の9項目
2.補助金の事業計画書作成のコツ
3.補助金・助成金の申請の期日や全体の流れの把握
4.つなぎ融資の利用

起業時には、資金調達だけでなく、多くの課題や困難がつきものです。

補助金・助成金を活用することで、その中の資金面での不安を軽減することができるでしょう。
ぜひ、この記事の内容を参考にして、あなたの起業への道を切り開いてください。

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6.まとめ

補助金を活用することで、資金面での負担を軽減し、起業への一歩を踏み出すことができるでしょう。
さらに、事業の成長や地域貢献につなげる期待もできます。
補助金を活用した起業の成功事例を参考に、自身にあった補助金の活用を検討してみてください。

補助金を活用する際には、次の4つのポイントを抑えるようにしましょう。

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