起業で失敗したくない人のために、起業の仕方全19ステップを起業の専門家が伝授します!
「起業するには、何から始めればいい?」
漠然とした事業アイデアはあるものの、肝心の起業の仕方が分からないという方は多いのではないでしょうか。
私は実際に、いきなり起業して失敗している何人もの経営者を見てきました。
起業を失敗で終わらせないためには、しっかりとした事前の準備が必要です。
今回は、具体的な企業の手順を19ステップで分かりやすく解説していきます。
目次
- 1.【起業の仕方19ステップ】起業で失敗したくない人のために起業の専門家が伝授します。
- ステップ1.起業のアイデアを見つける
- ステップ2.ビジネスモデルを構築する
- ステップ3.市場・業界・競合他社の調査
- ステップ4.ビジネスモデルを修正する
- ステップ5.起業の目的を明確にする
- ステップ6.必要な許認可・資格の確認
- ステップ7.資金を準備を開始する
- ステップ8.経営者として必要最低限の知識を得ておく
- ステップ9. 起業の形態を決める(株式会社・合同会社・個人事業主)
- ステップ10.事業をする場所を決める
- ステップ11.事業計画書を作成する【最重要】
- ステップ12.起業直後に必要なものの準備を始める
- ステップ13.起業の手続き
- ステップ14.起業後の事務手続き
- ステップ15.許認可の申請【許認可が必要な事業の場合】
- ステップ16.役員報酬の決定【会社設立の場合】
- ステップ17.銀行口座の開設
- ステップ18.融資の申込【融資が必要な場合】
- ステップ19.補助金・助成金を活用する
- 2.まとめ
1.【起業の仕方19ステップ】起業で失敗したくない人のために起業の専門家が伝授します。
全くのゼロから起業をするには、以下の19の手順を踏めばスムーズに起業できます。
ステップ1.起業のアイデアを見つける
ステップ2.ビジネスモデルを構築する
ステップ3.市場・業界・競合他社の調査
ステップ4.ビジネスモデルを修正する
ステップ5.起業の目的を明確にする
ステップ6.必要な許認可・資格の確認
ステップ7.資金を準備を開始する
ステップ8.経営者として必要最低限の知識を得ておく
ステップ9.起業の形態を決める(株式会社・合同会社・個人事業主)
ステップ10.事業をする場所を決める
ステップ11.事業計画書を作成する【最重要】
ステップ12.起業直後に必要なものの準備を始める
ステップ13.起業の手続き
ステップ14.起業後の事務手続き
ステップ15.許認可の申請 【許認可が必要な事業の場合】
ステップ16.役員報酬の決定【会社設立の場合】
ステップ17.銀行口座の開設
ステップ18.融資の申込【融資が必要な場合】
ステップ19.補助金・助成金を活用する
では、各ステップの具体的なやり方について解説していきます。
ステップ1.起業のアイデアを見つける
まずは、起業のアイデアを検討していきます。
「起業したいけど何をしたらいいのか分かりません」という人も多いでしょう。
ゼロから起業のアイデアを見つけるのは、至難の業です。
しかし起業のアイデアは、意外にも身近に転がっています。
起業のアイデアの見つけ方としては、以下の4つの方法を参考にしてみてください。
②普段の生活から「困ったな」「不便だな」と感じた体験からの発想
③既存ビジネスの改善点を考える
④成功事例をお手本にする
それぞれ詳しく解説していきます。
①自分の経験や得意分野からの発想
自分の経験や知識、得意分野から強みを活かしてできることを考えてみましょう。
また、自分の考えだけでなく家族や友人、同僚など第三者の意見を聞いてみるのも効果的です。
強みを見つけるおすすめの方法は「私に何を期待しますか?」と質問してください。
その返答が自分の強みでもあります。
実際に起業した方の現在の事業の決定理由は、「これまでの経験や技能活かせるから」「身につけた資格や知識を活かせるから」という回答が60%以上を占めています。(2020年度新規開業実態調査)
「新しい事業のアイディアやヒントを見つけたから」と回答した人は5%以下となっています。
素晴らしい新たな事業のアイディアが思い浮かんで起業したという人はとても稀です。
すこし遠回りに感じるかもしれませんが、一度関連する分野の企業に就職するなど経験や知識を積み、強みとして身に着けておくことも起業に向けた一つの道筋だと言えます。
②普段の生活から「困ったな」「不便だな」と感じた体験からの発想
日常生活の中で「困ったな」、「不便だな」と感じた経験を活かしてできることを考えてみましょう。
「困ったな」、「不便だな」と感じることは、おのずとしてその分野の課題と言えます。
中国アリババの創業者ジャックマーの名言「チャンスは常に人々の不満の中にある」とあるように
その課題を解決する方法が新たなビジネスモデルにつながる可能性があります。
例えば、私たちの生活に身近な「マジックカット」。「どこからでも切れます」といった表記は食品や日用品のありとあらゆるところで見かけますね。マジックカットは旭化成パックスの特許技術なのです。
この商品が誕生したきっかけも、旭化成ポリフレックス(現旭化成パックス)時代の専務が出張帰りの新幹線で缶ビールと燻製イカを購入した時に、老眼でうまく燻製イカの袋を開けることができず、つまみなしでビールを飲むこととなった苦い経験からなのです。
自分自身の体験だけでなく、身近な家族や友人の体験を聞いてみると参考になります。
③既存ビジネスの改善点を考える
自分が一消費者として利用している商品やサービスに関して「もっと便利になる方法」を考えてみましょう。
具体的には次のようなことを検討してみましょう。
(2)他の商品・サービスと組み合わせることはできないかを検討する
(3)商品・サービスを提供する対象の年齢・性別・地域を変えてみる
④成功事例をお手本にする
国内・外で成功しているビジネスをお手本にして新たなビジネスのアイデアに活かす。
例えば、海外で成功しているビジネスを日本版にアレンジしてみたり、マーケットを変えて活用するといったことも1つのアイデアになります。
例えば、近年よく耳にする「サブスク」(サブスクリプション)も、成功したビジネスを様々な業界が導入した例です。
コンピュータ用のソフトウェアの年間契約使用料などにサブスクリプション方式が導入され、売上がアップしたことをきっかけに、音楽配信や動画配信サービス、電子書籍の読み放題サービスなどにも導入されていきました。
その後、消費者にとっては、定額制で安価にサービスを利用できること、事業者にとっては、長期にわたって継続した売上を見込めるなどのメリットから、様々な業界で活用されるようになりました。
ただし、必ずしも他で成功しているビジネスが全ての業界にマッチするとは限りません。
大手焼肉チェーンの牛角は月額11,000円で定額食べ放題のプランを提供しましたが、お得感から利用客が増え多くの顧客が店に入れない状態になってしまい、わずか2カ月で販売終了となってしまいました。
ただ、成功しているビジネスを真似をするのではなく、業界との相性を検討することやアレンジを加えるなどの工夫が必要です。
起業のアイデアについては、こちらの事例集も参考にしてみてください。
どうしても起業のアイデアが思い浮かばない時は・・・
起業のアイデアが浮かばないときは、次のような方法で起業をすることもできます。
(1)フランチャイズ
フランチャイズ本部から、お店の名前、看板、ブランド力、サービスのノウハウを使う権利をもらい、その対価として加盟金やロイヤリティを支払う経営方法です。
いきなり成功事例のあるビジネスを始めることができます。
(2)業務委託
業務委託とは、委託元となる企業と契約を結び、特定の業務を請け負い、報酬をもらう働き方です。自分の得意分野などを仕事にすることができ、時間などに縛られることなく働くことができる方法です。
(3)代理店
メーカーなどの販売元と契約を結び、顧客への営業や契約の手続きなどを行い、契約が成立すると販売手数料として報酬を得ることができます。
(4)独立候補社員
独立候補社員とは、一度、契約社員または正社員として就職して働き一定の期間後、社内の独立制度等を活用してフランチャイズやのれん分けで独立する方法です。
安定した収入を得ながら自分がこの仕事に合っているのかを経験し見極めることができます。
ステップ2.ビジネスモデルを構築する
ビジネスのアイデアが見つかったら、次にビジネスモデルの構築を行いましょう。
ビジネスモデルとは、「誰に」「何を」「どのように提供して」「どのように儲けるのか」を描いた「ビジネスの設計図」です。
ビジネスの設計図を構築して、利益を出す仕組みを作りましょう。
ビジネスモデルキャンバスという、次の図のようなフレームワークを使って、企業がどのように収益を得るのかを可視化していきます。
ビジネスモデルキャンバスは、9つの項目で構成されており、9つの項目を検討、書き込んでいくことで、企業がどのように収益を得るのかを可視化することができます。
ビジネスモデルキャンバスについて詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
ステップ3.市場・業界・競合他社の調査
次に、必ずそのビジネスの市場・業界・競合他社の調査を行いましょう。
また、出店予定地の地域の特性なども調査しましょう。
画期的なアイデアを思い付いていたとしても、その市場・業界が「衰退分野」である場合、当然のことながら起業のリスクは高くなります。
これから起業を考えている方は成長分野で起業することをおすすめします。
市場・業界の動向の調査方法は、①定量調査と②定性調査の2つがあります
それぞれ解説します。
①定量調査
定量調査とは、認知度や、商品・サービスの購入頻度、リピート率など明確に数値として表すことができる市場の調査方法です。信憑性の高い情報です。
定量調査の情報収集の方法は、下記を参考にしてください。
市場規模の情報を収集する先としておすすめの機関は下記のとおりです。
●経済産業省
●総務省
●業界団体
●政府系のシンクタンク(調査・研究・分析)
日本銀行金融研究所 / 日本国際問題研究所 / 防衛研究所 / 経済産業研究所
●民間のシンクタンク(調査・研究・分析)
日本総合研究所 / みずほ総合研究所 / 三菱UFJリサーチ&コンサルティング / 野村総合研究所 / 大和総研 / ニッセイ基礎研究所 / 第一生命経済研究所 / 農林中金総合研究所 / 信金中央金庫 地域・中小企業研究所 / 三菱総合研究所 / NTTデータ経営研究所 / PHP総研 / 電通総研 / 富士通総研
これらで必要な情報が得られない場合は、ご自身でリサーチの専門業者に依頼することもできます。
②定性調査
定性調査とは、数値では表すことのできない、顧客の意見や、商品の購入までのプロセスを調査するものです。
インタビューや、行動観察をすることで調査をすることができます。
例えば、競合他社に潜入し来店顧客の行動を観察したり、出店予定地に出向き、その地域の住民の属性や人の流れ、交通量などを自分の目で見て調査したり、実際にインタビューをするなどの方法があります。
上記の①定量調査、②定性調査の他にも、経営者は情報収集が重要です。
日経新聞を読んだり、世の中のトレンドの変化など常に情報のアンテナを高く張るようにしましょう。
専門家がおすすめするおすすめの成長分野の職種についてはこちらの記事を参考にしてください。
ステップ4.ビジネスモデルを修正する
市場・業界・競合他社の調査の調査を行った後に、今一度、ステップ2で構築したビジネスモデルキャンパスを見返してみましょう。
市場・業界・競合他社の調査の結果、修正が必要な箇所も出てくるはずです。
このように、ビジネスモデルキャンパスは、一度作成して終わりではなく、何度も更新、ブラッシュアップしていくことが重要です。
ステップ5.起業の目的を明確にする
次に、起業の目的を明確にします。
起業のきっかけでよく聞かれるのが「経営者になりたい」「会社員のままで終わりたくない」など漠然としています。
残念ながらこういった理由で起業する人は、すぐに廃業してしまうでしょう。
何故なら、起業がゴールになってしまっているからです。
ビジネスは、起業して終わりではありません。
起業はあくまでもスタート地点として捉え、そこから何をしたいのかを明確にする必要があります。
まず、起業して何を実現したいのか、社会に何を提供したいのかを紙に書き起こしてみましょう。さらに5年後、10年後、30年後、どのような自分でありたいのかを思い描いてみてください。
ステップ6.必要な許認可・資格の確認
起業する業種によっては、許認可や資格が必要になります。
許認可を受けていない状態や無資格で事業をしていると、法律で罰せられ営業停止になってしまいます。
そうならないためにも、起業する前に必要な許認可や資格がないか事前に確認し、申請の準備を始めていきましょう。
許認可や資格の種類によっては取得までに数カ月かかるものあります。
【許認可について】
許認可は、「届出、登録、認可、許可、免許」の5種類あり、届出から順に取得が難しくなっていきます。また許認可によって、手続きを行う場所や方法も異なります。
次の表に、許認可が必要な主な事業と、許認可の種類をまとめましたので、確認してみてください。
【許認可が必要な事業の一覧(参考)】
許認可の種類 | 業種 |
届出 | 美容業 理容業 |
登録 | 電気工事業 |
認可 | 保育園 |
許可 | 飲食業 食品製造業 食料品販売業 建設業 運送業 自動車卸売業 一般廃棄物処理業 労働者派遣業 有料職業紹介事業 |
免許 | 不動産業 酒類販売業 |
これから始める事業が許認可が必要な事業なのかは、判断が難しいこともありますので、行政書士など専門家に相談することをおすすめします。
【資格について】
資格については医師や美容師などの国家資格が必要なことはご存知でしょう。
その他にも、飲食店であれば食品衛生責任者、不動産仲介業では宅地建物取引士の資格が必要です。
次の表に、主な業種ごとの起業に必須な資格について、確認してみてください。
【資格が必要な業種一覧(参考)】
業種 | 必須資格 |
美容業 | 美容師免許 |
理容業 | 理容師免許 |
電気工事業 | 第1種電気工事士など |
旅行代理店業 | 旅行業務取扱責任者 |
保育園 | 保育士 |
飲食業 | 食品衛生責任者 防火管理者 |
介護事業 | 介護福祉士 看護師など |
建設業 | 建設機械施工技士 土木施工管理技士 建築施工管理技士など |
不動産仲介業 | 宅地建物取引士 |
これから始める事業が資格が必要な事業なのかは、判断が難しいこともありますので、行政書士など専門家に相談することをおすすめします。
ステップ7.資金を準備を開始する
起業のために必要な資金を準備を開始します。
まず、開業のためにいくら資金が必要なのか算出し、目標を決めて今すぐ資金の準備を開始しましょう。
2006年の会社法改正で、最低資本金の規定が撤廃され株式会社は、事実上1円からでも起業ができるようになりました。ただ、実際に起業を1円でスタートさせるのは現実的ではありません。
では、起業費用には一体いくらくらいかかるのでしょうか?
日本政策金融公庫総合研究所の2021年度新規開業実態調査によると、起業費用の平均は941万円です。
日本政策金融公庫.「2021年度新規開業実態調査」.https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_211129_1.pdf P9,(参照2023/4/21)
また、起業費用のうち自己資金の平均金額は282万円、残りの資金は親族や金融機関等からの借入という結果となりました。
日本政策金融公庫.「2021年度新規開業実態調査」.https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_211129_1.pdf P10,(参照2023/4/21)
このように、多くの方が金融機関からの融資を受けて起業をしています。
ただ、融資の審査をクリアするためには、自己資金の準備が重要です。
特に日本政策金融公庫から創業融資を受ける際には、自己資金をコツコツと通帳に貯めてきている形跡が審査においてプラスの評価になります。
起業を決意したその日から、起業に向けて自己資金を準備していきましょう。
自己資金の準備の目安は、起業のために必要な資金の3分の1程度です。
起業のために、1,500万円かかると想定しているのであれば、500万円の自己資金の準備が必要です。
また、想定していたより多くの資金が必要になって困ってしまったという声も良く耳にします。あらかじめ、ご自身の事業にはどれくらいの資金が必要なのかをしっかりと把握し、潤沢に資金を確保しなければなりません。
開業のために必要な資金の算出方法については下記の手順に従って算出してみてください。
【開業のために必要な資金の算出手順】
手順1. 設備資金の洗い出し
ノートやExcelのシートを用意し、開業のためにお金がかかる設備(モノ)を思いついた順に、物品名と金額をどんどん書き出します。
モレがないか確認しましょう。
【設備(モノ)資金の例】
設備(モノ)資金の例 | 金額 |
物件取得費用(保証金・仲介手数料) | 120万円 |
内外装工事費 | 500万円 |
事業用の車両 | 150万円 |
看板代 | 30万円 |
パソコン | 20万円 |
プリンター | 10万円 |
テーブルや椅子 | 30万円 |
HP制作費用 | 100万円 |
会社設立登記費用(株式会社の場合) | 28万円 |
合計 | 988万円 |
上記の例の場合、設備(モノ)資金の合計は988万円です。
手順2.運転資金の洗い出し
ノートやExcelのシートを用意し、下記の運転資金の例を参考に事業開始後1カ月間に係る経費を思い付いた順に予想される項目と金額をどんどん書き出します。
全て洗い出せたら1カ月の合計を算出します。
起業時に用意しておくべき運転資金の目安は業種にもよりますが、月の経費の3か月分です。1カ月分の経費の合計×3カ月分で、おおよそ必要な運転資金を算出します。
【運転資金の例】
運転資金の例 | 金額(1カ月分) |
人件費(役員報酬1名) | 20万円 |
人件費(従業員1名の給与) | 20万円 |
人件費(アルバイト)時給1,000円×4時間×25日 | 10万円 |
家賃 | 15万円 |
水道光熱費 | 5万円 |
通信費(電話・ネット代) | 2万円 |
広告宣伝費 | 8万円 |
旅費交通費 | 3万円 |
接待交際費 | 2万円 |
消耗品 | 1万円 |
支払い手数料 | 4万円 |
合計 | 90万円 |
上記の例の場合、1カ月分の経費は90万円。
3カ月分に換算すると、1カ月分の経費90万円×3カ月=270万円です。
手順3.設備(モノ)資金と運転資金3ヶ月分を合計する
設備(モノ)資金と運転資金の3カ月分の合計が開業時に必要な資金です。
事例の場合、設備(モノ)資金988万円+運転資金270万円=1,258万円が
開業時に必要な資金です。
起業時に融資を受ける予定だとしても、開業資金の3分の1の1,258万円÷3=419万円は自己資金で準備しておく必要があります。
起業時に必要な資金やその調達方法について詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。
ステップ8.経営者として必要最低限の知識を得ておく
経営者として最低限の知識を得てきましょう。
経営者として必要な最低限の知識は次の3つです、
②会計・経理・税務
③法律
それぞれ詳しく解説していきます。
①マーケティングの知識
マーケティングとは「顧客に商品やサービスを知ってもらい、買ってもらう為の活動のこと」です。市場の調査や営業戦略、広告宣伝活動なども含まれます。
同じ商品を扱っていても、マーケティング力がなければ商品やサービスは売れません。
また、マーケティング知識を勉強すると顧客のニーズが理解できるようになります。
ニーズを理解することで、常に顧客から何を求められているのかにアンテナを張ることができます。
マーケティングの手法としてSWOT分析や3C分析、4P分析などのマーケティングの基礎は押さえておきましょう。
※4P分析とは、Product(製品・サービス)、Price(価格)、Place(場所)、Promotion(販促活動)の4つの頭文字をとったもので、マーケティング施策を検討する際に使われるフレームワークです。
②会計・経理・税務
経営者は常に「お金」の問題と向き合わなければなりません。
ビジネスは利益無しでは継続していくことは不可能です。
また、決められた税金を支払わなければ脱税となります。
次の4点は経営者として最も抑えておきたいポイントです。
売上から経費を引いたものが利益であり、その利益に対して税金がかかります。
②売上は全て計上しないと脱税になります。
③経費は、事業と関係のない支出を経費として計上してはいけません。
④経営状況を把握するために、「貸借対照表」「損益計算書」の見方を身につけましょう。
③法律
経営のために、会社法、労働基準法、事業に直接関係する法律、各自治体の条令については確認しておきましょう。
知らず知らずのうちに違法行為をしてしまったり、それによって罰則を受けることは避けたいです。
また、契約書についても内容に不備があると十分に効力を発揮せず、トラブルに発展することもあります。必要に応じて弁護士や行政書士などの専門家に相談・リーガルチェックをしてもらうようにしてください。
ステップ9. 起業の形態を決める(株式会社・合同会社・個人事業主)
次に、どのような形態で起業をするかを決めていきます。
起業の形態は、主に以下の3つです。それぞれの特徴と、設立のために係る費用などを確認し、ご自身の事業内容や規模、取引先との関係に合わせて選択してください。
形態 | メリット | デメリット | 設立費用 (専門家に依頼した場合の相場) |
株式会社 | ・社会的な信用度が高い ・節税の幅が広い ・人材の採用面で有利 | ・会社設立の費用がかかる ・赤字でも税金がかかる ・会計、経理など事務手続きが煩雑 | 259,400円 |
合同会社 | ・設立にかかる費用が安い ・節税の幅が広い | ・社会的信用度が低い | 119,100円 |
個人事業主 | ・開業手続きが簡単 ・税務申告が簡単 ・利益が少ないと税負担が少ない | ・社会的な信用度が低く場合によっては取引を断られるケースもある。 ・利益が出るほど税金の負担が重くなる | 0円 (ご自身で手続き可能) |
会社設立の形態に迷ったら専門家に相談することをおすすめします。
会社設立のメリットや会社設立に係る費用について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
ステップ10.事業をする場所を決める
事業をする場所(本店・店舗立地)を決めていきます。
店舗を構えるような飲食店や美容室など業種によっては、立地が事業の明暗を分けるといっても過言ではありません。
また一度決めてしまうと簡単に変えることはできないため、慎重に選びましょう。
主な事業をする場所の形態として次の3つが上げられます。
②賃貸店舗・事務所
③シェアオフィス
それぞれの特徴やメリットデメリットについて解説していきます。
①自宅兼事務所
初期費用も家賃も基本的には発生しないため、一人で開業する、店舗を持つ必要のない事業の場合おすすめです。ただし、自宅の住所が謄本や名刺、ホームページなどで公開されることになりますので、プライバシーを守れない可能性があります。
②賃貸オフィス・賃貸店舗
初期費用・家賃がかかります。また内装工事が必要になったり費用が多くかかります。
立地によっては、家賃が高額にこともあります。
店舗を構える業種の場合は、店舗立地は事業の明暗を分ける重要な要素です。
都会は、人口も多く人が集まりやすい地域ですが家賃や土地が高く起業する上で、大きな支出になります。一方で、地方では家賃も安く支出も少なくて済みますが、集客が課題になるでしょう。
その地域の特性(繁華街・ビジネス街・住宅街)やターゲットとなる顧客が住んでいるのかや、周辺の施設との位置関係で人の流れがどうなっているのか、競合他社はいるのかなど現地に出向いて調査するようにしましょう。
③シェアオフィス
近年、主流となってきたオフィスの形態です。1つ空間を複数の起業や個人が利用します。
賃貸オフィス比べ、椅子や机などの備品を揃える必要がなく、初期費用が抑えることができ、安価で一等地にオフィスを構えることがきます。
ただし、複数の企業や個人が利用する為、機密情報の取り扱いには注意が必要です。
また、会議室の利用などが空き状況に左右されるなど自由度が低くなります。
ステップ11.事業計画書を作成する【最重要】
起業に向けての準備が整ってきたら、事業計画書を作成しましょう。
事業計画書は起業家にとっての戦略書であり、事業計画書がないと経営ができないと言っても過言ではないくらい、最も重要なものと言えます。
事業計画書を作成することで次の4つのメリットを享受することができます。
・事業を客観視して課題の発見や改善ができる
・事業の方向性を社内や社外にも共有できる
・事業内容、戦略を可視化することで、整理ができる
・資金調達に利用できる
事業計画書には決まったフォーマットはありませんが、主に次の10項目を記載します。
①会社の概要
②経営者の経歴
③経営理念
④事業内容
⑤主要顧客と取扱い商品・サービスの強みと特徴
⑥市場環境と競合状況
⑦取引先
⑧販売戦略(売上計画)
⑨財務計画
⑩行動計画
具体的な事業計画書の書き方については下記の記事で解説しています。
是非参考にして、事業計画書を書き上げてみてください。
事業計画書の作成は、起業を進めるための大切な作業ですが、販売戦略や財務計画などを客観的な視点で数字を用いて説明しなければなりません。
そのため作成に苦労される方も少なくありません。
事業計画書の作成で悩んだら、専門家への相談も検討してみてください。
ステップ12.起業直後に必要なものの準備を始める
起業の直後に必要になってくる、会社の印鑑や名刺などの準備をしていきましょう。
起業直後に主に必要になるものは次の通りです。
②名刺
③会社のロゴ
④ホームページ
⑤挨拶文やチラシ
①会社の印鑑
会社の印鑑は、起業後ではなく会社設立の手続きをする時点で必要になります。
必要な会社の印鑑は、3種類の印鑑(実印・銀行印・角印)+ゴム印を作成することをおすすめします。ネットで注文すると3日ほどで作成できます。
②名刺
名刺は、ビジネスをする上で、必要不可欠なツールです。いつ、どんな出会いがあるかわかりません。せっかくのビジネスチャンスを無駄にしないよう、すぐに準備をして手元にもっておくことをお勧めします。ネット印刷を活用して簡単に作成することができます。
③会社のロゴ
ロゴは会社を覚えてもらうために非常に役立つものの一つです。
ロゴは必要ないと考える人も多いですが、ロゴがあることで、会社への信頼感もアップします
④ホームページ
ホームページの作成を検討しておきましょう。
会社の信頼度アップや、ビジネスチャンスにつながる可能性が大いにあります。
ホームページの製作は、無料で自分で作成できるものから、料金を支払い作成の代行を依頼することもできます。
⑤挨拶文やチラシ
挨拶状やチラシなども作成しておくと良いでしょう。
起業をしたら、まず起業したことや事業内容を知ってもらうということが第一ステップです。これまでお世話になった方や見込顧客、セミナーで出会った方などに挨拶状とチラシを送ります。チラシには、会社の住所や連絡先はもちろん、事業内容などを簡潔にまとめて記載しましょう。新たなビジネスチャンスに発展するかもしれません。
これらは、「起業してから準備すれば良いのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。ビジネスのチャンスは、どこに転がっているか分かりません。
肝心な時に取引や営業活動ができなければ、せっかくのビジネスチャンスや集客の機会を逃してしまうことになります。
起業直後に慌てなくても済むように、事前に必要なものを揃えておきましょう。
ステップ13.起業の手続き
事業計画書を作成し、事業の見通しがついたらいよいよ起業の手続きを行っていきます。
起業の手続き方法は、個人事業主として開業するのか、会社設立をするのかによって異なります。
それぞれ解説していきます。
①個人事業主として開業する場合
個人事業主として開業する場合は、基本的に事業を行う場所を管轄している税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出することで事業を開始することができます。
開業届は最寄りの税務署の窓口にて入手可能です。
また、国税庁のホームページからもPDFで印刷できるため、どちらかの方法で入手しましょう。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
②会社を設立する場合(株式会社・合同会社)
会社を設立する場合は、手続きが煩雑になります。
ご自身で手続きをすることも可能ですが、専門家に依頼し確実に間違いなく手続きを済ませることをおすすめします。
基本的な株式会社の設立の流れは次の通りです。順調に進めば2~3週間で完了しますが、ご自身で手続きをされる場合は、さらに時間がかかってきます。
※合同会社の場合、定款の認証が必要なく、必要な書類も少なくなるため、多少手続きは簡単になります。
会社設立の流れについて詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
ご自身で株式会社設立をされる場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。
ステップ14.起業後の事務手続き
開業届の提出や会社設立登記が完了した後にも、様々な手続きが必要です。
個人事業主で開業した場合と、会社を設立した場合で手続きが異なりますので注意してください。
①個人事業主で開業した場合
提出先 | 書類 | 期限 | 提出要件 |
税務署 | 所得税の青色申告の承認申請書 | 青色申告をしようとする年の3月 15 日まで | 青色申告の承認を受ける場合 |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 特例を受けようとするとき | 納期の特例を受ける場合 | |
青色専従者給与に関する届出・変更届出書 | 青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで | 家族に給与を支払う場合 | |
都道府県税事務所 | 事業開始等申告書 | 設立登記から2カ月以内(条例による) | 必須 |
労働基準監督署 | 労働保険 保険関係成立届 | 従業員を雇用した日から10日以内 | 従業員を1人でも雇用した場合必須 |
労働保険 概算保険料申告書 | 従業員を雇用した日から50日以内 | 従業員を雇用する様になった場合必須 | |
ハローワーク | 雇用保険 適用事務所設置届 | 設置の日から10日以内 | 雇用保険に加入する従業員を雇用するようになった場合必須 |
雇用保険 被保険者資格取得届 | 資格取得の事実があった日の翌月10日まで(入社都度) | 雇用保険に加入する従業員を雇用するようになった場合必須 | |
年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 事実発生から5日以内 | 従業員が5名上・又は加入を希望する場合 |
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 事実発生から5日以内(入社都度) | 従業員が5名上・又は加入を希望する場合 |
②会社設立した場合
提出先 | 書類 | 期限 | 提出要件 |
税務署 | 法人設立届出書 | 設立登記から2カ月以内 | 必須 |
給与支払事務所の開設届出書 | 事務所開設日から1カ月以内 | 必須 | |
青色申告の承認申請書 | ①最初の事業年度終了の日の前日②設立から3ヵ月を経過した日①②のいずれか早い日 | 青色申告の承認を受ける場合 | |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 特例を受けようとするとき | 納期の特例を受ける場合 | |
都道府県税事務所 | 法人設立届出書 | 設立登記から2カ月以内(条例による) | 必須 |
市区町村 | 法人設立届出書 | 設立登記から2カ月以内(条例による) | 必須 |
労働基準監督署 | 労働保険 保険関係成立届 | 従業員を雇用した日から10日以内 | 従業員を1人でも雇用した場合必須 |
労働保険 概算保険料申告書 | 従業員を雇用した日から50日以内 | 従業員を雇用する様になった場合必須 | |
ハローワーク | 雇用保険 適用事務所設置届 | 設置の日から10日以内 | 雇用保険に加入する従業員を雇用するようになった場合必須 |
雇用保険 被保険者資格取得届 | 資格取得の事実があった日の翌月10日まで(入社都度) | 雇用保険に加入する従業員を雇用するようになった場合必須 | |
年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 事実発生から5日以内 | 必須 |
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 事実発生から5日以内(入社都度) | 必須 |
ステップ15.許認可の申請【許認可が必要な事業の場合】
ステップ6でも紹介した、許認可の申請が必要な業種は許認可の申請を行います。
許認可の種類によっては、取得まで数カ月かかることもあります。
許認可の申請が下りないと事業を開始することができませんので注意してください。
許認可の申請については、間違いがあると重大なトラブルに繋がります。
行政書士の先生など専門家に相談するようにしてください。
ステップ16.役員報酬の決定【会社設立の場合】
会社を設立した場合、会社の設立日から3カ月以内に役員報酬の金額を決めなければなりません。3カ月以内に金額を決定していないと、役員報酬を経費に計上できなくなってしまいます。
役員報酬は、年度を通して一定でなければなりません。
なぜならば、役員報酬を自由に増減できるようにしてしまうと、会社の利益を操作することができてしまうからです。
そのため、会社設立時は設立から3カ月以内に金額を決定しなければならないのです。
ステップ17.銀行口座の開設
起業したら、事業用の銀行口座が必要になります。
個人事業主であっても、個人口座と事業口座を必ず分けてください。
まずは、ネット銀行での口座開設をおすすめします。
窓口に出向く必要がなく比較的簡単に口座の開設が可能です。
その他、窓口のある金融機関の場合、信用金庫や地方銀行がおすすめです。
融資を受けたり、事業を継続していく上で是非お付き合いをしたい金融機関です。
ただし、事業用の口座開設には審査があり、銀行の担当による実態調査などが行われます。
1週間程度時間がかかるケースがあります。場合によっては口座開設を断られるケースもあります。
口座開設の申込時には、個人事業主の場合は「開業届の写し」、法人の場合は「謄本・定款」を持参するようにしてください。
ステップ18.融資の申込【融資が必要な場合】
融資が必要な場合は、会社の設立が完了した後に融資の申込をしていきます。
まずは、創業時の融資に積極的な「日本政策金融公庫」の創業融資の申込をしていきましょう。
日本政策金融公庫の創業融資について詳しくはこちらの記事を参照してください。
ますは、最寄りの日本政策金融公庫の支店を下記URLより検索し、電話で事前相談をしましょう。
https://www.jfc.go.jp/n/branch/index.html
融資の実行までの流れは次の通りです。
申込から融資の実行までは、スムーズに進んだ場合、約1カ月程度です。
一般的に創業時は、会社としての実績がありません。
そのため、融資の審査においては代表者自身の経験や実績、そしてこれからの事業の計画が最重要になります。創業計画書をしっかり作りこむことが重要です。
創業計画書の作成の書き方についてはこちらの記事を参照してください。
また、面談での審査もあります。
面談で失敗しないためにも、事前の準備が重要です。
面談でのよくある質問や面談攻略のコツについてはこちらの記事を参考にしてみてください。
日本政策金融公庫の創業融資は一度失敗してしまうと、半年間は、再度挑戦することが難しくなります。融資が遅れると、事業の開始時期もどんどん遅れてしまい機会損失が発生してしまいます。
必要に応じて、事業計画の作成や面談対策をしてくれる融資の専門家に相談することをおすすめします。
ステップ19.補助金・助成金を活用する
融資を受けた後には、補助金や助成金の申請にチャレンジしましょう。
補助金や助成金、融資と違い返済不要の資金を調達することができます。
法人はもちろん、個人事業主も申請が可能です。
補助金とは、国や自治体が個人事業主や企業の新事業の展開や販路拡大などに係る費用の一部をお金を支援してくれる制度のことです。
補助金の種類にもよりますが、支払った費用の3分の2や4分の3、金額にして50万円~数千万円単位で返済不要の資金の調達ができます。
ただし、補助金をもらうためには、経営計画書や事業計画書を提出し審査をクリアする必要があります。
一方、助成金とは、国が雇用の促進や労働環境の整備を目的とした制度で従業員を採用する際などに申請し、申請のための要件を満たしていれば受け取ることができるものです。
起業時に活用できる補助金について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
補助金や助成金については、様々な種類があります。
また申込の条件が厳しく定められているものや公募期間が限られているいるものがありますので注意が必要です。
また補助金の審査を通過するための経営計画書や事業計画書の作成にはコツが必要です。
補助金にチャレンジしたいと考えたら、まずは補助金の専門家に相談することをおすすめします。ご事業内容に応じて、適切な補助金を提案してくれます。
2.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、起業を思い立った時から、実際に起業し事業をスタートしていくまでの19個のステップについて解説してきました。
【起業の仕方・全19ステップ】は次の通りです。
ステップ2.ビジネスモデルを構築する
ステップ3.市場・業界・競合他社の調査
ステップ4.ビジネスモデルを修正する
ステップ5.起業の目的を明確にする
ステップ6.必要な許認可・資格の確認
ステップ7.資金を準備を開始する
ステップ8.経営者として必要最低限の知識を得ておく
ステップ9.起業の形態を決める(株式会社・合同会社・個人事業主)
ステップ10.事業をする場所を決める
ステップ11.事業計画書を作成する【最重要】
ステップ12.起業直後に必要なものの準備を始める
ステップ13.起業の手続き
ステップ14.起業後の事務手続き
ステップ15.許認可の申請 【許認可が必要な事業の場合】
ステップ16.役員報酬の決定【会社設立の場合】
ステップ17.銀行口座の開設
ステップ18.融資の申込【融資が必要な場合】
ステップ19.補助金・助成金を活用する
確実に起業し成功するためには、事前の準備が重要です。
起業を思い立った、今この瞬間からできることはたくさんあります。
また起業において悩みはつきものです。
全て一人で抱え込まず、専門家を頼ることで成功までのスピードアップを図ることができます。ワンステップずつ着実にクリアし、あなたの起業を実現、成功させていきましょう。
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